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2025年5月24日土曜日

青山シンフォニーオーケストラ 第37回定期演奏会

2025-05-24 @ミューザ川崎シンフォニーホール



横島勝人:指揮
青山シンフォニーオーケストラ
町田正行:チェロ*

モーツァルト:交響曲第25番ト短調 K.183
エルガー:チェロ協奏曲ホ短調 Op.85*
ドボルザーク:交響曲第8番ト長調 OP.88
-----------------------
カザルス:鳥の歌*
ドボルザーク:スラブ舞曲第10番
ヘンデル:ラルゴ





青山オケって聞いたこともないけどアンタどこのだれ?
という感じで、たぶんアオガク関係者のOBオケだろうなと思っていたが、事前に調べなかったので情報はなく、本番のプログラムにも何に書いてない。帰宅後NETでHPをみて初めて正体が分かったが、予想どおりだった。
アオガクOBオケが母体で、今は、広く同好の士を募っているみたいだけど、青山と名乗る以上、全く無関係では入りにくいだろうな。

定期演奏会は年に1回というから、まあ、多くの弱小アマオケの一つなんだろうな。

チケットを買った当時は、そういう事情も知らなかった。
偏に、エルガーのVc協を聴きたかったからだ。

過去平均では、2.5年に1回の割で聴いている。前回が22年1月都響だったので、まあ、平年ベースなのだけど、最近、この胸を掻きむしられるようでつらくてたまらない激しい音楽に飢えている?というか、なかなか決定版が聴けないのだ。

それで、青山の何たるかはどうでもいいから、聴くことにした。

今日、初めて聴いたオケだが、まずは全体が高水準。
指揮者も初めてだが、ちょいちょい見せる独自解釈が聴き慣れたものとは違うというだけで、あれも悪いとも言えないだろう。ただ、エルガーは、なんかまとまりに欠け求心力がなかった。ドボ8に至れば、一層入り込めなかった。

その、エルガーだが、独奏者はもちろん初めて。華々しい経歴もないけど、主として指導者として活躍をしている人らしい。このオケのトレーナーでもあるという。

久しぶりにスポットライトを浴びたのだろうけ、いやはや上手なものだ。何より、音が美しい。はじめて宮田大を聴いた時の驚きを彷彿とさせる美音の連続。

しかし、いつ、誰を聴いても、問題は、独奏がオケに負けているということだ。

これは、もう、どうにもならないと思うよ。
ピアノ以外、オケと対等に鳴らすなんてできない。

PAを使うのは邪道だけど、協奏曲ではやむを得ない。
思い切って、マイクで拾って生々しい音を増幅してみてはどうだろう。ギターではそういう試みを聴いたことがある。チェロでも(超現代曲ではあったが)PAを使った協奏曲を聴いた。
そりゃあもう安心だよ。
ヤニの飛び散る音を拾って増幅してくれえ!

♪2025-067/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-05

2024年6月18日火曜日

MUZAランチタイムコンサート 6月 ソプラノの歌声をのせて 〜オルガンと馳せる空の彼方〜

2024-06-18 @ミューザ川崎シンフォニーホール



千田寧子:パイプオルガン
内田智子:ソプラノ

ヘンデル:オルガン協奏曲第6番から第1楽章
ヘンデル:歌劇「リナルド」から「私を泣かせてください」
デュリュフレ:組曲 Op.5から前奏曲
<朗読>田中綾乃:詩「讃歌」から
坂本日菜:ソプラノとオルガンのための「讃歌」
Ⅰ空/Ⅱ鳩/Ⅲ風のなかで/Ⅳ星々の香り
カルク=エラート:12の歌から「宵の明星」



ミューザのランチタイムコンサートは、長く、年間セット券で通っている(半分はサボっているが…)。
大抵は小一時間を気楽に楽しめる音楽で構成されているが、今日は違った。

最初のヘンデルの2曲はお馴染みだが、デュリュフレは珍しく、今日の作品は初聴き。坂本日菜やカルク=エラートなんて名前を聞くのも初めて。

私たちは、これをやりたいのです!という感じで、昼時の気楽なお客にも阿らないというか、筋を通したリサイタルという感じだった。

デュリュフレの前奏曲は、オルガンの機能を駆使したような迫力のある作品で、なかなかの聴きものであった。

♪2024-086/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-03

2024年5月25日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 県民名曲シリーズ第20回「嗚呼、昭和のレトロ・クラシック!」

2024-05-25 @県民ホール



沼尻竜典:指揮
松田理奈:バイオリン*
松下美奈子:ソプラノ**
池辺晋一郎:司会

【第1部】
スッペ:喜歌「軽騎兵」序曲
ケテルビー:ペルシャの市場にて
レハール:ワルツ「金と銀」
ヴォルフ=フェラーリ:歌劇「マドンナの宝石」から<第2幕への間奏曲>
ポンキエッリ:歌劇「ジョコンダ」から<時の踊り>

【第2部】
ヘンデル:歌劇「セルセ」から<オンブラ・マイ・フ>**
池辺晋一郎:大河ドラマ「黄金の日日」からテーマ
エルガー:愛のあいさつ*
クライスラー:中国の太鼓*
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン*
スメタナ:連作交響詩「わが祖国」から<モルダウ>
-------------------------------
オッヘンバック:喜歌劇「天国と地獄」から<カンカン>




クラシック音楽自体が、そもそもレトロで”クラシック”なのだから、今回の企画は”変”ではあるけど、確かに、平成以降ほぼ聴かなくなったような音楽もあったな。

加えて、前半の<時の踊り>以外の4曲はいずれも中・高時代に吹奏楽で演奏したものなので、実に懐かしかった。

昭和マニア?の沼さんと昭和の生き字引のようなダジャレの池辺さんによる漫談擬の話も面白くて、客席も舞台も大いに盛り上がった。

後半の選曲は特に<昭和>は無理があったね。トリを飾った「モルダウ」なんて神奈川フィルで3月に「我が祖国」全曲を聴いたばかりだけど、しかし、しみじみと美しい音楽だと思ったよ。

♪2024-073/♪県民ホール-2

2023年11月25日土曜日

伊藤恵&徳永二男 DUO RECITAL

2023-11-25 @関内ホール



徳永二男:バイオリン
伊藤恵:ピアノ

ヘンデル:バイオリン・ソナタ第4番ニ長調 HWV.371
ヴィターリ:シャコンヌ ト短調
チャイコフスキー:「懐かしい土地の思い出」から《メディテーション》ニ短調 Op.42-1
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリツィオーソ イ短調 Op.28
ベートーべン:バイオリン・ソナタ第9番イ長調 Op.47 「クロイツェル」
---------------------
マスネ:タイスの瞑想曲




伊藤惠さんの魅力だ。
終始恵比寿さんのような笑顔に引き込まれて大いに楽しんだ。

関内ホールは多目的ホールで、アコースティック専門ではないので、音響はエクセレントとは言い難いが、どこぞの洞窟よりはずっと聴きやすい。

そんな訳で、クラシックコンサートの公演数も少なく、ひょっとして落語会の方が多い?そんなことはないね。
で、久しぶりに出かけた。

前回聴いたのが小林美樹のリサイタル。これは実に良かった。

今回は、その時も演奏された難曲ヴィターリとサン=サーンスが重なり、前半のキモで、後半は大曲「クロイツェル」だった。

どちらにより強く感銘を受けたか。
どちらも良かったといっておこう。

2人のお喋りも挟まれたので、伊藤惠さんが磯子の住人であると知った。僕も以前住んでいたことがあるので、ひょっとして駅などで顔を合わせたかも。

徳永氏は、20日が誕生日で喜寿。
という訳で、伊藤惠さんの伴奏で、客席もハッピーバースデーを歌わされたけど、彼女がリードすると良い雰囲気になって僕まで歌ってしまったよ!

とにかく、暖かい雰囲気に包まれて、こういうほのぼのコンサートもいいなとつくづく思った。

♪2023-201/♪関内ホール-01

2023年10月3日火曜日

みなとみらいランチタイムコンサート 〜加耒徹リサイタル with 宮地江奈・プロムジカ使節団〜

2023-10-03 @みなとみらいホール



加耒徹:バリトン♠︎
宮地江奈:ソプラノ♡
プロムジカ使節団(古楽オーケストラ)
 池田梨枝子:バイオリン
 宮崎蓉子:バイオリン
 深沢美奈:ビオラ
 懸田貴嗣:チェロ
 圓谷俊貴:チェンバロ・オルガン

◎ヘンデル:オラトリオ『メサイア』〈なにゆえ国々は騒ぎ立つのか〉♠︎
◎ヘンデル:歌劇『セルセ』〈オンブラ・マイ・フ〉♠︎
◎ヘンデル:歌劇『リナルド』〈私を泣かせてください〉♡
◎ヘンデル:歌劇『ロタリオ』〈海が凪いでくれるのなら〉
◎J.S.バッハ:カンタータ第57番『その人は幸いなり』(全曲)
 1)アリア♠︎
 2)レシタティーヴォ♡
 3)アリア♡
 4)レシタティーヴォ♠︎♡
 5)アリア♠
 6)レシタティーヴォ♠♡︎
 7)アリア♡
 8)コラール♠♡
◎モーツァルト:歌劇『ドン・ジョヴァンニ』から
〈セレナーデ〉♠︎
〈手を取り合って〉♡︎
〈シャンパンの歌〉♠︎
--------------------------
モーツァルト:歌劇『魔笛』から
〈パパパの二重唱〉♠♡



今日の主役、加耒徹は、断固追っかけている訳ではないのだけど、実に聴く機会が多い。ひょっとしてバリトンに限れば最多出演かも?
ソプラノ宮地江奈は初聴き。
バックを務めたプロムジカ使節団という妙な名前のアンサンブルも初めて。

プログラムの構成は休憩なしだが3部構成。
まずはヘンデルから4曲。有名な曲ばかり。これで気持ちが和む。
次にバッハのカンタータを全曲1本を挟んだが、これは知らない音楽だったものの、五重奏とソプラノ、バリトン各1人だけでやってしまったのが良かった。こういう演奏もありかと感心した。これならカンタータもとても気軽に演奏もでき、聴くこともできる。
最後はモーツァルト「ドン・ジョバンニ」から。

60分声楽コンサートにしては曲数が非常に多かったが、3部に分けたことで、メリハリがついて、丸ごと受け止め、楽しむことができた。

伴奏をしたプロムジカ〜は今日は弦楽四重奏+小型オルガン(又はハープシコード)の5人だったが、これでメンバーが固定しているのではないらしい。弦の4人はいずれもガット弦使用、顎当て・肩当て・エンドピンなしだが、弓はモダンを使っていた。この柔らかなアンサンブルが心地よく、いつか彼ら主体のコンサートも聴いてみたいものだ。

♪2023-164/♪みなとみらいホール-33

2023年6月9日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#15

2023-06-09 @すみだトリフォニーホール



デリック・イノウエ:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
藤木大地:カウンターテナー*

メンデルスゾーン:劇音楽「夏の夜の夢」序曲 op. 21
モーツァルト:交響曲第36番ハ長調 K.425「リンツ」
パッヘルベル:カノンとジーグニ長調
ヘンデル:歌劇「セルセ」HWV40から「オンブラ・マイ・フ(なつかしい木陰)」*
ヘンデル:歌劇「リナルド」HWV7から「涙の流れるままに」*
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」K.492から序曲/「恋とはどんなものかしら」*
モーツァルト:歌劇「ポントの王ミトリダーテ」K.87から「執念深い父がやってきて」*
モーツァルト:モテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス」K.618*
グルック:歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」から「精霊の踊り」/「エウリディーチェを失って」*
---------------------------------
ヴォーン・ウィリアムズ(マーティン・カッツ編):「オルフェウスがリュートをとれば」*



前半はオケのみ。
メンデルスゾーン「真夏の夜の夢」は良。だがプログラム全体の中では座り心地が悪かったのではないか。
というのも後半も含め、その他はヘンデル、モーツァルト等バロック・古典一色だったから。

後半は声休めを兼ねたオケのみ演奏の2曲以外は藤木大地のカウンターテナー・リサイタルの様相。この為彼のレパートリーから古色中心になったのだろう。

前半は弦14型。これがなかなか美しい。
昨日、読響を残念席で聴いて楽しめなかったせいもあるが、やはり自分で納得して選んだいつもの席で聴くって幸せだよ。

後半は10型(一部は弦楽のみも)とコンパクトな編成にチェンバロが加わった。カウンターテナーのレパートリーとしてはこれ以上ないという風な名曲揃いで大変結構でした。

♪2023-102/♪すみだトリフォニーホール-04

2022年11月5日土曜日

第75回 全日本学生音楽コンクール 全国大会入賞者記念コンサート

2022-11-05 @かなっくホール



●フルート部門
【中学校の部】豊田翼⇒尾高尚忠:フルート協奏曲 Op30bから第2、第3楽章
【高校の部】鈴木義了⇒尾高尚忠:フルート協奏曲 Op.30bから第1、第3楽章
●声楽部門
【高校の部】板戸耀央⇒ヴェルディ:6つのロマンスから「墓に近寄らないでほしい」/モーツァルト:歌劇「フイガロの結婚」から『もう飛ぶまいぞ、この蝶々』
【大学の部】上村誠一⇒フレスコバルディ : そよ風が吹けば/ヘンデル:《ロンバルディア王妃ロデリンダ》HWV19から「暴君よ、生きろ ! 」
●バイオリン部門
【小学校の部】富樫音葉⇒エルンスト:夏の名残の薔薇<庭の千草>による演奏会用変奏曲
【中学校の部】中原梨衣紗⇒サン=サーンス(イザイ編):ワルツ形式の練習曲による奇想曲 Op52/6
【高校の部】金子芽以⇒フバイ:カルメン・ファンタジー
●チェロ部門
【高校の部】西田翔⇒フランク:バイオリン・ソナタイ長調 FWV8から第3、第4楽章(チェロ版)
【大学の部】井上帆乃香⇒カサド:無伴奏チェロ組曲 第1、第3楽章
●ピアノ部門
【小学校】佐藤史悠⇒ショパン作品2曲(本番で変更。聞き取れず)
【中学校の部】朴沙彩⇒リスト:超絶技巧練習曲第5番「鬼火」、第10番へ短調
【高校の部】大山桃暖⇒ショパン:ポロネーズ第5番嬰ヘ短調 Op 44



全日本学生音楽コンクールの全国大会がみなとみらいホールで行われるようになってから久しいが、66回大会から72大会までは横浜市民賞(聴衆賞)の選定員(応募・抽選)という形で参加していたので、その後開催される1位入賞者の発表会も毎年のように聴きに行った。

近年、忙しいのと体力不足(長時間拘束がツラい)もあって、遠のいていたが、せめて1位の演奏は聴こうと出かけた。
小山実稚恵、千住真理子、諏訪内晶子、神尾真由子、反田恭平などの後継者達だ。

今日は、ほぼ1年前に開催された第75回の全国学コンの1位入賞者が12名、演奏を披露した。

特に演奏曲が、超絶モノばかり?なので、ただびっくりするばかり。
みんな凄いなと感心して聴いたが、特に印象に残ったのは、声楽大学の部は僕の苦手なカウンターテナーだったが、これが美しい。藤木大地もびっくりか。
チェロ部門は2人とも楽器の音に惚れ惚れとした。もちろん演奏も。

それにしても、弦楽器もピアノも、かなっくホールの響の良さをツクヅク味わったよ。休憩も立たず2時間40分座り詰めで、お尻が痛くなった。

♪2022-166/♪かなっくホール-11

2022年10月26日水曜日

第1967回 NHK交響楽団 定期公演 B-1

2022-10-26 @サントリーホール


ヘルベルト・ブロムシュテット:指揮
NHK交響楽団

オリ・ムストネン:ピアノ*
盛田麻央:ソプラノ**
青山貴:バリトン**

グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調 作品16*
ニールセン:交響曲第3番 作品27「広がり」**
------------------------
ヘンデル:調子の良いかじ屋*


グリーグのピアノ協奏曲は頻繁に聴いているようで3年ぶり。大いに楽しみにしていたが、これは興醒めだった。

ピアノのオリ・ムストネンは初めてで、陽気な人柄みたいだが、いざ始まるとタッチの拘りは尋常ならざるものあり。フレーズの中のテンポも強弱も極めて独自…大袈裟だ。

ピアノの音も悪かった*がそれは措くとしても、異色の鍵盤操作に呆然として音楽に入ってゆけず。

が、NHKでの放映が楽しみだ。
どこまで彼の独自のアーティキュレーションをマイクは正確に拾うだろうか。

後半のニールセン。
交響曲3番は初聴きだが、交響曲1番や序曲、各種協奏曲などこれまで聴いたものは、全て好印象。

始まってみると、冒頭から楽しい!
きっちり調性があるだけではなく、実に分かりやすく、大掛かりな娯楽音楽のようでもある。
それに多彩な管弦楽技法が興趣を高める。
第2楽章だけソプラノとバリトンのボカリーズが加わって、これも効果的。

N響は大規模編成(弦は対抗配置16+16…)ながらカチッとしたアンサンブルが見事。こういう演奏なら、みなとみらいホールとかミューザで聴きたいものだが。


*今に始まった事ではないが、サントリーホールの響は良くない。特にピアノの音が耐えられん。
高域の強奏はキラキラ輝くが、それでも痩せ細った硬い音だ。
中低域となるとまるで石を叩いているかのよう。
安酒場のホンキートンクみたいだ。

が、苦情は出ていないようだから、三鳥に限って僕の耳が変になるのだな。

♪2022-160/♪サントリーホール-19

2022年10月10日月曜日

オペラ:ヘンデル「ジュリオ・チェーザレ」新制作

2022-10-10 @新国立劇場


リナルド・アレッサンドリーニ:指揮
【演出・衣裳】ロラン・ペリー
【美 術】シャンタル・トマ
【照 明】ジョエル・アダム
【ドラマトゥルク】アガテ・メリナン
【演出補】ローリー・フェルドマン
【舞台監督】髙橋尚史

【合唱指揮】冨平恭平
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【ジュリオ・チェーザレ】Msマリアンネ・ベアーテ・キーランド⇒女性・女声だが男役
【クーリオ】Br駒田敏章
【コルネーリア】Ms加納悦子
【セスト】Ms金子美香⇒女性・女声だが男役
【クレオパトラ】Sp森谷真理
【トロメーオ】Ct藤木大地⇒女声だが男役
【アキッラ】Brヴィタリ・ユシュマノフ
【ニレーノ】Ct村松稔之⇒男性・女声だが女役

ヘンデル「ジュリオ・チェーザレ」<新制作>
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約4時間25分
 第Ⅰ幕 90分
  休憩   25分
 第Ⅱ幕   60分
  休憩   30分
   第Ⅲ幕   60分

2022-10-10 この日がちょうど新国立劇場開場25周年の記念日だった。



ヘンデルの音楽は耳馴染みがよく、心地良い。
が、物語への共感は低く止まる。
話が複雑な印象を受けるのは、歌手の役割に問題があるかも。

女性(マリアンネ・ベアーテ・キーランド)が女声(メゾソプラノ)で男役(ジュリオ・チェーザレ)。
男性(藤木大地)が女声(カウンター・テナー)で男役(トロメーオ)。
男性(村松稔之)が女声(カウンター・テナー)で女役(ニレーノ)というのが混じっているのは、オペラ作曲当時のカストラートの存在を現代に持ち込んでいるからだろう。その結果、大勢登場する割にソプラノは一人だけ。こう言っちゃ悪いが、そのソプラノも高音に輝かしさが不足して、舞台全体がどんよりとしている。

今回の演出は既にパリ・オペラ座で初演済み。どういう評判を得たのか知らないが、成功しているとは思えない。

時は現代。場所は多分エジプトの、演出家曰く「博物館」《「美術館」の方がふさわしいぞ。17-8世紀の作と思われる絵画もあり、一定の役割を担っているから。》の収蔵庫。そこに収蔵品を運んだり修理したりする作業員が大勢登場。

その収蔵庫の中で古代の衣装を纏った歌手が演唱するのだが彼らからは現代に存在している作業員の存在は無。
作業員は自分達の仕事をしているので古代人の存在は無。
この構造が貫徹されたら並行世界の中で二重構造ドラマが進行することになり興味深かったが、残念!貫徹しない。
作業員は歌わない、踊らないが、古代人の物語に関わり合いを持つのだ。

最後は、古代の歌手たちがさも収蔵品のように収まったのだから、正に、これが狙いのはずだったのに、途中で両者が絡み合うことで互いに無の存在ではなくなったのがつまらない。なんで、こんな中途半端な演出をしたのだろう?
ロラン・ペリーは、かなり名の売れた演出家なのにどうして?
腑に落ちない。

♪2022-147/♪新国立劇場-11

2022年4月14日木曜日

音楽堂アフタヌーンコンサート2022前期 「上岡敏之 plays Piano」 上岡敏之 ピアノ・リサイタル

2022-04-14 @県立音楽堂



上岡敏之:ピアノ

ショパン:バラード第1番 op.23
スクリャービン:ピアノ・ソナタ第9番「黒ミサ」
ショパン:ノクターン ホ短調 op.72-1
ショパン:ポロネーズ第6番「英雄」変イ長調 op.53
ドビュッシー:ヒースの茂る荒れ地(前奏曲集第2巻から)
ドビュッシー:花火(前奏曲集第2巻から)
ドビュッシー:エレジー
ショパン:スケルツォ第1番 op.20
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第8番「戦争ソナタ」
----アンコール----
ヘンデル(ケンプ編曲):クラヴィーア組曲第1番からメヌエット
シューベルト:楽興の時 第2番 Op. 94-2
J.S.バッハ:平均率クラヴィーア曲集第1巻第1番からプレリュード
スクリャービン:3つの小品から「アルバムの綴り」Op.45-1


上岡敏之のピアノは、かつて室内楽で聴いたことがあったが、単独リサイタルは初めて。
指揮者としてもユニークだが、ピアノ・リサイタルも独特の雰囲気を醸して非常に面白かった。

何しろ、会場は真っ暗闇。
鍵盤部分にのみライトが当たっている。
ご本人の登場もピアノの傍に来て初めて確認できる。

1曲目のショパンが終わっても指は鍵盤を離れず、そのままスクリャービンに突入。以下、前半の8曲は絶妙な間合いで連続演奏した。

この独自なスタイルこそ上岡流なのだろう。

ショパン以外は初聴きだったが、次第に彼の構築する世界に惹き込まれて行った。

プログラミングの意図は分からないが終わってみれば不思議なもので、途中なんの違和感も感じなかった。緻密な計算があったのだろう。

後半は、プロコの戦争ソナタ8番。これも初聴き。

ワクワクするような音楽じゃないけど、ピアニズムを駆使した感じで楽しく聴けた。
プロコフィエフはドネツィク(「ドネツク」はロシア読み)州生まれだそうで、彼の手になる戦争ソナタを聴くとは感慨無量。

♪2022-050/♪神奈川県立音楽堂-04

2020年7月10日金曜日

横浜バロック室内合奏団定期演奏会94回

 2020-07-10 @みなとみらいホール


Vn小笠原伸子、有馬希和子、木村浩司、小澤郁子
Va高山愛
Vc間瀬利雄
Cb照井岳也
Cemb木村聡子
Fl高野成之*

J.S.バッハ:2声のためのインヴェンション 全15曲
ヘンデル:パッサカリア(弦楽合奏版中山育美編曲)
ビバルディ:バイオリン協奏曲作品9「チェトラ」より
J.S.バッハ:管弦楽組曲第2番ロ短調*


前回の鑑賞029からなんと112日ぶりの生コンサートだった。本来の指定席は定員の5割制限の為、主催側によって「なるべくお近くの席」に勝手に変えられたけど、小ホールでの演奏会だし、担当者とも知らぬ仲でもないので、その「心配り」を諒として席についた。

編成は6人〜9人で、管はゲストのFlのみ。スカスカの編成だが、そういう音楽だからこれでよし。音楽の骨格が良く分かって面白い。

Flの高野成之氏は東響の奏者。メインの組曲では舞台中央に立ったが、回りの弦奏者の前にはずらりアクリル板。そこまで必要ないよ。かわいそうに思ったね。

♪2020-030/♪みなとみらいホール-07

2019年12月15日日曜日

第54回音楽堂クリスマス音楽会「メサイア」全曲演奏会

2019-12-15 @県立音楽堂


小泉ひろし:指揮
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
チェンバロ:長久真実子 
オルガン:宇内千晴
合唱:神奈川県合唱連盟、音楽堂「メサイア」未来プロジェクト合唱団

山口清子:ソプラノ
上杉清仁:カウンターテナー
中嶋克彦:テナー 
加耒徹:バリトン

ヘンデル:オラトリオ「メサイア」全曲 

65年の歴史を有する音楽堂ならではの「メサイア」は今年で54回目だそうな。毎年この時期はコンサートがダブってなかなか参加できないでいたが、今年は4年ぶりに参加できた。

尤も「メサイア」自体は10月の横響演奏会を同じ音楽堂で聴いた。今回はオケが小編成だが神奈川フィルなので、まあ、だいぶ安心感が違った。

合唱はこちらもアマチュアだが、県の合唱連盟傘下の多くの合唱団のほかに<未来プロジェクト>として中高大学生も混じっている。将来の「音楽堂メサイア」を支える人材育成を兼ねているのだ。こういう地道な努力のお陰もあって、安価に名作の大曲を楽しませてもらって、ありがたいことだ。

「メサイア」といえば「ハレルヤ〜」で起立するかという問題があるが、今や、起立組は絶滅危惧種である。

今日は1名発見(自席より後方は不明)。ホンの少数が立ち上がると後ろの者は迷惑だ。3百年程前の異国の作り話に乗せられて起立することはない。

♪2019-207/♪県立音楽堂-3

2019年12月5日木曜日

砂川涼子 ソプラノ・リサイタル

2019-12-05 @紀尾井ホール


砂川涼子:ソプラノ
園田隆一郎:ピアノ
上江隼人:バリトン*

ビバルディ:歌劇「ジュスティーノ」から“喜びと共に会わん”
ビバルディ:歌劇「ポントの女王」から“私はジャスミンの花”
ヘンデル:歌劇「セルセ」から”喜び満ちて小川は”
ヘンデル:歌劇「リナルド」から”なんて素敵な喜び”
中田喜直/別宮貞雄:さくら横ちょう
ドナウディ:「古典様式による36のアリア」から
 ”私は望みを失ってしまった”
 ”いつかまた君に逢えるだろうか”
 ”私は心に感じる”
ロッシーニ:「ヴェネツィアの競艇」から
 第1曲 競艇前のアンゾレータ
 第2曲 競艇中のアンゾレータ
 第3曲 競艇後のアンゾレータ
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」から“おいでください、膝をついて”
ドニゼッティ:歌劇「ドン・パスクワーレ」から”準備はできたわ” with *、”天使の様に美しい” only *
グノー:歌劇「ファウスト」から “ああ、私が微笑んでいるのが見えるわ(宝石の歌)”
プッチーニ:歌劇「カルメン」から”怖くないと言ったけれど”
プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」から“あなたの愛の呼ぶ声に”
プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」から“氷のような姫君の心も”
-------アンコール
ヴェルディ:歌劇「椿姫」から第2幕第1場”ヴィオレッタとジェルモンの二重唱”

日本のソプラノを代表する大村博美に続いてもう一人のディーバにしてオペラ界の我がマドンナを、恥ずかしくて言えないくらいの最良席で終始照れながら至福の時を過ごした。

大村博美とは声質が違うから単純比較はできないが柔らかく透明感のある声がもう全身を癒してくれる。

こちらのプログラムも前半は知らない曲ばかりだったが、いずれも彼女にかかるとすっかり馴染んでいたものが引き出される様だった。

後半はオペラから名アリアの釣瓶撃ち。
アンコールも椿姫から長大アリア。

特筆したいのはオペラでもコンビが多い園田隆一郎のピアノ。
二人のコンビネーションの良さは実に好感。

♪2019-196/♪紀尾井ホール-3

2019年10月27日日曜日

横浜交響楽団第698回定期演奏会

2019-10-27 @県立音楽堂


飛永悠佑輝
横浜交響楽団
横響合唱団

横森由衣:Sp 
松浦恵:Al 
渡辺大:Tn 
竹内利樹:Br 

ヘンデル:オラトリオ「メサイア」から 
<第2部中27、28、34〜36を除く>
モーツァルト編曲版

横響(横浜交響楽団)は日本最古のアマオケ。
プロを含んでも3番目に古い老舗で、年間8回も定期をやっているのは他に例がないのではないか。
故に今日は698回目。
ある意味日本一のアマオケだが、日本一上手とは言えないけどなぁ。でも意欲的な取り組みは他の模範になるだろう。

‪今日はヘンデルの「メサイア」ほぼ全曲(5曲カット)だが、何とモーツァルトの編曲版で、これは多分極めて稀な「メサイア」ではないかな?‬
‪と言っても、原曲との違いは、僕にはほとんど分からなかった。‬
‪管楽器が少し多めらしく、その分華やかにはなっている。‬
‪指揮と独唱はプロ。

字幕なしが悩ましいが、おおよその物語は分かっているから、まあ、こんなことを歌っているんだろうな、と想像しながら聴いているが、むしろ字幕がない方が純粋に音楽に入り込めるかもしれない。

♪2019-164/♪県立音楽堂-2

2019年5月31日金曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート2019前期 「ロマ音楽&タンゴ」徳永二男バイオリン・コンサート

2019-05-31 @みなとみらいホール


徳永二男:バイオリン
坂野伊都子:ピアノ(ジプシー)*
京谷弘司:バンドネオン
淡路七穂子:ピアノ(タンゴ)
田辺和弘:ベース

ヘンデル:バイオリン・ソナタ第4番ニ長調 Op1-13、HWV371*
ブラームス:ハンガリー舞曲第5、6、7番*
ラヴェル:ツィガーヌ*
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン*
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ガルデル:想いの届く日
ガーデ:ジェラシー
滝廉太郎:荒城の月
京谷弘司:シエンプレ・ア・ブエノスアイレス
アストル・ピアソラ:アディオス・ノニーノ、チキリン・デ・バチン、タンガータ
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ラ・クンパルシータ

前半、ヘンデルのバイオリン・ソナタ第4番にロマ音楽という組み合わせは、本人曰く、いきなりロマ音楽はやりにくいのでヘンデルを最初に弾いたというが、納得できる説明ではないね。
まあ、どうでもいいのだけど。

そのロマ音楽集は聴き馴染みのものばかり。

後半はタンゴ・バンド(ピアノ、コントラバス、バンドネオン)と共にピアソラのタンゴなど。

タンゴではマイクで集音し、PA(拡声装置)を使ったので音量大きく撥音明瞭。POPsコンサートみたいになった。
生音でも十分だったと思うが。

全体として気楽なコンサートだし、ほぼ満席の観客には大いに受けていた。

しかし、以前は感じなかったのだけど、この日の徳永のピッチの甘さには驚いた。長く音を伸ばすところでは明らかにツボに届いていない。
コンクールなら失格ではないかと思うが、もはや少々の音程の揺れなど気にならない域に達したのかも。

ところで、前半にはラヴェルの「ツィガーヌ」とサラサーテの「ツィゴイネル(ワイゼン)」が共に<ロマ(の旋律)>を意味するということを初めて知った。


♪2019-072/♪みなとみらいホール-21

2018年7月22日日曜日

フェスタサマーミューザ2018 新日本フィルハーモニー交響楽団 ≪正統派ドイツ音楽 Ⅰ≫

2018-07-22 @ミューザ川崎シンフォニーホール


円光寺雅彦:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

横山幸雄:ピアノ*

ヘンデル(ハーティ編):「王宮の花火の音楽」から序曲
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466*
ベートーベン:交響曲第6番ヘ長調 作品68「田園」
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モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8(9)番イ短調 K.310から第1楽章*
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク第3楽章

昨日の東響によるオープニングはクラシックの王道から外れていたが、新日フィルがあるべき姿に戻してくれた。
「正統派ドイツ音楽Ⅰ」ということで、ヘンデル、モーツァルト、ベートーベンだったが、「正統派」というならやはりバッハ、ベートーベン、ブラームスだろう。尤も「〜ドイツ音楽Ⅱ」が後日東京シティフィルによって披露されるようだが、ウェーバー、ベートーベン、ブラームスだそうだから、ここでもバッハが抜けている。ならば、今日のヘンデルをバッハに変えたら良かったのにな。正統派ドイツ音楽からバッハが抜けるのはどう考えてもおかしいし、ヘンデルは最終的にはイギリスで長く過ごし彼の国に帰化したはずだから、無理にドイツ音楽に含めることはないな…と選曲には不満があった。

しかし、「王宮の花火」からして管・弦楽のアンサンブルの分厚さに少し驚いた。金管と木管の混ざり具合がキンキンして耳につく部分もあったが、弦楽合奏だけを取り出せば実に力強い。

モーツァルトの20番を横山幸雄が弾いた。しばらく見ないうちに太っていたなあ。なんて人のことは言えないけど。
このモーツァルトにも驚いた。なんて軽快なモーツァルトだろう。
ピアノ協奏曲全27曲中2曲しか無い短調の作品の一つだが、およそメランコリーとは無縁という感じだった。もちろん、短調ならではの旋律もあちこちに散りばめられているが、暗い・重い・悲しい・寂しい〜といった感じとは違う。
今日の演奏を聴きながら、モーツァルトの短調作品に関して思い違いをしながら聴いていたのかなあ、という気にもなった。ま、演奏者によっていろんなモーツァルトがあっていいと思うが、疾走するベートーベンならぬ疾走する横山モーツァルトの哀しみは軽快に走り去っていった。

田園は、構成的に共鳴しにくい音楽だ。
全5楽章のうち3~5楽章は続けて演奏されるから聴手には第3楽章以降は一つの楽章に聴こえる。そのうちの第4楽章からトロンボーン、ティンパニ、ピッコロが登場し「嵐」を描写するが、ティンパニとピッコロは5楽章には用いられない。「嵐の後の喜ばしい感謝の気持ち」を表現するには必要がなかったらしい。
したがって、クライマックスは第4楽章におかれ、第5楽章はゆったりとした感謝の気持ちが綴られて平和裡に終曲する。しかも、第4楽章は短く3~4分であるのに比べ、第5楽章は10分前後と長い。それにどこから第4楽章で、どこから第5楽章になったかは、よほど耳馴染んでいないと分からないから、ぼんやりしておれば、ずっと第3楽章のつもりで聴いてしまうことにもなる。

それで、予め、この楽章構成を頭に入れて自分の共鳴する感情をコントロールしなければならない。でないと、いつの間にか始まっている第5楽章が長い上にクライマックス性に欠けるのでカタルシスが得られないことになる。え〜、こんな終わり方?と戸惑うことになる。
…というのが僕の長年の経験で、最近になってようやく、「嵐」の後は「祈り」だとイメージし、このもやもやした終楽章を共感を持って受け入れるように務めているが、ベートーベンの感情と僕の感情が必ずしもシンクロしないのが、我が身の未熟なのだろう。

♪2018-088/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-06