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2025年5月21日水曜日

新国立劇場オペラ「蝶々夫人」

2025-05-21 @新国立劇場



指揮:エンリケ・マッツォーラ
演出:栗山民也
美術:島次郎
衣裳:前田文子
照明:勝柴次朗
再演演出:澤田康子
舞台監督:佐々木まゆり

【合唱指揮】冨平恭平
【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【蝶々夫人】 小林厚子
【ピンカートン】ホセ・シメリーリャ・ロメロ
【シャープレス】ブルーノ・タッディア
【スズキ】 山下牧子
【ゴロー】 糸賀修平
【ボンゾ】 妻屋秀和
【ヤマドリ】 吉川健一
【ケート】 佐藤路子
ほか



ジャコモ・プッチーニ「蝶々夫人」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間40分
 第1幕        50分
  休憩    25分
 第2幕1場/2場         85分





同一演目を繰り返し観た中では「蝶々夫人」が一番多いはず。音楽も筋書きもとても良くできているからで、宮本亜門版(19年二期会)を除き、がっかりしたことはない。

今日も、楽しんだ、というか、2幕からは、もう張り裂けんばかりの心持ち。感情移入が激しいが、一方で自分ならこう演出したいとクールに考えてみたり、ホンに心休まる暇がないよ。

出来栄え。
終わってみれば、みんなヨカッタのだけど、敢えて苦言を呈すれば、冒頭の前奏曲自体にオケの勢いがなかった。これが東フィル?と思わせる寂しさだった。続く歌唱も意気が上がらない。
ピンカートン、シャープレス。いずれもイマイチ。朗々と聴かせる役ではないけど、役柄に魅力を感じさせない。

小林厚子の蝶々夫人は21年日生劇場劇場版の方が良い出来だったが、2幕以降は熱演。
一番光ったのは、山下牧子のスズキ(を聴くのは4度目!)。誰が演ってもお得な役柄のせいもあるけど。




今日、思いついたこと。
ケイトは出番が少なくて人物像を際立たせることもできないのだけど、観ながら、彼女の心中は如何なものかと考えた。
彼女の演唱の中に、本作の悲劇性を象徴する要素が詰まっているのに、プッチーにはどうしてもう1曲書かなかったのか。あるいは、彼女の苦悩をもっとはっきり見せる演出はできないものか、などと思ったが…難しいな。

それにしても、名誉に生きられない者は名誉に死ぬ。
こんな、如何にも和風の美学を、プッチーにはよくぞ、音楽劇に仕上げたものだなあ。

♪2025-064/♪新国立劇場-07

2023年12月21日木曜日

日本フィルハーモニー交響楽団「第九」特別演奏会2023 ❺

2023-12-21 @みなとみらいホール



小林研一郎:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京音楽大学

オルガン:石丸由佳*

ソプラノ:小川栞奈
アルト:山下牧子
テノール:錦織健
バリトン:大沼徹

J.S.バッハ:高き天よりわれは来たれり BWV738*
J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ*
J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565*

ベートーべン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125




コバケンの「第九」は17年以来6年ぶり。
僕のコバケンへの思いはこの間に変化して、ケレン味の多いちょっと軽い感じの指揮者から、真摯な音楽家へ。それで敬愛の情を抱くに至っている。

しかし、センセイは変わらない。
6年前とまるで同じだった。

今年今日までに5回聴いた中で第2楽章は最速だったが、それ以外の楽章と全曲の演奏時間はいずれも最長だった。
これだけでも、独特の構成感だということが分かるが、処々利かすタメが大袈裟(効果的とも言える)だったり、管楽器のメリハリも強く、Hr四重奏部分は何度もベルアップで強奏した。
弦も強弱の差が大きく、終楽章の低弦のレシタでは全体の流れを掴み損なうほどに鷹揚な節回しだった。

クセの強い「第九」だが、日フィルの16型大編成の弦は、(慣れているのだろうが)コバケンの指揮によく応えて、実にスペクタクルな演奏をした。センターラインの席で聴いているので、広い舞台の両翼に伸びたプルトが発する響はホンにステレオ効果で包み込まれるような広がりを持った。
読響の12型とは全く異質な響だが、鋭く明瞭で、かつ、大所帯にしてはきれいにまとまっているのに感心。

こういう経験は、音楽を<聴く>というより<体験する>という方がピッタリだ。

♪2023-223/♪みなとみらいホール-49

2023年5月28日日曜日

日生劇場開場60周年記念公演 NISSAY OPERA 2023 オペラ『メデア』

2023-05-28 @日生劇場



指揮:園田隆一郎
新日本フィルハーモニー交響楽団
演出:栗山民也
美術:二村周作
照明:勝柴次朗
衣裳:前田文子
合唱指揮:キハラ良尚

メデア⇒中村真紀Sp
ジャゾーネ⇒城宏憲Tn
グラウチェ⇒横前奈緒Sp
ネリス⇒山下牧子Ms
クレオンテ⇒デニス・ビシュニャBs
第一の侍女⇒相原里美
第二の侍女⇒金澤桃子
衛兵隊長⇒山田大智

オペラ『メデア』
全3幕(イタリア語上演・日本語字幕付) 日本初演・新制作

作曲:ルイージ・ケルビーニ
台本:フランソワ = ブノワ・オフマン
イタリア語訳詞:カルロ・ザンガリーニ
原作:エウリピデス ピエール・コルネイユ

予定上演時間:2時間35分
第Ⅰ幕 60分
 休憩 20分
第Ⅱ-Ⅲ幕 75分





NISSAY OPERA 2023は今年60周年記念というので、日本初演やら53年ぶりやらと力が入っている。
「メディア」はその第1弾で、なんと日本初演だという。

歌手のうち多くは何らかの形で聴いているがタイトルロールの中村真紀だけは聴いたことがないとは。

果たして…。

幕が開いて、城内らしき広場に大勢の女官たちが屯しているシーンですーっと惹き込まれた。いつもながら、日生劇場の舞台は、簡素ではあるがよく考えて作られている。そして色彩感覚がいい。グレイやベージュといった淡い寒色で統一され、上手に障子窓を大きくしたような明かり取りがアクセントになっている。

2幕終わりの結婚の場。といっても、舞台上手奥に新婚夫妻と王が立っているだけだが、全体が暗い調子の舞台に、ここだけ金色の背景に3人が浮かび上がる。まるでクリムトの絵を見ているようで心憎い。

最終場面では、同じ場所に子供を殺した血だらけのメディアが立つ。今度の背景は真っ赤だ。それが徐々に開いて背景の全体を覆う。これはメディアが城に火をつけたことを表している。
これらの舞台美術や衣装がよく考えられていて見事だ。


音楽は、ずっと昔から聴いていたような馴染みやすい音楽。
もちろん、歌も良い。
1幕を飾るグラウチェ(横前奈緒)の輝くSp、2-3幕を歌いっぱなしのメディア(中村真紀Sp)の歌唱力に驚嘆。
彼女を支えるネリス(山下牧子Ms)もとても良かった。
ま、物足りないのはジャゾーネ(城宏憲Tn)。もう少し張りがあると良かったが。

オケも良し。欲を言えばあと少し弦が欲しかったが、狭いピットでやむを得なかったのだろう。

ところでこの悲劇、メディアがもたらす悲劇なのか、メディアを襲う悲劇なのか。いろんな受取り方ができる筋立てになっているが、愛情が深すぎて堕ちてゆくメディアの悲劇と見たがどうかな。

2023-094/♪日生劇場-01

2021年11月24日水曜日

オペラ夏の祭典2019-20 Japan↔Tokyo↔World リヒャルト・ワーグナー ニュルンベルクのマイスタージンガー<新制作>

2021-11-24 @新国立劇場



【指 揮】大野和士
【演 出】イェンス=ダニエル・ヘルツォーク
【美 術】マティス・ナイトハルト
【衣 裳】シビル・ゲデケ
【照 明】ファビオ・アントーチ
【振 付】ラムセス・ジグル
【演出補】ハイコ・ヘンチェル
【舞台監督】髙橋尚史

【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団、二期会合唱団
【管弦楽】東京都交響楽団
【協力】日本ワーグナー協会


ハンス・ザックス⇒トーマス・ヨハネス・マイヤー
ファイト・ポーグナー⇒ギド・イェンティンス
クンツ・フォーゲルゲザング⇒村上公太
コンラート・ナハティガル⇒与那城敬
ジクストゥス・ベックメッサー⇒アドリアン・エレート
フリッツ・コートナー⇒青山貴
バルタザール・ツォルン⇒秋谷直之
ウルリヒ・アイスリンガー⇒鈴木准
アウグスティン・モーザー⇒菅野敦
ヘルマン・オルテル⇒大沼徹
ハンス・シュヴァルツ⇒長谷川顯
ハンス・フォルツ⇒妻屋秀和
ヴァルター・フォン・シュトルツィング⇒シュテファン・フィンケ
ダーヴィット⇒伊藤達人
エーファ⇒林正子
マグダレーネ⇒山下牧子
夜警⇒志村文彦

リヒャルト・ワーグナー
ニュルンベルクのマイスタージンガー<新制作>
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約5時間55分
第Ⅰ幕 95分
 休憩 30分
第Ⅱ幕 70分
 休憩 30分
第Ⅲ幕130分


途中の休憩込みで5時間55分という超大作。
中でも一番の心配は第3幕の130分間だ。

幕間から開演を待ち、終演後のカーテンコールを経て整列退場まで所要見込みは150分間。

この間に”自然”が我を呼ばねばいいがと祈るような気持ちだったが、できるだけ水を断ち、膝から足下まで防寒して臨んだら、これが無問題・無事観了!


二番目の心配は演出だ。

新国立劇場のサイトに演出家のコメント動画でニュルンベルクを「劇場に設定」したとあったので、やれやれまた劇中劇かと心配していたが、日本版ではだいぶ志を曲げたようだ。

新国立劇場の本来の額縁の中に拵えられた劇場額縁。その中にさらに劇場という3重構造は徹底されなかったので、見かけは気にせずワグナーの台本どおりに脳内転換して楽しんだ。

とはいえ、危なっかしい問題を孕んだ作品。

歌合戦の商品に娘を差し出すとは何たる不埒。
芸術の名を借りたドイツ至上主義が後々ナチズムとの関係を指弾されている。
明示的に示されないがユダヤ人を虚仮にして侮辱する不愉快さ。

ワーグナー唯一の喜劇とされるがこれは笑えない。

しかし、今回の演出版ではラストのアイデアが、それらの鬱憤を晴らす鉄槌となった。


残念ながら全体がそのような方向を目指して設計されていないので(歌詞を変えない限り無理)、不整合で唐突感は拭えないが、フツーの終わり方よりはずっとマシだ。

歌でも光ったエーファ役の林正子が本当に美味しいところを拐った。

音楽はいい。
話に納得できなくとも音楽にはやられた。
とりわけ、3幕の耳に馴染んだ旋律が、合唱を伴い、客席2階バルコニーに陣取ったバンダのラッパを従えて堂々と演奏されるところでは、震えが来た。

♪2021-137/♪新国立劇場-11

2021年7月13日火曜日

ジョルジュ・ビゼー/新国立劇場 高校生のためのオペラ鑑賞教室 2021 「カルメン」全3幕

 2021-07-13 @新国立劇場


ジョルジュ・ビゼー:カルメン<新制作>

全3幕〈フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間10分
第Ⅰ・Ⅱ幕95分
   休憩30分
第Ⅲ幕  65分

指揮:沼尻竜典
演出:アレックス・オリエ
美術:アルフォンス・フローレス
衣裳:リュック・カステーイス
照明:マルコ・フィリベック

合唱:新国立劇場合唱団、びわ湖ホール声楽アンサンブル
児童合唱:多摩ファミリーシンガーズ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

【カルメン】山下牧子
【ドン・ホセ】村上公太
【エスカミーリョ】須藤慎吾
【ミカエラ】石橋栄実
【スニガ】大塚博章
【モラレス】星野淳
【ダンカイロ】成田博之
【レメンダード】升島唯博
【フラスキータ】平井香織
【メルセデス】但馬由香



新国立劇場の高校生のためのオペラ観賞教室は、空席があれば、オトナも当日券を買って入場できる。

今日は、本来はミューザでランチタイムコンサートの日だったが、ふと、出かける前に、WEBで当日券の状況を見たら、1階の19列中央が空いていたので即GET!


観賞教室は手数料込み4730円!

歌手等が異なるとはいえ本公演の1/5だ(同じ1階席=S席の場合)。

こんな後方席で(1週間前に行った本公演は8列の中央。)楽しめるか不安もあったが、歌もオケも問題なし。歌手の顔が小さく表情を読み取るのは難しいが、Nikonの7倍のモノキュラーが役に立った。


本公演との違いは、指揮は大野和士から沼尻竜典に代わり、歌手も全員異なる。とは言え、山下牧子、村上公太、須藤慎吾、石橋栄実、平井香織等は新国立を初めあちこちの舞台で活躍している一流の歌手達だ。


全体として本公演と比べても遜色のない出来栄えだった。


中でも、一番感心したのはやはりミカエラ(石橋)だ。


これはもう役得というものだな。カーテンコールでも彼女への拍手が一番大きかった。


問題の演出は、基本は同じ。

無駄な部分が整理されて、今回の方が観易かった。

ただ、無理な設定は変わっていないので、プログラムの解説では人物紹介と粗筋紹介では矛盾も生じている。

場所の説明は明確にセビリアと書いてある(Aオリエの設定は東京である。無理だっちゅうの!なんで東京で闘牛なんかできるんだ。)。


頼まれた人も、筋の通った解説など書きようもない。

日本でロック歌手だと言ってみても、歌詞(字幕)まで変える訳ではないから、どうしても辻褄が合わなくなってくる。


ホンに人騒がせな演出家だ。振り回された関係者が苦労して尻拭いをしている。


と文句を並べたが、ビゼーの音楽は素晴らしいし、今日の歌手達の良い仕事ぶりは高校生の胸を打ったと思う。

♪2021-072/♪新国立劇場-06

2020年11月10日火曜日

75BTVN2020ピリオド楽器オーケストラ「第九」❷演奏会

 2020-10-05 @みなとみらいホール


渡辺祐介:指揮

オルケストル・アヴァン=ギャルド
クール・ド・オルケストル・アヴァン=ギャルド

川口成彦Fp*
藤谷佳奈枝Sp
山下牧子Al
中嶋克彦Tn
黒田祐貴Br


ベートーベン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲
ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番ト長調*
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付」/他
-----Enc---------------
ベートーベン:6つのメヌエット WoO.10から第2番*


10月の<驚愕の第九>に続く第2弾が<革新の第九>だ。

キワモノめいた惹句だが、中身は至って真面目。
ベートーベン生存時代の演奏を聴かせようというものだ。

「ピリオド楽器」も「古楽」も曖昧な表現だが、可能な限りその時代(period/ピリオド)に迫ろうというものだ。

今日は、「第九」の演奏に先立って「プロメテウスの創造物」序曲とピアノ協奏曲第4番(いずれもベートーベン)を、先頃第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクールで2位になった川口くんが”ピアノ”ではなくその時代のピアノというべき”フォルテピアノ”で参加するという豪華版。

金管はバルブがない。
木管はリアルウッド。
弦はガット。
バイオリン・ビオラに顎あて・肩あてなし。
チェロはピンなし。
奏法はノンビブラート。


フォルテピアノは初めて聴いた訳ではないがオケと協奏曲というのは初めて。

さすがに音が小さいが耳を済ませて聴いているうちに、ああ、これがベートーベンの時代の音楽なんだと、何やら不思議な懐かしさを感じた。

古楽アプローチによる宗教曲などはたまに聴くがコンサートプログラムは初めて。

ガット弦・ノンビブラートならではのシャキシャキした響きが実に心地よい。スチールは音楽をダメにしたんじゃないか、と途中思ったりもした。

「オルケストル・アヴァン=ギャルド」なるオケの実態は解説を読んでもよく分からないが、今回の為のニワカ仕立てではなさそうだ。BCJ(バッハ・コレギウム・ジャパン)のメンバーを中心にN響などの若手名手で構成されている。

これが実にうまい。

尤も福川名人にもナチュラルホルンは難しそうだったが、あの楽器ではモダン楽器のような撥音の明瞭さを期待すべきではないのだろう。

初めての指揮者・渡辺祐介もよく統率して、嫌味がない。

一方、2楽章の終わり方などフワッと消えるようで、これが洒落ていた。

4楽章はレシタティーヴォに個性が出るところだが、とても自然で好感。 

今年2回目の「第九」だった。
声楽入りの本格的「第九」は最初だったが、いきなり真打登場の感あり。

前・みなとみらいホール館長の池辺晋一郎が駄洒落混じりの解説。どうでもいいような中身だったが、この企画・監修はいい仕事をしてくれた。

♪2020-059/♪みなとみらいホール-19

2020年2月19日水曜日

東京フィル第131回東京オペラシティ定期シリーズ

2020-02-19 @東京オペラシティコンサートホール


チョン・ミョンフン:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団
杉並児童合唱団

カルメン:マリーナ・コンパラート
ドン・ホセ:キム・アルフレード
エスカミーリョ:チェ・ビョンヒョク
ミカエラ:アンドレア・キャロル
スニガ:伊藤貴之
モラレス:青山貴
ダンカイロ:上江隼人
レメンダード:清水徹太郎
フラスキータ:伊藤晴
メルセデス:山下牧子


ビゼー:歌劇『カルメン』(演奏会形式:全3幕・フランス語上演・字幕付き)

 前奏曲:約4分
第1幕:約50分
 間奏曲:約2分
第2幕:約40分
  ― 休憩:20分 ―
 前奏曲:約3分
第3幕第1場:約40分
 間奏曲:約2分
第3幕第2場:約20分
 合計:約3時間 (休憩含む)

演奏会形式「カルメン」全曲…というとデュトワ+N響を思い出す。あれは良かった。N響の時もメルセデス役は今日の山下牧子だった、というのはどうでもいいけど、歌手・合唱、オケのどれをとっても上出来で大満足だった(わずかな瑕疵は感じたが。)。

東フィルの出だしはざわつき感があったが程なく揃い出してからは最後まで高いテンションを維持した。

ピットのオケのくすんだ響も好きだが、舞台上のオケは明瞭で突き刺さるように音が飛んでくる。迫力十分なのに一定の透明感は維持しているから凄いものだ。

声楽の巧さはよく分からない(下手はすぐ分かる)し、日本人歌手以外は多分全員初めて?必ずしも世界の一流ではなさそうだが、僕にとってはみんな十分に巧い。

馴染み過ぎていて、時々緊張感をなくす「カルメン」だが、今日の演奏は、演奏会型式にもかかわらずやっぱり「カルメン」はいいぞと再認識。至福の3時間。

♪2020-027/♪東京オペラシティコンサートホール-02

2019年6月7日金曜日

新国立劇場オペラ「蝶々夫人」

2019-06-07 @新国立劇場


ドナート・レンツェッティ:指揮
栗山民也:演出
島次郎:美術
前田文子:衣裳
勝柴次朗:照明

東京フィルハーモニー交響楽団

新国立劇場合唱団

蝶々夫人⇒佐藤康子
ピンカートン⇒スティーヴン・コステロ
シャープレス⇒須藤慎吾
スズキ⇒山下牧子
ゴロー⇒晴雅彦
ボンゾ⇒島村武男
ヤマドリ⇒星野淳
ケート⇒佐藤路子
ほか

プッチーニ:オペラ「蝶々夫人」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間35分
第Ⅰ幕50分
 --休憩25分--
第Ⅱ幕80分

新国立劇場今季10公演中、7月の「トゥーランドット」と共に最大の楽しみが「蝶々夫人」で、本日鑑賞。

若い頃はこういう旧弊な物語が好きになれなかったけど今は割と素直に感情移入できる。
これまで観たオペラの中で一番泣ける作品だ。
今回も「号泣する準備はできていた」。
しかし、残念ながら、ウルーッときた程度で止まった。

日本人歌手たちはいずれも良かった。
蝶々夫人・佐藤康子、領事・須藤慎吾、そしてとりわけスズキ・山下牧子は役柄の良さも手伝って舞台を攫った感がある。
一方、海外から招聘したピンカートン役を初めて歌うというS.コステロ君が歌はともかく、演技力が欠如している。この拙さが感情移入を妨げた。

新国立劇場では本公演とは別に来月にも別キャストで「蝶々夫人」を上演するので、当日券に期待して出かけようと思っている。
10月の二期会の「蝶々夫人」は既にチケット入手済み。

4月にも藤原歌劇団の「蝶々夫人」を楽しんだし、今季は蝶々を追いかけ回している。

♪2019-075/♪新国立劇場-06

2019年5月11日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第348回

2019-05-11 @みなとみらいホール


川瀬賢太郎:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
東京混声合唱団♯:女声合唱

石田泰尚♭:Vn
半田美和子♯:Sp
山下牧子♯:Ms

ブロッホ:バイオリン協奏曲♭
メンデルスゾーン:劇付随音楽「夏の夜の夢」Op.61♯

似た名前の「ブルッフ」のバイオリン協奏曲は好きでよく聴くけど「ブロッホ」はチェロの小品(「祈り」)以外はこれまで聴いたことはなかったように思う。
因みに、ブルッフ(1838-1920)はドイツ人。バイオリン協奏曲第1番がダントツに有名でナマでもなんども聴いている。ほかに「スコットランド幻想曲」やこちらもチェロの小品としてよく取り上げられる「コル・ニドライ」が有名か。
ほぼ半世紀後に生まれたブロッホ(1880-1959)はスイス生まれのユダヤ人で「イスラエル交響曲」とかヘブライ狂詩曲「シェロモ」などは聴いた様な気がするが、ナマ演奏は未経験。

そんな訳で、今日の「ブロッホ」のバイオリン協奏曲は初聴きだった。
独奏は神奈川フィル・ソロ・コンマスの石田泰尚。
音楽は、ところどころミクロス・ローザを思わせるヘブライ風で面白い。約40分の大曲だが、西洋からも東洋からもエキゾチックでまるで映画音楽の様に劇的なので面白い。
ただし、神奈川フィルの弦五部が大人しいのが物足りなかった。親分の演奏を引き立てようと抑えていた訳じゃあるまいに。

後半の劇付随音楽「夏の夜の夢」は女声独唱2人、女声合唱、説明付きだが手間かけた割に面白く無かった。
ナレーションの語尾が聞きとりにくく想像が広がらない。
ナレーションのみマイク・拡声装置を使っていたが、むしろ肉声の方が良かったろう。

独唱・合唱陣も出番が少なく物足りない。
意欲的な取組みだがこの形態は演奏会には向かないな。

神奈フィルの演奏はほぼ瑕疵のない良い演奏。
後半70分の長尺。

♪2019-060/♪みなとみらいホール-15

2019年2月23日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホール名曲シリーズ 第4回

2019-02-23 @県民ホール


川瀬賢太郎:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
神奈川フィル合唱団

浜田理恵:ソプラノ
山下牧子:メゾソプラノ
宮里直樹:テノール
妻屋秀和:バス

ヴェルディ:レクイエム

今年2回目のヴェルディ「レクイエム」。
1月のヴィオッティ+東響の演奏があまりにも良かったので、それを上回るのは無理だろうが、できれば肉薄する演奏を期待したい…と思いながら出かけたが、それは杞憂。こちらもなかなかの出来栄えだった。

県民ホールは客席だけでなく舞台も大きいので、その面から若干残念な部分はあった。

声楽独唱はオケの後ろ、合唱団の前に位置した。
合唱は120人位いたか。かなりの大所帯で迫力あり。
それに舞台は間口も広いが奥行きが相当深い。
それだけに声楽ソロが合唱と重なるところでは埋没しがちで、ラクリモーザやリベラ・メ等美しいソロをもっとよく聴きたかった。その為には、声楽独唱だけは、ステージ前方、オケより客席側での歌唱が効果的だったと思う。

もう一つは、大太鼓のサイズが小さかったのが残念。
たかが太鼓1個と謂う勿れ。ヴェル・レクにおいてはオーケストラ中最も大事な楽器なのだから。

いや、あれで相当に大きいのかもしれないが、大きなステージにあっては、存在感が今ひとつ。現に、音圧が物足りない。

「怒りの日」における強烈な裏拍打ちは思い切り大きく、重くて低い衝撃音を聴きたい。それが不足した。

神奈川フィルの演奏は案外控えめで、声楽ソロや合唱を前面に出していたように思う。さりとて音圧に不足もなく、良いバランスだったと思う。
また、全曲にわたって、90分近い長尺をたぶんノーミス(気付かなかっただけかもしれないが)で演奏したのもこれは珍しい。

神奈川フィルの演奏を東響より先に聴いておれば、こちらに軍配を挙げたかもしれないな。

♪2019-022/♪県民ホール-02

2015年12月20日日曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホールシリーズ 第6回

2015-12-20 @県民ホール


川瀬賢太郎(常任指揮者)
馬原裕子:ソプラノ
山下牧子:メゾ・ソプラノ
大槻孝志:テノール
小森輝彦:バリトン
神奈川フィル合唱団

神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調 作品125 「合唱付き」

昨日の横浜交響楽団に続いて同じ県民ホールで「第九」。
今日はプロの神奈川フィルだ。
横響がなかなかの高水準の演奏だったので、アマチュアとプロの違いがどう出るのか、興味津々だった。

で、しょっぱなの弦の6連符の細かい刻みの音で、やはり違うなあと一瞬でその差を感じた。
アタックが揃っている。ピッチも高水準で揃っている。
音楽にメリハリがある。
あゝ、やはりだいぶ違う。
でも昨日の横響はアマチュアとしてはとても良いできだったなあ…などと思いながら、プロの腕の違いを得心してこれは満足。


第3楽章にはホルンの聴かせどころが(僕の耳には)3ヵ所ある。
そのうち最初の部分(96小節目)は音階練習のようなフレーズだけど、ほかの楽器が完全に沈黙するのでとても目立つのだ。ここが決まればホルン奏者だけでなく聴衆も気持ちがいい。

でも、ここは難しいのだろうか。
昨年の神奈川フィルのホルンの出来は悪かった。
昨日の横響はこの難所をきれいに決めてくれたが、今年の神奈川フィルはプロとして汚名返上・名誉挽回してくれなくちゃいけない。固唾を呑んで聴いた。
うまく行った。
音色やフレーズの作り方は昨日の横響の方がきれいだと思ったが、神奈川フィルも今年はまずまずの出来だった。残る2ヵ所も問題なし。

ホルンさえうまく行けば、今日の神奈川フィルの熱の入り方からして後は問題ないはず。

今年も合唱団は冒頭から着座した。
声楽ソリストは昨年は第2楽章と第3楽章の間に登壇した。
これでも良かったと思うが、今年はソリストも冒頭から舞台に上がった。
このため、音楽の流れが良かった。引き締まった感がある。
特に、第3楽章が終わっても川瀬賢太郎のタクトは胸の前で数秒止まっただけで、降ろすことなく、怒涛の終楽章になだれ込んだ。
こうでなくてはいけない。

ホルンを始め演奏技術の面でも間違いのない仕事、確かな腕を見せてくれたが、指揮者のエネルギッシュな指揮ぶりのせいで、全体に音楽の輪郭が明確で、テンポよく引き締まった「第九」になった。
終楽章の低弦のレシタティーヴォこそ指揮者の呼吸がそのまま音楽に反映されるが、ここも気持ちの良い流れだった(指揮者によっては時に、浪花節のようなレシタティーヴォを聴かされることもあるが、スッキリくっきりやってほしいものだ。)。

合唱団もわずか100名程度の規模だったが、なかなか迫力ある。
声楽ソリストも健闘したが、好みで言えば、昨日の横響の舞台に立った4人組に華があった。特にバスは昨日の方が声量もあり、節回しも良かった。


♪2015-129/♪県民ホール-05