2016年4月29日金曜日

読響第87回みなとみらいホリデー名曲シリーズ

2016-04-29 @みなとみらいホール



ラハフ・シャハニ:指揮
佐藤俊介:バイオリン*
読売日本交響楽団

メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲 ホ短調作品64*
マーラー:交響曲第1番 ニ長調「巨人」
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J.S.バッハ:無伴奏バイオリン組曲第1番からアルマンド*

読響4月プログラムから
今日の指揮者ラハフ・シャハニは1989年(イスラエル)生まれというからまだ26、7歳という若さだ。2013年のグスタフ・マーラー国際指揮者コンクールで優勝(その時の審査員長が東響の音楽監督ジョナサン・ノット。先週彼の指揮で「ドイツ・レクイエム」を聴いたばかり、ということで些細な縁を感じた。)し、メジャーデビューが昨年末、急遽代役でウィーン・フィルを振ったコンサートだというから、コンクール優勝はまぐれではなく、相当の実力者だと評されているのだろう。
近い将来、同じコンクールの第1回優勝者グスターボ・ドゥダメルクラスの大物になるのかもしれない。

とはいえ、僕の耳もいい加減だからあてにはならないけど、今日の演奏を聴く限り、大物のオーラは感じないし、読響を完全掌握していなかったように思った。

読響4月プログラムから
前半のメンデルスゾーンは、テンポが速めで小気味よい演奏だったが、ややそっけない感じもした。それは指揮のせいというより主に独奏バイオリンから受けた印象だ。
そのことは、アンコールで弾いたバッハの無伴奏で一層はっきりした。粘着性の乏しい、あまりレガートやテヌートを効かせない、その分情感に乏しい演奏だったが、これが佐藤俊介の持ち味なのかもしれない。
ただ、前回、彼の独奏(モーシェ・アツモン指揮神奈川フィル)でブラームスの協奏曲を聴いた際には、独奏部分と管弦楽の絡みに緊張感があって好ましいと感じたのだけど、これは音楽の違いからなのか、指揮者の違いからなのか、よく分からない。
ともかく今日のメンコンは「軽妙」という印象だ。

後半のメインディッシュがマーラーの第1番だ。これこそラハフ・シャハニにとって、幸運を招いた作品だ。
あまり表情を変えないのでリキが入っていたかどうかは分からないけど、スコアは持たない完全暗譜だった。

第1番はマーラーの交響曲の中で一番演奏会数が多いだろう。
僕は去年5回も聴いた。
この読響でも昨年10月に下野竜也の指揮で聴いた。半年で同じオケが定期演奏会で取り上げるのも如何なものかと思うけど、人気があるからだろう。

読響も慣れたもので、実にうまい。
しかし、イマイチ、緊張感が味わえないのは指揮者の無表情のせいもあるだろうが、なかなか音楽に没入できなかったからだ。
指揮者とオケとの一体感のようなものが不足していたのか。

まあ、ミミタコのように聴いている曲だから、僕自身の満足のハードルがだんだん高くなってきているせいもあるだろうな。

終盤に、マーラー自身の指示で、ホルン奏者が起立して演奏するところがあるが、マーラーは次のようにも言っているそうだ。

「ホルンの最後のコラールに十分な補強ができますか?これは私にとっては何よりも大切なことなのです。最悪の場合にはそれぞれ1本ずつエクストラのトランペットとトロンボーンを追加してください。しかし私にとってはもちろん、よりたくさんのホルンが望ましいのですが。」

かくして、今日の読響はホルン8本にトロンボーン、トランペットを加えた計10本という豪華版だった。

昨年hr交響楽団で聴いた時には確認できたのはホルン7本だけだったが起立しないまでもトロンボーンやトランペットも同じ旋律で補強していたのかもしれない。

ともかく、金管10本の起立しての咆哮は、視覚効果も手伝ってゾクゾクさせた。


♪2016-050/♪みなとみらいホール-15