2016年4月17日日曜日

N響第1832回 定期公演 Aプログラム

2016-04-17 @NHKホール


レナード・スラットキン:指揮
NHK交響楽団

J.S.バッハ:無伴奏バイオリン組曲第3番 ホ長調 BWV1006~前奏曲
J.S.バッハ:カンタータ「神よ、あなたに感謝を捧げます」BWV29~シンフォニア
J.S.バッハ(ウッド編):組曲第6番~終曲(無伴奏バイオリン組曲第3番~前奏曲)
J.S.バッハ(バルビローリ編):カンタータ「狩りだけが私の喜び」BWV208~「羊は安らかに草を食み」
J.S.バッハ(オーマンディ編):カンタータ「心と口と行いと生命」BWV147~「主よ、人の望みの喜びよ」
J.S.バッハ(ストコフスキー編):トッカータとフーガニ短調BWV565

プロコフィエフ:交響曲第5番変ロ長調作品100

前半がJ.S.バッハ。休憩を挟んで後半がプロコフィエフ。
この200年以上も離れた世界に生きた両者をつなぐものはなんだろう?
指揮者のスラットキンはバッハに関しては(プログラムに特別に挟み込まれたプリントで)言及していたが、プロコフィエフについてはノー・コメント。解説でもそれに触れた部分はなかった。
というのも、特段の意味が無いのなら折角の機会なので、全部の時間を費やしてバッハの原曲と編曲のパレードを繰り広げて欲しかったと思ったからだ。

もっとも、プロコフィエフは個人的には苦手なタイプで、こういう定期演奏会のような形で押し着せられないと自分からは聴こうとしないので良い経験ではあった。特にプロコフィエフの交響曲はナマでは多分第1番(古典交響曲)しか聴いたことがなかったから。

バッハプログラムの最初は、コンサートマスターの伊藤亮太郎による無伴奏バイオリン組曲第3番から前奏曲。これは原曲そのままなので、当然、バイオリンソロだ。
続いて、その同じ曲をJ.S.バッハ自身がオルガンを含む小規模管弦楽に編曲したカンタータ。こういう作品があるとは知らなかった。
元々元気の良い曲だからこういう編曲はとても効果的だ。

次はヘンリー・ウッド(1869-1944。英・指揮者)が、やはり同じ前奏曲を大規模管弦楽に編曲したものだ。
原曲とは対極に位置するような編曲だが、やはり、原曲の面白さが十分に生かされて、こういうバッハもいいかなと思う。

続いてジョン・バルビローリ(1899-1970。英・指揮者)の編曲によるカンタータから。
これは小ぶりの弦楽に木管10本の編成。
聴いたことがあるなと思ったら、以前NHK-FMの朝のバロックのテーマ曲だった。

次にユージン・オーマンディ(1899-1985。フィラデルフィア管弦楽団の指揮者として有名だった。)の編曲によるカンタータから非常に有名な「主よ、人の望みの喜びよ」。これは弦楽のみで演奏された。

最後は、バッハのオルガン曲の管弦楽編曲としてはおそらく最も有名なレオポルド・ストコフスキーによる「トッカータとフーガニ短調」だ。ディズニーの音楽映画「ファンタジア」ではトスカニーニ自身が指揮(フィラデルフィア管弦楽団)をした映像が残されている。
今回の編曲モノのなかでは最大規模の管弦楽で、派手なオーケストレーションによる迫力のあるバッハだ。
ここまでくるとこれはバッハではないという意見もあるだろうな。しかし、知的で贅沢な遊びとしては大いに楽しめる。

プロコフィエフの第5番は初聴きだったが、これが案外親しみやすい作品だった。1944年に完成し、1946年にはスターリン国家賞を(他作品とともに4作同時に)受賞したそうだ。
この時代のロシア(ソ連)の芸術家たちの苦節を思いやればスターリンの折り紙つきというのもまことに皮肉だ。


2016-046/♪NHKホール-03