2017年2月23日木曜日

NHK交響楽団横浜スペシャル

2017-02-23 @みなとみらいホール


パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団

武満徹:弦楽のためのレクイエム(1957)
マーラー:交響曲第6番 イ短調「悲劇的」

N響は(いつから始まったか知らないが)毎年度末に横浜みなとみらいホールでN響横浜定期演奏会を1公演だけ開催している。
それが今年は90周年という意味もあったのだろうが、横浜スペシャルと称して2日間の公演があった。

武満徹の「弦楽のためのレクイエム」とマーラーの交響曲第6番「悲劇的」の2本立てだ。

僕は2日めに行ったら、ステージ上には夥しいマイクが林立し、天上からも何組ものマイクが下がっていた。NHKホールでは珍しくもないがみなとみらいホールではなかなか見慣れぬ光景だ。
SONYクラシックスが収録をするための準備だということが後刻分かった。

指揮台の回りも背の高いポールに取り付けられたマイクが取り囲んでいるので、開演してパーヴォ・ヤルヴィが指揮台に立ったときはまるで檻に閉じ込められているようにも見えた。

しかし、CD収録を兼ねた演奏というと、当然パーヴォもN響も気合の入れ方が違うはず。ラッキーかも。


マーラーの6番は、多彩な管・打楽器が大活躍。
ホルン9本<8>、ティンパニ2セット、シンバル4組8枚、ハンマー、ハープ3台<2>のほかたくさんのパーカッションに、何と言ってもハンマーが駄目押しの迫力。
プログラム掲載の楽器編成(<>に記載)より実際に登場した楽器の数が多かったのは、収録を意図していたからではないか。

マーラーの交響曲には多分共通する(正確に確かめてはいないけど)のがこの管・打楽器の活躍で、6番でもまるでN響吹奏楽団に弦楽部賛助出演みたいだ。
特にトロンボーン以下中低管の重音もオルガンの如き見事なハモリが美しく、チューバの音色がこんなにきれいなものだったのか、と非常に驚いた。定期演奏会でもしばしばチューバは聴いているはずなのに、低い音、大きな音、と思うことはあっても美しい音を出す楽器だとは思っていなかった。

その賛助出演!の弦楽も力強く透明感がある。
ヤルヴィの意気込みが隅々に貫徹している様子がありあり!
N響としても力を出し切ったのではないだろうか。
なんともすごい演奏を聴いた、というのは掛け値なしの印象だ。

90周年記念で出かけるヨーローッパツアーでもこのプログラムを演奏するらしいから、CD収録に加え、日本での仕上げの意味もあったのだろう。

余談:この曲には第2-3楽章の順番に諸説あり、今回はスケルツォ〜アンダンテの順番で演奏された。
手持ちCDロリン・マゼールもエリアフ・インバルもS-Aだ。
因みに、鑑賞記録を残すようにした2014年以後の記録を見ると、
2014年3月金聖響指揮神奈川フィル⇒A-S
          6月インキネン指揮日フィル ⇒S-A
となっていた。
全曲の演奏時間は80分以上あり、うち第1楽章が23分ほど、終楽章が最長で30分を要する。なので、実のところ第2楽章と第3楽章をどの順序で演奏されようとも聴いている方には迫りくる怒涛の悲劇の前のホンの静けさみたいなもので、全体の音楽がもつ構成感に余り影響しないように思うけど。

♪2017-028/♪みなとみらいホール-09