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2020年11月20日金曜日

11月歌舞伎公演第1部

 2020-11-20 @国立劇場

【第一部】
近松門左衛門=作
国立劇場文芸研究会=補綴
平家女護島(へいけにょごのしま)-俊寛-
            国立劇場美術係=美術

序幕 六波羅清盛館の場
二幕目 鬼界ヶ島の場

平相国入道清盛/俊寛僧都   中村吉右衛門
海女千鳥           中村雀右衛門
俊寛妻東屋/丹左衛門尉基康    尾上菊之助
有王丸                         中村歌昇
菊王丸                           中村種之助
平判官康頼                          中村吉之丞
越中次郎兵衛盛次               嵐橘三郎
丹波少将成経                        中村錦之助
瀬尾太郎兼康                        中村又五郎
能登守教経                          中村歌六



所謂「俊寛」〜鬼界ヶ島。

吉右衛門、菊之助、雀右衛門。
役者が揃ったせいか、コロナ隆盛にも関わらず市松満席近い。

考えてみれば鑑賞・観劇は他人と対面する事は少なく、客は無言で咳払いも粗無い。施設はマメに消毒しているようだし、家に居るより安全?

…とでも思っていなきゃ怖くて観に行けない。

この芝居は、鬼界ヶ島に1人残される俊寛の葛藤が見処だが、放免されないと知った際の地団駄踏む子供じみた態度に比べると船を見送る際の無念さは諦観からか存外おとなしい。

歌舞伎・文楽で何度か観ている中で今回は一番静かな俊寛だったが、あの立場で、あの事情で、人はどんな態度を取るものだろうか、考えさせられた。

吉右衛門は長くこの役を演じながら考え抜いて今の形に至ったのだろうが、これは難しい芝居だなと気付かされた。

それが今日の収穫かな。

♪2020-080/♪国立劇場-10

2019年12月13日金曜日

第51回文楽鑑賞教室「平家女護島〜鬼界が島の段」ほか

2019-12-13 @国立劇場


●伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)
 火の見櫓の段
 南都太夫・小住太夫・亘太夫・碩太夫/
 清志郎・清馗・友之助・清公・燕二郎/
 紋臣・簑太郎・亀次・勘助・玉峻ほか

●解説 文楽の魅力
 希太夫/寛太郎/玉誉

●平家女護島(へいけにょごのしま)
 鬼界が島の段
 千歳太夫/富助
 和生・玉勢・勘市・清十郎・玉也・清五郎ほか

文楽で声を発するのは太夫だけだが、鑑賞教室では三味線も人形遣いもそれぞれの分野の解説をしてくれるので、意外な発見があって面白い。
伊達娘恋緋鹿子-火の見櫓の段は、娘お七が櫓に上るところが巧い仕掛けで見ものだ。また、絵としても美しい。

平家女護島-鬼界が島の段も、いつもながらの千歳太夫の熱演。俊寛を遣うのは吉田和生。
鑑賞教室は本来中高生の為の公演だが、出演陣も大物投入で手抜きしないのがうれしい。

♪2019-203/♪国立劇場-16

2018年10月4日木曜日

十月歌舞伎 通し狂言「平家女護島」

2018-10-04 @国立劇場


近松門左衛門=作
国立劇場文芸研究会=補綴
国立劇場美術係=美術
通し狂言 平家女護島(へいけにょごのしま)三幕四場

序 幕 六波羅清盛館の場 
二幕目 鬼界ヶ島の場
三幕目 敷名の浦磯辺の場
同   御座船の場

(主な配役)
平相国入道清盛/俊寛僧都⇒中村芝翫
俊寛妻東屋⇒片岡孝太郎
瀬尾太郎兼康⇒中村亀鶴
能登守教経/丹左衛門尉基康⇒中村橋之助
俊寛郎等有王丸⇒中村福之助
上臈松ヶ枝⇒中村梅花
海女千鳥⇒坂東新悟
越中次郎兵衛盛次/丹波少将成経⇒中村松江
後白河法皇⇒中村東蔵
ほか

所謂「俊寛」に前後の段を加えた通しとして演じられた。できるだけオリジナルを復元して次代に伝えようという姿勢で、これが国立劇場の魅力だ。
しかし、先月秀山祭@歌舞伎座で吉右衛門が「俊寛」を演ったせいか、2ヵ月続いて「俊寛」では誰が演じてもお客は呼べないだろう。

僕は、秀山祭は昼の部だけを観て夜の部の「俊寛」をパスし、今月の国立での通し狂言「平家女護島」に期待をしていた。

しかし、というか、案の定というべきか、厳しい状況で、芝翫が吉右衛門にかなうはずもなし。
今日のお客の入りは全館で五分〜せいぜい六分の入りか。

舞台は芝翫親子が熱演しているのだけど、空席の目立つ客席は緊張がシカンしていた。

芝翫の息子たち、橋之助・福之助兄弟はそれぞれに出番の多い役で頑張っていたが、舞台にも生まれる緊張の隙間を埋めるには到底心もとなく、お稽古教室の感があった。

鬼界ヶ島で俊寛に斬り殺されてしまう悪役・瀬尾太郎兼康を中村亀鶴が演じていた。亀鶴という役者をこれまで何度も観てきているが、その都度忘れてしまう、まあ、あまり存在感のある役は振られていなかったように思うが、今回の役はなかなか良かった。元気な悪党ぶりが頼もしかった。これで当分覚えているだろう。

♪2018-123/♪国立劇場-014

2017年2月7日火曜日

国立劇場開場50周年記念 文楽公演 近松名作集<第一部> 平家女護島(へいけにょごのしま)

2017-02-07 @国立劇場


近松門左衛門=作
 平家女護島(へいけにょごのしま)
    六波羅の段
    鬼界が島の段
    舟路の道行より敷名の浦の段

(主な出演者)
 豊竹靖太夫 野澤錦糸
 豊竹英太夫 鶴澤清介
 豊竹咲甫太夫 鶴澤藤蔵
 竹本三輪太夫 野澤喜一朗
 竹本南都太夫 鶴澤燕二郎
 
 吉田一輔
 桐竹亀次
 吉田玊佳
 吉田玉翔
 吉田幸助
 吉田玉勢
 吉田和生
 吉田勘彌
 吉田簑助
 吉田簑紫郎
 ほか

暮の「仮名手本忠臣蔵」2部に分けての全段通しの次の国立劇場文楽公演は「近松名作集」だ。
今回は3作を1日で3部に分けての公演だ。
11時から20時まで頑張れなくもないけど、最近の体力不足が心配で、今回は1部と2部は同日に続けて、3部は別の日に鑑賞することにした。

「平家女護島」は本来の形はもっと長いもの(全5段11場)らしいが、今回は最も有名な「鬼界が島の段」(なぜ「女護の島の段」と言わないのか不思議だけど。)を真ん中に据えて、前段に俊寛の妻の六波羅での横死を描き、後段で清盛入道の極悪非道ぶりを描く。
原作の2段目と5段目が省略されているが、それでも話が通るようにできている。

今日の中段が歌舞伎でも有名な鬼界が島での顛末だ。
鹿ヶ谷の陰謀が露見して配流されて3年。そこに訪れた赦免船の使者から申し渡された俊寛の恩赦の喜びも束の間、妻が自害して果てたことを知り、絶望のあまり、自分は鬼界が島にとどまるので、島の海女である千鳥を代わりに船に乗せて都に連れて行ってやってほしいと頼む。
色々とあった後、それが叶ったものの、俊寛は海辺の大きな岩に聳える松の木に縋って、赦免の船を見送るのだが、そこで、独りになってしまった寂しさに心が折れて気持ちが崩れてしまう。
かつて都で権勢を誇った俊寛僧都でも、島に取り残された時、思いもしなかった寂寥感に襲われて身悶えする。そこが、人間俊寛の魅力でもあリ、この物語の見どころだ。

鬼界が島の段で俊寛が自分の代わりに船に乗せてやる女・千鳥が海女という設定が、敷名の浦の段の活劇で生きてくるのは巧い作劇だ。

♪2017-017/♪国立劇場-04