2021年4月21日水曜日

読響第1回川崎マチネーシリーズ

 2021-04-21 @ミューザ川崎シンフォニーホール


鈴木優人:指揮
読売日本交響楽団
小山実稚恵:ピアノ*

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23*
ドボルザーク:交響曲第9番ホ短調  作品95「新世界から」
----アンコール-------------
ショパン:夜想曲第2番変ホ長調 作品9の2*





読響横浜定期は、休館中のみなとみらいホールからミューザに会場を変えて「川崎マチネーシリーズ」に衣替えの今日は第1回。

鈴木優人&小山実稚恵でチャイコフスキーピアノ協奏曲第1番とドボルザークの交響曲第9番「新世界から」。

いずれも名曲ではあるが、些か食傷気味で臨んだ。

しかし、始まってみると、久しぶりの読響の響は華麗にして力強い。

チャイコの冒頭のホルンが実に美声。続くピアノの力強さ!

小山氏のチャイコ1番は前にも聴いたことがあるが、今回は実に印象深かった。オケも要所を抑えて独奏が埋もれることもなく、良い調和。

何より曲調に相応しい堂々としたピアノで、これぞ決定版!の印象。


「新世界から」は近頃新解釈も流行っているようだが、解説には言及なし。

第3楽章⇒第4楽章の一呼吸での入りに好感。


2曲とも弦の編成は12-10-10-8-6。
12型で中低域を1プルトずつ増強した形か。

本来、「新世界」なら16型でもおかしくないし、せめて14型で聴きたいと思うが、コロナ対応で弦楽器も全員譜面台はひとり1本。表と裏の奏者が広めに距離をとって配置したので、大規模編成は難しかったのだろう。

それでも、今日の読響は弦もしっかりと厚みのあるアンサンブルを聴かせてくれた。


♪2021-041/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-06

2021年4月20日火曜日

ランチタイムコンサート 祝・世界一!アドルフ・サックス国際コンクール優勝の類稀なる音色を浴びる

 2021-04-20 @ミューザ川崎シンフォニーホール

齊藤健太:サクソフォン
AKIマツモト:ピアノ

D.ミヨー:「スカラムーシュ」から第1楽章"ヴィフ”
小六禮次郎:SAKURA
R.モリネッリ:「ニューヨークからの4つの絵」から第3楽章"センチメンタル・イヴニング"
G.ガーシュウィン:ラプソディー・イン・ブルー
----アンコール-------------
G.ガーシュウィン(N.マンガーニ編):「パリのアメリカ人」から「ブルース」


ミューザのランチタイムコンサートは、今季から指定席になって、いつもギリギリに駆け込む派としてはありがたい。


今日は凄腕のサックス奏者とピアノのデュオ。


本編4曲はソプラノ→アルト→テナーと楽器を1曲ずつ変えたが、特に3曲目はJazzyな曲調にテナー・サックスの魅力がここぞとばかりに発揮されて実に心地良い音楽だった。


最後の大曲は、3本のサックスを取っ替え引っ替えで超絶技巧振りを披露し、国際コンクールの覇者の面目躍如だった。


アンコールの「パリのアメリカ人」も指を固定したままリードを締めてグリッサンド風に1オクターブ?も音を上げたのには吃驚。


1時間足らずのミニコンサートだが、濃密な音楽に浸る時間だった。

サックスの齊藤君もピノ嬢も共にMCが爽やかで好感した。


終演後、高揚した気分で外に出ると空は快晴でホンに気持ちの良いランチタイムではあった。


♪2021-040/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-05

2021年4月17日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第367回定期演奏会

 2021-04-17 @県民ホール


川瀬賢太郎:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団


プッツ:交響曲第2番「無垢の島」<日本初演>
ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調(ノヴァーク版第2稿)


今年の神奈川フィルは、見事な演奏で4連勝(「勝」は満足したという意味)。

今日は、プッツという名の現代作家の交響曲と久々のブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」。

前者はもちろん初聴きだった。
ミニマル風だが違和感なく楽しめた。
弦は12型(低域増強)だが、打(鍵盤含)部門が賑やかで、迫力十分。

管弦打全て良く5連勝!

後半のブルックナー。
弦は前半と同じ編成だが、気合が入ってとても12型とは思えない。

金管パートに処々瑕疵があったのが若干興趣を殺いだ。
これでブラスに透明感が出たら素晴らしい演奏になっていたのに残念。

しかし、近年の神フィルは相当レベルを上げた。
○響や△フィルより上等だ。

♪2021-039/♪県民ホール-05

2021年4月16日金曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第366回横浜定期演奏会

 2021-04-16 @県民ホール


沼尻竜典:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

ピアノ:河村尚子*

シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 op.54*
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調 op.47
-----アンコール-----
シューマン(リスト編):献呈*


来日できないラザレフに代わって、今日もお助けマン・沼さんの指揮。

ピアノは14日の隔離を経て河村尚子❤️えらい!


文字どおりの名曲コンサートだったが、今日の日フィルはなんだか落ち着きのない音楽で残念。


アマチュアが演っても楽しめるショスタコーヴィチの交響曲第5番さえ味気なかった。


一番良かったのは河村がアンコールで弾いたシューマンの「献呈」がコロコロと輝くようなピアノだったこと。

「献呈」と大袈裟な訳がついているけど、シューマンがクララと結婚する直前に彼女に捧げた幸福に溢れた歌曲をリストがピアノ用に編曲したもので、そう思いながら聴いているととても幸せに感染できる!


♪2021-038/♪県民ホール-04

2021年4月11日日曜日

NHK交響楽団 04月公演

 2021-04-11 @サントリーホール


三ツ橋敬子:指揮
NHK交響楽団♢
ソプラノ:森谷真理♡
テノール:福井敬♠︎

◎モーツァルト:歌劇「魔笛」から
 ⚫︎序曲

 ⚫︎タミーノのアリア「なんと美しい絵姿」♠︎
 ⚫︎パミーナのアリア「愛の喜びは露と消え」♡

◎モーツァルト:歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」から
 ⚫︎フィオルディリージとフェランドの二重唱「夫の腕の中に」♡♠︎

◎モーツァルト:歌劇「イドメネオ」から
 ⚫︎バレエ音楽 K. 367から「パ・スル(1人の踊り)」

 イドメネオのアリア「海の外なる胸の内の海は」♠︎
 ⚫︎エレットラのレチタティーヴォとアリア「ああ私の切望、怒り」~「血を分けたオレステよ」♡

◎ヴェルディ:歌劇「シチリア島の夕べの祈り」から
 ⚫︎バレエ音楽「春」


◎マスネ:歌劇「ウェルテル」から
 ⚫︎オシアンの歌(ウェルテルのアリア)「春風よ、なぜ私を目ざますのか」♠︎

◎マスネ:歌劇「タイス」から
 ⚫︎鏡の歌(タイスのアリア)「私を美しいと言っておくれ」♡
 ⚫︎「タイスの冥想曲」

◎プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」から
 ⚫︎ピンカートンと蝶々夫人による愛の二重唱「夕暮れは迫り」♡♠︎
ソプラノ:森谷真理、テノール:福井敬によるアリアと序曲など12曲。



「春」がテーマらしいが、ちょっと無理な説明か。

ま、それはどうでもいいや。

才能ある人のよく磨き上げられた身体こそ最高の楽器だという日頃の思いを十分に納得させてくれた。

特に福井の声はなんとも輝かしい!

先日、砂川涼子を目の前で聴いてその声の美しさに震えるような思いをしたばかりで、加えて今日の福井の輝きと併せて比べると、森谷にはその輝きが不足しているように思うが、これはもう天性のもので仕方がないのか。年齢とともに磨きがかかるのだろうか。

とはいえ、両者の歌唱もN響の演奏にも大満足。

いつか、ワーグナー作品で企画して欲しいな。

♪2021-037/♪サントリーホール-04

2021年4月10日土曜日

名曲全集第166回 牛田智大のショパン!

2021-04-10 @ミューザ川崎シンフォニーホール


沼尻竜典:指揮
東京交響楽団
牛田智大:ピアノ*

ベッリーニ:歌劇「ノルマ」序曲(シンフォニア)
ショパン:ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 op.21*
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調 op.36
-------------
ショパン:マズルカ第13番イ短調 op.17-4*


名曲全集の今季初回。指揮は代役でコロナ禍のお助けマン、沼尻竜典。

ピアノは牛田くん。2月に聴いた新日フィルとのショパンの1番が彼のせいではなくイマイチだったが、今日の2番は東響が良い塩梅の鳴り具合でピアノの音も明瞭に響き、とても新鮮に聴こえ、色々発見もあった。


しかし、休憩後のチャイコフスキー交響曲第4番は、弦の編成を14型に拡大したせいか、弦の響きがいっぺんに悪くなり、管弦の混ざり具合もよく溶け合わず、ザワザワした演奏になった。


それでもこの曲は聴く人を興奮させる。

感激した人も少なからず。

ブラボー代わりに反則の奇声を発した人や立ち上がって拍手する人もいたが、僕は気分が乗れなかった。


♪2021-036/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-04

2021年4月6日火曜日

神奈川フィルの名手による室内楽シリーズ《名曲の午後》第14回 「ベートーベンの『大公』」

 2021-04-06 @フィリアホール



バイオリン:石田泰尚(首席ソロ・コンマス)* **
バイオリン:直江智沙子(第2バイオリン首席)*
ビオラ:大島亮(ビオラ奏者首席)*
チェロ:門脇大樹(チェロ首席)* **
ピアノ:津田裕也**

ベートーベン:
弦楽四重奏曲第10番変ホ長調 Op. 74「ハープ」*
ピアノ三重奏曲第7番変ロ長調 Op. 97「大公」**
----------------
ピアノ三重奏曲第4番変ロ長調 Op. 11「街の歌」から第2楽章**

先月末から今日迄はいわば「室内楽週間」だった。
ピアノ・トリオ→バイオリン・デュオ→弦楽五重奏→今日の弦楽四重奏とピアノ・トリオだ。

今日の公演は神奈川フィルの弦・首席で構成している室内楽シリーズ。

これが「週間」の最後で幸いだった。

最初に聴いていたら他の公演は残念なものになったろう。

今日は弦楽四重奏曲第10番「ハープ」とピアノ・トリオ第7番「大公」。

前者も爽快に聴いたが、トリオになって様相が変わった。
ピアノが入ってバイオリンもチェロも少し舞台前方に位置を変えたせいもあったか、2本の弦が四重奏の時より遥かに雄弁になった。音は微細音から脂を飛ばすような強音までダイナミックレンジが上がり、一層明瞭に、生き生きとしだした。

これこそ生でなければ味わえないアンサンブルの妙だ。

このトリオ(石田/門脇/津田)では昨年1月にベートーベンのピアノ・トリオ全曲を聴いて、燃え尽くした感があったが、今日の演奏を聴くとなおも高みに挑んでいるように思う。


石田が白井圭に代われば<トリオ・アコード>となる。
これは「週間」の最初に聴いた。

その出来が悪かったとは言うまい。

ドボルザーク「ドゥムキー」の面白さはブラームスに勝てず、ブラームスさえベートーベンには勝てない。

石橋メモリアルホールの響きもフィリアホールには及ばず。


ともかく中7日で、2/3が同じ演奏家によるピアノ・トリオを聴き、かくも異なる興趣を与えるものかと驚いた。

石田組長、恐るべし。

♪2021-035/♪フィリアホール-01

2021年4月4日日曜日

日生劇場<オペラを知る>シリーズ2021 NISSAY OPERA2021「ラ・ボエーム」音楽レクチャー

 2021-04-04 @日生劇場


ソプラノ:砂川涼子*
講師・ピアノ:園田隆一郎
聞き手:井内美香(オペラ・キュレーター)

プッチーニ:Mi chiamano Mimi*

先週もNISSAY OPERA 6月のプレコンサートに参加したが、今週は日本語で歌われる「ラ・ボエーム」に特化した音楽レクチャーで、我がマドンナ😍砂原涼子姫も歌とレクで参加した。2017年の初演で彼女がミミを歌ったからだ。

絶好のコンビだと思う指揮の園田隆一郎(この人も誠実な好印象)と一緒に、オペラを作り上げてゆく苦労、日本語で歌う難しさ、指揮者・演出家との三つ巴の葛藤…それを遥かに凌駕する歌う喜びについてとても率直な話を聞けた。ミミの人間像に関しても新たな視点を得た想いだ。

何より、彼女の歌が凄い。

オペラでもリサイタルでも、舞台そばで聴きたいほうだけど、今日は2m位の至近距離で聴いた。

なんという声の美しさ!それでいて迫力十分。

大変な練習を経て身体改造ができているのだろう。もう、震えるような感動だった。至福とはこういう状態を言うのだろう🤩。

♪2021-034/♪日生劇場-02

2021年4月3日土曜日

東京・春・音楽祭2021 ブラームスの室内楽Ⅷ

 2021-04-03 @東京文化会館




バイオリン:加藤知子、矢部達哉
ビオラ:川本嘉子、横溝耕一
チェロ:向山佳絵子

ブラームス:
弦楽五重奏曲 第1番 ヘ長調 op.88
クラリネット五重奏曲ロ短調 op.115(ビオラ版)


東京・春・音楽祭の「ブラームスの室内楽」シリーズは、Ⅳから聴き始めて大いに心動かされたので、音楽祭の中でもワーグナー・オペラ、ベルリン・フィルの室内楽とともに3大楽しみの一つだった。

一昨年Ⅵの内容が素晴らしかったが、昨年は中止に。

今回もワーグナーもベルリン・フィル〜もなくなったので、これにかける期待は大きかった。

当然毎回演奏作品が変わるから楽器編成も異なる。

しかしビオラの出番のない回はない…というか、バイオリン・パートでも今回のようなクラリネット五重奏でも川本嘉子がそのパートをビオラで演奏するので、彼女を中心とする室内楽シリーズとなっている。

今年は弦楽五重奏1番とクラリネット五重奏曲。

前者がとても良かった。

後者も悪くないがどうしてもクラリネットの音色でインプットされているので違和感を覚えるのと、ビオラでは弦のアンサンブルの中に埋没気味だ。ここはやはり本物のクラリネットを入れた方が安心して聴けたのに残念に思う。

メンバーは毎回少しずつ変わるが実力者揃いで、彼らの息のあったアンサンブルは本当に心地良い。

彼らのブラームスを聴きながら、先日聴いたドボルザーク(ピアノ三重奏曲《Dumuky》)と比べると(演奏の良し悪しは関係なく)、作曲家として、ブラームスの力量は格違いだと思った。

ところで、一昨年がⅥで、昨年は公演がなかったのに、なぜ今年がⅧなのか分からないが、是非とも長く続けて格調高いブラームスの本格的な室内楽を聴かせて欲しいものだ。

♪2021-33/♪東京文化会館-03

東京・春・音楽祭2021 大宮臨太郎&白井圭

 2021-04-03 @旧奏楽堂


バイオリン:大宮臨太郎
バイオリン:白井圭

プニャーニ:2つのバイオリンのための6つのソナタ op.5 から第3番ト長調
ヴィオッティ:2つのバイオリンのための3つの協奏的大二重奏曲 op.21 から第2番ニ長調
C.A.ベリオ:3つの協奏的二重奏曲 op.57 から第1番ト短調
イザイ:2つのバイオリンのソナタ イ短調
----ENC-------------------
ヴィエニャフスキ:エチュード・カプリース op.18


白井は先日ピアノ三重奏で聴いたばかり。
彼はN響ゲストコンマスでもある。

大宮はN響の第2バイオリンの首席。オケ以外で彼の演奏を聴くのは、かなっくホールでのリサイタルから6.5年ぶり!

彼は第1バイオリンのフォアシュピラーからアシスタント・コンマスになって、最近では第2バイオリンの首席で落ち着いているけど、これって順当なのかな?

今回はピアノなど無し。バイオリンだけの二重奏だった。

演奏された作品中、前半の作曲家、プーニャ、ヴィオッティ、ベリオなんて名前さえ初聴き。

生年からハイドン〜ベルリオーズ時代だけど、音楽は完全に古典派っぽい。

休憩を挟んで、メインがイザイの二重奏ソナタでこれも初聴き。

全部分かり易い音楽で、サロンのような雰囲気の旧奏楽堂で聴くにふさわしかった。但し響は悪良くない。もう、無響室で聴いているような感じで、バイオリンも素のままの響だった。

♪2021-032/♪旧東京音楽学校奏楽堂-01