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2024年4月14日日曜日

NHK交響楽団2007回A定期 04月公演

2024-04-14 @NHKホール



マレク・ヤノフスキ:指揮
NHK交響楽団

シューベルト:交響曲第4番ハ短調 D. 417「悲劇的」
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68





ヤノフスキはN響とのコンビしか聴いていない。
N響定期以外に東京春祭のオペラ・ワーグナーシリーズもいくつか聴いている。

しかし、見事にドイツものばかりだ。ワルシャワ生まれだけどドイツ育ちで、音楽の得意分野もドイツ音楽らしい。
こういう人のドイツ音楽は、安心して聴ける。おそらく、最も王道を極めつつあるのだろうな。

…と思って楽しみに拝聴したが、正統すぎて、存外淡白なドイツ音楽だった。そう聴こえたのは、たまたまその日の僕の体調のせいかもしれない。

N響の場合は、ほぼ全回?TV放送されるので、自分が会場で聴いた時の音楽と後日放送で聴く時では、印象が変わることも再々あるのでアテにはならない。

シューベルトの交響曲第4番は2〜3年に一度聴く程度なので、ほとんど馴染みがないけど、「悲劇的」なのは冒頭だけで、ほぼ全編明るく調子が良い。19歳の作だそうだ。

ブラームスの1番。いつ聴いてもよくできた音楽だと感心するが、もうちょっと、情緒的、情熱的な部分が欲しかったが、禁欲的なブラームスとしてはこんなところが正解なのかもしれない。

今日は振替席で聴いた。劣悪な席にふ振替られることが多いが、ラッキーなことに本来席とほぼ同じ場所でとても良かった。

♪2024-053/♪NHKホール-03

2022年3月30日水曜日

東京・春・音楽祭 ワーグナー・シリーズ vol.13 《ローエングリン》

2022-03-30 @東京文化会館


マレク・ヤノフスキ:指揮

NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:エベルハルト・フリードリヒ、西口彰浩
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン 

ローエングリンTn:ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー
エルザSp:ヨハンニ・ファン・オーストラム
テルラムントBsBr:エギルス・シリンス
オルトルートMs:アンナ・マリア・キウリ(エレーナ・ツィトコーワの代役)
ハインリヒ王Bs:タレク・ナズミ
王の伝令Br:リヴュー・ホレンダー

ワーグナー:歌劇《ローエングリン》
(全3幕)<演奏会形式/ドイツ語上演/字幕付>

予定上演時間:約4時間20分
 第Ⅰ幕   60分
  休憩  30分
 第Ⅱ幕   80分
  休憩  30分
 第Ⅲ幕   60分

ワーグナーなら何でも好き!という訳ではなく、昔から、この作品は苦手。話に深みがなく子供っぽい。饒舌なのに進行は遅い。魅力的な音楽に乏しい。


で、今回はパスするつもりいたところ、発売日をだいぶ過ぎてから気が変わって参戦。

なので、良い席が取れなかった。


オケはピットではない分、ストレートに響く。

歌手たちは、Eシリンス以外初聴きばかりだった。


急遽交代したAMキウリは完璧ではなかったようだが、それにしてもみんな巧い。

オペラパレスより500席も広い空間で背中にオケを背負っても朗々たる歌唱。


騎士役(ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー)とエルザ姫(ヨハンニ・ファン・オーストラム)の2人は特に美声だった。


あまり気が進まないまま買ったチケットは、1階〜3階の中央が売切れで3階壁際バルコニーだった。

知ってはいたけど、椅子は舞台を向いていない。

字幕を見るには30度、指揮者を見るには45度、歌手全員見るには90度は身体を捻らなくてはならない。

正味200分。どれほど苦痛であったか!

もう、金輪際壁際は買わない。


♪2022-045/♪東京文化会館-07

2018年12月27日木曜日

N響スペシャル「第九」 ---「第九」❻

2018-12-27 @サントリーホール


マレク・ヤノフスキ:指揮
NHK交響楽団
東京オペラシンガーズ:合唱

勝山雅世:オルガン*
藤谷佳奈枝:ソプラノ
加納悦子:メゾ・ソプラノ
ロバート・ディーン・スミス:テノール
アルベルト・ドーメン:バリトン

ブクステフーデ:前奏曲 ニ長調*
J.S.バッハ:パストラーレ ヘ長調 BWV590 ― 第1楽章*
ギルマン:オルガン・ソナタ 第1番 ニ短調 作品42 ― 第3楽章*
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

ヤノフスキ+N響は過去3回聴いてすべて好感したので期待大。

だが、彼がプログラムの解説で第3楽章こそ最重要と書いているのは説明不足で余計なことだった。確かに第3楽章は極めて美しい緩徐楽章に違いないが、この記述だけだと偉大なる終楽章の位置付けはどうなるのか、などと不安が生ずる。
「第九」は第1楽章、第2楽章、終楽章がアレグロ、ヴィバーチェ、プレストなど超速テンポなので、そこに挟まれたアダージョが荒れ野に咲く花のように高潔な美しさを誇っているが、さりとて、他楽章がなければ第3楽章の美しさも際立つことはなかった。
さあ、これから「第九」を聴くぞ、と心待ちしている観客を混乱させるだけだから書かない方が良かった。

オケの規模は昨日の都響と同じ弦16型(全員で60人)の大規模編成。
合唱団は91人と比較的小規模だが、舞台後方席(P席)を全部潰して並んだ。今季「第九」は6回目だが、うち舞台後方席がない県民ホールでの神奈川フィルを除けば過去4回中4回とも合唱団は舞台のオケの後ろに並んだ。
オルガンの前の観客席を潰して合唱団を並べたのはN響が初めてだ。これは効果的で、オケもゆったり舞台を占拠できる。何より、P席は舞台よりずっと高い位置にあるので、客席からは見上げる事になる。すると、合唱は高いところからストレートに観客席に向かってくる…ような視覚効果があって、それが迫力を高める。

第1楽章冒頭、原始の雲を切り裂くようにバイオリンがきらめいたのは読響だ。N響の場合はバイオリンは曙光が射すように穏やかに登場して、これはまた新しいドラマが始まることを予感させた。

N響の弦の響きは重厚だ。
それでいて細部まで機敏。
メリハリがあってさすが格違いのアンサンブル。

2楽章は反復省略なしで今季聴いた6本の「第九」中演奏時間は最長(13分33秒)。因みに最速記録は都響の10分7秒(繰り返しの省略のためでもある。)。
<最重要>な割に第3楽章はキビキビして13分強で、逆に今季最速。因みに最長は都響の14分55秒。
終楽章もアップテンポで22分33秒。
全体として正味62分はコンパクトな方だ。

楽章毎の時間配分はザネッティ指揮の読響によく似ている。

いくつかのフレージングにヤノフスキが独自色を発揮した。
第3楽章の管と弦の掛け合い。
後述する終楽章のレシタティーヴォ。そのあとのバリトン独唱の出だしなど。

その最たるものが、終楽章低弦のレシタティーヴォ。
チェロとコントラバスの呼吸がヤノフスキと一致していない。今季既に5回目の第九なのにまだピシッと合わないのはヤノフスキの呼吸が独自すぎだからだ。また都響同様10人もの多人数で息を合わせるのも難しいだろう。

やや不満も残ったが合奏力は群を抜いているので、読響に90点をつけたからにはN響は95点!
でも、もう一度聴いてみたいのはどちらかと言われれば、ザネッティ+読響だなあ。

♪2018-179/♪サントリーホール-16

2017年11月11日土曜日

N響第1870回 定期公演 Aプログラム

2017-11-11 @NHKホール


マレク・ヤノフスキ:指揮
NHK交響楽団

フルート:甲斐雅之
オーボエ:青山聖樹
クラリネット:松本健司
ファゴット:宇賀神広宣
ハープ:早川りさこ

ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
ヒンデミット:木管楽器とハープと管弦楽のための協奏曲
ベートーベン:交響曲第3番変ホ長調 作品55「英雄」

マレク・ヤノフスキを初めて聴いたのは16年ぶりにN響に客演した3年半前のブルックナー第5番だった。その時に初めてブルックナーがいいなあと思った。
次に聴いたのが今年4月の「神々の黄昏」(演奏会方式・文化会館・N響)で、これはもう、こう言っちゃ悪いが、誰が振ったって素晴らしいのだけど、特にN響の演奏が引き締まっていたのはやはり、ヤノフスキの力なのかもしれない。

ヒンデミットの2曲は初めて聴いた。つまらない。
2曲めは木管4本が指揮者の前で、ハープが指揮者の後ろで5人が指揮者を取り囲むように円陣を組んだ。彼らが独奏だから当然だ。
でも、彼らの後ろのオケには木管が一人もいない。この作品のオーケストレーションにおいて、木管は4種4管しか使われていないのだから、後ろで吹いていても音楽に変わりはないのだけど、一応独奏だから、「晴れ舞台」に出したのだろうな。

この木管が指揮者を取り囲むスタイルは、昨秋のウィーン・フィル(+ズービン・メータ)がシューベルトの交響曲第8番で初めて見て驚いた。今日のヒンデミットは一応協奏曲なのだから独奏楽器を前に配置するのは納得できるが、交響曲で木管パートを全員(8人)最前列で円陣を組ませるというのは一体何の意図だったか、未だに分からない。ま、一定の距離をもって聴く分には木管が舞台のどこに配置されていようとあまり音楽に関係ないのだと思うが。
でも、関係ないなら、定位置でやってほしかったな、と今頃までウィーン・フィルへの恨み言。

プロの演奏でベートーベン「英雄」を聴くのは昨夏の日フィル以来。ヤノフスキのテンポが良かった。速やめだ。これが好きだ。速いけど、オケは隅々まで神経が行き届いていてがさつさは無い。
第3楽章が終わると、間髪入れず第4楽章に入った。これがいい。ここをゆっくり休憩などしていると緊張感が損なわれてしまう。
ヒンデミットなどの退屈音楽を聞いた直後に正々堂々のベートーベンで大いに気分を持ち直した。やはり、ベートーベン。何と言ってもベートーベン。よく考えて音楽が作ってあるなあ、と感心する。

ところで、この日の編成はフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットはベートーベンの指定の≪倍管≫で各4人ずつだった。
これも迫力があって良かった。

2017-177/♪NHKホール-10

2017年4月4日火曜日

東京・春・音楽祭 『ニーベルングの指環』第3日 ≪神々の黄昏≫ (演奏会形式/字幕・映像付)

2017-04-04 @東京文化会館


ワーグナー:舞台祝祭劇『ニーベルングの指環』第3日《神々の黄昏》
(全3幕/ドイツ語上演)

マレク・ヤノフスキ:指揮
NHK交響楽団
ゲストコンサートマスター:ライナー・キュッヒル
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:トーマス・ラング、宮松重紀
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン
映像:田尾下哲

ジークフリート:アーノルド・ベズイエン
グンター:マルクス・アイヒェ
ハーゲン:アイン・アンガー
アルベリヒ:トマス・コニエチュニー
ブリュンヒルデ:クリスティアーネ・リボール
グートルーネ:レジーネ・ハングラー
ヴァルトラウテ:エリーザベト・クールマン
第1のノルン:金子美香
第2のノルン: 秋本悠希
第3のノルン:藤谷佳奈枝
ヴォークリンデ:小川里美
ヴェルグンデ:秋本悠希
フロースヒルデ:金子美香

「指環」全4作の完結編だ。今日のは≪演奏会形式≫(といっても超大型スクリーンに背景映像が投影されるので、単なる演奏会を超えてオペラ<楽劇>らしさはそれなりに表現される。)。

新国立劇場での≪本物≫シリーズは今年6月に「ジークフリート」、10月に「神々の黄昏」で完結する。いずれもチケットは購入済みなので今日の演奏会形式は恰好の予習を兼ねた。

しかし、今回の大役というべきジークフリートを演ずる歌手(ロバート・ディーン・スミス)が急な体調不良で急遽アーノルド・ベズイエンなる歌手に交代したそうだ。そもそもどちらの歌手も知らない人なので、知らされなければ急の代打とは思わなかったろう。素人の目にも耳には4月にも見事な歌唱だったと思う。

さて、好きとはいえ休憩込みで5時間20分という超長尺は老体に堪えるが、終盤に本篇随一の聴かせどころ「ジークフリート葬送行進曲」ではやはりの絶頂感。そしてテーマの普遍性を再確認した。

歌手たちも、N響も文句の言いようがない素晴らしさだったし、大勢の演奏陣を長時間束ねて緊張度の高い音楽を構成したヤノフスキの功績も大なるものがあるのだろうが、何より、ワーグナーはよくぞ「指環」を遺してくれたと感謝の念が沸々と湧いてきたよ。

♪2017-51/♪東京文化会館-05

2014年4月13日日曜日

N響第1778回 定期公演 Aプログラム

2014-04-13 @NHKホール


マレク・ヤノフスキ指揮:NHKホール交響楽団

ブルックナー:交響曲 第5番 変ロ長調(ノヴァーク版)

率直にいえば、ブルックナーは苦手(ほかにも苦手の作曲家はいるけど。)!
何しろ、長大交響曲作家だ。合唱曲や室内楽などもあるらしいが、聴いたことはない。
0番から9番までの交響曲はいずれも演奏時間が1時間前後を要し、今日の第5番は80分だ(それで、今日の演奏曲目はこの1曲だけで、当然休憩はない。)。

長いだけではなく、覚えやすい旋律はほとんどないので、つまり、馴染みにくい。で、敬遠する。ますます楽しめない、という悪循環だ。

それでも、定期演奏会などで取り上げられると、逃げようもなく対峙しなければならないが、生で聴くと家で聴くのとは大違いで、壮大なオーケストレーションに案外良かったなあ、と思って帰る。

しかし、やはりその程度のことで終わってしまい、自発的に聴きたいとはなかなか思えない作曲家だ(った!)。


今回は、久しぶりのN響だし、出し物はこれだけ!なので、是非とも楽しみたい、と思って、随分耳慣らしをしたが、結果的には虚しい努力だった。

意外にも、冒頭のppの低弦のピチカートで、もうすんなりとブルックナーの世界に入り込むことができた。霧が一瞬にして晴れたような感覚だ。
第2楽章は僕の耳には冗長な感じもするが、第3楽章が気分を変えてくれ、終楽章はもう怒涛の未体験ゾーンに入る。

終楽章に来てよく分かった。第1楽章の再現から始まって第2楽章の主題も織り込まれている。そしてクライマックスにかけても第1楽章の第1主題が再現されて、なるほど、これは巧緻に設計された構造物だと得心した。


こういう感覚や理解は、大編成のオーケストラの生演奏で初めて感得したことだ。
すべての楽器の音が埋没すること無く聴こえるから、曲の構造の手がかりを掴めたのだ。

家で緊張感なくCDをいくら回しても、散歩の折にiPodで繰り返し聴いていても、ブルックナーのような長大で、壮大で、仕掛けに満ちた音楽は、なかなか心に届くものではないのだとよく分かった。
故にそれらは虚しい努力だった。

しかし、一度手がかりを得ると、次からは観賞態度がおぼろげではあるけど固まってくるので、同じiPodで聴いていてもこれまで聴き取れなかった音が聴こえてくるだろうと思う。

まあ、今日はそんなふうな体験をした。

ここ1年では別のオケで3番と7番を聴いているが、今日ほどブルックナーを味わったことはなかった。
N響がうまいからか、僕の蓄積が効いたのか、よく分からないけど、苦手意識が激減したのはうれしい。しかし、深みに嵌りそうな作曲家でもあるから要注意だな。

マレク・ヤノフスキという指揮者は初めて聴いたが、まあ、このクラスになると当たり前かもしれないが、この長大なスコアを暗譜している。そうでなければ、とてもこの音楽を自分のものにはできないのだろう。
クライマックスが来て終曲するのが惜しい!と思うほど素晴らしい音楽体験だった。

これだけの大曲だから、アンコール演奏はなかったが、アンコールなど聴きたくもないという思いだった。
なかなかこういう経験はできないものだ。忘れがたいコンサートになった。


♪2014-30/♪NHKホール-01