2017-02-18 @みなとみらいホール
飯守泰次郎:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ベートーベン:交響曲第8番ヘ長調Op.93
シューベルト:交響曲第8(9)番ハ長調D944「ザ・グレート」
敬愛するマエストロ、飯守泰次郎の指揮でベートーベンの交響曲第8番とシューベルトの第8(9)番というダブル8のダブルAサイドという豪華なプログラムだ。
尤もシューベルトの第8番はかつて(1978年前)は「未完成」に付けられていた番号で、したがって、本日のハ長調の通称「ザ・グレート」は「第9番」と言われていた。今でも表記が徹底されていないので第8(9)番などと表記されることが多い。そういえばドボルザークの交響曲「新世界から」は現在では第9番でほぼ定着しているけど、その昔は第5番と言われていたっけ。
ベートーベンの第8番は第1、第2、第4番と並んで演奏会で取り上げられる機会が少ないが、これが非常に面白い作品だ。
切迫感に満ちた佳編で特に第一楽章後半の運命の動機のような(ここでは3拍子だけど)繰り返しがもたらす高揚感がいい。
シューベルトの第8番はベートーベンの第8番に比べて演奏時間が倍ほど長い。この作品が「ザ・グレート」と呼ばれるようになったのは、第6番が同じハ長調なので、長大な第8番の方を「ザ・グレート」と呼んだのが始まりらしいが、この壮大な音楽は単に演奏時間が長いというだけではなく、誠に「ザ・グレート(偉大な!)」がふさわしい内容を持っている。
全篇にシューベルトの詩情が溢れているが特に第2楽章がいい。シューマンが「天国的な長さ」と評した楽章の美しいこと。
スケルツォ(第3楽章)もリズムの疾走というだけでなくメロディーも歌詞を付けたらおもしろい曲になるのではないか。…いや、この全4楽章すべてに独唱と合唱を加えたら壮大なオラトリオになるので華だろうか。それほど、歌心に満ちていて心地よい。
今日の神奈川フィルは、飯守御大の入念な指導(今日のゲネプロのほかに3日もリハーサルを繰り返したそうだ。)の甲斐あってか、2曲ともシャキシャキと引き締まって、軽快な中にも歌心に溢れた好感度の高い演奏だった。
神奈川フィルの最良の演奏は、N響の時に凡庸な演奏に勝る。
♪2017-025/♪みなとみらいホール-08