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2023年10月9日月曜日

オペラ:プッチーニ/修道女アンジェリカ & モーリス・ラヴェル/子どもと魔法

2023-10-09 @新国立劇場



【指 揮】沼尻竜典
【演 出】粟國淳
【美 術】横田あつみ
【衣 裳】増田恵美
【照 明】大島祐夫
【振 付】伊藤範子
【舞台監督】髙橋尚史

●修道女アンジェリカ
【アンジェリカ】キアラ・イゾットン
【公爵夫人】齊藤純子(マリアンナ・ピッツオラートの代役)
【修道院長】塩崎めぐみ
【修道女長】郷家暁子
【修練女長】小林由佳
【ジェノヴィエッファ】中村真紀
【オスミーナ】伊藤晴
【ドルチーナ】今野沙知恵
【看護係修道女】鈴木涼子
【托鉢係修道女1】前川依子
【托鉢係修道女2】岩本麻里
【修練女】和田しほり
【労働修道女1】福留なぎさ
【労働修道女2】小酒部晶子
-------------------------------------
●子どもと魔法
【子ども】クロエ・ブリオ
【お母さん】齊藤純子
【肘掛椅子/木】田中大揮
【安楽椅子/羊飼いの娘/ふくろう/こうもり】盛田麻央
【柱時計/雄猫】河野鉄平
【中国茶碗/とんぼ】十合翔子
【火/お姫様/夜鳴き鶯】三宅理恵
【羊飼いの少年/牝猫/りす】杉山由紀
【ティーポットト】濱松孝行
【小さな老人/雨蛙】青地英幸

プッチーニ/修道女アンジェリカ &
モーリス・ラヴェル/子どもと魔法
全1幕〈イタリア語・フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉

上演時間約2時間25分

修道女アンジェリカ
 全Ⅰ幕65分
-------------------
  休憩35分
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子供と魔法
 全Ⅰ幕45分



❶Wビルの1本目はプッチーニの「修道女アンジェリカ」。
生舞台は初めて。放送(録画)で、内容は承知しているので、あまり期待もせず臨んだが、案の定、楽しめない。
これは歌唱・演技・演出・舞台美術の問題ではなく、そもそもの原作のあちこちに疑問を感ずるので、どうにもしようがない。

中でも、修道院で7年間、事実上軟禁生活を強いられているアンジェリカを叔母の公爵夫人が尋ねてきたところから、問題噴出。7年前に引き裂かられ我が子が2年前に亡くなっていることを聞かされ、希望を失ったアンジェリカは毒を仰ぐ。その途端。自死は大罪であることを思い出し神に許しを乞う。

1番の問題は、毒の回った彼女の前に子供が現れる(原作のト書きでは黙役の金髪の子が現れる。現にそういう演出の舞台を録画で観ている。)。
これが神の奇跡なのか、それが問題だ。

大抵の解説には奇跡であると書いてあり、公演プログラムも同様。しかし、演出者の弁では、そこは曖昧で、実際舞台でも子供を登場させず、アンジェリカの身振り手振りで子供の存在を感じさせる。そういう演出が意図するのは、神の奇跡と思いたい人は思ってもよし。幻覚と受け止めることも否定しない。とややアンフェアな態度だ。

しかし、カトリックが自死を禁じている以上、神の恩寵である「奇跡」は起こってはならないのだ。

それを原作では奇跡と描いているのが大きな問題だ。
あるいは、僕の見立てのように(演出者にもそのような意図が半分は見られる)、薬物中毒者の死に際の幻覚であるとすれば、事件の発端から最後まで、実につまらない女性のつまらない短い一生を描いただけのうすっぺらな物語である。

オペラとしての出来は、如上の理由でキアラ・イゾットンの熱演にも関わらず楽しめなかった。


長くなりついでに。
よく似た話が1955年スペイン映画「汚れない悪戯」だ。主題歌の「マルセリーノの唄」でお馴染みだ。
12人の修道士が暮らす修道院の前に男の赤子が捨てられた。慣れない男たちが我先に争うようにその子マルセリーノを慈しみ育てるが、5歳になった時、屋根裏部屋の磔のキリスト像と対話を始め、厨房からパンや葡萄酒を盗んで像に供える(汚れなき悪戯)。おかしいと思った修道士たちはマルセリーノの後をつけ、屋根裏部屋に上がり、彼とキリスト像の対話を目にすることになる。1番の望みは?とキリストに問われ、マルセリーノは「ママに会いたい」と答える。
その結果がどうなるか、覗き見をしていた修道士たちには分かっていても、神の大いなる奇跡の前に立ち尽くすばかりだった。

この話では、ママは既に亡くなっている。マルセリーノは生きており、純粋で篤い信仰心を持っている。そこに神の恩寵としての奇跡が起こるのだ。
僕はクリスチャンじゃないし、そもそも宗教を疑問視しているが、信仰心(仰ぎ見る・信ずる心)は大切ではないかと思っている。だから、このようなマルセリーノに起こった奇跡を信じたいと思い、この映画を観る度に(いや、思い出す度に)ハラハラと泣けてしまう。

プッチーニはもっと台本を吟味すべきだった。

❷「子供と魔法」
全く期待していなかった。子供の絵本みたいな話に付いてゆけそうにもない。これも舞台は初めての経験だった。録画ディスクは目を通しているが、子供さえ楽しめないだろう…と思っていたが、今回の演出、というより、舞台美術と衣装には驚かされた。プロジェクター投影の画像と作り物が見事に美しく、遊び心に溢れている。
音楽はラヴェルだから、つい、口ずさみたくなるようなものではないが、つい、頬が緩むような舞台だった。

お母さんが影絵だけで最初と最後に登場し、魔法の世界の扉の役を果たしていた。演じ歌った歌手にとっては残念だったかもしれないが、演出的には良いアイデアだった。

2作とも新制作だが、少なくとも「子供と魔法」は再演を期待したい。

♪2023-170/♪新国立劇場-16

2023年3月21日火曜日

新国立劇場オペラ:オッフェンバック「ホフマン物語」

2023-03-21 @新国立劇場



【指揮】マルコ・レトーニャ
【演出・美術・照明】フィリップ・アルロー
【衣裳】アンドレア・ウーマン
【振付】上田遙
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】須藤清香

【管弦楽】東京交響楽団
【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団

【ホフマン】レオナルド・カパルボ
【ニクラウス/ミューズ】小林由佳
【オランピア】安井陽子
【アントニア】木下美穂子
【ジュリエッタ】大隅智佳子
【リンドルフ/コッペリウス/ミラクル博士/ダペルトゥット】エギルス・シリンス
【アンドレ/コシュニーユ/フランツ/ピティキナッチョ】青地英幸
【ルーテル/クレスペル】伊藤貴之
【ヘルマン】安東玄人
【ナタナエル】村上敏明
【スパランツァーニ】晴 雅彦
【シュレーミル】須藤慎吾
【アントニアの母の声/ステッラ】谷口睦美


ジャック・オッフェンバック「ホフマン物語」
全5幕〈フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間45分
第1幕・第2幕   75分
 休憩       30分
第3幕                50分
 休憩       30分
第4幕・第5幕   40分




5年前にやはり新国立劇場で同じ演出・美術で観た。オランピア役は今回も同じく安井陽子だった。砂川涼子が出ない代わりに木下美穂子が同じアントニアの役だった。

舞台美術や衣装は派手で、綺麗だ。
音楽も悪くない。オランピアの歌う「クマシデ並木の鳥たちから」やニクラウスとジュリエッタの二重唱「舟唄」など耳馴染みもいくつかあるし、全体として不満はない。

しかし、物語がさっぱり分からない。18年の時も同じ感想を持った。MET版の録画ディスクを回してみてもやはりよく分からない。

未完の大作らしいが、物語としても未完成ではないかと思うよ。

♪2023-049/♪新国立劇場-05

2022年7月12日火曜日

プッチーニ「蝶々夫人」 高校生のためのオペラ鑑賞教室 2022

2022-07-12 @新国立劇場



阪哲朗:指揮
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【合 唱】新国立劇場合唱団
【演 出】栗山民也
【美 術】島次郎
【衣 裳】前田文子
【照 明】勝柴次朗

【蝶々夫人】木下美穂子
【ピンカートン】村上公太
【シャープレス】成田博之
【スズキ】小林由佳
【ゴロー】糸賀修平
【ボンゾ】伊藤貴之
【神官】上野裕之
【ヤマドリ】高橋正尚
【ケート】佐藤路子

プッチーニ:オペラ「蝶々夫人」
〜高校生のためのオペラ鑑賞教室
全2幕〈イタリア語上演/日本語&英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間35分
第Ⅰ幕50分
 --休憩25分--
第Ⅱ幕80分


国立劇場の歌舞伎観賞教室も同様だが、新国のオペラも本格的で手抜きなし。
歌手陣も今回は木下美穂子(蝶々夫人)、成田博之(ピンカートン)、小林由佳(スズキ)など一流が登場するのは嬉しい。

しかし、高校生の団体鑑賞が目的なので、一般客は余りの席があれば買えるという次第で、良席は得難い。
特に今回は、1階席は全滅で、正面席となると4階しか空いてなかった。

かくして、初めて新国の4階の最後列という文字どおり天井桟敷に座った。
4階席全部ではないと思うが正面席は急斜面なので座ると足が床に届かない!その為、足置きバーがあるのには驚いた。


しかし、もっと重要なことで驚いたのはオケも歌声も実にクリアで音圧に殆ど不足を感じない。

予てから音響効果の点で首都圏最高のホールだと思っていたが、4階席でも実感できた。

とはいえ、舞台は遥か遠い。劇に没入には至らず。
それでも音楽を聴いているだけでも楽しい。

舞台下手上部に翻っている筈の星条旗が4階席からは見えなかった。キーアイテムなのに。演出面で要工夫だ。

♪2022-102/♪新国立劇場-09

2022年4月12日火曜日

R.シュトラウス「ばらの騎士」

2022-04-12 @新国立劇場


【指 揮】サッシャ・ゲッツェル
【演 出】ジョナサン・ミラー
【美術・衣裳】イザベラ・バイウォーター
【照 明】磯野睦

【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】多摩ファミリーシンガーズ
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【元帥夫人】アンネッテ・ダッシュ
【オックス男爵】妻屋秀和
【オクタヴィアン】小林由佳
【ファーニナル】与那城敬
【ゾフィー】安井陽子
【マリアンネ】森谷真理
【ヴァルツァッキ】内山信吾
【アンニーナ】加納悦子
【警部】大塚博章
【元帥夫人の執事】升島唯博
【ファーニナル家の執事】濱松孝行
【公証人】晴 雅彦
【料理屋の主人】青地英幸
【テノール歌手】宮里直樹
【帽子屋】佐藤路子
【動物商】土崎譲


R.シュトラウス「ばらの騎士」
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約 4時間10分
第Ⅰ幕        75分
     休憩25分
第Ⅱ幕                        60分
     休憩25分
第Ⅲ幕                        65分



残念な部分もあったが、良かったところだけ書こう。

なんと言っても、5年ぶり尊顔拝謁のアンネッテ・ダッシュが、まさに元帥夫人の気品を漲らせて◎。

テノールには重要な役が全く振られていない変わったオペラだが、役としてはなくともいいような小さい「テノール歌手」役の宮里直樹が短い出番ながら朗々と歌って◎。

ピットに入ったのはS.ゲッツェル+東フィル。

客席との仕切りが通常より低かった(東フィル仕様)ので、ゲッツェルの背中まで見えたが、彼の指揮姿が実に美しい!

その美しい指揮が東フィルから見事な響きを引き出していたように思う。ピットの音とは思えないほど弦の透明感が美しかった。
これは、ピットの仕切りが低かった事も関係しているだろう。

やはり終盤の三重唱にはゾクゾクしたが、ゲッツェルの見事な棒捌きも大いに寄与したはず。

今回、改めてR.シュトラウスの才気を感じた。

終始ウィーンワルツ風の軽やかさを保ちながら、皮肉や冗談を精密な管弦楽技法に塗り込んでいる。

余録だが、森谷真理(マリアンネ)がさほど大きな役でもないのに出演していたが、もったいないような使い方だな。

以前、森谷の元帥夫人を二期会で観たこともあるのだけど。

その一方で、人材不足も感じたよ。どの役とは言わないけど。


♪2022-049/♪新国立劇場-05

2020年10月12日月曜日

オペラ「夏の夜の夢」

 2020-10-12 @新国立劇場


指揮:飯森範親
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
児童合唱:TOKYO FM 少年合唱団

演出・ムーヴメント:レア・ハウスマン
(デイヴィッド・マクヴィカーの演出に基づく)
美術・衣裳:レイ・スミス
照明:ベン・ピッカースギル(ポール・コンスタブルによるオリジナルデザインに基づく)

ブリテン「夏の夜の夢」全3幕〈英語上演/日本語及び英語字幕付〉
ニューノーマル時代の新演出版

予定上演時間:約3時間20分
 第1幕50分
  休憩25分
 第Ⅱ幕50分
  休憩20分
 第Ⅲ幕55分

オーベロン⇒藤木大地
タイターニア⇒平井香織
パック⇒河野鉄平
シーシアス⇒大塚博章
ヒポリタ⇒小林由佳
ライサンダー⇒村上公太
ディミートリアス⇒近藤圭
ハーミア⇒但馬由香
ヘレナ⇒大隅智佳子
ボトム⇒高橋正尚
クインス⇒妻屋秀和
フルート⇒岸浪愛学
スナッグ⇒志村文彦
スナウト⇒青地英幸
スターヴリング⇒吉川健一


子供の頃に原作を読み、映画(妖精の女王をミシェル・ファイファーが演じたもの。)も観たが、面白さが分からなかった。

この筋書きにブリテンによる調性拡張?音楽が加わった僕としては初見のオペラが「秋の午後の夢」となることは必至だな…と思いつつ臨んだが、これが存外退屈もせずに終幕に達した。

しかし、最後の妖精パックの口上のように《以上の物語は広い心を以て束の間の夢と受け入れ》なければ、ホンにアホらしい話で、このように物語の結末を「夢落ち」にすること自体にシェークスピアの力量を疑いたくなる…なんて、素人の大胆な発言!

音楽は美しくなく、耳に馴染む事もできないが、ぼんやりとした劇の内容をよく表していた。

ピット内は疎な配置で、弦が19人(他の楽器奏者16人)しか居ないので弦の響きは弱い。が、輪郭のはっきりした演奏で不満はなかった。

歌手も概ね健闘。

ただ、舞台が終始暗く、演者に表情が乏しいのは残念だ。

ニューノーマル時代の新演出とやらで、舞台上の歌手たちも互いの距離をとっていたが不自然さは感じさせなかった。

主役というべき、妖精の王を演じたカウンター・テナーの藤木大地の<地声>が一度炸裂した。これは如何なものか。

そもそも、僕はここでカウンターテナーを使うのも疑問なんだけど、これは演出ではなく、ブリテンがそのように書いているのだから仕方がないけど。

♪2020-064/♪新国立劇場-03

2019年12月3日火曜日

オペラ「椿姫」

2019-12-03 @新国立劇場


ジュゼッペ・ヴェルディ:「椿姫」全3幕〈イタリア語上演/字幕付〉
上演時間約2時間40分
 第Ⅰ幕・第Ⅱ幕1場75分
   休憩30分
 第Ⅱ幕第2場・第Ⅲ幕55分

指揮:イヴァン・レプシッチ
演出・衣裳:ヴァンサン・ブサール
美術:ヴァンサン・ルメール
照明グイド・レヴィ

東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団

ヴィオレッタ⇒ミルト・パパタナシュ
アルフレード⇒ドミニク・チェネス
ジェルモン⇒須藤慎吾
フローラ⇒小林由佳*
ガストン子爵⇒小原啓楼
ドゥフォール男爵⇒成田博之
ドビニー侯爵⇒北川辰彦*
医師グランヴィル⇒久保田真澄
アンニーナ⇒増田弥生
*2017年公演と同じキャスト(須藤はドゥ〜男爵で出演)

ちょうど2年前に同じ演出で観た。同じ演出でも主役が変わるとドラマまで変わることがある(目下上映中のMET Live Viewingの「マノン」が好例)。

今回のミルト・パパタナシュは痩身の美形で、椿姫にお似合いだし、歌唱も繊細で好感を持った。しかし、今回も変わらぬ演出が不満の種になった。

照明はほぼ間接照明で全篇薄暗く歌手たちの表情が読み取りにくい。これって、ストレス溜まる。
舞台装置は2幕迄は工夫されているが3幕が漫画チックだ。
額縁内に更に円窓が設定され、その狭い中で進行する。
おまけに椿姫とアルフレードたちの間は紗幕に遮られているというのが分からない。

椿姫は紗幕の客席側。他は舞台奥側。女中は紗幕に頭を突っ込んで歌う。滑稽だ。
せめて彼氏はそれを引きちぎって椿姫を抱きしめなくてはいかんが彼らの燃え上がる思いが視覚的に一つにならないので、観ている側は隔靴掻痒だ。
今年の1月の藤原歌劇団公演でも終幕は紗幕が張られていた。意味不明な演出だ。

今年は、「椿姫」をMET Live Viewingで2度、英国ロイヤルオペラシネマでも観たが、ロイヤル〜のエルモネラ・ヤオの椿姫こそ最高傑作だった。

冒頭にも書いたが、演出もさることながら、ヒロインの歌唱力や演技力がドラマを決定するなあ…とつくづく思う。

♪2019-192/♪新国立劇場-12

2019年7月10日水曜日

新国立劇場オペラ「蝶々夫人」〜高校生のためのオペラ鑑賞教室

2019-07-10 @新国立劇場


プッチーニ:オペラ「蝶々夫人」
〜高校生のためのオペラ鑑賞教室
全2幕〈イタリア語上演/日本語字幕付〉

予定上演時間:約2時間35分
第Ⅰ幕50分
 --休憩25分--
第Ⅱ幕80分

飯森範親:指揮
栗山民也:演出
島次郎:美術
前田文子:衣裳
勝柴次朗:照明

蝶々夫人⇒木下美穂子
ピンカートン⇒樋口達哉
シャープレス⇒成田博之
スズキ⇒小林由佳
ゴロー⇒晴雅彦
ボンゾ⇒峰茂樹
ヤマドリ⇒吉川健一
神官⇒山下友輔
ケート⇒山下千夏

高校生のためのオペラ鑑賞教室だった。あいにくと僕は高校生ではないので!前売り指定券は買えない。
公演日の前日の16時に翌日売り出される「当日券」の発売予定枚数がNET上に発表され、当日の10時以降に新国立劇場ボックスオフィス(B.O.)で電話で予約し窓口で引き換える(直接窓口に行って購入することもできる。)という仕組みだ。

今回は6日から12日までの7日間で6公演あり、ダブルキャストで交代に出演する。

そして、僕は蝶々夫人役で言えば木下美穂子(別の組は小林厚子)の組の公演を是非とも聴きたかった。

それで、毎日、木下組公演の前日の、翌日前売り券発表状況を見ていたが、初日(8日)がわずか10枚で、これではたとえ買えてもろくな席はあるまいと断念。
次の出番(10日)の当日券は20枚と倍増したが、ここが思案のしどころ。チャンスはもう一回あるのだけど、その日が5枚とかになったらもっと厳しいことになる。
で、その20枚に賭けた。

当日、10時から新国立劇場のB.O.に電話(固定と携帯電話2台)をかけるのだけど、もう、ハナから話し中で繋がらない。
20分以上かけ続けて、ようやく繋がってた。
チケットはまだ残っていた。
残りものに福あり。
信じられないことに1階のセンターブロックが残っていた。
あいにく最後列の1列前だった。
もし自分で選んで買うなら、避けるような席だけど、舞台から遠いといっても21列目。普通に買えば安価な公演であれS席だから2万円はする。これがなんと4,320円とは信じられない価格。ありがたや。

購入の手続きを済ませて、あまり時間もなく家を出た。

「高校生のためのオペラ鑑賞教室」である。オペラパレスは高校生ばかり。それもどういう訳か圧倒的に女学生が多い。なんと賑やかで晴れやかなこと。


「鑑賞教室」と言い条スタッフ・キャストは6月の通常の公演とほとんど変わらない。演出も同じだから、舞台装置も美術も衣装も同じ。指揮者は変わったが、一流の指揮者であることには変わりはない。
主要な歌手は変わったが、一部は6月公演と同じだ。
肝心要の蝶々夫人は木下美穂子。彼女は、文句なしの一流で、2006年の(随分古いが)東京文化会館の二期会公演で彼女の蝶々夫人を聴いている。最近では読響との「第九」や文化会館での「ローエングリーン」など。

2001年に日本三大声楽コンクールを1年で制覇したという伝説のツワモノで、今回は是非、木下美穂子でなくちゃという思いだった。いやはや、うまい。

ほかのキャストもみんな上手で、こんな本格的な手抜きなしのオペラをおそらくタダみたいなチケット代で鑑賞できるなんて、現代の高校生はラッキーだよ(ま、都市部に限られるが。他に京都でも鑑賞教室は行われるらしい。)。

ことしは、蝶々夫人の当たり年で、4月、6月、7月と観たが、もう一度10月にも、今度は大村博美の蝶々夫人を観ることにしている。

筋書きとしてはいろいろ議論ができる内容だが、何度観ても飽きないし、観るたびにプッチーニの音楽の巧さに気づかされる。また、日本を舞台にして日本の音楽を沢山取り入れた美しいオペラを残してくれたことに感謝する。

高校生たち、とりわけ、女学生たちはどのようにこの話を受け止めたろう。やっぱり2幕後半では泣いたろうか。それとも時代錯誤を笑ったろうか。

♪2019-097/♪新国立劇場-07

2017年3月15日水曜日

オペラ:ドニゼッティ「ルチア」

2017-03-14 @新国立劇場


指揮:ジャンパオロ・ビザンティ
演出:ジャン=ルイ・グリンダ
美術リュディ・サブーンギ
衣裳ヨルゲ・ヤーラ
照明ローラン・カスタン
舞台監督村田健輔

合唱指揮:三澤洋史
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

ルチア⇒オルガ・ペレチャッコ=マリオッティ
エドガルド⇒イスマエル・ジョルディ
エンリーコ⇒アルトゥール・ルチンスキー
ライモンド⇒妻屋秀和
アルトゥーロ⇒小原啓楼
アリーサ⇒小林由佳
ノルマンノ⇒菅野敦

オペラ:ドニゼッティ「ルチア」 全2部(3幕)〈イタリア語上演/字幕付〉


ルチアの純粋無垢な愛情が兄の謀略によって打ち砕かれ、ついに狂気に走るところが痛ましく悲しい。
今日のルチア役のO・ペレチャッコの素晴らしい事。
METのライヴビューイングでN・デセイ、A・ネトレプコが主演したディスクを再度見直したが、どちらにも負けてはいない。

狂乱のアリアでは感情移入して胸が締め付けられる思いあり。

これほどの悲劇なのに、ドニゼッティのメロディーは結構明るいのには驚くが、イタリア人気質がつい顔を覗かすのだろうか。

♪2017-039/♪新国立劇場-2

2016年12月17日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第323回横浜定期演奏会

2016-12-17 @みなとみらいホール


下野竜也:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

ソプラノ:吉原圭子
アルト:小林由佳
テノール:錦織健
バリトン:宮本益光
合唱:東京音楽大学

ボイエルデュ―:《バグダッドの太守》序曲
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調 作品125 「合唱付き」


今年の「第九」の2回目。

先日の神奈川フィルの出来がとても良かったが、こちらも好テンポ。軽快だ。疾走するベートーベンは小気味よし。
しかし、第3楽章の天上の音楽はいくらなんでも急ぎ過ぎではないか。

終楽章、低弦のレシタティーボも疾走するが如き。
ベートーベンはこういうのを意図したのだろうか。
変り種と言えば、昨年の上岡敏之+読響の「第九」も相当なものだったが、あれはあれでなんか惹きつけられたなあ。

声楽独唱・合唱団は最初から舞台に待機したのは良かったが、なら第3楽章の後の休止を最小限にして終楽章に雪崩うってほしかった。

合唱団は声部毎ではなく男声・女声がランダム?に並んだ。一体どういう効果を狙ったものか?見た目にも良くない。


♪2016-178/♪みなとみらいホール-48