2016年9月25日日曜日

N響第1842回 定期公演 Aプログラム

2016-09-25 @NHKホール


パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
ラルス・フォークト:ピアノ*
NHK交響楽団

モーツァルト:ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K.595*
ブルックナー:交響曲 第2番 ハ短調
------------
アンコール
シューベルト:楽興の時第3番ヘ短調*

ラルス・フォークトによるモーツァルトのピアノ協奏曲第27番。
モーツァルト最後の協奏曲で逝去前11月に完成された(もう少し前という説もある)らしいが、そこ頃の彼の病気や困窮ぶりは全然感じられない明るい作品だ。
このピアニストはNHKクラシック倶楽部でリサイタルを聴いたが、特に印象には残っていなかったし、今回の演奏も音楽が端正なので、素人の耳には誰が弾いてもさほど変わらないように思う。もっともグレン・グールドやユジャ・ワンで聴けばモーツァルトの新局面を引き出すのかもしれないが。

メインはブルックナー2番。
マーラーに比べると定期演奏会で取り上げられる機会が少なくそれも4-5-7-9番などに偏重しているように思う。これらは複数回聴いているのに2番はナマ初聴きだった。

モーツァルトでは感じられなかったが、ここではパーヴォの面目躍如の感あり。
冒頭の弦のトレモロの中からチェロがテーマを歌う、所謂ブルックナー開始と言うやつか。このアンサンブルが美しく惹き込まれる。全体の構成感も掴めるような?シャキッと引き締まってブレない音楽が如何にもパーヴォらしいと思った。


2016-131/♪NHKホール-08

2016年9月24日土曜日

東京交響楽団第644回定期演奏会

2016-09-24 @サントリーホール


ユベール・スダーン:桂冠指揮者
ファウスト(テノール):マイケル・スパイアーズ
メフィストフェレス(バス):ミハイル・ペトレンコ
ブランデル(バス):北川辰彦
マルグリート(メゾ・ソプラノ):ソフィー・コッホ
東京交響楽団
児童合唱:東京少年少女合唱隊
混声合唱:東響コーラス

ベルリオーズ:劇的物語「ファウストの劫罰」作品24

今年東響は70年。N響は90年。日フィルは60年。サントリーホールが30年。重なるものだな。
そんな訳で各オーケストラが大作を取り上げているのが嬉しい。
東響はベルリオーズの大作を上演した。

「ファウストの劫罰」は正味約2時間20分。

この秋のシーズンに入って長大曲が続くが、N響「千人の交響曲」が約90分、日フィル「エリア」が約130分に対して今日の「ファウストの劫罰」が約140分ととりあえず最長だ。間もなくN響のマーラー第3番を聴くことになっているがこれも140分前後と良い勝負だ。音楽を聴くのにも体力が必要だよ。

「ファイストの劫罰」は演奏時間が長いだけではない。
大規模オケに声楽独唱4人、混声支部合唱団、児童合唱団。
舞台には全員並ばないのでP席が合唱団に占められた。
部分的には(ラコッィー等)聴いたことがあるが全曲は初めて。

物語はゲーテのファウスト1部を換骨奪胎したものだが、ベルリオーズの音楽への思い入れが激しく、ドラマの脈絡はあまり考えられていないようだ。

そういう事情もあって、「物語」にはついて行けないと思っていたが音楽は強烈だ。
特に、終盤がすごい。

歌手たち・合唱団・東響の熱演がじわじわと迫ってきたちょうど頃合い、第4部に突入すると心震えるような魂の叫びが炸裂してこれまでの音楽鑑賞体験では感じたことのなかった異次元感覚だ。
黒田バズーカならぬ東響バズーカにうちのめされた感で、内心は大興奮。そして大満足。


♪2016-130/♪サントリーホール-09

2016年9月22日木曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホールシリーズ 第9回

2016-09-22 @県民ホール


サッシャ・ゲッツェル:首席客演指揮者
上原彩子:ピアノ*
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ムソルグスキー:交響詩「はげ山の一夜」
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番ハ長調Op.26*
ムソルグスキー(ラヴェル編曲):展覧会の絵
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アンコール
ラフマニノフ:プレリュード 作品32-5*

ウィーン生まれのS・ゲッツェルの首席客演指揮者退任コンサートだったが、オール・ロシアプログラムは違和感。ゲッツェルが振った最後のみなとみらい定期ではマーラーだったから、ここはブルックナーでもやってほしかったな。

今日の曲目は管楽器の活躍が目立つ作品だけど、管と弦の不和がやけに耳についたのは残響の少ないホールのせいだろうか。
展覧会~の「サムエル・ゴールデンベルク~」冒頭の豊かな弦の響などは素晴らしかったのだけど。

上原彩子のプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番。これは良かった。リズミカルで、シンコペートでジャズっぽく、アクロバティックな超絶技巧(に見える)を時にお尻を浮かせての熱演には惹きこまれたなあ。


♪2016-129/♪県民ホール-03

2016年9月20日火曜日

東京都交響楽団 第815回 定期演奏会Bシリーズ インバル80歳記念/都響デビュー25周年記念

2016-09-20 @サントリーホール


エリアフ・インバル:指揮
オーギュスタン・デュメイ:バイオリン*
東京都交響楽団

モーツァルト:バイオリン協奏曲第3番 ト長調 K.216*
ショスタコーヴィチ:交響曲第8番 ハ短調 op.65

今日もインバルの80歳・都響デビュー25年記念演奏会。
モーツァルトのバイオリン協奏曲第3番は冒頭の弦のアンサンブルの美しいこと。ピッチが正確で個々の音が美しくそれが重なるアンサンブルの魅力。

が、A・デュメイの演奏は、ロマン派のような弾き方で先日聴いた大谷康子+東響の方がずっとモーツァルトらしかった。

メインはショスタコ交響曲第8番。初聞きだった。長大な作品で、CDでは聴く気にならないだろう。
しかし、ナマだからこそ、また都響だからこそ、管弦打が繰り出すダイナミックな音の洪水を楽しめる。
尤も大好きなチェロ協奏曲や交響曲5番などのように心躍らせるような境地には至らないのは、聴き馴染んでないからかも。


♪2016-128/♪サントリーホール-08

2016年9月17日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第322回

2016-09-17 @みなとみらいホール


サッシャ・ゲッツェル:首席客演指揮者
ライナー・キュッヒル:バイオリン*(ウィーン・フィルコンサートマスター)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ゴルトマルク:バイオリン協奏曲第1番イ短調Op.28*
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
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アンコール*
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン組曲第2番からサラバンド

首席客演指揮者のサッシャ・ゲッツェルが今月で退任するそうで、もう一度22日の県民ホール定期への出番があるもののホームグランドというべき(3種類の定期演奏会の中で一番公演回数が多い)みなとみらいホールでは最後の演奏会となった。

それでメインにマーラーを選んだのかもしれないが、前半に置いたのがゴルトマルクのVn協奏曲第1番て、知らなかったよ。
ブラームスと同世代の中~後期ロマン派。ブラームスよりもロマンチックでメンデルスゾーンに近いか。

これを独奏したのが先月までウィーンフィルのコンマスだったライナー・キュッヒル氏でこちらは名前は知っていたがナマは初聴きだ。

初めて聴いたのに懐かしさを感ずるような作品だったせいか、全体がきれいに流れて特に超絶技巧を披露するといったところはなかったように思うがどうだったのだろう。
この作品よりもアンコールで弾いてくれたJ.S.バッハのサラバンドにむしろハッとした。襟を正されたとでも言うか、とても真摯な音楽だという感じがした。

さて、本日のメインイベントはマーラーの交響曲第5番だ。
冒頭のトランペットにはヒヤヒヤしたが、その後はまずまずか。
一番の心配はホルン・ソロだった(がっかりさせられることが多いから。)。

しかし、今日はどうしたことだろう、ほとんど完璧な仕上がりに驚いてしまった。神奈川フィルで今日のようにきれいなホルンを聴いたのは初めてだ。

そんな訳で冒頭を乗り切った後は、どの楽章も破綻なく、管・弦・打が響き合って壮大なマーラーの世界が繰り広げられて大いに満足した。


♪2016-127/♪みなとみらいホール-33

2016年9月16日金曜日

みなとみらいクラシック・マチネ~名手と楽しむヨコハマの午後~ アンナ・ヴィニツカヤ(ピアノ)

2016-09-16 @みなとみらいホール


アンナ・ヴィニツカヤ:ピアノ

【第1部】
シューマン:子供の情景 Op.15
ブラームス:幻想曲集 Op.116

【第2部】
ショパン:24の前奏曲 Op.28
-----------
アンコール
ショスタコーヴィチ:ロマンス

みなとみらいクラシック・マチネシリーズ第三弾。
このシリーズは、昼の部と午後の部があり、両方聴くとなると拘束時間が3時間半~にもなるので、僕は午後の部だけの会員になっている。
しかし、今回は、昼の部にも魅力があったので別途1回券を求めて両方を聴くことにした。

A・ヴィニツカヤは昨日文化会館で都響とプロコフィエフのピアノ協奏曲2番の華麗な指捌きを聴いたばかりだ。

それが今日は打って変わって初中期ロマン派の固め打ち。
特に昼の部はシューマンとブラームスという願ってもない組合せだ。
そして午後のショパン前奏曲全曲も魅力的。

ピアノ独奏といえば、先日のユジャ・ワンを思い出す。
あの強烈な洗礼を受けてフツーに巧い位では物足りなさも感じてしまうのだけど、流石にやはりこのクラスは自分の世界観を持って、正統ロマン派を十分に楽しませてくれた。


♪2016-126/♪みなとみらいホール-32

2016年9月15日木曜日

東京都交響楽団 第814回 定期演奏会Aシリーズ インバル80歳記念/都響デビュー25周年記念

2016-09-15 @東京文化会館


エリアフ・インバル:指揮
アンナ・ヴィニツカヤ:ピアノ*
東京都交響楽団

グリンカ:歌劇『ルスランとリュドミラ』序曲
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 op.16*
バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz.116
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アンコール
チャイコフスキー:四季 op.37bより4月《松雪草》*


1月半振りに聴く都響の冒頭のルスラン~の第一声にハッとした。なんと引き締まって迫力のあるアンサンブルだろう。文化会館のソリッドな環境が無駄な響を削ぎ落としメリハリを付けて迫ってきてオーケストラを聴いている!という幸福感に包まれる。

プロコフィエフの2番協奏曲は3番同様かなりアクロバティックだが(1番は聴いたことない)、A・ヴィニツカヤが華麗に決めた。彼女のリサイタルを明日横浜で聴くのが一層楽しみになった。

今月の定期ABCとも大御所E・インバルの80歳・都響デビュー25周年を記念し、彼がタクトを振ることになっている。気のせいか、彼のカリスマがなせるものか、いつも巧いとは思うけど、今日の都響は一段と輝きを放った。


♪2016-125/♪東京文化会館-08

2016年9月14日水曜日

横浜交響楽団第673回定期演奏会

2016-09-14 @県立音楽堂


田中健:指揮
横浜交響楽団

グリーグ:劇付随音楽「ペール・ギュント」第1組曲&第2組曲から
第1曲「朝」ホ長調
第2曲「ペール・ギュントの帰郷」嬰ヘ短調
第3曲「ドルヴェイグの歌」イ短調
第4曲「山の魔王の宮殿にて」ロ短調

ラヴェル:バレエ音楽「ボレロ」ハ長調
フランク:交響曲ニ短調

先月はどこのオケもたいていは夏休みで、横響も演奏会がなかったし、プロオケと違って、夏休み特別演奏会の類もなく正味お休みだった。
加えて7月の演奏会が他のコンサートとダブって聴きに行けなかったので、今日は3ヶ月ぶりだった。

この日、午後イチでみなとみらいホールの「徳永二男&仲道郁代リサイタル」を聴き、幕間にギリギリの時間で映画を1本滑り込ませたので時間に追われ紅葉坂を息を切らせて登った。この頃ホンにこの坂がしんどいよ。

久しぶりに聴くペールギュントの第一バイオリンの出だしがきれいなのにびっくりしたが、まあ長くは続かず、全般に管・弦・打のバランスがイマイチだったが、ボレロではそれらを補って余りある仕上がりだった。

「ボレロ」だけでも相当大変だと思うが、このあとのメインイベントがフランクの交響曲ニ短調だ。これも長大曲ではないけど、なかなかドラマティックで演奏も容易ではないように思えるが。
で、この曲も山あり谷ありだったが、終盤はまとまりを見せ華々しく終曲した。

いつも感心するが、アマオケなのに年8回もの定期をこなし、今日で673回目というのは全国でも例がないのではないか。
色んな分野の音楽に果敢に挑戦して格安で聴かせてくれる横響はまことにありがたい。


♪2016-124/♪県立音楽堂-09

みなとみらいアフタヌーンコンサート2016後期 アニヴァーサリー・デュオ! 徳永二男 & 仲道郁代

2016-09-14 @みなとみらいホール


徳永二男:バイオリン
仲道郁代:ピアノ

ベートーベン:バイオリンソナタ第1番ニ長調作品12-1
同:第5番「春」ヘ長調作品24
同:第9番「クロイツェル」イ長調作品47
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アンコール
クライスラー:ベートーベンの主題によるロンディーノ


みなとみらいアフタヌーンコンサート2016後期の幕開けが両御大の音楽活動50年&30年記念コンサート。
オール・ベートーベンプロで、ソナタ1、5、9番という絶好の組合せ。

仲道女史は先月も日フィルとの共演を聴いたばかりだったが、徳永氏はN響コンマスとしてはともかくソリストとしては初めて。
ホールの音響などのせいもあったかもしれないけど、御面相に似合わない優しく柔らかな音色に驚いた。

1番のソナタは僕にはイマイチ噛み合っていないような気がしたのは、そもそも聴き慣れていないからかもしれないが、5番、9番とだんだん良く鳴る法華の太鼓。
曲間の2人のおしゃべりも軽快でスーパースターのデュオとも思えない贅沢で愉快な午後のひとときを過ごせた。


♪2016-123/♪みなとみらいホール-31

2016年9月12日月曜日

国立演芸場9月中席

2016-09-12 @国立演芸場


落語 三遊亭百んが⇒都々逸親子
落語 三遊亭わん丈⇒プロポーズ
落語 三遊亭究斗⇒お菊の皿
漫才 ホームラン
落語 柳家甚語楼松曳き
落語 林家正雀⇒紙屑屋
―仲入り―
落語 夢月亭清麿⇒時の過ぎゆくままに
落語 柳家小ゑん⇒ほっとけない娘
奇術 ダーク広和
落語 三遊亭円丈⇒悲しみは埼玉に向けて

毎回同様だが、面白いのあり、眠いのもあり。
*究斗は初聴きだが劇団四季出身だけ歌もうまく声量もあって今後も楽しみ。
ホームランの漫才は通販をネタにした話がリアルで傑作。

*円丈の新作(もはや旧作?)落語「悲しみは~」は結構有名らしいが初めて聴いた。
「北千住」から始まって埼玉方面までを小バカにして笑いを取るのだけど如何なものか。
もちろん、笑ったけど何度も聴く噺じゃないな。


♪2016-122/♪国立演芸場-11

2016年9月11日日曜日

ミューザ モーツァルト・マチネ 第26回

2016-09-11 @ミューザ川崎シンフォニーホール


大友直人:指揮
大谷康子:バイオリン
東京交響楽団

≪オール・モーツァルト・プログラム≫
バイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216
交響曲 第39番 変ホ長調 K.543

長らく東響の看板コンマスを昨年度末に退任した大谷康子が久々に東響と組んでモーツァルトを弾く。
いくつになってもお姫様!
愛想よくて可愛らしい彼女にはモーツァルトがよく似合う。

ここ数日超特大編成の音楽を連続して聴いていたが、モーツァルトの時代に合わせた小振りの編成の古巣東響とお姫様との呼吸も合って、演奏する側にも力みがなく観客もリラックスして、サロンコンサート風な企画を楽しんだ。

協奏曲第3番は、遊び心に満ちて音楽の悦びに溢れているように思う。
今日は、カデンツアが彼女の自作だったが、これもちょっとお遊びを交えた楽しい出来栄えだった。

交響曲第39番もすっきりと軽快で好感。


♪2016-121/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-23

2016年9月10日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第320回横浜定期演奏会

2016-09-10 @みなとみらいホール


大井剛史:指揮
ソプラノ:半田美和子
アルト:手嶋眞佐子
テノール:望月哲也
バリトン:甲斐栄次郎
ボーイソプラノ:野沢晴海
ほか声楽独唱8人(合唱兼務)

日本フィルハーモニー交響楽団
日本フィルハーモニー協会合唱団

メンデルスゾーン:オラトリオ「エリヤ」 Op.70


2日前にN響「千人の交響曲」を聴いたばかりだが、今日は今季オープニング、日フィル60周年ということもあってか、定期演奏会なのにメンデルスゾーンの大曲オラトリオ「エリア」全曲。
音楽正味130分(さすがに途中休憩が入った。)。オルガン付き管弦楽に大合唱団、独唱5人+8人。

めったに聴けないどころか、ナマは初聴き。それも定期で。太っ腹な日フィルにブラボー。
CDは持っている(メンデルスゾーンはCD化されてものはほとんど網羅しているはず。)ので、一度くらい聴いたことはあったのだけど、こんなに聴いていて楽しい音楽だとは思わなかった。
旧約聖書「列王記」を中心に預言者エリアの活躍を描いているが、これがなかなかのドラマなのだ。

初期ロマン派のメロディーメーカーだけあって耳に馴染む明快な旋律の一方で預言者エリアの闘いを劇的に表現して飽きさせない。
声楽陣が素晴らしかった。合唱も実にうまい。
管弦楽はあまり目立たないのだけど声楽とうまく溶け合って見事なアンサンブルだった。

これまで日フィルを結構の回数聴いている(2014年以降は記録しているので今日までに30回)が、日フィル鑑賞歴で最高のコンサートとなった。音楽も良かったし、演奏も良かった。それにみなとみらいホールの音響の良さもやっとこさ感じた(全体として良いホールだけど場所を選ぶと思っている。)。

いつも目立たない指揮者の大井剛史氏には常から好感を持っているけど、ホンに良い仕事をしてくれたと思う。


♪2016-120/♪みなとみらいホール-23

2016年9月8日木曜日

N響90周年特別演奏会千人の交響曲

2016-09-08 @NHKホール


パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
ソプラノ:エリン・ウォール/アンジェラ・ミード/クラウディア・ボイル
アルト:カタリーナ・ダライマン/アンネリー・ペーボ
テノール:ミヒャエル・シャーデ
バリトン:ミヒャエル・ナジ
バス:アイン・アンガー

NHK交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団/栗友会合唱団/NHK東京児童合唱団

マーラー:交響曲第8番変ホ長調「一千人の交響曲」

N響ホームページから
N響90周年の特別演奏会第一弾。
滅多にナマでは聴けない超大規模曲で前回はほぼ2年前に県民ホールのリニューアル完成記念の神奈川フィルほかの演奏会だった。その時がナマで聴く初めての経験だったが、この大げさな音楽に気持ちを揺り動かされながらも抵抗感も募らせていたのを覚えている。元々マーラーは(同じ意味でブルックナーも)あまり好きになれないでいた。

今にして思うと、やはり、彼(ら)の長大音楽はCDなどでは真価が発揮できないのだろう。
ナマのオーケストラで聴く回数が増えるに連れて抵抗感は和らいで、むしろ、たまには大規模管弦楽と声楽による大パノラマのような音楽をベッタリと味わってみたくなる。

今回は、2年ぶりだし、N響+パーヴォという組合せはいつも引き締まった音楽を聴かせてくれるので大いに楽しみにしていた。

冒頭の低弦にかぶさってオルガンが入り2小節目からもう合唱が高らかに歌い始めるという最初から出し惜しみのない大盤振る舞い。ここでもう惹きこまれてしまう。
全体の1/3を占める第一部が終わると短い休止があったが、予告どおり休憩はなく第2部に突入。

N響ホームページから
打って変わって静かで落ち着いた滑り出し。全体に第2部は「ファウスト」の終幕の場を8人の声楽ソロ、大管弦楽団と大合唱団で演ずるもので、音楽的にもファンタスチックなムードが続く。
何を歌っているのか。だいたい「ファウスト」自体を読んでいないし、プログラムには対訳歌詞も掲載されているが、それを見ているゆとりもない。事前の勉強によれば、大雑把に言えば、内容は呆れるほどに女性賛歌だ。これを踏まえて、まあ、ここではこんなことを歌っているのだろうな、と想像しながら目眩く大宇宙を彷徨った。
終演後は3,600人観客席も熱狂歓呼の大合唱。
N響ホームページから


2016-119/♪NHKホール-07

2016年9月5日月曜日

秀山祭九月大歌舞伎 昼の部

2016-09-05 @歌舞伎座


右田寅彦 作
松岡 亮 補綴
一 碁盤忠信(ごばんただのぶ)
佐藤忠信⇒染五郎
塩梅よしのお勘実は呉羽の内侍⇒菊之助
右平太⇒歌昇
左源次⇒萬太郎
万寿姫⇒新悟
三郎吾⇒隼人
小車の霊⇒児太郎
浮橋⇒宗之助
壬生の小猿⇒桂三
摺針太郎⇒由次郎
宇都宮弾正⇒亀鶴
江間義時⇒松江
番場の忠太⇒亀蔵
横川覚範⇒松緑
小柴入道浄雲⇒歌六

岡村柿紅 作
二 太刀盗人(たちぬすびと)
すっぱの九郎兵衛⇒又五郎
田舎者万兵衛⇒錦之助
従者藤内⇒種之助
目代丁字左衛門⇒彌十郎
 
三 一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)
檜垣/奥殿/三代目中村吉之丞襲名披露
一條大蔵長成⇒吉右衛門
吉岡鬼次郎⇒菊之助
お京⇒梅枝
八剣勘解由⇒吉之助改め吉之丞
鳴瀬⇒京妙
茶亭与一⇒橘三郎
常盤御前⇒魁春


3作の内前2作は初めてだったが、いずれもよくできていて、それぞれに異なる歌舞伎の味わいを楽しめた。

「碁盤忠信」は「碁盤」が付くからといって忠臣蔵のスピンオフ「碁盤太平記」とは全然関係がない。しかしここに登場する「忠信」は「義経千本桜」の忠信と同一人物らしいが、「義経~」では狐として登場するので、両者の関係は分からない。まあ、別々に歴史上の人物をヒントに面白おかしく作り上げた物語だろうから、首尾一貫していなくとも問題では無いのだろう。

ま、ともかく、やたら碁盤を持って暴れるのだが、その様(荒事)が見どころで、実に歌舞伎の一つの典型を見る思いだ。

染五郎、菊之助、松緑という人気役者が揃うのだけど、あいにく、松緑の出番があまりに少ないのが残念だった。

「太刀盗人」は狂言を移し替えたもので、ほぼ、狂言そのものと言ってよい。
大勢の人で賑わう都に出てきた田舎者の万兵衛(錦之助)が持っていた刀をスリの九郎兵衛(又五郎)が市中の雑踏(…と言っても舞台には2人しか登場しないのも狂言の形を踏襲している。)の中で奪おうとする。盗られまいと刀を離さない万兵衛との間で、口論が始まり、変事を聞いてお役人(彌十郎)が駆けつけ、一体どちらに所有権があるのかの詮議始める。やがて泥棒の方は役人の追及に耐えかねてとうとう逃げ出す。「やるまいぞ、やるまいぞ」と追う役人と万兵衛。まさしく狂言仕立てのおかしさ。

「一條大蔵譚」は4年近く前に国立劇場で同じ吉右衛門の一条大蔵卿(と鬼一法眼の2役)主演で「鬼一法眼三略巻」清盛館・菊畑・檜垣・奥殿の構成で見たことがあり、2年前の秀山祭では菊畑を観ている(この時の鬼一法眼は歌六)が、どうも、話として各段の連携は密でなく(だからこそ、それぞれ独立して上演されるのだろうが)、なかなか頭に入ってこない。
ま、源氏再興のために阿呆のふりをしている一条大蔵卿が、ここぞという場面で正気を表し悪党を成敗するというまあ格好いい話だ。吉右衛門にとっては家の芸だそうで、身のこなし、セリフ回しの使い分けが面白い。
ふりをしている、のは大蔵卿だけではなくその妻常盤御前(魁春)も源氏への思いも忘れ揚げ弓に興じてばかりで、様子を見に来たかつての家来筋に当たる鬼次郎夫婦(菊之助・梅枝)は呆れ果てて弓を取り上げ打擲する始末。実は、これも世を忍ぶ仮の姿という訳でその後に常盤御前の長台詞で真実が明らかにされる。
話の流れは、このことがあってから、大蔵卿の阿呆ぶりも仮の姿であることが明らかになるので(観客は既にこの話の筋書きを知っているから驚きもしないが)、鬼次郎夫婦は大いにびっくりしただろうと、ちょいとおかしくなってしまう。
面白ければなんでもありだ。

♪2016-118/♪歌舞伎座-06

2016年9月4日日曜日

ユジャ・ワン ピアノ・リサイタル

2016-09-04 @県立音楽堂


ユジャ・ワン:ピアノ

シューマン:クライスレリアーナ 全曲
カプースチン:変奏曲op.41
*****
ベートーベン:ピアノ・ソナタ 第29番 変ロ長調 作品106
「ハンマークラヴィーア」
 ------------
アンコール
プロコフィエフ:ソナタ 第7番より第3楽章
ラフマニノフ:悲歌 op.3-1
カプースチン:トッカティーナ
ショパン:バラード 第1番 op.23
モーツァルト:トルコ行進曲(ヴォロドス/ファジル・サイ編曲)


当初から演奏曲目の変更可能性が予告されていたが、前半のスクリャービン、ショパン、グラナドスの5曲はあっさりと変更されてシューマン「クライスレリアーナ全曲」とカプースチン「変奏曲作品41」になったが、後半の大曲、ベートーベン「ピアノソナタ第29番ハンマークラヴィーア」は無事だった!

プログラムはともかく、今日は眼と耳とハートを鷲掴みされてしまった。
放送やYoutubeで演奏ぶりは知っていたけど、ナマのステージを見て・聴いて、大いなる衝撃を受けた。

前半は黒に銀ラメのはいったロングドレス。上半身は穴だらけの水着の如く露出度が高い。
休憩を挟んでベートーベンに向かった時は白銀色の生地に銀ラメの超ミニスカートのドレス。
前から5列目で目がテンになった!

衣装や、ステージ態度も超個性的(眼福モノ)だが、音楽も切れ味が鋭くダイナミックレンジも広い。

また、音楽堂のスタインウェイがこんなにもよく鳴るのかという点でも驚きだったが、シューマン、ベートーベン、ショパンはいずれもかつて聴いたことがないような音楽で、大変なカルチャーショックだった。

これは、ナマ故の遊び心や実験的試みもあったのではないか。

アンコールは超絶技巧版トルコ行進曲ほか大サービスの全5曲!

ユジャ・ワンがカーネギーホールでデビューリサイタルを開いた時に、NYタイムスは「開いた口が塞がらない」と評したそうだが、確かに、只者ではない。
今、僕は、所謂ピアノの名手の演奏を聴きたくて仕方がない。
でないと、これまでのピアノ音楽観が狂ってしまいそうでしようがないからだ。CDやビデオではダメだ。腹に響いてくるグランドピアノのそばで聴きたくて仕方がない。


♪2016-117/♪県立音楽堂-08

2016年9月1日木曜日

国立演芸場9月上席

2016-09-01 @国立演芸場


落語 昔昔亭金太郎⇒子ほめ
落語 春風亭昇羊⇒二人だけの秘密
落語 春風亭愛橋⇒のっぺらぼう
落語 桂枝太郎⇒お見立て
奇術 北見伸&スティファニー
落語 桂歌春⇒たがや
―仲入り―
コント ザ・ニュースペーパー
落語 三遊亭笑遊⇒やかん
紙切り 林家花
落語 昔昔亭桃太郎⇒春雨宿

今日の収穫は桂歌春と三遊亭笑遊。
特に笑遊は初めて聴いたが独特のおかしさだ。ほとんどニコリもせず時にお客が叱られているようなでかい声が迫力。立て板に水の講釈混じりの薬缶の謂れに笑ったよ。
この笑遊の「やかん」が熱演だったので、ひょっとして時間オーバーだったのかな?続く女流紙切りがわずか2作品だけになってしまったのは残念だ。

奇術の北見伸&スティファニーは前にも見ているのだけど、本当にうまいなあ。すぐそば(前から3列目)で凝視しているのだけど、手つきの鮮やかさや大仕掛の人間解体ショー?など、一体ブラックボックスの中はどうなっているのだろうと思う。
まあ、気持ちよく騙されるのが正しい鑑賞法なのだろうけど。


♪2016-116/♪国立演芸場-10