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2024年9月8日日曜日

イエローヘルメッツVol.3『シンベリン』

2024-09-08 @かなっくホール



原作:W.シェイクスピア〜小田島雄志翻訳による
脚本/演出:山崎清介
舞台監督/白石英輔
照明/山口暁
音響/角張正雄
音楽/寺田英一
衣装/三大寺志保美

伊沢磨紀
戸谷昌弘
若松力
谷畑聡
星初音
大西遵
すずき咲人心
山崎清介

シェイクスピア原作「シンベリン」


「シンベリン」は本では読んでいたけど、舞台を観るのは初めて。

読むと観るでは大違い。

と言うか、今回、特に演出も冴えていて実に面白かった。

休憩なし、140分間が、終盤になると、時計を見ては、終幕までの時間を数えて、おいおい、まだ終わらないでくれよという気分。

若い夫婦の愛憎、宮廷内の争い、国と国との争い、父と子の邂逅、裏切り、離反…の壮大なロマンだ。
運命の歯車がちょっとずれて思いがけない方向に転がってゆくのは近松作品にも共通している。

最後は、多分、原作とちょっとだけ違ったと思うが、離れ離れ、や憎しみあっていた者も、すべてがいっぺんに和解して、慟哭の感動のラスト…と思いきや、少し捻って、現代の人間世界の先行きの不安も暗示して、納得の幕切れ。

40数年前に、高田の馬場の倉庫?で観たつかこうへい事務所の「初級革命講座飛龍伝」で、悲しくて、つらくて、泣きじゃくりながら、腸捻転を起こすかと思うくらい笑い転げた劇場体験を思い出した。

ま、その時にやや近い、芝居の面白さを堪能できた。

♪2024-120/♪かなっくホール-05

--------NETで見たあらすじ
みんながみんな裏切り合い、みんながみんな和解する。

ブリテン王・シンベリンは前妻との間に2人の王子と1人の王女をもうけたが、2人の王子は幼少期にさらわれて行方不明のままである。
王は、1人娘イモージェンを後妻の連れ子クロートンと結婚させようとするが、イモージェンが幼馴染のポステュマスと密かに結婚してしまったため、ポステュマスに国外追放を命じる。
ポステュマスは追放先のローマで、イタリア人紳士ヤーキモーの奸計に嵌って、妻が不義を働いたと思い込み、召使いのピザーニオにイモージェンの殺害を命じる。
一方ブリテン王国では、ローマ帝国との交渉決裂により戦争が始まろうとしていた。―男と女、男と男、主人と召使い、親と子、国と国、それぞれの関係性が絡み合う、シェイクスピアのロマンス劇。

2022年8月20日土曜日

イエローヘルメッツ第1回本公演『ヴェニスの商人』

2022-08-20 @かなっくホール



原作:シェークスピア
脚本・演出:山崎清介
演出補:小笠原響
照明:山口暁
音響:角張正雄
音楽:鷹野雅史
衣裳:三大寺志保美
舞台監督:白石英輔

イエローヘルメッツ
 伊沢磨紀
 戸谷昌弘
 若松力
 谷畑聡
 チョウ・ヨンホ
 鷹野梨恵子
 星初音
 渡邊清楓
 山崎清介

シェイクスピア原作「ヴェニスの商人」


子供の頃にラム姉弟の「シェークスピア物語」で読んだ「ヴェニスの商人」を大人になって翻訳原作で読んだ時はその印象の違いに驚いた。
シェークスピアが気にかけず、むしろ憎悪を以て描いたユダヤ人シャイロックの悲劇性は、近代演劇ではそれなりに配慮した演出が一般的らしい。

舞台劇として観るのは初めて?だったので、どんなふうに原作をアレンジして喜劇⇒悲劇への昇華を図るかが、開幕から終幕までの唯一の関心事項だった。

幾つかの机と椅子以外は真っ黒な舞台で終始した物語は、ほとんど原作をなぞっていた。

しかし、終幕前にシャイロックを囲む黒尽くめ集団による無言場面に意味があった。

16世紀末のヴェニスに既にゲットーがあり、そこに閉じ込められ、キリスト教徒からは犬畜生のように扱われ、文字どおり”唾棄”され、果てしない差別を受けていたところ、貸した金の担保の設定の瑕疵を逆に追求された結果、全財産を奪われ、(娘にも裏切られ、)何よりもキリスト教への改宗を呑まされたユダヤ人シャイロックの無念がここに集約されていたように受け取った。そうでなくては、心が落ち着かない。

♪2022-120/♪かなっくホール-09