ラベル 浅井隆仁 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 浅井隆仁 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2018年12月21日金曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホール名曲シリーズ 第2回 ---「第九」❸

2018-12-21 @県民ホール


広上淳一:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
神奈川フィル合唱団

髙橋絵理:ソプラア
平山莉奈:メゾソプラノ
宮里直樹:テノール
浅井隆仁:バリトン

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

客席も舞台も広い県民ホールで聴く「第九」は一層の祝祭性を帯びて気分高揚。
残響が少ない為、弦はシャリシャリ感が残るがこれこそナマならではのリアルな感触。
その弦が高い透明感を保って心地良い味わい。

広上節は全体にテンポ鷹揚。特に第4楽章は外連味利かせテンポの変化が頻繁で歌わせすぎではないか。声楽独唱はそれこそ「歌え」ば良いのだけど、オケはできるだけ無表情にテンポを保って欲しい…というのが、僕の好み。

終楽章の低弦のレシタティーヴォは特に朗々と歌わせたが、こここそは限りなくイン・テンポで聴きたい。

演奏時間は楽章間休止含め71分位。

声楽陣と打楽器3人は第2楽章の後登壇した。
ならば、第3楽章から第4楽章への乗り換えは一呼吸で入れたのに、広上センセイ、フツーに休止時間をとったので肩透かし。Apple Watchで計測していたが、22秒間もお休みあそばした。これではテンションが下がってしまう。

神奈川フィルの出来は上々だった。先日の日フィルと良い勝負だ。また、合唱団は中高年中心で110名くらいだが、迫力あった。東京音大合唱団(日フィルの「第九」)にも負けていなかったな。
そして、声楽ソロも(テノールは急遽の代演だったが)みんな良く通る声で聴き応えがあった。
テノールは訂正済み

今季3回目の「第九」だが、声楽ソリストが舞台の前方(指揮者を挟む形)に立ったのは今回初めて(他の2回はオケの後ろ。)。やはり、前方に立つと声がよく通り、4声部の絡みもはっきり聴き取れて気持ちがいい。

事ほど左様に、オケも声楽陣もとても良い出来だったが、指揮者の演出が好みではなかったので80点としよう。

♪2018-175/♪県民ホール-05

2018年7月7日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第702回東京定期演奏会

2018-07-07 @サントリーホール


広上淳一:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京音楽大学*

ソプラノ1:鈴木玲奈*
ソプラノ2:吉田和夏*
アルト:中山茉莉*
テノール:吉田浩之*
バス:浅井隆仁*

J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068
尾高惇忠:交響曲《時の彼方へ》
J.S.バッハ:マニフィカト ニ長調 BWV243*
------------------
アンコール
J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番から「アリア」

7月の日フィル横浜定期は14日で、これが神奈川フィルの県民ホール定期とダブったので、この東京定期と振り替えた。振替なので席は選べず、同じクラスの中で空いている席をあてがわれる。多分、その中でも良い席を選んでくれるのだろうと信じたいが、何と、前から7列目の上手寄りだった。上手はさほど抵抗ないが、7列目はきつい。室内楽や独奏ならかぶりつきも歓迎するが、オーケストラでは勘弁してほしい。本当にここしか席がなかったのだろうか、と不信感が残る。

最初はJ.S.バッハの管弦楽組曲第3番だった。上手から斜めに見ているので編成は正確にはわからないけどコンバスが8本あるところから16型らしい。こんな特大編成でバッハをやるのかなあ、と思っていたら、やるのだ。

冒頭は管楽器のファンファーレ(?)だが、これがもうケタタマシイ。弦のうねるような音型は耳が慣れるまでしばらくは全然聞き取れなかった。
有名な第2曲「アリア」もとても「Air」ではない。うるさい。
第一こんな編成で管弦楽組曲をやる意味はなんだろう?
7列目という厳しい環境の下でかくもにぎやかなバッハを聴かされたのでまずはそこに抵抗感を感じてしまった。

でも、最前列に座っているファンも居るのだからなあ。こんな前で聴くぐらいならP席のほうがずっと気持ちよく聴けるよ。

次の曲は尾高惇忠氏の交響曲だった。初めて聴いた。いつの間にか寝てしまっていた。なので、皆目覚えていない。思い出そうとしてYoutubeで探したが出てこない。この日の3曲中一番長い35分のそこそこ大曲なのに、情けないものだ。

最後が、これもまともに聴くのは初めてのバッハのマニフィカトニ長調。これは独唱が5人に合唱が付く大編成だ。ここでオケの編成が少し小さくなったように思うが確認できない。
独唱はソプラノが2人の5声部だが、合唱も同様の5声部だ。珍しいように思うが、バッハの声楽作品ではそうでもないのかもしれない。

Magnificatはルカ伝第1章「マリアの賛歌」の作曲で、本来はカトリックの聖務日課のうちの晩課(夕べの祈り)のための音楽だったが、バッハの時代にはプロテスタントでも作曲されるようになったそうだ。J.S.バッハはもちろんプロテスタントだ。

初めて聴いた印象と言っても、この時代の音楽は既視感ならぬ既聴感一杯で、特に突き刺さったようなものはないけど、全編、穏やかに聴ける。
「晩課」といえば、個人的にはなんと言ってもモンテヴェルディの「晩課」(聖母マリアの夕べの祈り)が大好きだが、この「マニフィカト」も聴き慣れると大切な1曲になるのかもしれないな。

♪2018-081/♪サントリーホール-07

2015年9月19日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第310回横浜定期演奏会

2015-09-19 @みなとみらいホール


藤岡幸夫:指揮
ソヌ・イェゴン:ピアノ(第5回仙台国際音楽コンクール優勝)*
半田美和子:ソプラノ
鈴木准:テノール
浅井隆仁:バリトン
日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:日本フィルハーモニー協会合唱団

【輝け!アジアの星 第10弾】
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番*
グノー:聖チェチリア祝日のためのミサ・ソレムニス
--------------------------
アンコール(ピアノ)
メンデルスゾーン(リスト編曲):結婚行進曲

ラフマニノフのピアノ協奏曲はオーケストラの定期演奏会でも取り上げられることが多いが、そのほとんどが第2番で、第3番は記憶にある限り1回しか聴いていない。さらに第1番、第4番となると一度も聴いていない…と思う。

第2番の人気が圧倒的に高いのは、映画「逢びき」や「7年目の浮気」などで使われたせいもあるのだろう。

それにしてもプロのピアニストにとって第1番や第4番は面白く無いのだろうか?
普通のオーケストラコンサートではピアノ協奏曲が単独で演奏されることはない。交響曲など大規模曲と抱き合わせなので、お客に人気がない曲だって取り上げることは可能なのにどうして演奏されないのか。
時々それらをCDで聴くが、この2曲は第2番や第3番のような哀愁に満ちた甘いメロディーはほとんど出てこないけど、ラフマニノフらしい華麗なピアニズムは十分魅力的だけどな。


で、今日の第3番。
第2番に比べても遜色のない叙情性が溢れていると思うけど、この曲も何故か演奏機会が少ない。
一つにはあらゆるピアノ協奏曲中ピアノにとって最難関だとも言われているからかもしれない。それに他の3曲に比べて演奏時間が長い(プログラムに記載された演奏予定時間は38分だったが、手持ちのCDでは47分<アシュケナージ>)のも一因かもしれない。

…なんて心配してもしようがないが、初めて聴くソヌ・イェゴンはまだ26歳という新進気鋭。この難曲を堂々と弾きこなして…当然なのだろうけど…十分の満腹感あり。

グノーの「聖チェチリア祝日のためのミサ・ソレムニス」という作品は、その存在すら知らなかった。この曲が演奏されることは当然前もって分かっていたけど、予習するゆとりもなくて、いわば、白紙状態で臨んだ。
もっとも、グノーの他作品もバッハの平均律第1曲前奏曲が伴奏になる「グノーの<アヴェ・マリア>」以外はオペラの作品名だけいくつか知っているくらい縁の遠い作曲家だったが。

さて、このミサ曲は、演奏時間が長い(約50分)というだけではなく、管弦楽に3人の声楽独唱と混声合唱(200名位並んだ。)、さらにパイプオルガンまで加わるという、大規模曲だ。

ミサ曲ではあるけど、普通に聴き慣れた楽曲構成とはちょっと違っていたし、全体の雰囲気が妙に明るい。メロディも抹香臭さがなく、親しみやすいものばかりで、「キリエ~」と歌いださなければミサ曲とは思わないだろう。聖俗混交オラトリオ風味かな。

「ミサ・ソレムニス」と言えば、ベートーベンの作品を思い出す。
これは「荘厳ミサ曲」とも呼ばれているので「ソレニムス」には「荘厳」の意味があるのかと思っていたけど、本来は「大掛かりな」といった意味で、教会用語では「盛儀」ミサと呼ぶらしい。
確かにこのグノーの「ミサ・ソレニムス」は大掛かりなことこの上ない。再度ナマで聴く機会は当分ないと思うが、いずれもう一度聴いてみたい。

https://youtu.be/CZgV2eiEFv4

♪2015-90/♪みなとみらいホール-25