2021年12月27日月曜日

かんぽ生命 presents N響「第九」Special Concert ❽

2021-12-27 @サントリーホール



尾高忠明:指揮
NHK交響楽団
合唱=東京オペラシンガーズ

オルガン:勝山雅世*

ソプラノ:森麻季
メゾ・ソプラノ:加納悦子
テノール:櫻田亮
バリトン:大西宇宙

ブクステフーデ:コラール前奏曲「輝く暁の星の麗しさよ」*
J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565*

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125


オケの編成では今季最大だった都響と同じく弦14型。

東京オペラシンガーズは60名で都響の二期会より4人多い。

僕が今季「第九」を聴いた8オケの中では最大規模。

コロナ禍ではこれで精一杯?

合唱・独唱もP席。全員冒頭着座。


演奏はやはり一歩抜きん出たN響ならではの堂々の風格。


尾高の指揮はゆったり目。外連味なし、嫌味なし、遊びなし。

ま、これが大人の「第九」か。演奏時間も最長の71分強。


問題はあった。

オケも合唱も上出来だったが、独唱が気の毒な状態。

P席の前列に並び、その後ろは合唱が三重に。都響の場合と同じで、これではなかなか声が飛んでこない。


P席に合唱を置けない場合はともかく、独唱は舞台の奥・反響板の前で歌うべきだった(コロナ前は独唱が舞台前方で歌うことも珍しくなかったが、今はそれができない。)。


独唱各人の歌いっぷりに問題はないのに、オケや合唱に埋もれがちだったのが残念。



今季全8回の「第九」が終わったが、総合的にはN響がベストとも言い難し。後日、振り返ってみよう。


カーテンコールは独唱者より、指揮者より、今回で卒団する第2バイオリン首席の大林修子女史への労いの拍手で盛り上がった。


♪2021-165/♪サントリーホール-24


S席 1階 14列 21番 15,750円

2021年12月25日土曜日

東京フィルハーモニー交響楽団特別演奏会「第九」❼

2021-12-25 @サントリーホール



角田鋼亮:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
合唱=新国立劇場合唱団

ソプラノ:迫田美帆
アルト:中島郁子
テノール:清水徹太郎
バリトン:伊藤貴之

ベートーベン:歌劇「フィデリオ」序曲 作品72c
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125


弦編成は12型。新国立劇場合唱団。なのでオケ・合唱とも秋山「第九」とほぼ同じ規模だった(合唱はいずれも新国)。


指揮は既に日フィルで聴いている角田鋼亮。

当然日フィルの「第九」と同じような感じだったが、日フィルに比べ少し弦が厚くなった以上に、このオケの持つ基礎的熱量が良い効果を表した。


合唱はP席で最初から待機。独唱は2楽章の後入ったが所要時間は僅か。舞台奥で待機。


声楽陣の舞台入りが流れを損なうことはなく、音楽はテンポ良く快調。

この日の午前中に聴いた都響は、音響効果の面で損をしたが、P席を合唱席に使えるサントリーでは、独唱も管楽器も舞台後方の分厚い背中の反響板がよく効いていた。

いつもの元気な東フィルが角田の軽快な指揮に乗って歌った・吠えた!


今季7回目だが、演奏時間はどの指揮者も全体的に短いのだけど、中でも今のところ一番短く63分弱。

3楽章⇒4楽章の休止はほぼゼロに等しい。

これが個人的には好きだ。

日フィルの時の指揮者とは思えぬ良い出来。


音楽と直接関係はないけど、東フィルは定期演奏会と同様、全員(出番の遅いトロンボーン奏者やパーカッションも)NoMaskで演奏する・待機する。これが良い。プロの矜持かくあるべし。


問題はあった。

日フィルの時と同じくカーテンコールの際に独唱者を舞台の前に招かなかった。

ソプラノ大賞!候補の迫田ちゃんも、舞台前に出してもらえない。

角田氏曰く「オケのルールなので自分も残念だった」と仰る。他の5オケはすべて舞台前での拍手に応えた。

東フィルは奏者がNoMaskで頑張っているのに納得できん!


♪2021-164/♪サントリーホール-23

東京都交響楽団 都響スペシャル「第九」❻

2021-09-27 @東京文化会館



大野和士:指揮

東京都交響楽団
合唱:二期会合唱団

ソプラノ:小林厚子
メゾソプラノ:富岡明子
テノール:与儀巧
バリトン:清水勇磨


ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125


いつも大編成が多い都響が、「第九」を弦10型とか12型なんぞでやる訳ないと思っていたが、案の定今季6回目の「第九」で初めての14型だった(その都響も19年までは16型だった。やはりコロナ仕様か。)。


二期会合唱団も56名と今季の合唱団では最大規模。


数に物言わせた最大熱量の「第九」を聴くのを楽しみにしていた。


大野+都響の「第九」は17年に続いて2度目。

その時もゆったりとした演奏だった。


今回もオーソドックスな音楽で、とりわけ指揮者の好みが端的に現れる終楽章低弦のレシタティーヴォではホンに朗唱にふさわしい丁寧な歌わせ方で、この調べを愛しんでるかのようだった。


3楽章から4楽章への入りは一呼吸で雪崩打った。


そういう緩急の面白さもあって、音楽としては十分満足できたが、残念なのは文化会館!


せっかく聴くなら各オケのホームを優先したいと文化会館を選んだ。


ちょっとデッドな響きだが、これはこれで一つの味わい。

普段は満足しているが、今回、合唱団が舞台奥に3重に並んだ為か、舞台奥の反響版がだいぶ後方に下げられた?ように思う。合わせて天井の反響版の角度も変わっていたかもしれない。


その合唱団の前に管と独唱が並ぶ格好に。


おそらくそのせいだろう。反響版のすぐ前に位置すればこんなことはないが、今回は合唱団に吸収されてしまうのか、管楽器の明るさや音圧が乏しく、独唱もどこか遠くから聴こえた。


せっかくの力の入った演奏だったが、熱が伝わるまでに途中で冷えてしまった感じだ。26日のサントリー公演も選べたのだが、おそらくサントリーならP席を合唱に使えるから独唱も管楽器も分厚い反響版を背に演奏できたはず。


♪2021-163/♪東京文化会館-07

2021年12月22日水曜日

読売交響楽団特別演奏会「第九」❺

2021-12-22 @サントリーホール



ジョン・アクセルロッド:指揮
読売日本交響楽団
合唱=新国立劇場合唱団

オルガン=中田恵子*

ソプラノ=中村恵理
アルト=藤木大地
テノール=小堀勇介
バス=妻屋秀和

J.S.バッハ:小フーガ ト短調 BWV578*
J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565*

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125


オミクロン水際対策強化で来日できないあちこちのオケの指揮者の代役でアクセル吹かしているアクセルロッドが読響でも代役で登場。初聴き。


演奏に限って言えば、とても良かった。

一昨日の新日フィルも良かったが、読響が僅差で上回った。好みの問題だけど。


弦の編成は10-8-8-6-5と中低域重視の10型。


今日で5回目の「第九」中、10型が3回。


どこもコンパクトな編成なのは奏者間距離の問題か。

とは言え、引き締まった響き。

金管の読響、と勝手に思っているが、今日はむしろ少数精鋭の弦に勢いがあった。


指揮ぶりは、癖のない正統的で風格を感じさせる「第九」だった。


合唱は秋山「第九」と同じ新国立劇場合唱団で男声18、女声22の計40人。

今回の合唱席は、広いP席全部を僅か40人で市松配置。

独唱は舞台後方に。



<違和感その1>は声楽陣の入場。

合唱は最初から着席できたのに途中入場だった。

独唱に至っては4楽章が始まっても入場しない。

低弦のレシタティーヴォが終わり、チェロが歓喜のテーマを始めても入場しない。

あわや大事故かと思いきや、バス独唱が始まる寸前に上手袖から妻屋氏が小走りで飛び込んでギリギリセーフ。それで「おお 友よ こんな音ではない。」と歌えるのか!


バスソロの途中で下手から残る3人の独唱者が登場して間に合った。

何てこった!こんな登場の仕方は見たことないぞ。


<違和感その2>はマスク。弦奏者は全員 NoMask!さすが読響(東フィルと並んで、定期演奏会でもNoMaskを通している。まれに外し忘れもいたが…。)!


なのに、トロンボーンの3人(終楽章途中まで出番なし)とパーカッションの3人(同じく)は出番までマスクをしていた。

これって変だよな?

弦でさえNoMaskなのに、座っているだけなのになぜ?


ま、音楽と関係ないのだけど、プロの矜持としてNoMaskを貫いてほしいよ。

♪2021-162/♪サントリーホール-22

2021年12月21日火曜日

クライネス・コンツェルトハウス弦楽アンサンブル  〜クリスマスコンサート

2021-12-21 @フィリアホール



小澤洋介(with チェロ):指揮
クライネス・コンツェルトハウス 弦楽アンサンブル
 第1バイオリン
 三戸素子/内野佑佳子/瀬崎明日香(/松本紘佳)
 第2バイオリン
 水村浩司/城達哉/塗矢真弥/山中直子
 ビオラ
 長谷川弥生/柳澤崇史/渡邊田鶴野/福田紗瑛
 チェロ
 秋津瑞貴/河野明敏/宮澤等/大塚幸穂
 コントラバス
 西澤誠治/前田芳彰

 タラス・デムチシン:クラリネット+
 松本紘佳:バイオリン*

J.パッヘルベル:カノン
A.シエェーンベルク:浄められた夜 作品4
チャイコフスキー:弦楽セレナーデ 作品48
Ⅰ Pezzo in forma di Sonatina
Ⅱ Walzer
Ⅲ Elégie
IV Finale

J.S.バッハ/ヴィルへルミ/徳備康純:G線上のアリア*
J.S.バッハ/グノー/徳備康純:アヴェ・マリア*+
グルーバー/徳備康純:きよしこの夜*+
L.モーツァルト(エトムント・アンゲラーが今では有力):おもちゃの交響曲第1楽章


聴いたことのある人が少なくとも2名混じっているが、このアンサンブルを聴くのは初めて。

評論家の奥田佳道氏がプレトークで説明してくれるのだけど、シェーンベルクのくだりで寝落ちてしまった。お恥ずかしい。


指揮(兼Vc)の小澤氏の強固な仲間+αという集団らしい…。


主宰者の個性が出ているのだと思う。

演奏も、まさにそんな感じ。

かなり前の方で聴いたので18人の弦楽合奏の音圧は高く、もっと後ろに座っておけば良かったかと思いながら最後まで聴いた。


チャイコフスキーの弦楽セレナーデがメイン。

大変迫力があった。


おもちゃの交響曲が、半ば余興で演奏された。

ハイドンの作だと思っていたが、L.モーツァルトと書いてある。が、最近、アンゲラーの作という説が有力視されているようだ。放送で耳馴染みだが生は初めて。


ビオラが使われていないとは知らなかった。

で、そのビオラと他のパートからも応援が出て各自おもちゃを演奏した🥳。カッコーの音程が狂っていたぞ!


このアンサンブルを主宰するのが小澤洋介・水戸素子夫妻。

かなり個性的な感じだ。

その一端を表している?チェロとバイオリンだけの「第九」第4楽章。

面白い。


https://youtu.be/tPIjsMKm4GI?t=517


♪2021-161/♪フィリアホール-09

2021年12月20日月曜日

新日本フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会 2021「第九」❹

2021-12-20 @東京オペラシティコンサートホール



鈴木秀美:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:二期会合唱団

ソプラノ:森谷真理
メゾソプラノ:中島郁子
テノール:福井敬
バリトン:萩原潤

ベートーベン:序曲「レオノーレ」第3番 作品72b
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

鈴木秀美の「第九」は昨年も聴いているが、「運命」では疾走するのに、「第九」では案外フツーだ。

しかし、今日は非常に好ましい演奏だった。新日フィルがこんなにうまいのか!と思ったよ。いつも聴くすみだトリフォニーとは格段に力強かったのはホールの響きの良さもあるのだろう。


今季4回目の「第九」。これ迄で一番弦編成は大きかった(12-10-8-7-6)とはいえ僅かな違いで、それが演奏に反映したとは思えない。


全体にメリハリが良かった(全66分弱)。

終楽章の低弦のレシタティーヴォはとても独自で、「朗唱」というより「啖呵」を切っている感じだ。

前3楽章の主題を否定する勢いに説得力がある。


帰途の車中で、スマホに入っている5人の指揮者の「第九」から当該部分だけ、演奏を聴き比べたら、特に似ているのはトスカニーニで、まるで喧嘩腰なのが面白い。


もちろん、朗々と詠うのも悪くない。全体の音楽の中ですんなり収まれば色々あって面白い。


合唱は二期会32人。もちろん NoMask。

舞台後方中央に独唱4人。その左右に合唱団。

つまり独唱と合唱が重ならなかったのもいい。そして今日の独唱陣が良く響いた。

特に森谷・福井はここぞとばかりの声量。


惜しむらくは弦奏者が5人ほどマスクしながら演奏していた。

残り全員 NoMask なので、何とかならなかったかなあ。


♪2021-160/♪東京オペラシティコンサートホール-1

2021年12月19日日曜日

横浜交響楽団 第713回定期演奏会 ”情熱”と”憂愁”

 2021-12-19 @県民ホール


鈴木衛:指揮
横浜交響楽団

ビゼー:「カルメン」第1組曲、第2組曲(フィリッツ・ホフマン編)
 1 前奏曲「トレアドール」(第1組曲第5曲)
 2 前奏曲 (第1組曲第1曲)
 3 アラゴネーズ (第1組曲第1a曲)
 4 衛兵の交代 (第2組曲第5曲)
 5 ハバネラ (第2組曲第2曲 )
 6 セキギティーリア (第2組曲第3曲)
 7 アルカラ(の竜騎兵) (第1組曲第4曲)
 8 闘牛士の歌 (第2組曲第4曲)
 9 間奏曲 (第1組曲第2曲)
10 密輸入者の行進 (第2組曲第1曲)
11 夜想曲 (第2組曲第3曲)
12 ジプシーの踊り (第2組曲第6曲)

チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 作品64


前回、横響を聴いたのはちょうど2年前。

第699定期で横響として70回目の「第九」演奏会だった。

16型大編成のオケに640人の合唱団という壮観!

普段の定期演奏会は県立音楽堂で開催するが、12月は、今年こそと「第九」をと県民ホールを会場に選んだのだろうが、昨年に続き今年もは流れてしまった。

コロナで定期演奏会自体も何度か中止になった。

そんな次第で足が遠のいていたが、今回は、せめて県民ホール公演を盛り上げようと2年ぶりに出かけた。

なかなか上手だ。管のソロではたまに躓きもあるが、プロ並みに聴こえる場面もある。弦編成は10+10+7+8+5という変則なのがアマチュアらしい。

カルメン組曲。フィリッツ・ホフマン編の第1、第2組曲からオペラの筋に合わせた再構成。分かり易くていい。

メインはチャイコフスキー交響曲第5番。

この曲聴くのは、今年6回目。

それも10月22日から2ヶ月足らずの間にだ。

チャイコフスキーの記念年でもないのに多くのオケが取り上げたと言うのは不思議なことだ。

6回も聴いたのだから1本当たり棒が出てもいいけどな⁈

初めて聴く指揮者鈴木衛クンは9年前に音大卒の若手だが、プレトークもうまい。客席の気持ちをすーっと掴んで音楽へ誘う。

毎年の年末の演奏会では最後に蛍の光を演奏し、オケがお客を見送ってくれる。「第九」でなくともこの慣例は続けているようだ。ホクホクした気持ちで蛍の光が流れる会場を出たよ。


♪2021-159/♪県民ホール-10

2021年12月18日土曜日

名曲全集第172回 秋山和慶、円熟の 「 第九」❸

2021-12-18 @ミューザ川崎シンフォニーホール



秋山和慶:指揮
東京交響楽団
新国立劇場合唱団

ソプラノ:安井陽子
メゾソプラノ:清水華澄
テノール:宮里直樹
バリトン:加耒徹

ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125


ミューザはP席(舞台後方席)など舞台周りの客席にもお客を入れて完売・満席。


今年「第九」を聴くのは3回目だが、ようやく本格的な編成(弦は12-10-8-7-5。合唱は新国総勢40人マスク無し!)になった。


伝統の、安定の、安心の秋山「第九」だ。

指揮台にスコアは置いてあったが勿論暗譜。


何十年もかけて作り上げたご馳走を順番に並べているかのような自然体の指揮ぶり。

勿論オケの方にも長年のDNAが継承されているのだろう。ほんに大船に乗った気持ちで隅から隅までを楽しみ尽くせる感がある。


演奏時間70分余。過去の記録でもいつも70分前後。音楽と心身が一体化しているようだ。


定番の蛍の光の宝塚ぽい演出もこの頃では待ってました!の楽しみ。舞台の上も客席も一同満面笑みを浮かべて、温かい気持ちで繋がる。


そこに音楽の力がある。


40年以上続いた秋山「四季と第九」が2019年から形を変えたのは、別の「第九」を始めたからだと思うが、別版「第九」は聴きたくもないので、東響のHomeであるミューザでやらないのもまことに変だけど、全然気にならない。


それより、形を変えた秋山「第九」も来季はオペラシティ定期1回切りだ。

そのうち消されてしまわないか心配だよ。


♪2021-158/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-44

2021年12月17日金曜日

神奈川フィル巡回主催公演 フューチャー・コンサート「第九」❷

2021-12-17 @藤沢市民会館



川瀬賢太郎:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
プロ歌手による神奈川フィル第九合唱団(28人)

小林良子:ソプラノ
林美智子:アルト
清水徹太郎:テノール
宮本益光:バリトン

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125


短期間に8回も「第九」を聴く為に、日程調整上やむを得ず藤沢市民会館迄も出かけた。「迄も出かけた」と言うのは、普段、戸塚より西に音楽を聴きにゆくことは極めて稀だから、えらく遠出をすると言う感じだけど、今回調べてみたら、乗車時間は24分だから、サントリーホールへゆくよりずっと短い。フィリアホールよりも短い。


その市民会館は、多目的ホールとして設計されているのだろう。響きがデッドで音楽向きではない。舞台は狭くセリもないからひな壇を重ねられない。


それでやむを得なかったのか、オケはなんと10型!


10型と言ってもVc6、Cb5という低域重視(日フィルは5-4)。

とはいえ、オケも合唱も小粒に変わりない。


しかし、全体としては、シャキシャキと引き締まった音楽だった。処々、川瀬流のコブシが回ったが嫌味はない。


合唱団・独唱は最初から着座しており、楽章間休止も短く(特にⅢ⇒Ⅳは2秒?)、きびきびとしてムダがない。

残響の短さを逆手に取ったような弦のTuttiの歯切れの良さも好印象。

プロ合唱団はマスク無し!数は少なくとも迫力は十分。


終演後は弦奏者達が椅子を下げて指揮台周りにスペースを作り、奥で歌った独唱者等を舞台前に招いてお客の拍手を受けさせたのも良かった…と言うか当然こうすべきなのだが。


♪2021-157/♪藤沢市民会館-1

2021年12月16日木曜日

第1947回 NHK交響楽団 定期公演 B-2

2021-12-16 @サントリーホール



山田和樹:指揮
NHK交響楽団
佐々木典子:ソプラノ

マーラー:花の章
R. シュトラウス:4つの最後の歌
ベートーベン:交響曲第3番変ホ長調 作品55「英雄」


昨日は日フィルとだぶったので今日に振り替えてもらったが、大抵振替席は最悪だ。

特にN響Bは人気があるので良い席はすぐ埋まってしまうのだろう。

前回は右壁に近い席だったがだいぶ後列だったので抵抗は少なかったが、今日は5番という壁際で6列目という悲惨な席だった。


左には通路と壁しかない。正面はバイオリンの最後列。音源はすべて席より上手にある。


遠くの東半球で音楽をやっているらしい…

とまあそんな感じだ。


ホルンが下手に配置されていたので、ホルンだけはプツプツと良く聴こえてくる。


バランスなんて関係無し。

脳内で指揮者の位置で聴く音楽に変換する試みも全く無駄。


これでもS席なのだ。

周りの人はよく我慢して聴いているよ。


11日の日フィル@サントリーのLD席(A席)もびっくりの経験だったが、今日の6列5番で聴くことを思えばずっと良い席だ。


枕が変わったら寝られないという人がいるが、僕も見慣れぬ視界に置かれるととても音楽を聴くどころじゃない。

全く、集中できなかった。


♪2021-156/♪サントリーホール-21

2021年12月15日水曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第373回横浜定期演奏会「第九」❶

 2021-12-15 @ミューザ川崎シンフォニーホール


角田鋼亮:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京音楽大学

ソプラノ:澤江衣里
アルト :金子美香
テノール:村上公太
バリトン:青山貴

オルガン:花澤絢子*


J.S.バッハ:目覚めよと、呼ぶ声す BWV645
レーガー:クリスマスの夢 op.17-9
J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
-----以上3曲オルガン独奏*-----
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125


愈々「第九」に突入。

まず第1回目は日フィル。

その初っ端の「第九」がびっくりだった。

弦10型(10-8-6-5-4)という極小サイズ。

日フィルの「第九」は別にコバケンも5回振るので、要員を2手に分けたか…なんてことはないだろう。

小編成だと声部が聴き取り易いという利点はある。

だが、弦5部を縮小しても管の編成は変える訳にゆかない。

少数弦は共鳴も少なく、響きは薄い。

普段は弦に埋もれているような管のフレーズが聞こえてくるのも面白いけど、モダンな大編成に慣れた耳には違和感が強かった。

いっそ、楽器も弦も奏法も変えて古楽アプローチするのも手だが(昨年聴いたオルケストル・アヴァン=ギャルドの徹底した古楽アプローチは素晴らしい「革新の第九」だった。)、日フィルメンバーには慣れてないから無理だろう。



そんな訳で、中途半端な寂しい「第九」だった。

演奏のテンポは、特に速い感じはしなかったが終わってみると60分強で、長さもコンパクト(それ自体は全然問題じゃないけど。)。

低弦が少ないから4楽章のレシタティーヴォも”熱”を感じない。

合唱は60名全員マスクで歌った。60人も並んだ割にはこちらも”熱”を感じない。あのマスク何とかならんかい!

独唱陣は、3楽章前にこっそり入場して舞台奥で歌った。1F客席最前列から4列も閉鎖したのだから舞台前方で歌えば良かったのではないか(皆んな馴染みの歌手達なのに顔がよく見えない。)。

終演後のカーテンコールが盛り上がりに欠けたのは、角田クンのステージングが悪い。

せめて、ここでは独唱陣を舞台前に呼んで拍手を受けさせるべきだった。

みんなの「頑張り」が「歓喜」には至らなかった。

出鼻を挫かれた格好の「第九」だが、まだ残り7回!


♪2021-155/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-43

2021年12月13日月曜日

ランチタイムコンサート We Will Rock You! 往年のクィーンの名曲たち

2021-12-13 @ミューザ川崎シンフォニーホール


安宅薫 & マティアス・ストリングス
 ピアノ:安宅薫
 バイオリン:斎藤真知亜、 横島礼理
 ビオラ:中村洋乃理
 チェロ:村井将

オール・クイーン・プログラム
・アイ・ワズ・ボーン・トゥ・ラヴ・ユー
・キラー・クイーン
・ウィ・ウィル・ロック・ユー
・愛にすべてを
・ラブ・オブ・マイ・ライフ
・ボヘミアン・ラプソディ
---アンコール------------
不明 2曲


ランチタイムコンサートでは時々JAZZとか民謡とかをやったりするが、今日はロックバンド?「クイーン」の作品ばかりを完全にアコースチックなピアノ五重奏でやるという。
全く門外漢だけど「We Will Rock You」は知っているぞ!

クイーンの音楽が好きな人には堪らない企画だったろう。

ピアノ五重奏で、クラシックともポップスとも言えない中途半端な編曲に、僕は気分が乗れなかった。なのに、手拍子・足拍子を要請されたりして、ますます気分は沈む。

どうせボーカルは無いのだから、思い切ってバロック風とかショパン風とかで聴かせるか、いっそElecベースにDrumも入れて派手にやっても良かった。

演奏家達はミューザというBigStageに、お客は大入りで楽しそう。良かったね!


♪2021-154/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-42

2021年12月12日日曜日

アルチストリオ /  ロマンティッシュコンサート

2021-12-12 @さくらプラザホール


アルチストリオ
 水島愛子:Vn
 奥楽貴圭:Vc
 平沢匡朗:Pf

モーツァルト:ピアノ三重奏曲第6番ト短調 K564
ベートーベン:ピアノ三重奏曲第5番二短調 Op70-1「幽霊」
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番二短調 Op49
-----------
ガエターノ・ブラーガ:天使のセレナーデ


名前を聞いたことがない演奏家たちのピアノ・トリオ。

僕が知らないだけで業界では知る人ぞ知るグループかも。


さくらプラザは戸塚駅すぐ近くのホールで、ピアノ・トリオの名曲を揃えたプログラムというので出かけた。


このホールは前にも行ったことがあり、響きはいいなと思っていた。


が、今日はイマイチだった。


ピアノ・トリオでは、アンサンブルの面白さもさることながら、まずもって一人一人の音色が美しいことがとりわけ大切だと思うが、ピアノを含め、その点については隔靴掻痒の思い強し。


自由席なので早めに行って前方列中央に座ったが、期待したようには響いてこなかった。

後半、後ろの方に席を変えてみたが同じだった。


過去の経験でもピアノ・トリオで名演だった思えるのは案外少ない。

良い腕、良い楽器、良いホール。聴き手の体調も大切。


ま、数、当たって居れば時に心を震わせる時間に遭遇するだろう。名曲はたくさんあるのだから。


♪2021-153/♪さくらプラザホール-02

2021年12月11日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第736回東京定期演奏会

2021-12-11 @サントリーホール



カーチュン・ウォン[首席客演指揮者]
日本フィルハーモニー交響楽団
オッタビアーノ・クリストーフォリ:日フィル・ソロ・トランペット

アルチュニアン:トランペット協奏曲変イ長調
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調


横浜定期会員に対する抽選招待で東京定期に。


カーチュン・ウォンの首席客演就任コンサートを賑やかにしたかったんだろう。


無料招待なので、席は選べない。

渡された招待券の指定席は到底良席とは言い難く、舞台は普段聴く場所に比べると倍程遠い!


なのに意外と音圧は十分で。これ程音源から遠いと左右のバランスもハナから関係ない。


とは言っても、慣れていない視界のせいもあったろうが、没入は難しかった。音楽はどこか遠くの世界の出来事のよう…。


カーチュン・ウォンに外れなし、とずっと書いてきたけど、今日は、僕の気持ちの方が外れてしまった。


でも、マーラーは楽しめたよ。

音楽はともかく演奏会自体に祝祭感があって、指揮者とオケの気脈も良く通じたようで同慶也。


♪2021-152/♪サントリーホール-20

モーツァルト・マチネ第47回「雲外蒼天」

2021-12-11 @ミューザ川崎シンフォニーホール



ジョナサン・ノット:指揮
東京交響楽団

ハイオリン:グレブ・ニキティン(コンサートマスター)*
ビオラ:西村眞紀(首席ヴィオラ奏者)*
バイオリン:水谷晃(コンサートマスター)**
チェロ:伊藤文嗣(首席チェロ奏者)**
オーボエ:荒木奏美(首席チオーボエ奏者)**
ファゴット:福士マリ子(首席ファゴット奏者)**

モーツァルト: バイオリンとビオラのための協奏交響曲変ホ長調 K.364(320d)*
ハイドン:協奏交響曲変ロ長調 Hob.Ⅰ:105**



今季のモーツァルト・マチネは各回のテーマ?が4文字熟語で表されている。
今回は「雲外蒼天」。雲の向こうには青空だ。

ノットが指揮する回だから「吃驚仰天」でも良かったな。

1曲目はモーツァルト:バイオリンとビオラと管弦楽の二重協奏曲。軽快で良し。普段忘れているけど第2楽章を聴くと、ああ、これこれ、と思い出す。しっとりして好きな曲だ。

2曲目はなぜかハイドン。
メインがハイドン。
これじゃ「ハイドン・マチネ」だ。

そのハイドンはバイオリン、チェロ、オーボエ、ファゴットと管弦楽の協奏交響曲。これも軽快だし、4人のフレーズの受け渡しもよく「見えて」面白い。

しかし、管楽器の独奏も入れたいというなら、モーツァルトにもクラリネット、ホルン、オーボエ、ファゴットとの協奏交響曲などあるのに。
いつもながら、ノットのこだわりは理解できない。

ま、新発見もあった。
普段奏者は座っているが、こういう独奏扱いとなると舞台前に出て立奏するので、木管奏者はお尻を沈めてテンポをとることがよく分かった。

♪2021-151/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-41