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2021年3月9日火曜日

3月国立劇場 歌舞伎公演

2021-03-09 @国立劇場


令和3年3月歌舞伎公演『時今也桔梗旗揚』
《歌舞伎名作入門》

●入門 歌舞伎の“明智光秀”

●四世鶴屋南北=作
中村吉右衛門=監修
時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)三幕

序 幕 饗応の場
二幕目 本能寺馬盥の場
大 詰 愛宕山連歌の場


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●「入門 歌舞伎の“明智光秀”」
ご案内                片岡亀蔵

●『時今也桔梗旗揚』
武智光秀              尾上菊之助
小田春永              坂東彦三郎
光秀妻皐月          中村梅枝
森蘭丸                  中村萬太郎
光秀妹桔梗          坂東新悟
森力丸                  中村鷹之資
山口玄蕃              中村吉之丞
住職日和上人        片岡亀蔵
連歌師宇野丈巴    河原崎権十郎
安田作兵衛            中村又五郎
                                          ほか


「時今也桔梗旗揚」(ときはいまききょうのはたあげ)

光秀が信長のパワハラに我慢ならぬと謀反を起こす物語。

初見だったが楽しめた。


主人公光秀役の菊之助(初役)のほかに信長役の彦三郎、片岡亀蔵、又五郎、梅枝、新吾などいずれも口跡の良いシャキシャキした中堅と若手が清新に舞台を引き締めた。


重鎮は一人も配役されていなかったが、役者の気合十分で、緩むところがなかった。


菊之助は白塗りがよく似合う。

彦三郎はホンに憎らしや!


この作品、本篇中に義太夫が全然使われていない。

鶴屋南北の作品には珍しくないみたいだが、寂しくもあり、一方で科白劇として分かり易かったのかもしれない。


本編に先立って、解説を片岡亀蔵が面白おかしく勤めたが、これもなかなかの見もの・聴きもので、夏の鑑賞教室のような構成だ。


それにしても、平日昼間なので、もとより観客層は限られるが、空席が目立った。こんな面白い芝居をもったいないことだ。


♪2021-022/♪国立劇場-03

2020年11月20日金曜日

11月歌舞伎公演第1部

 2020-11-20 @国立劇場

【第一部】
近松門左衛門=作
国立劇場文芸研究会=補綴
平家女護島(へいけにょごのしま)-俊寛-
            国立劇場美術係=美術

序幕 六波羅清盛館の場
二幕目 鬼界ヶ島の場

平相国入道清盛/俊寛僧都   中村吉右衛門
海女千鳥           中村雀右衛門
俊寛妻東屋/丹左衛門尉基康    尾上菊之助
有王丸                         中村歌昇
菊王丸                           中村種之助
平判官康頼                          中村吉之丞
越中次郎兵衛盛次               嵐橘三郎
丹波少将成経                        中村錦之助
瀬尾太郎兼康                        中村又五郎
能登守教経                          中村歌六



所謂「俊寛」〜鬼界ヶ島。

吉右衛門、菊之助、雀右衛門。
役者が揃ったせいか、コロナ隆盛にも関わらず市松満席近い。

考えてみれば鑑賞・観劇は他人と対面する事は少なく、客は無言で咳払いも粗無い。施設はマメに消毒しているようだし、家に居るより安全?

…とでも思っていなきゃ怖くて観に行けない。

この芝居は、鬼界ヶ島に1人残される俊寛の葛藤が見処だが、放免されないと知った際の地団駄踏む子供じみた態度に比べると船を見送る際の無念さは諦観からか存外おとなしい。

歌舞伎・文楽で何度か観ている中で今回は一番静かな俊寛だったが、あの立場で、あの事情で、人はどんな態度を取るものだろうか、考えさせられた。

吉右衛門は長くこの役を演じながら考え抜いて今の形に至ったのだろうが、これは難しい芝居だなと気付かされた。

それが今日の収穫かな。

♪2020-080/♪国立劇場-10

2018年12月6日木曜日

12月歌舞伎公演 通し狂言「増補双級巴」〜石川五右衛門〜

2018-12-06 @国立劇場


石川五右衛門⇒ 中村吉右衛門
壬生村の次左衛門⇒ 中村歌六
三好修理太夫長慶⇒ 中村又五郎
此下藤吉郎久吉・真柴筑前守久吉⇒尾上菊之助
大名粂川但馬⇒ 中村松江
大名田島主水/早野弥藤次⇒  中村歌昇
足柄金蔵/大名白須賀民部⇒ 中村種之助
次左衛門娘小冬⇒ 中村米吉
大名天野刑部/小鮒の源五郎⇒ 中村吉之丞
大名星合兵部/三二五郎兵衛⇒ 嵐橘三郎
呉羽中納言氏定/大名六角右京⇒ 大谷桂三
足利義輝⇒ 中村錦之助
傾城芙蓉/五右衛門女房おたき⇒ 中村雀右衛門
義輝御台綾の台⇒ 中村東蔵
                                                ほか

三世瀬川如皐=作
国立劇場文芸研究会=補綴
国立劇場美術係=美術

通し狂言 増補双級巴(ぞうほふたつどもえ)四幕九場
    ―石川五右衛門―
         中村吉右衛門宙乗りにて
             つづら抜け相勤め申し候

発   端 芥川の場
序   幕 壬生村次左衛門内の場
二幕目 第一場  大手並木松原の場
            第二場  松並木行列の場
三幕目 第一場  志賀都足利別館奥御殿の場
            第二場  同                     奥庭の場
            第三場  木屋町二階の場
大  詰    第一場  五右衛門隠家の場
            第二場  藤の森明神捕物の場

今月の国立劇場は役者が豪華。
吉右衛門、歌六、又五郎、菊之助、錦之助、雀右衛門、東蔵ら。

石川五右衛門を題材とするいくつかの作品を素材に三世瀬川如皐が取りまとめた作品(1851年初演)を基に、今回、新たに翻案したそうである。
場面によっては、90年(木屋町二階)、70年(壬生村)、50年(五右衛門隠家)ぶりの発掘という。こういうところが国立劇場らしい。

が、<娯楽>に留めず、石川五右衛門の家族を思う人間味を表現しようとした試みが、次ぎ接いだ前後で五右衛門の様子が異なる印象を齎す結果となり、謂わば木に竹接いだ感じになってしまったのは残念。

が、今回の売り物の一つ、「宙乗葛籠抜け」には驚いた。
花道上を大きな葛籠が宙にぶら下がって2階客席前辺りまできたところで、その中から吉右衛門が飛び出すのは、そういう仕掛けがあることは承知していたけど、実際に眼前で起こって、これは驚いた。目の前で見たのだけど、どういう仕掛けになっていたのか、一瞬の出来事なので、分からなかった。

最後は吉右衛門の大立ち回りだ。
これも、形を見せるものだとはいえ、背中が丸くなったような吉右衛門のひたすらスローモーションの立回りに不安を禁じ得なかった。

役の大きさの割に見せ場の少なかった菊之助、娘役がドンピシャの米吉が1幕で姿を消すなど、欲求不満が残ったものである。

♪2018-162/♪国立劇場-016