2022年1月29日土曜日

藤原歌劇団公演「イル・トロヴァトーレ」東京公演

2022-01-29 @東京文化会館






山下一史:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
藤原歌劇団合唱部
合唱指揮:安部克彦

演出:粟國淳
美術:横田あつみ
衣裳:増田恵美
照明:大島祐夫
舞台監督:齋藤美穂
副指揮:松村優吾、小松拓人
演出助手:橋詰陽子


レオノーラ⇒小林厚子
マンリーコ⇒笛田博昭
ルーナ伯爵⇒須藤慎吾
アズチェーナ⇒松原広美
フェルランド⇒田島達也
イネス⇒松浦麗

ヴェルディ作曲「イル・トロヴァトーレ」
オペラ全4幕 字幕付き原語(イタリア語)上演/新制作

予定上演時間:約2時間40分
第Ⅰ幕 30分
 暗転
第Ⅱ幕 40分
 休憩 20分
第Ⅲ幕 20分
 休憩 15分
第Ⅳ幕 45分



要約すれば、期待以上の出来だった。
元々分かり易い話だという事情もあるが、他の過去に観た作品でもまじめにベルディの意図を再現しようとしたものばかりだ。

たぶんこの暗くて重い話を演出家が、この台本で遊んでみようという気にはならないのだろう。

新制作ということだが、古典的・正統的な演出で、安心してオペラの本体を楽しむことができた。

でも、欲を言えば色々注文はつけたい。

❶舞台美術が貧相。それも額縁舞台に更に額縁を重ねているので広い空間を生かしきっていない。せめて上手の壁を奥に凹ませたら額縁感が緩和された。

❷合唱が力を発揮するオペラだが、相変わらずのマスクだ。
業界基準に即しているのかもしれないが、兵士達のみならず女官達もマスクなので、観ていても異様だ。

感染してなければマスクは不要(独唱歌手は当然NoMask)。
健康管理と検査でNoMaskでやれるはず。
いや、プロならやるべし!

❸演出面では…対案が浮かばないが…レオノーラが暗闇でルーナとマンリーコを間違えて愛の告白をしてしまうが、ここは単に暗くて間違ったとお客に受け取られない工夫が欲しい。

この2人、本当は兄弟なのだから顔も似ているはず。
そこをダメ押しできたら物語に深みが出るんだが…。

❹アズチェーナを歌った松原広美という人は初めて。
ご本人はとても健闘していたが、そもそも声質が細いので、老婆にはそぐわないように思った。
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とはいえ、主要な4人には各々に語部として長いアリアが用意され、本当は誰が主役か分からない程存在感があり、舞台を引き締めた。

♪2022-012/♪東京文化会館-02

2022年1月27日木曜日

横浜18区コンサート 第Ⅰ期 福間洸太朗(Pf)x日本フィルハーモニー交響楽団メンバー(弦楽五重奏)

2022-01-27 @サルビアホール



福間洸太朗:ピアノ*

日本フィルハーモニー交響楽団メンバー(弦楽五重奏)
 バイオリン:田野倉雅秋、武歳夏鈴
 ビオラ:安達真理
 チェロ:石崎美雨
 コントラバス:高山智仁

ビバルディ:バイオリン協奏曲集「四季」Op8から「冬」第1楽章(弦楽五重奏版)
J.ウィリアムズ:シンドラーのリスト(弦楽五重奏版)
ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11(弦楽五重奏伴奏版)*
----------------
ショパン:ノクターン第8番 Op27-2*


鶴見駅そばのサルビアホールはそこそこ有名なのに僕は初めてだった。

かなっくホールやフィリアホールと同じ”区民文化センター”だけど、ここではダンスパーティからプロレスまでやるとか(本当かな?)。

それで音響は大丈夫かと不安もあったが、弦楽五重奏の第一声で掻き消えた。


最初に弦楽だけで、短いのを2曲。

特に楽しみにしていたのは、「シンドラーのリスト」のテーマ。

映画はスピルバーグの最高傑作。

Jウィリアムズのテーマ曲はコテコテに哀愁に満ちて肺腑を抉る。日フィル田野倉コンマスのソロが一際高く美しく咽び泣いた。


知らなかったが、今日1月27日は国際ホロコースト記念日だった。それを知っての選曲だったのだろうか?あるいは偶然?

ともあれ、心に沁みたよ。

後半、福間君が入ってショパンの1番。これが面白い。

まず、音がいい。コロコロと転げ回りカーンと抜ける明瞭な響きだ。

この編成だと各声部が聴き取りやすい。

またソロPfのフレーズに何箇所か新発見が。オケとの協奏では聴き漏らしているらしい。


先日の新日フィルと共演して満場を湧かせた反田君のような派手さはない(曲も違う)が、いかにもショパンの美しい旋律をしっとりと歌った。


短かったが、話しっぷりにも好感を持った。


♪2022-011/♪サルビアホール-01

2022年1月22日土曜日

名曲全集第173回 サン=サーンスで聴く、日本チェロ界のミューズ&「オルガン付き」

2022-01-22 @ミューザ川崎シンフォニーホール


ユベール・スダーン:指揮
東京交響楽団

上村文乃:チェロ*
大木麻理:オルガン**

サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番イ短調 op.33*
サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調 op.78 「オルガン付き」**
------アンコール--------------------
藤倉大:Sweet Suites*
オッフェンバック:歌劇「ホフマン物語」から 舟歌


昨日の新日フィルの熱気に包まれた高揚感とパワフルな演奏の記憶がまだ残っている耳に、今日の東響は響いてこなかったな。


先ず以て、上村文乃のチェロの音が美しくない。


大昔、アマオケで弾いていた頃の僕の安物のチェロより音が悪い(なんと大胆な発言!)。


硬いのだ。

まるで潤いがない。許容限度超也。

そう思いながら聴いていると全然音楽が耳に入ってこない。


その残念感を引きずったまま「オルガン付き」。

18年の暮れ以来ほぼ3年ぶりだが、その18年にはなぜか4回も聴いた。その中に神フィル+今日のOrg大木麻理@ミューザの演奏も含まれる。


それが僕にとってはこの曲の過去最高の名演だったが、今日は及ばず!

リハは十分に積んだのだろうか?

音楽の作りは明快な4部構成なのにその構成感が伝わってこない。

管・弦はそれぞれに演奏している。

各々が呼応し触発し合うEncの面白さは何処に?

ゾクゾクさせる高揚感は何処に?


Orgは舞台で移動コンソールを演奏した。

その為大木ちゃんが楽器と譜面に隠れて全く見えない。

視覚効果の面からも本来の席が良かった。

演奏が見えてこそ聴こえる音がある!


あれやこれやで感動には遠かった。


昨日の新日フィルの熱気との落差、先行のVc協の残念感もだいぶ負に作用したのだけど。


♪2022-010/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-02

2022年1月21日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#4

2022-01-21 @すみだトリフォニーホール



佐渡裕:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
反田恭平:ピアノ*

ベートーベン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 op.73 「皇帝」*
リムスキー=コルサコフ:シェエラザード op. 35
---アンコール
----------------
ショパン:マズルカ#33 ロ長調 Op.56-1*
J.シュトラウスⅡ:ポルカ「雷鳴と稲妻」


ホールそばまで着いたら、これまで経験したことがない行列。

整理員が大勢出て4列でお願いしますーっと大声。

え?何が起こったのか、と思ったら、そうそう、水際対策で入国できない牛牛の代演が反田恭平なんだ。いや、驚きだよ。


客席は満席。


開演前に佐渡裕氏が登場して来季のミュージック・アドバイザー就任と来来期の音楽監督就任予告の挨拶やら、反田くんとのエピソードなどを紹介していやが上にも会場のテンションは上がる。


反田効果は客席を満席にしただけでなく、それもあって、オケも高揚していたように思う。


「皇帝」は反田・佐渡・オケが一体となってパワフルで明瞭な演奏だった。

後半の「シェエラザード」も見事な演奏で、管弦楽の面白さを堪能した。

暮れの「第九」も名演だったが、このところ上出来続きだ。


♪2022-009/♪すみだトリフォニーホール-01

2022年1月19日水曜日

ランチタイムコンサート 抱腹絶倒!?東京交響楽団ホルンで奏でる紅白歌合戦

2022-01-19 @ミューザ川崎シンフォニーホール



ホルン:上間善之、大野雄太ほか3人
ピアノ:石井理恵
司会:チャーリー犬和田


ショパン:ピアノ協奏曲第1番第1楽章から
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番第1楽章から
北の宿(都はるみ)
王将(村田英雄)ほか



東響首席2名+エキストラ3人のホルン奏者とピアニストと司会による紅白歌合戦擬演奏会。


司会も傑作だったが、普段のオーケストラコンサートでの姿とは全く異なる上間、大野クンの熱演ぶりがおかしい。


この2人が、1曲毎に衣装を取っ替え引っ替えし、その度に髪型やアクセサリーなど小物も替えてまるでファッションショーの有様。司会は1曲毎ではなかったが、こちらも頻繁に派手な衣装を取り替えた。


何を演奏したか?

プログラムにはあえて仄めかすだけなのでタイトルは正確に思い出せない(あるいは、そもそも知らない)が、懐かしや昭和の歌謡曲集だ。


ただ、すべてのアレンジがちょっと変わっている。

クラシック風にショパンが始まるかと思ったら天城越えだったり、逆にHrならではのコブシを効かせたりと凝った作りになっている。


最初は一人ずつ(紅組は女性歌手の歌を、白組は男性歌手の歌を)演奏し、途中から2人一緒に、さらにはエキストラの3人も加わってホルン5人とピアノによる演奏で締めくくった。


ホルンの魅力をたっぷり味わった小1時間。

ホンに楽しかった。


この企画は16年にも聴いた。

さらに工夫を凝らした次回の登場の機会を待ちたい。



♪2022-008/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-01

2022年1月18日火曜日

東京都交響楽団 第941回 定期演奏会Aシリーズ

2022-01-18 @東京文化会館


尾高忠明:指揮
東京都交響楽団
横坂源:チェロ*

ディーリアス:歌劇『村のロメオとジュリエット』より間奏曲「楽園への道」
エルガー:チェロ協奏曲ホ短調 op.85*
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 op.74《悲愴》
---------------------------
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 BWV1008から「サラバンド」*


「悲愴」第2楽章途中で気力が尽きて第3楽章に入ったのを覚えておらず、終楽章がppppで終わる瞬間に覚醒した。

拍手で気が付くというのは普通だが、「あ、終わる…」と気付いて目が覚めたのは不思議だ。

以前から、眠っていても音楽は聴いているらしいと思ってはいたが、これは本当で、多くの場合覚えていないだけなんだと思う。ただ、どのタイミングで完全覚醒するかと言えば、普通は外界に大きな変化(コンサートでは曲が終わったことを知らせる拍手)があった時だ。だから、曲が間も無く終わる、それも最弱音が途切れるというタイミングで覚醒したのは本当に不思議だ。眠っていたつもりで本当は覚醒していた?まさか。


1曲目は弦14型、チェロ協奏曲は12型、悲愴は16型と多様な編成を1晩で聴くのは珍しい。


本来なら、弦楽の響きの違いを観察する良い機会だったが、僕の体調も悪かったが、演奏もどうだったかな?


最初から惹き込まれず、2曲目も特に訴えるものがなかった。とは言え、遂に3曲目は途中から寝てしまったのは情けない。

この日、客席は4割前後の入りだ。

都響の定期でこんなに少ないのは多分初めてではないか。

常連の顔も見えない。

新型コロナ(とりわけオミクロン変異株)による新規感染者が
最近徐々に増加してきて、この日、結果的には史上最高数(41,485人)に達したが、そのことと関係があるのだろう。


そのせいもあってか、始まる前から、まるで高揚感がない。


気のせいかもしれないが、代理登板の尾高氏の表情にも情熱を感じなかった。


以上、途中から寝た者の報告也。


♪2022-007/♪東京文化会館-01

2022年1月15日土曜日

神奈川フィル フレッシュ・コンサート Vol.16 未来を奏でる神奈川の新星たち

2022-01-15 @県立音楽堂



中田延亮:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

伊藤雄太(トロンボーン 第18回東京音楽コンクール金管部門第1位 )
山口亞純(バイオリン 2020年度洗足学園音楽大学大学院グランプリ特別演奏会にて準グランプリ)
米滿希咲来(ピアノ 第37回かながわ音楽コンクール ユースピアノ部門高校生の部神奈川県議会議長賞受賞 )

モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」より序曲
ライヒャ:トロンボーン協奏曲第2番イ長調
プロコフィエフ:バイオリン協奏曲第1番ニ長調Op.19
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調Op.23


神奈川ゆかりの新人演奏家を取り上げ、協奏曲を聴かせるシリーズ。

今回の3人は全く知らない。
バイオリン、ピアノに珍しくトロンボーンという組合せ。

最初にオケだけでフィガロ序曲を演奏したが、とても好感した。ちょっと乾いた響きのホールに小振りのオケがシャキシャキと良く鳴る。

こういう新人相手でも神奈川フィルは手を抜かない。
石田コンマス始め1軍の面々が揃うのが嬉しい(尤も、2軍てないと思うけど😅…)。

トロンボーン協奏曲が初聴きのほかは聴きなれた作品。

音楽堂の1桁列の真ん中で聴くと、独奏楽器が原音のまま飛び込んできてそこが面白い。

『このホールは良く鳴るんですよ、何人か舞台に上がって床に腰掛けて聴いて見てください。』とだいぶ前にチェロの藤原真理が客席に呼びかけ、エンドピンの振動を床に付けたお尻で味わうという実験?をした。

確かに、床材や、床下の空間は大切で、音楽堂の場合、舞台全体が共鳴箱のようだ。

前回、音楽堂で聴いたのは、桑原志織、ケイト・リウ、ジャン・チャクムルらのリサイタルだったが、その時はもちろん、今回の名も知らぬ新人のピアノも、なんて鮮烈な事!

どの楽器の音もよく響くのだけど、とりわけ、舞台に重い足を乗せているピアノの音がチェロのエンドピンのような働きをするのか、一番美しい。

今やすっかり売れっ子の小林美樹、大江馨や阪田知樹。この頃ちょっと名前が出てきた尾城杏奈などは、このシリーズで初めて聴いた。

今日の3人も、いずれ全国区で、いや、世界的に活躍してくれると嬉しいね。

♪2022-006/♪県立音楽堂-01

2022年1月13日木曜日

横浜18区コンサート 第Ⅰ期 辻彩奈(Vn)x神奈川フィルハーモニー管弦楽団メンバー(弦楽五重奏)

2022-01-13 @杉田劇場



辻彩奈:バイオリン*
神奈川フィルハーモニー管弦楽団メンバー(弦楽五重奏)
 バイオリン:合田知子、村松伸枝
 ビオラ:鈴木千夏
 チェロ:迫本章子
 コントラバス:松隈崇宏

モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 K.136(弦楽五重奏版)
メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64(弦楽五重奏伴奏版)*
----------------
エルガー:愛のあいさつ*


横浜18区コンサートの3回目。杉田劇場は知らなかった。根岸線「新杉田」の駅すぐそばで便利。
かなっくホールやフィリアホールなどと同種の区民文化センターの一つだ。そしてこれらのホールとほぼ同規模だが、音響は疑問。残響が極めて短い。芝居向きだろう。

今日の独奏は辻彩奈。曲はメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲(いわゆる「メンコン」)。

彼女のメンコンは、最近、都響との協演が実に見事だった。

ところが、今日は、如上のようにホールがほぼ響かないので、彼女の独奏は見事だが、支える五重奏が乾いて、弱い。

欲を言えば、五重奏がもう少し野生的であればホールの難点を少しはカバーできたかもしれないが…。

独奏と本来はオケの部分の絡み合いが乏しく、単に伴奏に徹した感じは否めない。

とはいえ、かぶりつきで聴いた辻彩奈のバイオリンは、ホンに美しい。ドライな音響の中では、伸ばした小指が出す繊細なハーモニクスの最弱音や、普段ならなかなか聴き取れない旋律とテンポの速いアルペジオの二重音も明瞭に伝わって、滅多に得られない音楽体験ではあった。

♪2022-005/♪杉田劇場-01

2022年1月9日日曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 県民名曲シリーズ第13回〜華麗!アメリカン・ニューイヤー

2022-01-04 @県民ホール


原田慶太楼:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
シルビア・グラブ:歌#

ミュージカル「シカゴ」から<All that Jazz>#
映画「ピノキオ」から<星に願いを>#
チャイコフスキー:バレエ音楽「眠れる森の美女」から<ワルツ>
映画「美女と野獣」から<美女と野獣>#
映画「風と共に去りぬ」から<タラのテーマ>
ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」セレクション
映画「スター・ウォーズ」から<メインタイトル>
映画「007スカイフォール」から<スカイフォール>#
映画「ニュー・シネマ・パラダイス」から
ミュージカル「イントゥ・ザ・ウッズ」から<No One is Alone>
#
バパーンスタイン:ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」セレクション
映画「ニューヨーク・ニューヨーク」から#
----アンコール----
スーザ:星条旗よ永遠なれ


原田慶太楼得意の?🇺🇸(一部🇮🇹も) 映画/ミュージカル特集。

うち6曲をシルビア・グラブ(…って知らないよ…)が歌った。


歌は舞台両端の大型🔊で拡声。オペラ歌手なら埋もれなかったろうが普段から🎤使っている人に70人近いオケをバックにナマは無理だったろう。無理せず拡声装置を使ったのは正解。


オケは弦12-10-8-6-5だが、管打+鍵盤が多いのでオケ全体としては70人前後?


実に明瞭でメリハリの効いた音楽の釣瓶撃ちだ。


近年の神フィルの実力は毎回ハズレなしの出来栄えから十分分かっているけど、それにしても見事な演奏に、ひょっとしてオケも🎤&🔊で拡声しているのか?


休憩時に、客席最後列でコンソールを調整していた音響技師に訊いてみたが、オケの音は🎤で集音しているがそれは歌手の足元のモニターから流す為で、オケの音は拡声していないと仰る。

なおも疑り深い僕は、神フィルの担当者にも確認したがやはり生演奏だという。


これは驚いたよ。

まるで電気拡声しているような音圧と明瞭さ。


昨日、1列前の同番号席で日フィルを聴いた。楽しいコンサートではあったが、もう、演奏レベルが違う。

曲目の性格の違いもあるけど、神フィルの合奏力は見事なものだ。


因みにN響、過去の神フィル含むいろんなオケで「Star Wars Main title」を聴いてきたが、一番上等の出来。神フィル恐るべし!


アンコールが「星条旗よ永遠なれ」で、MCも上手な慶太楼氏は客席にも手拍子を求めご機嫌の様子。


この曲のトリオはピッコロによる煌びやかなオブリガートが有名だが、ここではフルートの3人がピッコロに持ち替え、立って奏した。

もうその瞬間、ゾクゾクと震えがきた。

今も頭の中であのオブリガートが鳴っている。


♪2022-004/♪県民ホール-02

2022年1月8日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第374回横浜定期演奏会

2022-01-08 @県民ホール


井上道義:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

モーツァルト:交響曲第41番《ジュピター》
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
<ニューイヤー道義ワルツ・セレクション>
 ハチャトリアン:バレエ音楽《仮面舞踏会》から ワルツ
 チャイコフスキー:バレエ音楽《白鳥の湖》からワルツ
 池辺晋一郎:ワルツと語ろう(井上道義委嘱作品)
 チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》から第2楽章ワルツ
 J.シュトラウスII世:春の声(管弦楽版)
-----アンコール-----
L.アンダーソン:Plink, Plank, Plunk!
*


モーツァルト「ジュピター」に<ニューイヤー・ミチヨシ・ワルツ・セレクション>ってどういうコンセプトかな?と思いつつ、あの先生の事だから何かやってくれるのだろうと期待して出かけた(番組構成意図については評論家の奥田氏のプレトークで解説があったかもしれないが。)。


「ジュピター」は弦10型でこじんまりと。


でも広い舞台のせいか、意図したのか、管がかなり抑えられてまるで弦楽合奏のようだった。


休憩を挟んで意図不明なワルツが並ぶ第2部は、管弦打ともぞろぞろ膨らんでオケとして約70人。

狙った訳じゃないだろうが、その対比効果は並んだだけで壮観。


最初がハチャトゥリアンのワルツ。


初聴きだったがショスタコーヴィチのJazz組曲2ーワルツ2にそっくり。ヒントを得たのか?

「白鳥の湖」からワルツ、チャイコフスキー「悲愴」2楽章もそれぞれ良かったが、道義先生の一番やりたかったのが、自らダジャレの池辺先生に委嘱して作曲してもらった日本の新年にふさわしい?ワルツだろう。


本人曰くだいぶ目論見が外れたようだが。


最後はJシュトラウスⅡの「春の声」も出てようやく新年らしく収まった。


オマケはL.アンダーソン「Plink, Plank, Plunk!」。

ワルツじゃなかったね。


全体の番組意図は結局よく分からなかったが、今回はチラシやプログラムにもわざわざ<指揮とお話>と刷り込んだだけに、道義先生が漫談みたいに笑わせてくれて、楽しいコンサートだった。


------------------------------
*ルロイ・アンダーソンの「Plink, Plank, Plunk」は、どうやら日本語の読み方が確定していないらしい。

「Plank」も「Plunk」も”ぷらんく”と読めるのが悩みの種で、Plankを名古屋弁風に”ぷりゃんく”と読めば近いのかなあ…💦

はい、みなさん、ご一緒にplɪŋk-plæŋk-plʌŋk!

♪2022-003/♪県民ホール-01

2022年1月5日水曜日

初春歌舞伎公演「通し狂言 南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)」

2022-01-05 @国立劇場大劇場


犬山道節⇒尾上菊五郎
犬坂毛野⇒中村時蔵
網乾左母二郎/犬飼現八⇒尾上松緑
犬塚信乃⇒尾上菊之助
犬田小文吾⇒坂東彦三郎
犬川荘助⇒坂東亀蔵
蟇六娘浜路⇒中村梅枝
犬村大角⇒中村萬太郎
横堀在村⇒市村竹松
甘利掻太⇒市村光
犬江親兵衛⇒尾上左近
軍木五倍二⇒市村橘太郎
大塚蟇六⇒片岡亀蔵
馬加大記⇒河原崎権十郎
蟇六女房亀笹
市村萬次郎
簸上宮六⇒市川團蔵
足利成氏⇒坂東楽善
扇谷定正⇒市川左團次
ほか

国立劇場開場55周年記念
曲亭馬琴=作/渥美清太郎=脚色/尾上菊五郎=監修
国立劇場文芸研究会=補綴

通し狂言 南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)  五幕七場
序 幕  (武蔵)  大塚村蟇六内の場
          本郷円塚山の場
二幕目  (下総)  滸我足利成氏館の場
         芳流閣の場
三幕目  (下総)  行徳古那屋裏手の場
四幕目  (武蔵)  馬加大記館対牛楼の場
大 詰  (上野)  扇谷定正居城奥庭の場

国立劇場の初春歌舞伎は菊五郎劇団と決まっている。

毎年、お正月らしい派手な演目で、7年前も同じ「八犬伝」だった。


今日、プログラムを買ったら、配役と筋書きの一部変更の1枚紙が入っていた。ギリギリまで練り直していたという訳だが、7年前も同様だったというのがおかしい。

帰宅後、残してある過去のプログラムも読み直してみたが、7年前のプログラムに印刷された筋書きとその一部訂正、今回のプログラムの筋書きとその一部訂正という計4種類の筋書きがほぼ同じで、宿敵をその場で倒すか後日譚に任せるかの違いを毎回、手直ししている。


どうせ、スペクタクルが売り物の演目なので、そんなに拘ることもなかろうと思うけど…。


見どころの多い芝居だが、やはり、1番の見ものは菊之助と松緑の芳流閣の大屋根での立ち回りではないか。


灰色の瓦と白い漆喰の網目模様。

その上で真っ赤な着物の菊之助と金襴緞子の松緑が絡んでは見得を切る。

その姿が絵に描いたように美しい。


ところで、菊五郎御大の動きに力がなかったが、大丈夫だろうか。


国立劇場の歌舞伎として、久々の大入りは同慶の至り。


♪2022-002/♪国立劇場-01

2022年1月3日月曜日

バレエ「くるみ割り人形」

2022-01-03 @新国立劇場



【指揮】アレクセイ・バクラン
【振付】ウエイン・イーグリング
【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
【美術】川口直次
【衣裳】前田文子
【照明】沢田祐二
【芸術監督】吉田都

【クララ/金平糖の精】小野絢子
【ドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子】福岡雄大

バレエ「くるみ割り人形」全2幕

予定上演時間:約2時間15分
第Ⅰ幕 55分
  休憩30分
第Ⅱ幕 50分


昨秋、三十数年ぶりにナマのバレエを観た。それが「白鳥の湖」で、これがとても良かったので、「くるみ割り人形」も観ることにした。

世間の仕事始めは明日らしいが、僕の仕事始めは今日だった。


さて、バレエの出来は分からないが、工夫された綺麗な舞台だった。


「白鳥の湖」に比べると、前半(1幕の終盤まで)は、あまりバレエらしい見せ場がないし(素人の意見です!)、音楽だけを取り出した演奏会用「バレエ組曲『くるみ割り人形』」で耳馴染みの曲も少ないが、雪の国の雪の精24人の女性ダンサーによるシンクロダンスはお見事だ。


2幕に入ると、俄然、馴染みの音楽の連射砲となる。

バレエもいろんな国(スペイン・アラビア・中国・ロシア・フランス)に合わせた衣装と振り付けで面白い。




花のワルツ(男女12組のペア)を経て、愈々、金平糖の精と王子の所謂グラン・パ・ド・ドゥだ(よく耳目にする言葉だけど今回、初めてどういうものか勉強して、実際のダンスを観たので、もう当分は忘れないかも。)。

ソロとデュエットで4部構成の趣向を凝らしたダンスを披露する。

そのあとフィナーレで物語としては夢落ちの形となる。


夢だった…という話なので、まあ、筋はどうでもいいのだけど、ともかく、鍛えられた肉体がチャイコフスキーの美旋律に乗ってこれぞ優雅の極致と言わんばかりに魅せる。


演目のせいで、いつになく、オペラパレスに子供が多かった。

いずれ、この舞台に立つこととなる少年・少女も混じっていたかもしれない。


本日千秋楽だったからだろう、カーテンコールが10分ほど続いた。


♪2022-001/♪新国立劇場-01