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2023年6月9日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#15

2023-06-09 @すみだトリフォニーホール



デリック・イノウエ:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
藤木大地:カウンターテナー*

メンデルスゾーン:劇音楽「夏の夜の夢」序曲 op. 21
モーツァルト:交響曲第36番ハ長調 K.425「リンツ」
パッヘルベル:カノンとジーグニ長調
ヘンデル:歌劇「セルセ」HWV40から「オンブラ・マイ・フ(なつかしい木陰)」*
ヘンデル:歌劇「リナルド」HWV7から「涙の流れるままに」*
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」K.492から序曲/「恋とはどんなものかしら」*
モーツァルト:歌劇「ポントの王ミトリダーテ」K.87から「執念深い父がやってきて」*
モーツァルト:モテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス」K.618*
グルック:歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」から「精霊の踊り」/「エウリディーチェを失って」*
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ヴォーン・ウィリアムズ(マーティン・カッツ編):「オルフェウスがリュートをとれば」*



前半はオケのみ。
メンデルスゾーン「真夏の夜の夢」は良。だがプログラム全体の中では座り心地が悪かったのではないか。
というのも後半も含め、その他はヘンデル、モーツァルト等バロック・古典一色だったから。

後半は声休めを兼ねたオケのみ演奏の2曲以外は藤木大地のカウンターテナー・リサイタルの様相。この為彼のレパートリーから古色中心になったのだろう。

前半は弦14型。これがなかなか美しい。
昨日、読響を残念席で聴いて楽しめなかったせいもあるが、やはり自分で納得して選んだいつもの席で聴くって幸せだよ。

後半は10型(一部は弦楽のみも)とコンパクトな編成にチェンバロが加わった。カウンターテナーのレパートリーとしてはこれ以上ないという風な名曲揃いで大変結構でした。

♪2023-102/♪すみだトリフォニーホール-04

2022年5月21日土曜日

グルック「オルフェオとエウリディーチェ」

2022-05-21 @新国立劇場



指 揮】鈴木優人
【演出・振付・美術・衣裳・照明】勅使川原三郎
【アーティスティックコラボレーター】佐東利穂子
【舞台監督】髙橋尚史

【合唱指揮】冨平恭平
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【エウリディーチェ】ヴァルダ・ウィルソン
【オルフェオ】ローレンス・ザッゾ
【アモーレ】三宅理恵
【ダンス】佐東利穂子、アレクサンドル・リアブコ、高橋慈生、佐藤静佳

クリストフ・ヴィリバルト・グルック「オルフェオとエウリディーチェ」<新制作>
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約 2時間
第Ⅰ・Ⅱ幕    60分
     休憩25分
第Ⅲ幕                  35分



新制作であり新国立劇場としても初上演らしい。
僕にとっては今回初めての生舞台。

オペラ自体がコンパクトで正味95分。
3幕構成だが実質2幕。
登場歌手はタイトルロールの2人とアモーレの3人だけ。
その代わり、ダンサーが5人登場してドラマ進行に重要な役割を果たす(物語を知っているので、ダンスの意味も検討がつくのだけど。)。

舞台美術もシンプル。
音楽は超有名なアリア「エウリディーチェを失って」以外も懐かしさに満ちた耳触りの良いものばかり。

手持ちの録画ディスクが2種ある。
いずれも原典(ウィーン)版なのでパリ版で追加された「精霊の踊り」が入っていない。

今回の鑑賞に当たって少し勉強してみて、こちらも超有な名曲が「オルフェオ〜」の挿入曲だったのを初めて知ったよ😅。

今回の演出は両方の版の組合せ(「精霊の踊り」あり)で、舞曲も自由自在の入れ替えあり。

オルフェオ役はカウンター・テナー(CTn):ローレンス・ザッゾ。手持ちの円盤を検索したら、ヘンデルを歌っている。声質からこの時代作に出番が多いのだろう。

ところが、僕はCTnが苦手。
低い音域では地声が出てしまって興醒め。
メゾ・ソプラノでやれば良かったのに。
ザッゾの問題というより、これまで内外の有名なCTnの誰を聴いても、その不自然さに満足できないでいる。

エウリディーチェ役のソプラノ:ヴァルダ・ウィルソンは魅力普通。ベルカントもののような華麗なアリアはないので。

アモーレはソプラノ:三宅理恵。
変わったところでは「ジークフリート」の森の小鳥役も聴いた。モーツァルト「レクイエム」にリゲティを挿入した迷曲にも出てたね。
先月の新国「魔笛」でパパゲーナ。
だんだん良くなる感じ。今日も良かったよ。


難をいえば、シンプルな舞台美術だが、最後の喜びのシーンはほぼモノクロでまるで告別式のよう。せめて照明で百合の大輪に色をつけられなかったか。

ダンスシーンが1/3位。
グルックが最初に「精霊の踊り」を書かなかったのは正解だと思った。この音楽・ダンス自体が魅力的で、その分物語が薄くなる。

♪2022-0746/♪新国立劇場-08

2016年6月16日木曜日

MUZAランチタイムコンサート6月 歌のフルコース!~お得な曲のランチコース~

2016-06-16 @ミューザ川崎シンフォニーホール


バリトン:大山大輔♣
ソプラノ:富田沙緒里♡
メゾ・ソプラノ:吉田貞美♢
テノール:伊藤達人♠
ピアノ:畑めぐみ

ヴェルディ:「椿姫」から《乾杯の歌》♡♢♣♠
グルック:「パリーデとエレーナ」から《ああ私の優しい熱情が》♣
スカルラッティ:《陽はすでにガンジスから》♢
バーンスタイン:「キャンディード」から《着飾ってきらびやかに》♡
レハール:「微笑みの国」から《君は我が心のすべて》♠
モーツァルト:《アヴェ・ヴェルム・コルプス》♡♢♣♠
J.S.バッハ:『コーヒーカンタータ』から《なんてコーヒーは甘く美味しいのだろう》♡♢♣♠
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アンコール
ヴェルディ:「ドン・カルロ」から《友情の二重唱》♣♠
モーツァルト:「フィガロの結婚」から《喧嘩の二重唱》♡♢


失礼ながら銀行の用事のついでに当日券で観賞。
混声四部の声楽家4人とピアノ。
演奏家諸氏の名前に覚えはなかったけど、国内のオペラやミュージカルなどで活躍中の由。中堅級クラスなのだろうか。

プロの声楽の巧い下手は分からない。そもそも超人的な技巧を要するような(…に聴こえる)作品はなかったと思うが、どの歌も素直に楽しめた。

「歌のフルコース!」というタイトルが付いていたが、各曲を前菜からデザート、コーヒーまでフルコースの見立てで楽しむ。
バリトン氏のMCがユーモラスで、にこやかな雰囲気に包まれた極上フルコースを満腹できた。

ミューザの「ランチタイム・コンサート」に出かけたのは初めてだが、素晴らしいホールで質の高い音楽をたった500円で聴かせるとは嬉しい。


♪2015-086/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-13

2015年6月7日日曜日

N響第1811回 定期公演 Aプログラム

2015-06-07 @NHKホール


ステファヌ・ドゥネーヴ:指揮
ルノー・カプソン:バイオリン*
NHK交響楽団

ラヴェル:道化師の朝の歌
ラロ:スペイン交響曲 ニ短調 作品21*
ルーセル:交響曲 第3番 ト短調 作品42
ラヴェル:ボレロ
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アンコール(バイオリンソロ)
グルック(クライスラー/ルノー・カプソン編):歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」から「メロディー」


前日、オール・ロシアプログラムを聴いた翌日はオール・フランスプログラムだった。
指揮のドゥネーヴも、バイオリンのカプソンもフランス人で、完璧なフランス尽くし。因みに次のコンサート(神奈川フィルみなとみらい定期)もオール・フランスときている。まあ、こういうことってあるんだ。

さて、ラヴェルの「道化師の歌」は昔、FMのクラシック放送にかじりついていた頃に確かに聴いた覚えはあったがその後長らく聴いたことがなく、CDも持っていないのですっかり忘れていた。

原曲はピアノのための5曲から成る組曲「鏡」の中の第4曲で、そのタイトルは「Alborada del gracioso」。スペイン語だ。意味は日本語訳のとおり。
曲調はフラメンコの音楽のようで調子が良い点は「道化師」を表しているのだろうけど、あまり「朝」という雰囲気ではない。でも、全篇スパニッシュなのだ。


次が、本来ならメインイベントでもいいような最長大曲のラロの「スペイン交響曲」。
交響曲と言いながら実際は5楽章構成のバイオリン協奏曲だ。
ラロの唯一のポピュラーな作品だと思う。純粋な交響曲も書いているようだが、こちらは聴く機会があるだろうか。

ここで、ルノー・カプソンが大活躍をする。
多分、技術的には相当難しいのだろう。ラロはこの曲を「ツィゴイネルワイゼン」の作曲者として有名でバイオリンの名人でもあるサラ・サーテに献呈し、彼によって初演されている。

「スペイン交響曲」というタイトルはラロ自身がつけたらしい。彼自身スペイン系であったという事情もあるのだろう(ほかにも「ロシア協奏曲」、「ノルウェイ幻想曲」などというタイトルの実質バイオリン協奏曲も書いているが。)。
音楽は、その名のとおりもう出だしから、スペイン色に溢れている。まあ、それだけ親しみ深い。バイオリンの名人芸とド派手な管弦楽を堪能できる。



休憩を挟んでルーセルの交響曲第3番。
作曲家の存在は知っていたけど、彼の音楽を自覚的に聴くのは初めてだった。
なんとなく、現代の作曲家というイメージを持っていたが、ラヴェル(1875年生まれ)より6年早く生まれている。
しかし、音楽は、かろうじて調性(ト短調)を残しているものの、歌えるような旋律はなく、ストラヴィンスキーを思わせるような(いやいや、ストラヴィンスキーの方がまだ歌があるな。)、強烈なリズムの継続と変化に終始する。
それがつまらないかといえば、面白くもあるのだ。新古典主義だそうだが、モダンの手前ぎりぎりのところで踏みとどまっているのだろう。


いよいよ最後はお馴染み「ボレロ」である。
過去何度もナマで聴いているが、何度聴いてもラヴェルが用意周到に準備した巧妙な仕掛け…同じ旋律を何度も繰り返し、その度にメロディー楽器が変わり、編成が増え、音量が増加してゆくが、ボレロのリズムは微動だにしない。そしていやが上にも高まったところで、急転直下様相を変えて終結する。
その間緊張が途切れることなく音楽とともに気分も高揚し、ラストのクライマックスに突如吹っ切れる極度の爽快感がある。それが大いなるカタルシスなのだ。

15分程度の、いわば小品だけど、これこそ一夜のコンサートを締めくくるにふさわしい。



館内は久しぶりに割れんばかりの大歓声と拍手だった。
ドゥネーヴがN響と初顔合わせということもあり、音楽の出来もさることながらようこそN響へ、という観客の気持ちの現われだったろう。指揮者に花束が贈呈されるという、N響のステージではめったにないこともあった。

さらに思いがけない出来事は、首席トランペットの関山幸弘氏にも
花束が贈呈された。最初はボレロの演奏のソリストとして祝福を受けたのかと思ったが、それならもっと他にもたくさんのソロプレイヤーが花束をもらっても良さそうなものだ。
そのうち、指揮者が花束を抱いた関山氏をステージの中央指揮台のそばまで引っ張りだして、拍手を受けさせたので、言葉での説明はなかったけど、ああ、彼がこれで定年退職するんだということが分かった。

N響6月定期はこの後BプログラムとCプログラムが開催されるので、それらに彼が出演するのかどうか知らないけど、Aプログラムのコンサートとしては最後の出演だったわけだ。
テレビのN響コンサートでもほぼ毎回のように顔を見せ、素晴らしい演奏を聴かせてくれたので、これからはN響のステージでは(客演があるかもしれないが)ほぼ聴くことができなくなるのだろう。惜しいことだ。
ま、後を継ぐ人達も優れた人ばかりだと思うけど。

あ、ボレロまで聴いて気づいたのだけど、ボレロはスペイン風バレエ音楽として委嘱を受け作曲されたものだ。

すると。この日のフランス音楽集は、ルーセルを除けば、3曲ともフランス音楽と言いながら、実はスパニッシュの香り高い音楽ばかりだったのだ。そういう目論見だったのか、偶然だったのか、分からないが、まあ、フランスとスペインは国境を接しているし、同じラテン系だから、音楽の成り立ちも同根の部分が多いのだろうとは思うけど。

♪2015-54/♪NHKホール-05

2015年4月5日日曜日

読売日本交響楽団第79回みなとみらいホリデー名曲シリーズ

2015-04-05 @みなとみらいホール


シルヴァン・カンブルラン:指揮
読売日本交響楽団

グルック:歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」から
 “序曲” “精霊の踊り” “復讐の女神たちの踊り” 
ハイドン:交響曲 第94番 ト長調 「驚愕」 
バルトーク:「管弦楽のための協奏曲」

3月はオーケストラによってはシーズンの切り替わり時期で、定期演奏会が通常月より少なかったし、それも月の前半に集中していたので、20日ぶりのオーケストラだった。
渇望?していたせいもあったのか、もう、冒頭の響で気持ちが吸い寄せられた。弦と木管のアンサンブルが非常にきれいだ。
ああ、これだ!管弦楽の魅力ってこの音だ!と思った。

ほかのオケと比べてどうこう言えるような立派な耳を持っているわけではないけど、N響と読響には総じて安心感を持っている。そして満足できる。

グルックの作品といえば、「精霊の踊り」しか知らないし、それも手持ちCDではバイオリン小品集のなかの1曲だったので、今日はじめて原曲を聴いて、オペラの間奏曲であり、管弦楽曲だということを知った。

歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」からは3曲演奏されたけど、耳に覚えのあるものはやはり「精霊の踊り」だけだったが、軽快な序曲に続くコントラストの妙もあってなんとも美しい。
グルックはハイドンより18歳年長なので、音楽史的には前古典派ないし古典派の走りだけど、まるで1世紀後のロマン派のような甘くて切ない旋律だ。


続くハイドン。
有名な「驚愕」だ。まあ、ハイドンの昔と違って、大編成のオーケストラに慣れているので、この程度のダイナミックレンジで驚いたりはしないのだけど、ハイドンのユーモラスな面が表れて楽しい曲だ。

クラッシックなのが2作品(4曲と数える?)続いた後は、バルトークの作品。
バルトークは19世紀末に生まれ20世に前半に活躍した、いわば現代の人だ。
調性の怪しくなった現代の作品は、時に面白いと思うものもあるけど、積極的に楽しみたいとは思わない。ロマン派以前に宝物はいくらでもあるのだから。


そんな次第で、バルトークの作品といえば、民族音楽の研究家でもあった彼がハンガリーやルーマニアなどの民謡を基にして作曲した小品を除けば積極的に聴くことはなかった。

ただ、「管弦楽のための協奏曲」は2月の東響の定期でも聴いたばかりだし、多少は記憶に残っていた。
そもそも、あまり小難しい音楽ではない。現代性も感ずるけど、ところどころにハンガリー?民謡ふうなメロディーも紛れ込んでいて興味深い。
管弦楽のための<協奏曲>という名前が示すように各パートに聴かせどころが用意してあって、大編成の管弦楽をじっくり楽しむことができた。

♪2015-27/♪みなとみらいホール-12