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2018年7月20日金曜日

N響「夏」2018

2018-07-20 @NHKホール


ユッカ・ペッカ・サラステ:指揮
NHK交響楽団

バイバ・スクリデ:バイオリン*

シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ
シベリウス:バイオリン協奏曲ニ短調 作品47*
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68
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アンコール
ヴェストホフ:バイオリン・ソナタ第3番から第3曲「鐘の模倣」*
シベリウス:「鶴のいる風景」作品44-2(管弦楽)

指揮のユッカ・ペッカ・サラステは3年前のN響定期で聴いた。その時もシベリウスの作品を2本とバルトークだった。フィンランド出身なので、シベリウスを得意としているのは当然だろうが、1本毛色の異なるのを入れて実力の程を見せようという意図か。

バイオリン独奏のバイバ・スクリデは2年前の読響で聴いた。この時はベートーベンの協奏曲だったが驚いたのはアンコールに弾いた作品で、バイオリンの無伴奏作品だが、てっきり現代作品だと思ったところ、バロック時代のものだった。
それが、なんと今日も同じ曲をアンコールで弾いたのだ。最初はよく分からないし、やはり現代曲のような気がしていたが、そのうち、ひょっとして2年前のあれか!と気がついたが、作品名も作曲家の名前も思い出せなかった。ヴェストホフと言うんだ。次回は思い出すかな。

ところで、本題。

「アンダンテ・フェスティーヴォ」は弦楽合奏+ティンパニ版だが、期待したほど美しくはない。透明感も厚みも中途半端な感じだった。

次のバイオリン協奏曲は(読響で聴いたベートーベンがそこそこ良かったので)期待していたが、どうしたものか線が細い。せめて終楽章のリズミカルでメランコリックな展開に期待したが、どうも響いてこなかったな。

休憩後のブラームス第1番。
それまでの弦の編成は14型だったが、ここで16型に膨れ上がった。ブラームスをやるのにコンバス8本も必要なのだろうかと思ってしまうが、結果的にはこの大きな編成が物を言った。
そもそもこの曲が大好き!ということもあって聴く心構えが違う。期待を込めて待ち構えているのだから。

指揮台にひょいと乗ったサラステは、躊躇なくタクトを下ろすとティンパニーの刻みに乗って弦が抑えきれない感情をぐっと抑えてのたうち回るような旋律が始まった。この最初が勝負どころだ。
サラステのテンポはかなり速めだった。帰宅後手持ちのCDなどで8人の指揮者の、この冒頭部分を聴いてみたが、一番テンポが早いスウィトナーとほぼ同じくらいだ。この早めのテンポのせいか、全体が引き締まったように感じた。

弦楽合奏は厚みもあって、力強い。
最初に気持ちを掴まれたので、あとは心地よく続いた。
終楽章は前半かなり焦らされるが、クララに宛てて書いたとか言われるアルペンホルンの主題が出てからは、もうまっしぐらにクライマックスだ。充実したカタルシスを得て堂々と終曲した。
サラステ渾身の1曲だったと思う。

♪2018-086/♪NHKホール-07

2017年1月28日土曜日

寺神戸亮 バロック・バイオリンと名曲の魅力

2017-01-28 @フィリアホール


寺神戸亮:バイオリン

バルツァー:プレリュード ト長調
バルツァー:「ジョン、来て、キスして」によるディヴィジョン ト長調
ヴェストホフ:無伴奏バイオリンのための組曲第1番 イ短調
ビーバー:パッサカリア ト短調(ロザリオのソナタより)
テレマン:無伴奏バイオリンのためのファンタジア 第1番 変ロ長調、第7番 変ホ長調
J.S.バッハ:シャコンヌ(無伴奏バイオリンのための組曲 第2番ニ短調 BWV.1004 第5曲)
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アンコール
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン・ソナタ第3番ハ長 BWV.1005から第3楽章「ラルゴ」

寺神戸亮(てらかど・りょう)はナマで聴いたことがなかったので、待望のコンサートだった。

いっとき、中世・ルネサンスやバロックの音楽ばかり(CDなどで)聴いていた時期があり、その中には寺神戸亮の「シャコンヌへの道」というタイトルのCDと「コレッリのバイオリンと通奏低音のためのソナタ選集」が含まれていて両方共よく聴いた。

演奏も、音楽も好ましいが、ガット弦を使用したピリオド楽器(古楽器)による音自体が魅力的だ。それをナマで聴けるのは嬉しい。

しかも、今回のリサイタルは「シャコンヌへの道」と銘打ってある訳ではないが、選曲はCD「シャコンヌへの道」と全く同じ、と言ってもいい(厳密にはCDの方が曲数が多い。)。
このアイデアは、J.S.バッハの無伴奏バイオリン・ソナタと組曲の中の白眉と言われている「シャコンヌ」が生まれるに至った歴史的背景を先人たちの作品の中から辿って聴かせようという意図だ。
ま、音楽史を紐解く訳で、かなりの専門家でなければなかなか理解し難いところもあるが、そこは、寺神戸亮が曲の合間にマイクを握って簡単に説明をしてくれるので、まあ、その時点、時点では得心もできたが。
ただ、その意図が十分理解できなくともかまわない。何しろ、この時期の音楽はとってもヒーリング効果があるのだ。

バルツァーだのヴェストホフだの聴いたこともない作曲家たちが、バッハに先んじてバイオリンの無伴奏曲を作っているのだ。そしてそれぞれに面白い。


フィリアホールは初めてだった。田園都市線・青葉台駅のすぐそばだが、駅にも道にも案内が見当たらなくて往生した。まったく、不親切なホールだ。東急系が運営しているらしいが、今時、お役所仕事よりもサービスが悪い。
が、コンサートホールとしては500席とソロや室内楽を聴くには好都合の規模で、音響も嫌味のない適度な残響が良い感じだった。

♪2017-013/♪フィリアホール-01

2016年7月18日月曜日

読響第90回みなとみらいホリデー名曲シリーズ

2016-07-18 @みなとみらいホール


コルネリウス・マイスター:指揮
読売日本交響楽団
バイバ・スクリデ:バイオリン*

ベートーベン:バイオリン協奏曲 ニ長調 作品61*
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 作品73
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アンコール
ヴェストホフ:バイオリン・ソナタ第3番から第3曲「鐘の模倣」*

ドイツ音楽…正しくはドイツ語圏なのか、ドイツ文化圏というべきか分からないけど、クラシック音楽の王道の音楽が好きだ。それもロマン派までが特にいい。
なので、ベートーベンやブラームスはその筆頭格に当たる。
そういうゴールデンコンビの演奏会だったが、今年に入って各オケの定期で聴いたブラームスの交響曲は全5回だが、そのすべてが2番ではいくら好きでも困る。
ブラームスの4作品の中で、一番人気は多分、第1番か第4番ではないか。次いで3番。
2番は一番地味だと思うのだけどオーケストラが好んで取り上げるのはどうしてかな。僕としては、まんべんなく4作品を聴きたいよ。


指揮のコルネリウス・マイスターも独奏バイオリンのバイバ・スクリデも初聴き。
コルネリウス・マイスターはハノーファー出身の1980年生まれというまだ若手だ。来季から読響の首席客演指揮者に就任するそうだ。今後、何度も接することになるだろう。

バイバ・スクリデって耳慣れない名前だがラトヴィア出身だそうな。
G・クレーメルから貸与されたストラディバリウスだそうだ。不満のない音量と音色。
前回の読響定期は気分が悪くなって途中リタイアしたが、今日は体調も良く、安心してドイツ音楽の真髄を楽しんだ。


ちょっとショックだったのは、バイバ・スクリデがアンコールに弾いた曲だ。初めて聴く音楽で、当然に無伴奏の独奏曲。かなり早いテンポのアルペジオが続く無窮動の感じだったが、調性はあるけど現代風で、誰の作品か見当がつかないし、いつ頃の音楽家さえ分からなかった。

アンコール曲名の掲示版を見て、ヴェストホフという作曲家の作品であることは分かったけど、現代の作曲家だろうかと思いながら帰宅後調べたら、なんと、J.S.バッハより11年前に生まれた人で、当然バロック時代だ。
ヨハン・パウル・フォン・ヴェストホフ - Johann Paul von Westhoff (1656-1705)
こういう人の存在を知らなかったのは無理は無いとしても、時代の見当もつかなかったのが情けない。多少言い訳すれば、演奏された第3番ソナタの第3曲だけが特別に変わっていると思うけど…。

NETで作品を探してみるもなかなか見当たらなかったが、NAXOSのサイトでバイオリン・ソナタと無伴奏バイオリン・ソナタを見つけた。
http://ml.naxos.jp/album/ZZT050201
http://ml.naxos.jp/album/C67083

CDがほしいが少なくともAmazonでは見当たらないのが残念。

♪2016-100/♪みなとみらいホール-27