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2021年7月13日火曜日

ジョルジュ・ビゼー/新国立劇場 高校生のためのオペラ鑑賞教室 2021 「カルメン」全3幕

 2021-07-13 @新国立劇場


ジョルジュ・ビゼー:カルメン<新制作>

全3幕〈フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間10分
第Ⅰ・Ⅱ幕95分
   休憩30分
第Ⅲ幕  65分

指揮:沼尻竜典
演出:アレックス・オリエ
美術:アルフォンス・フローレス
衣裳:リュック・カステーイス
照明:マルコ・フィリベック

合唱:新国立劇場合唱団、びわ湖ホール声楽アンサンブル
児童合唱:多摩ファミリーシンガーズ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

【カルメン】山下牧子
【ドン・ホセ】村上公太
【エスカミーリョ】須藤慎吾
【ミカエラ】石橋栄実
【スニガ】大塚博章
【モラレス】星野淳
【ダンカイロ】成田博之
【レメンダード】升島唯博
【フラスキータ】平井香織
【メルセデス】但馬由香



新国立劇場の高校生のためのオペラ観賞教室は、空席があれば、オトナも当日券を買って入場できる。

今日は、本来はミューザでランチタイムコンサートの日だったが、ふと、出かける前に、WEBで当日券の状況を見たら、1階の19列中央が空いていたので即GET!


観賞教室は手数料込み4730円!

歌手等が異なるとはいえ本公演の1/5だ(同じ1階席=S席の場合)。

こんな後方席で(1週間前に行った本公演は8列の中央。)楽しめるか不安もあったが、歌もオケも問題なし。歌手の顔が小さく表情を読み取るのは難しいが、Nikonの7倍のモノキュラーが役に立った。


本公演との違いは、指揮は大野和士から沼尻竜典に代わり、歌手も全員異なる。とは言え、山下牧子、村上公太、須藤慎吾、石橋栄実、平井香織等は新国立を初めあちこちの舞台で活躍している一流の歌手達だ。


全体として本公演と比べても遜色のない出来栄えだった。


中でも、一番感心したのはやはりミカエラ(石橋)だ。


これはもう役得というものだな。カーテンコールでも彼女への拍手が一番大きかった。


問題の演出は、基本は同じ。

無駄な部分が整理されて、今回の方が観易かった。

ただ、無理な設定は変わっていないので、プログラムの解説では人物紹介と粗筋紹介では矛盾も生じている。

場所の説明は明確にセビリアと書いてある(Aオリエの設定は東京である。無理だっちゅうの!なんで東京で闘牛なんかできるんだ。)。


頼まれた人も、筋の通った解説など書きようもない。

日本でロック歌手だと言ってみても、歌詞(字幕)まで変える訳ではないから、どうしても辻褄が合わなくなってくる。


ホンに人騒がせな演出家だ。振り回された関係者が苦労して尻拭いをしている。


と文句を並べたが、ビゼーの音楽は素晴らしいし、今日の歌手達の良い仕事ぶりは高校生の胸を打ったと思う。

♪2021-072/♪新国立劇場-06

2017年1月25日水曜日

オペラ「カルメン」

2017-01-25 @新国立劇場


指揮:イヴ・アベル
演出:鵜山仁

合唱指揮:三澤洋史
合唱:新国立劇場合唱団
児童合唱:TOKYO FM 少年合唱団
ダンサー:新国立劇場バレエ団
管弦楽:東京交響楽団

カルメン:エレーナ・マクシモワ
ドン・ホセ:マッシモ・ジョルダーノ
エスカミーリョ:ガボール・ブレッツ
ミカエラ:砂川涼子
スニガ:妻屋秀和
モラレス:星野淳
ダンカイロ:北川辰彦
レメンダード:村上公太
フラスキータ:日比野幸
メルセデス:金子美香

ジョルジュ・ビゼー:オペラ「カルメン」 全3幕
〈フランス語上演/字幕付〉


カルメンは演奏会形式では何度か聴いた。特に年末のシャルル・デュトワ+N響による全曲演奏は、細部まで神経の行き届いた演奏自体が素晴らしく、ビゼーの傑作が、なにゆえに傑作であるのかをしっかりと理解させてくれたように思った。

その上で、新国立劇場の本格的な舞台版「カルメン」だ。
期待値は相当高い。

しかし、東響が演奏する前奏曲が始まった途端、これはすごいものが観られそうだという予感が。
前奏が終わって高い天井から吊り下げられた幕が左右に開くと大勢の群衆たちだ。
「カルメン」はこういうモブ・シーンが多い。それが舞台のエネルギーとなっているようだ。

日本人歌手の数人はかつて舞台に接したことがあったが、主要な役を演ずる外国人歌手についてはどれほどの名手なのかまったく知らない。まあ、みんな巧い。声が大きくてよく通る。この点に関しては日本人歌手も負けてはいなかった。
特に、ミカエラを歌った砂川涼子が、と言うか、そもそもミカエラのアリアが哀切極まりなくて胸を打つのだけど、これを上手に歌った彼女が強く印象に残った(6月に日生劇場で「ラ・ボエーム」を観ることにしているが、その主役ミミを彼女が歌うので、これは楽しみだ。)。

N響の「カルメン」でもどちらかと言えばミカエラが好印象だったが、やはり、清純・誠実で控えめな役柄はカルメンとは好対照だし、カルメン役がほとんどメゾ・ソプラノであるのに対して、ミカエラはソプラノであることも歌唱効果の面で有利なのかもしれない。

この2人の女性の人生ドラマを味わいながら、僕は「風と共に去りぬ」のスカーレットとメラニーを思い浮かべていた。スカーレットは魅力的だが並の人間にはコントロールすることができない。
カルメンもまた然り…。

管弦楽演奏、歌唱、ドラマ、舞台、照明、美術がいずれも素晴らしく(演出も優れているのだろう。)、実にラグジュアリーな至福の3時間半。

♪2017-011/♪新国立劇場-1