ラベル 莟玉 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 莟玉 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2022年3月18日金曜日

令和4年3月歌舞伎公演『近江源氏先陣館-盛綱陣屋-』

2022-03-18 @国立劇場大劇場



佐々木盛綱⇒       尾上菊之助
高綱妻篝火⇒       中村梅枝
信楽太郎⇒         中村萬太郎
伊吹藤太⇒         中村種之助
盛綱妻早瀬⇒       中村莟玉
高綱一子小四郎⇒   尾上丑之助
盛綱一子小三郎⇒   小川大晴
古郡新左衛門⇒     嵐橘三郎
盛綱母微妙⇒       上村吉弥
北條時政⇒         片岡亀蔵
和田兵衛秀盛⇒     中村又五郎
                           ほか

入門 “盛綱陣屋”(もりつなじんや)をたのしむ

近松半二=作
近江源氏先陣館  一幕
-盛綱陣屋-
 国立劇場美術係=美術
        

「熊谷陣屋」は歌舞伎・文楽で何度も観たが、「盛綱陣屋」は初めて…と思っていたが、19年の暮れに松本白鸚の盛綱で観てたよ。ホンにこの頃の記憶力低下は自分でもゾッとするよ。

両者の話に共通点は多い。
偽頸実験。
うまく騙した後の一波乱。
何より極端なくらいの忠孝。

物語としては「熊谷」の方が上等な気がするが、「盛綱」も面白かった。と言うか、今回はちびっ子2人にやられた!

主人公盛綱の長男役を小川大晴(ひろはる=梅枝の長男)が。
盛綱の弟である高綱の長男役を丑之助(菊之助の長男)が演ずる。

この絵本の桃太郎のような2人が非常に可愛らしいので、登場しただけで癒される。

が、やがて悲劇に見舞われる丑之助の健気さに胸を掻きむしられ迂闊にも落涙!

このところ、国立の3月は「菊之助劇団」で定着しそうだが、ところどころに、昨秋亡くなった吉右衛門を思い起こさせる雰囲気があった。

美形中の美形、莟玉の顔がえらく丸々としていた。まあ、いつまでも美少年ではいられないし、顔つきも変わってゆくのだろうか。あまり太らないのがよろしい…けど。

ところで、コロナも下火になりつつあるが、舞台と客席が双方向的に交流する歌舞伎では「大向こう(掛け声)」が復活しないと、本当の「歌舞伎」にならない。
拍手ではもどかしい。手練れの間合いの良い掛け声を聞いて役者も気持ちを乗せられるだろうし、声を掛けないお客もこの雰囲気を楽しめるのだが。

♪2022-038/♪国立劇場-02

2021年10月21日木曜日

10月歌舞伎公演「通し狂言 伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)」

2021-10-21 @国立劇場


近松徳三=作
通し狂言「伊勢音頭恋寝刃」(いせおんどこいのねたば)
 三幕七場
 国立劇場美術係=美術       

序幕
 第一場 伊勢街道相の山の場
 第二場 妙見町宿場の場
 第三場 野道追駆けの場
 第四場 野原地蔵前の場
 第五場 二見ヶ浦の場

二幕目 
 第一場 古市油屋店先の場
 第二場 同 奥庭の場

福岡貢          中村梅玉
藤浪左膳/料理人喜助    中村又五郎
油屋お紺         中村梅枝
油屋お鹿         中村歌昇
奴林平          中村萬太郎
油屋お岸         中村莟玉
徳島岩次実ハ藍玉屋北六   片岡市蔵
藍玉屋北六実ハ徳島岩次   坂東秀調
今田万次郎        中村扇雀
仲居万野         中村時蔵
              ほか



2015年に梅玉の主演で国立劇場では初めて通し狂言としてかけられたのを観た。


今回は、同じく「通し」といっても初演時に比べて一幕少ない。

コロナ以降の芝居は、概ね短縮形になっている。


役者も梅玉の他は莟玉(当時は梅丸)が同じ役で出ている他は多分全員変わっている。


歌舞伎としては色々見処(二見ヶ浦の場、油屋奥庭など)があるが、主人公が妖刀のせいにして殺される程の罪もない者8人ばかりに斬りつけ、その部下が「切れ味お見事!」と持ち上げて幕という構成や演出にちょいと疑問あり。

返り血を浴びた梅玉の見得などは残酷美でもあるが陰惨な印象が残った。


中村莟玉が同じ役で出ている(前回は10代だった!)が、6年経って女の色っぽさが益々磨かれたようで同慶の至り。

梅枝もいい女方だし、いずれは父時蔵が演じた大きな役の仲居万野を演るようになるのだろう。


今回は歌昇が生涯初めての女方だそうだが、滑稽な味も出して初めてとは思えない良い出来だった。


♪2021-113/♪国立劇場-08

2020年10月7日水曜日

10月歌舞伎公演第1部

2020-10-07 @国立劇場

●ひらかな盛衰記
梶原源太景季 中村梅玉
腰元千鳥              中村扇雀
梶原平次景高       松本幸四郎
母延寿                中村魁春
                 ほか

●幸希芝居遊
久松小四郎     松本幸四郎
金沢五平次    大谷廣太郎
二朱判吉兵衛        中村莟玉
三国彦作            澤村宗之助
                                ほか

文耕堂ほか=作
●ひらかな盛衰記(ひらがなせいすいき)
   -源太勘当-梶原館の場

鈴木英一=作
●幸希芝居遊(さちねがうしばいごっこ)
   常磐津連中


国立の歌舞伎は1月公演以来だ(2月は休演月。3月以降はコロナ休演)。

国立劇場ではコロナ再開後の興行形態が、寄席・文楽共々歌舞伎も変わった。

1日の公演数を多く(2公演)・短時間にして料金も少し安めだけど全公演を観たいから結局C/Pは悪い。


しかし、歌舞伎公演に関しては、僕の<指定席>と言っていい程こだわって取っていた2階最前列花道寄りは従来1等A席だったが、再開後は1〜3階が各1〜3等席と決められたので、嬉しいことに我が<指定席>2階最前列が2等席になって料金は半額以下となった。


1日2公演制になったが、両方観ても従来より安価だ。

逆に1階席ファンには気の毒なことに前より高くなった。


第1部は2本立て。

「ひらかな盛衰記」から”源太勘当”。「ひらかな〜」といえば、圧倒的に”逆櫓”の上演機会が多く、こちらは何度も観たが”勘当”は初めて。


宇治川の先陣争いでわざと勝ちを譲った梶原源太景季/梅玉を武家の建前から母/魁春が勘当するという話だが、源太の弟の小憎らしい平次/幸四郎や源太と恋仲の千鳥/扇雀が絡み、悲話だが笑いどころもあって面白い。


扇雀が声も姿も若々しいのに驚いた。

幸四郎は剽軽役も巧い。


2本目・新作「幸希芝居遊」でも幸四郎が主役で登場し、多くの有名な歌舞伎の見処を繋ぎ合わせて見せてくれる。

全篇に幸四郎の歌舞伎愛が溢れていて胸熱に!


♪2020-060/♪国立劇場-07

2020年2月6日木曜日

2月大歌舞伎 夜の部

2020-02-06 @歌舞伎座


十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言
一、八陣守護城(はちじんしゅごのほんじょう)
 湖水御座船の場
佐藤正清⇒我當
斑鳩平次⇒進之介
正木大介⇒萬太郎
鞠川玄蕃⇒松之助
轟軍次⇒片岡亀蔵
雛衣⇒魁春

二、羽衣(はごろも)
天女⇒玉三郎
伯竜⇒勘九郎

三遊亭円朝 口演
榎戸賢治 作
三、人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)
左官長兵衛⇒菊五郎
和泉屋清兵衛⇒左團次
女房お兼⇒雀右衛門
和泉屋手代文七⇒梅枝
娘お久⇒莟玉
小じょくお豆⇒寺嶋眞秀
家主甚八⇒片岡亀蔵
角海老手代藤助⇒團蔵
角海老女房お駒⇒時蔵
鳶頭伊兵衛⇒梅玉

十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言
四、道行故郷の初雪(みちゆきこきょうのはつゆき)
忠兵衛⇒梅玉
万才⇒松緑
梅川⇒秀太郎

夜の部は4本立。好みは人それぞれとは言え、僕は断然「文七元結」に期待。
というのも落語では志ん朝のが好きで何十回となく聴いているが、歌舞伎で観るのは初めて。
楽しみであると同時に、志ん朝のように上手に江戸っ子の心意気や人情が表現できるかと不安もあり。

落語のように時空を瞬間移動できない芝居ではある程度話を整理しなくてはならないので、面白い部分が一部カットされていたのはやむを得ないが、歌舞伎版も繰り返し上演されているようにこれはこれで実におかしくもあり、ジーンと胸を打つ。

左官の長兵衛⇒菊五郎、その女房⇒雀右衛門、娘お久⇒莟玉(前・梅丸。なんて可愛らしい!)、家主⇒片岡亀蔵。
ほかに梅玉、時蔵、左団次など達者が揃った。

落語も同様だが、悪人が1人も出ず、粋でほろっとさせる話は江戸前ならではだと思う。


♪2020-016/♪歌舞伎座-01