2016年4月6日水曜日

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2016-若き名手たちによる室内楽の極(きわみ) ~ベートーベン、シューベルト、ブラームス

2016-04-06 @東京文化会館


バイオリン:長原幸太
ビオラ:鈴木康浩
チェロ:上森祥平
ピアノ:田村響

シューベルト:弦楽三重奏曲 第1番 変ロ長調 D.471
ベートーべン:弦楽三重奏曲 第2番 ト長調 op.9-1
ブラームス:ピアノ四重奏曲 第2番 イ長調 op.26
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アンコール
ブラームス:ピアノ四重奏曲 第3番 ハ短調 op.60から第3楽章



読響コンマス他によるシューベルト、ベートーベン、ブラームスの弦楽三重奏&ピアノ四重奏という独墺古典の精華。

シューベルトの作品は初聴きだったが、第1楽章しか完成していない未完成のものだ。
まあ、シューベルトらしい歌心が奔放に繰り出されるといった感じだが、やはり、散漫な感じはする。
「弦楽三重奏曲 第1番」という作品形式の標題ではなく、「断章」とかにしておけばハナからそういう心構えで聴くからもっと好感できたかもしれないのに、と思った。

さて、シューベルトの後でベートーベンを聴くとさすがに見事な「完成品」だ。
弦楽三重奏曲は、楽聖ベートーベンの作品でさえピアノ三重奏曲や弦楽四重奏曲の陰に隠れてあまり有名な作品がない(全4曲)ので、個人的には聴く機会が少ない⇒馴染めない⇒ますます聴く機会が少なくなるという負の連鎖をたどっている。

しかし、今回、ナマで聴いてみると、弦楽三重奏は各声部の動きがこの上なくはっきりしている点が聴いていて面白いな、と思った。

最後にピアノが加わったブラームスのピアノ四重奏曲が一段と素晴らしかった。それまでの単色彩から一挙にカラフルな世界が拡がり、ブラームスらしい情緒が、放逸と抑制の危ういバランスを保ちながら奔流する。これはベートーベンでは味わえない人間・ブラームスの魅力だ。

かくして、今日の各作品は、作曲家各人の個性・力量が演奏順に色彩を伴って明確に現れてきたところが興味深いところであった。


♪2016-38/♪東京文化会館-04