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2023年12月7日木曜日

東京都交響楽団 第988回 定期演奏会Aシリーズ

2023-12-07 @東京文化会館



大野和士:指揮
東京都交響楽団
ニコライ・ルガンスキー:ピアノ*

レーガー:ベックリンによる4つの音詩 op.128
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番嬰ヘ短調 op.1*
シューマン:交響曲第4番ニ短調 op.120(1851年改訂版)
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ラフマニノフ:前奏曲第1番嬰ヘ短調 op.23-1*




昨日のN響Bと同じようなジャンルで組まれたプログラムだった。
管弦楽曲、Pf協、交響曲の3本建自体は珍しくもないけど、うち、管弦楽曲がいずれもレーガーの作品というのは何たる偶然か…と思いきや、ラフマニノフとともに生誕150年なんだね。

その冒頭で都響が常ならぬアンサンブルの妙を聴かせた。
協奏曲以外は大抵弦16型で演奏する都響、その大編成に足を取られることが少なくないが、今日の弦の見事なこと。少し固く、重い響だが、乾いた透明感が実に心地良い。
管楽器、特に都響ブラス!中でもホルンの重奏がとても美しい。

レーガー作品も初めて聴いたが、昨日の「モーツァルトの主題による〜」より、ずっと楽しめたのは、先ず以て演奏がキビキビしていたからだろう。


もう1人の生誕150年のPf協奏曲は、何とも珍しい1番。
一体何年振りだろうか?
独奏のルガンスキーも5年前に読響で聴いて以来。

この作品も耳馴染みが少ないのだけど、ルガンスキーの流麗かつダイナミックな指捌きで、じっくりと音楽を味わうことができた。1番という番号だが、実質は3番より後に改訂されているので、情緒を抑えた純粋な器楽として完成度が高いのではないか。
何と言っても、Pfの音・響がサントリーとは全然違うよ。

最後に、一番楽しみだったシューマンの4番。
作曲順では1番だが、その後大幅に改訂をして、いわばシューマンの交響曲の集大成だ。ここでは、オーケストレーションの苦手なシューマンというイメージが全くない。むしろ、その巧さが随所に光っている。
尤も、初稿版が良いという声もあって、こちらも稀に演奏され、4年前に都響で聴いているが、すっかり忘れてしまって、今日の改訂版との違いは思い出せない。

抑制もなく次々と湧き起こる美旋律に酔いしれているうちに終わってしまうが、本当は、情に流されているのではなく、うまく計算してある。実に心憎い。ここでも低弦がゾクゾクさせた。

1年に1回?というくらい驚くべき都響の…いつも隠してばかりの…底力を味わった至福の2時間。

♪2023-210/♪東京文化会館-13

2023年12月6日水曜日

第1999回 NHK交響楽団 定期公演 B-1

2023-12-06 @サントリーホール



ファビオ・ルイージ:指揮
NHK交響楽団
アリス=紗良・オット:ピアノ*

ハイドン:交響曲第100番ト長調「軍隊」Hob.Ⅰ-100
リスト:ピアノ協奏曲第1番変ホ長調*
レーガー:モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ作品132
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サティ:グノシエンス第1番*





先月のA1定期ではみんな死んでいたのに、今日は生き返って、N響らしいアンサンブル。が…、

今日のハイドンがどうもしっくりこない。
N響でもハイドンを演奏する場合は、大抵弦編成は8-10型の小編成が多かったように思うが、5月Bのルイージ98番は今日と同じ14型だった。彼の好みなのか?
弦が大規模で悪いという訳ではないけど、厚みと透明感を備えた弦の響きが洗練されすぎてこれはハイドンなのか?と内心で葛藤していた。
「ルーテ」という珍しい打楽器が使われたが、プログラムでは言及がなかった。これが「軍隊」を表現する小道具の一つなのだが。


アリス=紗良・オットは3回目。N響では2回目。
これまでとは印象がずいぶん変わった。真っ赤なパンタロンドレス?の裾を翻して足捌きも軽やかに登壇すると、その後の所作がすべて軽快そのもの。CCもさっぱりしていてステージングの巧さは、むしろルイージを引っ張っていた。

演奏は、まあ、良かったのだろうが、いつも響の悪いサントリーのPfが、今日はもう信じられないくらい最悪だ。
オケの短い前奏の後にPfの強烈のフレーズが続くが、なんて酷い音だ。木か石を叩いているようで、こりゃPfじゃないよ。
弾いている本人は直接Pfの音を聴いているから何とも思わないかもしれないが、少し離れて聴けばこの酷さには気がつくはずなのに、一向に改善されないのはどうして?

僕の席はど真ん中で、Pfの屋根には88組の弦がそっくり写っているのだから角度も良し。この席でこんなに酷いなら、他の席ではどんな音に聴こえるのだろう?案外フツーに聴こえるのだろうか?
他のホールでも同じような席で聴いているが、こんなに酷いPfの音を聴いたことがない。ゆえに僕の耳の問題ではない。Pf本体の問題でもなく、奏者の問題でもない。

一番不思議なのは、誰も指摘してないことだ。
まるでサントリーホールは「裸の王様」だ。


レーガーは編曲ものが多く、作曲ものを聴く機会が少ないが、今日は珍しく作曲もの(…と言っても変奏曲だが)で、不思議なことに、明日の都響でもレーガーの作曲ものが続く。

前半で気分が落ち込んでいたせいもあって、この作品には面白みを感じなかった。彼の代表作らしいが、ラフマニノフのパガ狂18変奏みたいな、驚きの工夫はどこにも感じらなかった。

♪2023-209/♪サントリーホール-25

2023年9月2日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第388回定期演奏会

2023-09-02 @みなとみらいホール



ゲオルク・フリッチュ:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
阪田知樹:ピアノ*

レーガー:喜劇的序曲 Op.120 <日本初演>
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番ト短調 Op.40*
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73
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ラフマニノフ:楽興の時 第4番*


Mレーガーの作品は過去数回聴いているけどその都度完全忘却している。今日の序曲は(100年以上前の作品なのに)日本初演だとは驚く。調性はあるのにどこか外れた感じで、今回も既にどんな音楽だったか思い出せない。ラフマニノフと同じく生誕150年だそうな。50年後の生誕200年にもラフマは多く演奏されるだろうけどレーガーは忘れられているかもしれないな。

2曲目が阪田知樹によるラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番だった。
これがなんと初聴き(らしい…)。
CDなどではよく聴いているし、4番には、1-3番のエッセンスが盛り込まれているような気がしているのだけど、どうだか…。ともかく、かなり馴染んでいるので、あゝコレコレという感じで興味深く聴いた。

阪田知樹を初めて聴いたのが2014年。やはり、神奈川フィルでその時はラフマニノフ第2番だった。
横浜育ちのせいか、この9年間に、リサイタル、室内楽などで聴く機会が多い。超絶技巧をサラッとやってのけるのは小気味良い。今日は、本編より、むしろアンコールの「楽興の時 4番」で、どうだと言わんばかりの技を見せた。


後半はブラームス交響曲第2番。
1-4番の中で、一番聴く機会が多い。二番手の1番が肉薄しているが、4番の2倍、3番の3倍の頻度だ。オケにとっても人気曲なんだろうな。
ところが、4曲中2番が一番演奏が難しいのでは?と思わせるくらい不出来割合が高い。

多分、冒頭の低弦が誘い出すDC#Dを先ずはホルンが受けて、次に木管に引き継ぎ、さらに低弦が歌うという綾取りみたいな進行の中に主題が断片化しているので、各パートの熱量や緊張感が一致しないとバラバラになってしまうのだと思っている。

今日は、その受け渡しがうまくゆかなかった。
こういう日に坂東裕香(ホルン首席)は降り番なのか!彼女ならもっとうまくリレーできたのに…。残念な出発だった。

ま、ラフマは上出来だったし、ブラームスも後半は盛り上がっていった。

初顔のゲオルク・フリッチュは、クセのない丁寧な指揮ぶりに好感した。

そうそう、本日のコンマスは東響の呪縛から逃れた?水谷晃クンがいつもの笑顔で引っ張ったのは同慶なり。
ついでに、ビオラの首席も横浜バロック室内合奏団の百武女史が座っていた。他のオケに客演しているのは初めて見た。

♪2023-149/♪みなとみらいホール-30

2021年12月15日水曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第373回横浜定期演奏会「第九」❶

 2021-12-15 @ミューザ川崎シンフォニーホール


角田鋼亮:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京音楽大学

ソプラノ:澤江衣里
アルト :金子美香
テノール:村上公太
バリトン:青山貴

オルガン:花澤絢子*


J.S.バッハ:目覚めよと、呼ぶ声す BWV645
レーガー:クリスマスの夢 op.17-9
J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
-----以上3曲オルガン独奏*-----
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125


愈々「第九」に突入。

まず第1回目は日フィル。

その初っ端の「第九」がびっくりだった。

弦10型(10-8-6-5-4)という極小サイズ。

日フィルの「第九」は別にコバケンも5回振るので、要員を2手に分けたか…なんてことはないだろう。

小編成だと声部が聴き取り易いという利点はある。

だが、弦5部を縮小しても管の編成は変える訳にゆかない。

少数弦は共鳴も少なく、響きは薄い。

普段は弦に埋もれているような管のフレーズが聞こえてくるのも面白いけど、モダンな大編成に慣れた耳には違和感が強かった。

いっそ、楽器も弦も奏法も変えて古楽アプローチするのも手だが(昨年聴いたオルケストル・アヴァン=ギャルドの徹底した古楽アプローチは素晴らしい「革新の第九」だった。)、日フィルメンバーには慣れてないから無理だろう。



そんな訳で、中途半端な寂しい「第九」だった。

演奏のテンポは、特に速い感じはしなかったが終わってみると60分強で、長さもコンパクト(それ自体は全然問題じゃないけど。)。

低弦が少ないから4楽章のレシタティーヴォも”熱”を感じない。

合唱は60名全員マスクで歌った。60人も並んだ割にはこちらも”熱”を感じない。あのマスク何とかならんかい!

独唱陣は、3楽章前にこっそり入場して舞台奥で歌った。1F客席最前列から4列も閉鎖したのだから舞台前方で歌えば良かったのではないか(皆んな馴染みの歌手達なのに顔がよく見えない。)。

終演後のカーテンコールが盛り上がりに欠けたのは、角田クンのステージングが悪い。

せめて、ここでは独唱陣を舞台前に呼んで拍手を受けさせるべきだった。

みんなの「頑張り」が「歓喜」には至らなかった。

出鼻を挫かれた格好の「第九」だが、まだ残り7回!


♪2021-155/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-43

2017年11月12日日曜日

東京交響楽団 川崎定期演奏会 第64回

2017-11-12 @ミューザ川崎シンフォニーホール


ユベール・スダーン:指揮
東京交響楽団
フランク・ブラレイ:ピアノ*

マックス・レーガー:ベックリンによる4つの音詩 作品128
ヴァンサン・ダンディ:フランスの山人の歌による交響曲 作品25*
ドボルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界から」

ユベール・スダーンの指揮は、東響を振ったものがほとんどだが、何回か聴いている。大抵、不満を感じたことがないのは、音楽性がどうこうより、穏やかで陽性の人格によるのではないかな。今回も、終始笑顔で好感が持てた。

ところで、レーガー(1873-1916)、ダンディ(1851-1931)って誰?
レーガーの名前には聞き覚えがあったが、それ以外に何の知識もない。ダンディに至っては名前も知らなかった。20世紀まで生きた人だから、ひょっとして七面倒な無調とか調性拡大の独りよがり音楽ではないか、と心配していたが、全くの杞憂だった。
音楽史的には後期ロマン派らしい。
前者の「ベックリンによる4つの音詩」は4曲構成。ドビュッシーなどを思い出させるゆったりと幻想的な音楽。第4曲だけが、賑やかで諧謔的。

後者の「フランスの山人の歌による交響曲」は独奏ピアノが加わるけど協奏曲風な作りではない。
もちろんこの曲も初めて聴いたが、まずは「ローフォ・オブ・ザ・リング」の映画音楽にもそのまま使えそうな、実に分かりやすく親しみやすい音楽だ。そして明らかにドイツ的ではない(フランス人)。ラフマニノフ、ドボルザーク、ショパンなどのエッセンスが取り込まれているような気がした。ま、とにかく聴きやすい。遊び心もあってユーモラスな作品だ。

そして、メインは「新世界から」。
スダーンの指揮は引き締まって、テンポも速めで、オケも快調に飛ばしていた。
4楽章に木管の小さなミスがあったが、それを吹き飛ばすような金管のファンファーレで高揚して万事良し。

♪2017-178/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-30

レーガー:ベックリンによる4つの音詩⇒
https://youtu.be/fx0GnimY8GE

ダンディ:フランスの山人の歌による交響曲⇒
https://youtu.be/C9yOyZQ4Tzw