2022-05-20 @東京芸術劇場大ホール
ファビオ・ルイージ:指揮
NHK交響楽団
アレクサンドル・メルニコフ:ピアノ*
モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K. 466*
ベートーベン:交響曲 第8番 ヘ長調 作品93
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モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K.397*
ファヴィオ・ルイージのドイツ古典派3作。
彼は独墺ものが得意なんだそうだ。
でも(最後のベートーベン交響曲第8番の印象に引き摺られたのかもしれないが)、全体としては、イタリアの明るさを感じてしまった。
ドン・ジョヴァンニは中低域の弦の豊かな重なりが、やはりN響は只者ではないと思わせた。
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番を弾いたのはアレクサンドル・メルニコフ。
だいぶ前にイザベル・ファウスト+ジャン=ギアン・ケラスとのピアノ・トリオで聴いて好感。
今回もなんだか柔らかで、1週間前に神奈川フィルとモーツァルト:ピアノ協奏曲第25番を弾いたクレア・フアンチと同じような印象だった。
彼女と同じく意識していたのはフォルテ・ピアノではないか?
ピアニスト・アンコールは未完成の幻想曲Dmだが多分後世の補作部分は弾かなかったのだと思う。
ピアノ協奏曲第20番のカデンツァも自分と兄との共作で、独自性を発揮していたが、やはり違和感があったなあ。
メルニコフは何度も深々とお辞儀をしていたが、ロシア人として感ずるところがあったのだろう。ルガンスキーやラザレフの例もある中、よく招きに応じてくれたよ。
最後はベートーベン交響曲第8番。
ここでも弦の豊かな響きは心地よい。
鳴りの悪い、カサカサの乾いた響きの芸劇なのに、管・弦の交わりが生む甘い響きを彷彿とさせた。
3曲ともだが、ルイージの彫琢・剪定が行き届いて、N響もしっかり応えている風な印象を強く持った。