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2025年5月30日金曜日

神奈川フィルの名手による室内楽シリーズ20 〜ハンガリー 室内楽の名品〜

2025-05-30 @フィリアホール



第1バイオリン:石田泰尚
第2バイオリン:直江智沙子
ビオラ:中恵菜
チェロ:上森祥平
ピアノ:津田裕也
クラリネット:齋藤雄介

バルトーク(セーケイ編):ルーマニア民俗舞曲 BB68/Sz.56 ⇒直江・津田
コダーイ:バイオリンとチェロのための二重奏曲 Op.7 ⇒直江・上森
バルトーク:コントラスツ BB116/Sz.111 ⇒石田・齋藤・津田
バルトーク:弦楽四重奏曲第4番 BB95/Sz.91 ⇒石田・直江・中・上森



このシリーズの半分は聴いているけど、今回は、一番手強い選曲だったかも。
バルトークのコントラスツはどうも初聴きだったようだが、それ以外は少なくとも1度は聴いているし、ルーマニア民俗舞曲のように数え切れない程頻繁に聴いてよく耳に馴染んでいるものもあったが、ルーマニア~以外は、馴染みの問題だけでなく、そもそもの音楽性についてゆけない。

しかし、かぶりつきで聴く室内楽は、楽器本来の音の良さを味わえ、メンバーの丁々発止がスリリングで面白い。

いつも思うが、石田組長の繊細さ。
とにかく、楽章毎に調弦を繰り返す。
そんな短時間で音が狂うとは思えないし、基準音を確認する訳ではなく、A弦に合わせて他の3弦を合わせ直すのだけど、結局、一度緩めてから締め直すだけで、それならそのまま弾けばいいのではないかと思うが、気になるんだろうな。一種の儀式みたいになっているんだと思う。

♪2025-068/♪フィリアホール-02

2025年4月26日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第404回

2025-04-26 @みなとみらいホール



沼尻竜典:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
上森祥平:チェロ(神奈川フィル首席)*


グラジナ・バツェヴィチ:弦楽オーケストラのための協奏曲
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番変ホ長調 作品107*
ショスタコーヴィチ:交響曲第12番ニ短調 作品112「1917年」
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ブリテン:無伴奏チェロ組第2番から「チャッコーナ(シャコンヌ)」*





Gバツェヴィチって、これまでEncピースしか聴いたことなし。でも、冒頭の弦のユニゾンが実に美して、今日の神奈川フィルの弦はいいかも…と思いながら聴いていたら、いつまで経っても管打が入ってこない。それもそのはず、舞台に奏者がおらん。弦楽オケのための作品だった。
終始、破綻なく、良い響きで、初聴きでも、抵抗感なく楽しめた。

Vc協1番は、ショスタコの全作品中でもトップに揚げたいくらい大好物。それだけになかなか満足した覚えがないけど、協奏曲のソリストとしては初めて聴く上森翔平のチェロはとても心地良かった。欲を言えば、もう少し、低弦など、ゴリ〜というような力強さが欲しかったけど、小ホールで聴くかぶりつき室内楽のようにはいかんのだろうな。

メインのショスタコ12番。これは多分生で聴くのは2度目。
前回が7年ほど前で、なんの印象も残っていなかったが、これも冒頭低弦の強奏がきれいでインパクトがあって、ずるずる引き込まれてしまった。終わってみると、これって全4楽章なのにすべて続けて演奏されるんだ。
何だか、騙されたように腑に落ちないモヤモヤ感あり。
全部アタッカで繋がっているのか。なら、最初から単一楽章で書けば良いのではないか?

ま、演奏は良かった。弦に破綻がなかった。


♪2025-052/♪みなとみらいホール-09

2024年5月29日水曜日

神奈川フィルの名手による室内楽シリーズ第18回 「フォーレ&ショーソン:フランス室内楽の名品」

2024-05-29 @フィリアホール



Vn:石田泰尚/直江智沙子*/小宮直
Va:大島亮*
Vc:上森祥平*
Pf:津田裕也*

フォーレ:ピアノ四重奏曲第1番ハ短調 Op.15*
ショーソン:バイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲ニ長調 Op.21
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ショーソン:バイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲ニ長調 Op.21から第2楽章




今回は、神奈川フィルの弦メンバーの中でも石田組長ほかトップクラスが集結した。

フォーレとショーソンと言われたら、俄然フォーレが楽しみで、そのピアノ四重奏曲第1番は過去屡々聴いている(なぜか2番は聴いたことがない?)。
ショーソンの今日の作品は初聴きだ。編成が2人大きく演奏時間も長いので、後半に置かれたのだろうけど、なんとなく消化試合みたいな気持ちでいた。

前半のフォーレがまず良かった。

良席が取れず(組長が入る回は難しい。)、2階最前列正面だったが、これが音圧も十分で、案外良い響だ。でも、もしかぶりつきで聴いたたらどんなに迫力があったろう、とは思いながら聴いたが。

休憩を挟んで、初聴きのショーソン。
タイトルどおり弦楽四重奏に独奏バイオリンとピアノが加わったもの。それで組長だけは立奏した。帰宅後Yotubeで調べたら、見た限りですべて同じスタイルだった。弦楽四重奏がオケの役割を果たすバイオリンとピアノのための協奏曲なのだ。

で、始まってみると、なんとも魅力的だ。
こ難しさがなく、分かり易い。
特に弦楽四重奏部分が、通常の室内楽とは明らかに異なる役割を受け持って、Tutti、それもユニゾンの部分が何箇所も登場した。そこは、独奏のバイオリンやピアノとの”協奏”を際立てて面白い。

組長のバイオリンは、いつものとおり、繊細で美しい。

終わってみると、やはり、これはショーソンが主役だったなと実感。
アンコールで、もう一度聞いてみたいと思った中間楽章…その第2楽章をやってくれたのもとても良かった。痒い所に手が届く気配り?

♪2024-074/♪フィリアホール-06

2017年6月10日土曜日

ミューザ川崎ホリデーアフタヌーンコンサート2017前期 ≪4Cellos!≫

2017-06-10 @ミューザ川崎シンフォニーホール


横坂源、辻本玲、伊藤文嗣、上森祥平:チェロ

J.S.バッハ:コラール集から「まぶねのかたわらに立ちて/われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ」*
クレンゲル:4つの小品 作品33 「無言歌」、「ガボット」、「子守唄」、「マーチ」*
ポッパー:演奏会用ポロネーズ 作品14*
ハイドン:チェロ協奏曲第1番ハ長調*
マルコ・ストロッパ:それが厄介なのだ<上森solo>
オッフェンバック:チェロ二重奏曲イ短調 作品53-2<辻本&伊藤>
ヨセフ・ヨンゲン:4本のチェロのための2つの小品 「伝説」、「ダンス」*
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン組曲第2番BWV1004から第5曲「シャコンヌ」*
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アンコール
パッヘルベル:カノン*
*印はチェロ四重奏

海外の人気グループ2CELLOSの向こうを張った訳ではないらしいが気鋭の若手4人のチェリスト(横坂源、辻本玲、伊藤文嗣、上森祥平)によるアンサンブル。
「4Cellos」という名前は正式なものではなく、主催者側が便宜的に付けたものらしい。このメンバーでの公式な演奏会は2回めだそうだが、今回ミューザという一流の大ホールで「4Cellos」のリサイタルができることをみんなとても喜んでいた。

チェロ4本用に編曲されたバッハコラールなどで始まったが、やはり、低弦ばかりの4重音は美しくないな、と思っていたが、ハイドンのチェロ協奏曲第1番から面白くなった。独奏部分はそのままに3人がオケ伴に回って、協奏曲を1曲完奏した。
この4人協奏曲が、編曲が良いのだろうな。最初からこういう作品かと思えるほど違和感なく楽しめた。

その後、ソロや二重奏を挟んで最後もバッハだった。

これまでとは逆に独奏の原曲を4人用に編曲した作品だ。無伴奏バイオリン組曲第2番の第5曲「シャコンヌ」。
これを1本のバイオリンならぬチェロで聴くのは経験済みだが、複数楽器での演奏は初めて。
4人で分割している分、30回も続く変奏の構造が分かりやすく、新鮮な感覚で興味深く聴くことができた。
欲を言えばアクロバティックなのにも挑戦してほしいな。

♪2017-098/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-10

2017年3月26日日曜日

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2017-名手たちによる室内楽の極み 〜モーツァルト、ベートーベン、シューベルト〜

2017-03-26 @東京文化会館


バイオリン:長原幸太*、岡本誠司
ビオラ:鈴木康浩
チェロ:上森祥平*、富岡廉太郎

モーツァルト:バイオリンとビオラのための二重奏曲 第1番 ト長調 K.423*
ベートーベン:弦楽三重奏曲 第3番 ニ長調 Op.9-2*
シューベルト:弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956

昨年もほぼ同様のメンバーによる演奏会を聴きに行ったが、そのときは、弦楽三重奏のほか、むしろピアノ四重奏がメインに据えられた。昨年のキャッチコピーは「若き名手たちによる室内楽の極み」だったから、1年経って、もう若くなくなったようだ。
確かにこのメンバー、既にオケの(客演)首席クラスなのだから、若手というより中堅だ。

今回は弦楽のみの二重奏、三重奏、五重奏と並べたからには、断章程度でいいから四重奏曲も入れてほしかったな。弦の厚みが増すと音楽がどう変わってゆくのか、興味深かったのに。

モーツァルトは音楽も、編成も軽妙でまあオードブルといったところか。
ベートーベンはピアノ三重奏曲は番号付きだけでも11曲、弦楽四重奏曲は番号付きだけでも16曲作っているのに、弦楽3重奏曲は番号付きが作品3の第1番と作品9の3曲(第2番〜第4番)。ほかに作品8のセレナードのみだ。少ないことより、作品番号があまりに若いのに驚く。20歳代に着手して僅かな作品を残してその後は弦楽三重奏曲には興味を失ったのだろうな。
やはり、弦楽四重奏曲という鉄壁の編成を手に入れたら三重奏には戻れなかったのかもしれない。
今日の第3番はナマでは初聴きだったが、モーツァルト同様あまり重苦しくなく気楽に聴ける作品だった。

最後のシューベルトの五重奏曲はシューベルトにとっても最後の室内楽作品だったようだ。31歳の11月になくなっているが、その年の夏に作曲された。
ハ長調の作品だけど、冒頭は暗い。長調に変わっても長くは続かず感情の起伏が激しい。第2楽章もなんとも物悲しい。3連符の伴奏で煽り立てるような慟哭が続いて、やがて、断末魔の喘ぎのような音楽が続いてご臨終かと思うと第3楽章はリズミカルで荒々しく始まるが、中間部(トリオかな)はまた物静かでさびしい曲調だ。終楽章もけっして明朗ではないけど、ここにきてシューベルトらしさが溢れている。

この五重奏は弦楽四重奏の編成にビオラが加わる形が通例なのになんとチェロを加えて、つまりバイオリン2、ビオラ1、チェロ2という編成だ。低音部が充実しているので、それが第3楽章など元気のいい部分には奏功しているけど、あまり低域で別々の音を重ねると響がモゴモゴしてしまうし、さりとてユニゾンは時に効果的だけど終始だど低域が強調されすぎる。第2楽章の物悲しい場面ではその弊害が出たような気がした。2本のチェロの弾き分けがよく聴こえなかったのが残念だった。

♪2017-47/♪東京文化会館-03

2016年4月6日水曜日

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2016-若き名手たちによる室内楽の極(きわみ) ~ベートーベン、シューベルト、ブラームス

2016-04-06 @東京文化会館


バイオリン:長原幸太
ビオラ:鈴木康浩
チェロ:上森祥平
ピアノ:田村響

シューベルト:弦楽三重奏曲 第1番 変ロ長調 D.471
ベートーべン:弦楽三重奏曲 第2番 ト長調 op.9-1
ブラームス:ピアノ四重奏曲 第2番 イ長調 op.26
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アンコール
ブラームス:ピアノ四重奏曲 第3番 ハ短調 op.60から第3楽章



読響コンマス他によるシューベルト、ベートーベン、ブラームスの弦楽三重奏&ピアノ四重奏という独墺古典の精華。

シューベルトの作品は初聴きだったが、第1楽章しか完成していない未完成のものだ。
まあ、シューベルトらしい歌心が奔放に繰り出されるといった感じだが、やはり、散漫な感じはする。
「弦楽三重奏曲 第1番」という作品形式の標題ではなく、「断章」とかにしておけばハナからそういう心構えで聴くからもっと好感できたかもしれないのに、と思った。

さて、シューベルトの後でベートーベンを聴くとさすがに見事な「完成品」だ。
弦楽三重奏曲は、楽聖ベートーベンの作品でさえピアノ三重奏曲や弦楽四重奏曲の陰に隠れてあまり有名な作品がない(全4曲)ので、個人的には聴く機会が少ない⇒馴染めない⇒ますます聴く機会が少なくなるという負の連鎖をたどっている。

しかし、今回、ナマで聴いてみると、弦楽三重奏は各声部の動きがこの上なくはっきりしている点が聴いていて面白いな、と思った。

最後にピアノが加わったブラームスのピアノ四重奏曲が一段と素晴らしかった。それまでの単色彩から一挙にカラフルな世界が拡がり、ブラームスらしい情緒が、放逸と抑制の危ういバランスを保ちながら奔流する。これはベートーベンでは味わえない人間・ブラームスの魅力だ。

かくして、今日の各作品は、作曲家各人の個性・力量が演奏順に色彩を伴って明確に現れてきたところが興味深いところであった。


♪2016-38/♪東京文化会館-04