2015年12月20日日曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホールシリーズ 第6回

2015-12-20 @県民ホール


川瀬賢太郎(常任指揮者)
馬原裕子:ソプラノ
山下牧子:メゾ・ソプラノ
大槻孝志:テノール
小森輝彦:バリトン
神奈川フィル合唱団

神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調 作品125 「合唱付き」

昨日の横浜交響楽団に続いて同じ県民ホールで「第九」。
今日はプロの神奈川フィルだ。
横響がなかなかの高水準の演奏だったので、アマチュアとプロの違いがどう出るのか、興味津々だった。

で、しょっぱなの弦の6連符の細かい刻みの音で、やはり違うなあと一瞬でその差を感じた。
アタックが揃っている。ピッチも高水準で揃っている。
音楽にメリハリがある。
あゝ、やはりだいぶ違う。
でも昨日の横響はアマチュアとしてはとても良いできだったなあ…などと思いながら、プロの腕の違いを得心してこれは満足。


第3楽章にはホルンの聴かせどころが(僕の耳には)3ヵ所ある。
そのうち最初の部分(96小節目)は音階練習のようなフレーズだけど、ほかの楽器が完全に沈黙するのでとても目立つのだ。ここが決まればホルン奏者だけでなく聴衆も気持ちがいい。

でも、ここは難しいのだろうか。
昨年の神奈川フィルのホルンの出来は悪かった。
昨日の横響はこの難所をきれいに決めてくれたが、今年の神奈川フィルはプロとして汚名返上・名誉挽回してくれなくちゃいけない。固唾を呑んで聴いた。
うまく行った。
音色やフレーズの作り方は昨日の横響の方がきれいだと思ったが、神奈川フィルも今年はまずまずの出来だった。残る2ヵ所も問題なし。

ホルンさえうまく行けば、今日の神奈川フィルの熱の入り方からして後は問題ないはず。

今年も合唱団は冒頭から着座した。
声楽ソリストは昨年は第2楽章と第3楽章の間に登壇した。
これでも良かったと思うが、今年はソリストも冒頭から舞台に上がった。
このため、音楽の流れが良かった。引き締まった感がある。
特に、第3楽章が終わっても川瀬賢太郎のタクトは胸の前で数秒止まっただけで、降ろすことなく、怒涛の終楽章になだれ込んだ。
こうでなくてはいけない。

ホルンを始め演奏技術の面でも間違いのない仕事、確かな腕を見せてくれたが、指揮者のエネルギッシュな指揮ぶりのせいで、全体に音楽の輪郭が明確で、テンポよく引き締まった「第九」になった。
終楽章の低弦のレシタティーヴォこそ指揮者の呼吸がそのまま音楽に反映されるが、ここも気持ちの良い流れだった(指揮者によっては時に、浪花節のようなレシタティーヴォを聴かされることもあるが、スッキリくっきりやってほしいものだ。)。

合唱団もわずか100名程度の規模だったが、なかなか迫力ある。
声楽ソリストも健闘したが、好みで言えば、昨日の横響の舞台に立った4人組に華があった。特にバスは昨日の方が声量もあり、節回しも良かった。


♪2015-129/♪県民ホール-05