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2018年11月27日火曜日

新国立劇場オペラ「カルメン」

2018-11-27 @新国立劇場


指揮:ジャン=リュック・タンゴー
演出:鵜山仁
美術:島次郎
衣裳:緒方規矩子
照明:沢田祐二
振付:石井 潤

合唱⇒新国立劇場合唱団
管弦楽⇒東京フィルハーモニー交響楽団

カルメン⇒ジンジャー・コスタ=ジャクソン
ドン・ホセ⇒オレグ・ドルゴフ
エスカミーリョ⇒ティモシー・レナー
ミカエラ⇒砂川涼子
スニガ⇒伊藤貴之
モラレス⇒吉川健一
ダンカイロ⇒成田眞
レメンダード⇒今尾滋
フラスキータ⇒日比野幸
メルセデス⇒中島郁子

ビゼー:「カルメン」全3幕〈フランス語上演/字幕付〉

予定上演時間:約3時間35分
第Ⅰ幕55分
 --休憩25分--
第Ⅱ幕45分
 --休憩25分--
第Ⅲ幕65分

17年1月公演と同演出だが主要キャストはミカエラ(砂川涼子♡)以外は総変わり。
が、カルメン役もエスカミーリョ役も、それぞれの役が得意の声域ではないように思えた。低域が中高域に比べてすっきりと出ていない、地声風の箇所があった。

それに何より残念なのはカルメンに華やかさや妖しさが不足していた点だ。でも、これは、前回との比較でそう思ってしまうのであって、今回を初めて観た人には満足できたのかもしれない。

美術・衣装とも前回と同じだったが、第1幕のタバコ工場の女工たちが大勢登場するシーンの彼女達の衣装の色彩設計の妙に、今回は感心した。
4、50人居たろうか、その大勢の衣装の色合いが実に美しい。原色といえば白と黒だけ、それも極めて少ない。他の色合いはベージュを基調にした〜といってもカラフルではある〜とはいってもすべてパステルカラーの穏やかさ、渋さがある。
この色彩設計が衣装担当によってもたらされたのか、美術担当の仕事なのか分からないが見事で、このシーンは一幅の名画のようでもあった。これもオペラ観劇の楽しみの一つだなと得心した。もっとも前回はほかの事に気を奪われて衣装の色彩には気がつかなかったが。

いずれにせよ、次々と繰り出されるお馴染みの名曲・名旋律。
「カルメン」は頭から尻尾まで餡が詰まった鯛焼きの如し。


♪2018-156/♪新国立劇場-12

2017年1月25日水曜日

オペラ「カルメン」

2017-01-25 @新国立劇場


指揮:イヴ・アベル
演出:鵜山仁

合唱指揮:三澤洋史
合唱:新国立劇場合唱団
児童合唱:TOKYO FM 少年合唱団
ダンサー:新国立劇場バレエ団
管弦楽:東京交響楽団

カルメン:エレーナ・マクシモワ
ドン・ホセ:マッシモ・ジョルダーノ
エスカミーリョ:ガボール・ブレッツ
ミカエラ:砂川涼子
スニガ:妻屋秀和
モラレス:星野淳
ダンカイロ:北川辰彦
レメンダード:村上公太
フラスキータ:日比野幸
メルセデス:金子美香

ジョルジュ・ビゼー:オペラ「カルメン」 全3幕
〈フランス語上演/字幕付〉


カルメンは演奏会形式では何度か聴いた。特に年末のシャルル・デュトワ+N響による全曲演奏は、細部まで神経の行き届いた演奏自体が素晴らしく、ビゼーの傑作が、なにゆえに傑作であるのかをしっかりと理解させてくれたように思った。

その上で、新国立劇場の本格的な舞台版「カルメン」だ。
期待値は相当高い。

しかし、東響が演奏する前奏曲が始まった途端、これはすごいものが観られそうだという予感が。
前奏が終わって高い天井から吊り下げられた幕が左右に開くと大勢の群衆たちだ。
「カルメン」はこういうモブ・シーンが多い。それが舞台のエネルギーとなっているようだ。

日本人歌手の数人はかつて舞台に接したことがあったが、主要な役を演ずる外国人歌手についてはどれほどの名手なのかまったく知らない。まあ、みんな巧い。声が大きくてよく通る。この点に関しては日本人歌手も負けてはいなかった。
特に、ミカエラを歌った砂川涼子が、と言うか、そもそもミカエラのアリアが哀切極まりなくて胸を打つのだけど、これを上手に歌った彼女が強く印象に残った(6月に日生劇場で「ラ・ボエーム」を観ることにしているが、その主役ミミを彼女が歌うので、これは楽しみだ。)。

N響の「カルメン」でもどちらかと言えばミカエラが好印象だったが、やはり、清純・誠実で控えめな役柄はカルメンとは好対照だし、カルメン役がほとんどメゾ・ソプラノであるのに対して、ミカエラはソプラノであることも歌唱効果の面で有利なのかもしれない。

この2人の女性の人生ドラマを味わいながら、僕は「風と共に去りぬ」のスカーレットとメラニーを思い浮かべていた。スカーレットは魅力的だが並の人間にはコントロールすることができない。
カルメンもまた然り…。

管弦楽演奏、歌唱、ドラマ、舞台、照明、美術がいずれも素晴らしく(演出も優れているのだろう。)、実にラグジュアリーな至福の3時間半。

♪2017-011/♪新国立劇場-1