2017年2月7日火曜日

国立劇場開場50周年記念 文楽公演 近松名作集<第一部> 平家女護島(へいけにょごのしま)

2017-02-07 @国立劇場


近松門左衛門=作
 平家女護島(へいけにょごのしま)
    六波羅の段
    鬼界が島の段
    舟路の道行より敷名の浦の段

(主な出演者)
 豊竹靖太夫 野澤錦糸
 豊竹英太夫 鶴澤清介
 豊竹咲甫太夫 鶴澤藤蔵
 竹本三輪太夫 野澤喜一朗
 竹本南都太夫 鶴澤燕二郎
 
 吉田一輔
 桐竹亀次
 吉田玊佳
 吉田玉翔
 吉田幸助
 吉田玉勢
 吉田和生
 吉田勘彌
 吉田簑助
 吉田簑紫郎
 ほか

暮の「仮名手本忠臣蔵」2部に分けての全段通しの次の国立劇場文楽公演は「近松名作集」だ。
今回は3作を1日で3部に分けての公演だ。
11時から20時まで頑張れなくもないけど、最近の体力不足が心配で、今回は1部と2部は同日に続けて、3部は別の日に鑑賞することにした。

「平家女護島」は本来の形はもっと長いもの(全5段11場)らしいが、今回は最も有名な「鬼界が島の段」(なぜ「女護の島の段」と言わないのか不思議だけど。)を真ん中に据えて、前段に俊寛の妻の六波羅での横死を描き、後段で清盛入道の極悪非道ぶりを描く。
原作の2段目と5段目が省略されているが、それでも話が通るようにできている。

今日の中段が歌舞伎でも有名な鬼界が島での顛末だ。
鹿ヶ谷の陰謀が露見して配流されて3年。そこに訪れた赦免船の使者から申し渡された俊寛の恩赦の喜びも束の間、妻が自害して果てたことを知り、絶望のあまり、自分は鬼界が島にとどまるので、島の海女である千鳥を代わりに船に乗せて都に連れて行ってやってほしいと頼む。
色々とあった後、それが叶ったものの、俊寛は海辺の大きな岩に聳える松の木に縋って、赦免の船を見送るのだが、そこで、独りになってしまった寂しさに心が折れて気持ちが崩れてしまう。
かつて都で権勢を誇った俊寛僧都でも、島に取り残された時、思いもしなかった寂寥感に襲われて身悶えする。そこが、人間俊寛の魅力でもあリ、この物語の見どころだ。

鬼界が島の段で俊寛が自分の代わりに船に乗せてやる女・千鳥が海女という設定が、敷名の浦の段の活劇で生きてくるのは巧い作劇だ。

♪2017-017/♪国立劇場-04