2021-12-04 @フィリアホール
フォーレ四重奏団
バイオリン:エリカ・ゲルトゼッツァー
ビオラ:サーシャ・フレンブリング
チェロ:コンスタンティン・ハイドリッヒ
ピアノ:ディルク・モメルツ
ブラームス:ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 Op.25
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」(D.モメルツ、G.グルツマン編曲によるピアノ四重奏版)
----アコール--------------
フォーレ:3つの歌 Op.23より 第2番「われらの愛」
夢のあとに
ピアノ四重奏曲第2番ト短調 Op.45から 第1楽章(部分)
ずいぶん楽しみにしていたが、もう期待には十分すぎるほど応えてくれた、滅多にない、高満足度。至福の2時間だった。
世界的にも常設ピアノ四重奏団は珍しいそうだ。26年間メンバーは変わっていない。成程息が合っている。
ピアノとチェロ以外は立奏だ。
まずはそこに気合いを感ずる。
全員黒装束だが、バイオリンは靴と小さなイリングが、ビオラはポケットチーフが、チェロは靴下が、ピアノは上着袖口ボタンが、いずれも赤だ。ぼんやりしていると気づかない。刮目していても遠くからは気づかなかったかもしれない。そのセンスの良さにニヤリ。
電車に乗り遅れたり、乗り換え駅を乗り過ごしたりの失敗続きだが、ぎりぎり開幕に間に合った。ホンに間に合って良かったよ。
何と言ってもブラームス!
ピアノ四重奏曲1番はブラームスの全3曲中で一番聴く機会が多いが、それとて「熱狂の時」も「東春祭」も怪しくなってきたので、最近では19年春に聴いて以来だった。
この曲には、ブラームスの抒情性がかなり強烈に埋まっているように思う。
多くの作品では、感情の迸りはぎりぎりで抑制されるが、ここでは割と率直に出ている気がする。
第1-2楽章は巧妙な準備。3楽章はドイツ民謡風。終楽章ではロマ風な元気印に挟まれた咽び泣くような旋律に胸を掻きむしられる思いだ。
もう十分。
これで終わってもいいと思うくらい満足したが、後半の「展覧会の絵」が凄い。
この曲にはいろんな編曲があるので僕もずいぶんCDを集めた。中にはELP(エマーソン、レイク&パーマ)のロック版もある(余談だがこれは来日公演を聴きに行った。)が、ピアノ四重奏版は初めてだ。
遊び心いっぱいと言った感じの編曲で、小編成ならではの技巧が尽くされている。なによりエネルギッシュで繊細。
満腹。
なのに、アンコールが。
1曲目。フォーレの作品だとはすぐ分かった。
なんて、心憎い!
これで”フォーレ”四重奏団の演奏会の完結性が高まった。更に続けて大好きな「夢のあとに」。これもフォーレ。
それでも全然鳴り止まぬ拍手。
何度も何度も登場して愛想を振りまいてくれたが…ついに、予定していなかった1曲をやることになって、チェロは慌てていた。楽譜が見つからない!
それもフォーレの作品だった。