2022年5月21日土曜日

グルック「オルフェオとエウリディーチェ」

2022-05-21 @新国立劇場



指 揮】鈴木優人
【演出・振付・美術・衣裳・照明】勅使川原三郎
【アーティスティックコラボレーター】佐東利穂子
【舞台監督】髙橋尚史

【合唱指揮】冨平恭平
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【エウリディーチェ】ヴァルダ・ウィルソン
【オルフェオ】ローレンス・ザッゾ
【アモーレ】三宅理恵
【ダンス】佐東利穂子、アレクサンドル・リアブコ、高橋慈生、佐藤静佳

クリストフ・ヴィリバルト・グルック「オルフェオとエウリディーチェ」<新制作>
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約 2時間
第Ⅰ・Ⅱ幕    60分
     休憩25分
第Ⅲ幕                  35分



新制作であり新国立劇場としても初上演らしい。
僕にとっては今回初めての生舞台。

オペラ自体がコンパクトで正味95分。
3幕構成だが実質2幕。
登場歌手はタイトルロールの2人とアモーレの3人だけ。
その代わり、ダンサーが5人登場してドラマ進行に重要な役割を果たす(物語を知っているので、ダンスの意味も検討がつくのだけど。)。

舞台美術もシンプル。
音楽は超有名なアリア「エウリディーチェを失って」以外も懐かしさに満ちた耳触りの良いものばかり。

手持ちの録画ディスクが2種ある。
いずれも原典(ウィーン)版なのでパリ版で追加された「精霊の踊り」が入っていない。

今回の鑑賞に当たって少し勉強してみて、こちらも超有な名曲が「オルフェオ〜」の挿入曲だったのを初めて知ったよ😅。

今回の演出は両方の版の組合せ(「精霊の踊り」あり)で、舞曲も自由自在の入れ替えあり。

オルフェオ役はカウンター・テナー(CTn):ローレンス・ザッゾ。手持ちの円盤を検索したら、ヘンデルを歌っている。声質からこの時代作に出番が多いのだろう。

ところが、僕はCTnが苦手。
低い音域では地声が出てしまって興醒め。
メゾ・ソプラノでやれば良かったのに。
ザッゾの問題というより、これまで内外の有名なCTnの誰を聴いても、その不自然さに満足できないでいる。

エウリディーチェ役のソプラノ:ヴァルダ・ウィルソンは魅力普通。ベルカントもののような華麗なアリアはないので。

アモーレはソプラノ:三宅理恵。
変わったところでは「ジークフリート」の森の小鳥役も聴いた。モーツァルト「レクイエム」にリゲティを挿入した迷曲にも出てたね。
先月の新国「魔笛」でパパゲーナ。
だんだん良くなる感じ。今日も良かったよ。


難をいえば、シンプルな舞台美術だが、最後の喜びのシーンはほぼモノクロでまるで告別式のよう。せめて照明で百合の大輪に色をつけられなかったか。

ダンスシーンが1/3位。
グルックが最初に「精霊の踊り」を書かなかったのは正解だと思った。この音楽・ダンス自体が魅力的で、その分物語が薄くなる。

♪2022-0746/♪新国立劇場-08