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2025年1月3日金曜日

バレエ「くるみ割り人形」

2025-01-03 @新国立劇場



【指揮】アレクセイ・バクラン
【振付】ウエイン・イーグリング
【美術】川口直次
【衣裳】前田文子
【照明】沢田祐二

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【合唱】東京少年少女合唱隊

【クララ/金平糖の精】木村優里
【ドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子】渡邊峻郁

バレエ:チャイコフスキー「くるみ割り人形」
全2幕

予定上演時間:約2時間15分
第Ⅰ幕 55分
  休憩30分
第Ⅱ幕 50分



ここ4年は毎年初詣代わりに1月3日に「くるみ割り」を観に行っている。その前は毎年ではないが年内に観に行っていた。

ともかく、新国立劇場以外でも観ているからバレエ作品の中では一番回数が多いかもしれない。

これまでは、毎回満足して帰路についたが、今年は小異変が起こった。なんだか、乗り切れなかった。体調が悪かった訳でもないけど。

新国の演出も指揮もオケも全く変わっていないのだけど、これまでは気にならなかった、1幕前半の紗幕が邪魔でしようががなかった。雪を投影する以外に全く役に立たないばかりか、舞台を薄暗くして見えづらい。オペラでも、安易に紗幕を使う演出がはやっているが、あれは、少なくとも僕の感情を損ねるよ。
東フィルもいまいち弾けていなかったような気がするのは八つ当たりかも…。


そもそも、このバレエ、物語としては1幕だけでもう完結している。2幕は付け足しだ。各国(スペイン・アラビア・中国など)の踊りや花のワルツも金平糖の踊りも、まさにバレエとしては見ものなんだけど、物語としては蛇足だ。クララの夢物語という構成なので、なんでもありとは言えるのだけど。
そこをもう少し、物語性を演出でうまく繋げられないものかと、今日はつくづく思ったね。

物語としては肝心の1幕も、ほとんど子供の踊り中心でフラストレーションが溜まった(これまでどうして違和感を感じなかったのだろう?)。最後の最後に来て雪の精の踊りで溜飲を下げるというか、我慢のしがいがあったと思う。

「くるみ割り」全編中、最高に美しい。
ここで終わる手もあったのではないか。

ともかく、第2幕に続く。
チャイコの美旋律の連射でバレエを思い切り堪能できるシーンが続く。
花のワルツは群舞のクライマックス。金平糖の踊りを経て〜というのか一体なのかもしれないがクララと王子のパ・ド・ドゥが華やかに繰り広げられて、いやはや大したものだと感心する。僕なんか、片脚で30度もあげることできないよ。

まあ、無理やり夢オチで決着を付けられてしまう残念感はあるけど、まあいいかな。来年も3日にゆこう。

♪2025-001/♪新国立劇場-01

2024年5月19日日曜日

読売日本交響楽団第134回横浜マチネー名曲シリーズ

2024-05-19 @みなとみらいホール



ユライ・ヴァルチュハ:指揮
読売日本交響楽団(16型)
女性合唱:国立音楽大学(42人)
児童合唱:東京少少女合唱隊(30人)
メゾ・ソプラノ:エリザベス・デション


マーラー:交響曲第3番ニ短調



みなとみらい大ホールが続き、昨日はミッキーの「タコ10」。今日はもっと大曲の「マラ3」。

独唱・合唱を伴う大規模曲(かつ100分の長尺!)なので、なかなか聴く機会がないと思いがちで、最新が18年の大野和士/都響だからだいぶ遠のいたが、コロナ禍を挟んでいたのでそういうことになったのだろう。記録を見れば10年に5回という頻度だ。ほぼ1年後にはF・ルイージ/N響でも予定されている。だから、昨日の「タコ10」と同じような鑑賞頻度だ。

僕は消極的アンチ・ブル・マラ派ではあるが、いくつかは聴いてみたいと思うものがあり、このマラ3はその筆頭格だ。

で、出来栄えは?
冒頭の8人(実際は+1人はアシスト?)のHrのTuttiが上手なんだけど、艶がなかった。それで期待したほどには惹き込まれなかった。

その後も全く破綻はないし、新しく就任した首席客演のヴァルチュハが巧かったのかどうか分からないけど、実に、自然に音楽が流れていった。

ただ、音楽の違いかもしれないが、昨日、同じ舞台に乗っていた日フィルの同じ16型の弦の柔らかさに比べると、おいどうした読響!という場所もあったな。

100分が少しも長いと感じさせず、良い感じにまとまった。

終曲の時。暫時沈黙。ヴァルチュハにもったいぶった気取りもなく、フラ拍もなく、自然に拍手喝采が生まれたのも良い感じだった。

余談だが、比較をすれば、16年秋のP・ヤルヴィ/N響が全般緊張を孕んですごい演奏だと思った。4K収録をしたはずのあの演奏がいまだに放映されないのは児童合唱の気の毒な事故が理由かもしれないが、NHKの技術でなんとでもカバーできるのではないかと思う。あれは是非放映してほしい。

♪2024-067/♪みなとみらいホール-17

2024年2月16日金曜日

東京都交響楽団 第994回 定期演奏会Bシリーズ

2024-02-16 @サントリーホール



エリアフ・インバル:指揮
東京都交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団*
児童合唱:東京少年少女合唱隊*

ジェイ・レディモア:語り*
冨平安希子:ソプラノ*

ショスタコーヴィチ:交響曲第9番 変ホ長調 op.70
バーンスタイン:交響曲第3番「カディッシュ」*(1963)
(オリジナル版テキスト/日本語字幕付き)






ショスタコ9番は初聴き。
冒頭から肩透かし。
冗談音楽かと思わせるような軽さ。
これでもソ連共産党は難癖を付けたというから、彼らの判断基準を学びたいものだ。

「カディッシュ」はインバルの都響再演だという。どうして僕は聴いていないのか、今となっては分からないが、こちらも初聴き。
超長尺ではない(45分)が、演奏規模は特大だ。
混成合唱に児童合唱にソプラノ独唱。
それに全編を案内する”語り”も加わり、オケは当然弦16型。管打鍵楽器も多種多様。

音楽は12音、無調、変拍子、不気味な不協和音の連続、時に嵐のような音楽。これが絶対音楽作品なら願い下げしたいところだが、オペラや劇伴音楽としてなら俄然面白い。
そして、これはバーンスタインが大編成で描く彼自身の信仰の揺らぎと回復の物語である。

本来(これって変!)の語り手が参加できなかった為に、語りのテキストが改訂版ではなくバーンスタインが書いたオリジナルが使われたが、むしろスッキリしたのではないか。
どうせ信仰心のない者達が演奏し、聴いている方も無信仰なのだから(少なくともユダヤ教は皆無だろう。)、音楽劇として楽しめたら良い。

語りには字幕もついて、ま、言っていることは分かる。最終盤のセリフは理解不能だったけど(それでバーンスタインは書き換えを意図したのか?)。
楽章や3つのカディッシュの初めは字幕で示され迷子にもならなかった。

とにかく、全体の意図は掴めたし、音楽は原始脳を刺激しまくりなので、音楽を聴くというよりバーンスタインの心情に共感しつつ途方もないものを体験したという感じ。
悪くない。

インバルの指揮ぶり。普段のスタイルが記憶にないけど、こんなに下向いてばかりいたかな?再演とは言え編成は大規模だし複雑な変拍子が連続する為か、ずっと楽譜を追っていたように見えたけど、御歳88歳にしては驚異的なエネルギーだ。

♪2024-028/♪サントリーホール-05

2023年5月12日金曜日

東京都交響楽団 第975回 定期演奏会Aシリーズ

2023-05-12 @東京文化会館



山田和樹:指揮
東京都交響楽団
東京混声合唱団*
武蔵野音楽大学合唱団*
東京少年少女合唱隊**

三善晃:混声合唱とオーケストラのための《レクイエム》(1972)*
三善晃:混声合唱とオーケストラのための《詩篇》(1979)*
三善晃:童声合唱とオーケストラのための《響紋》(1984)**



三善晃の反戦三部作だのレクイエムだのを聴いてなんにも感じなかったのは非文化人とか音楽を分かっちゃいないとか言われそうだけど、事実、なんの感動もなんの癒しもなんの妙味も感じなかったのだからしようがない。

特に最後の子供達の歌で、ああ、ようやく心地よい音楽が聴けるかと思いきや、オケが無作法に雪崩込んで、綺麗な合唱をズタボロにしてしまう。そこに意味があるのだろうけど、もういいよ。

そもそも大人の合唱も含め、今日の作品では、声楽を器楽としてしか扱っていないのではないか。そこにも違和感を感じた。

書いた方は深い重い痛切な感情を音にしたのだろうが、なんであれ、ちっとも共感できなかった。
今の世の中では、もう、居場所を失っているのではないか。

♪2023-079/♪東京文化会館-07

2023年1月3日火曜日

バレエ「くるみ割り人形」

2023-01-03 @新国立劇場



【指揮】アレクセイ・バクラン
【振付】ウエイン・イーグリング
【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
【美術】川口直次
【衣裳】前田文子
【照明】沢田祐二
【芸術監督】吉田都

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【合唱】東京少年少女合唱隊

【クララ/金平糖の精】小野絢子
【ドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子】福岡雄大

バレエ「くるみ割り人形」
全2幕

予定上演時間:約2時間15分
第Ⅰ幕 55分
  休憩30分
第Ⅱ幕 50分



1月3日が僕の事初め。
昨年に続いて「くるみ」を観に行く。今日が千穐楽。

なぜ、この日にゆくか、といえば、マチネでバレエを、ソワレでNHKホールのニューイヤーオペラコンサートに行こうという段取りだけど、後者は昨年から抽選制になり2年続けて落ちた。全く、抽選なんてやめてケロ。

主要スタッフ・キャストは昨年と同じ。
クララ⇒小野絢子、王子⇒福岡雄大。
バレエの技術は分からん。
が、2人とも呼吸が合ってとても安定感がある。

オケによる全曲演奏はバレエ無しでつまらない。
チャイコ自身の手になる組曲は何故か2幕に偏重。
やはり、バレエ音楽はバレエで楽しむに限る。

1幕の最後、24人の群舞による雪の精の踊りは実に美しいし、後半流れる児童合唱(2F舞台際の左右のバルコニーで歌った。)のボカリーズは天から降り注ぐかのように感動的で、2幕の花のワルツよりも好きだ。

2幕は耳タコ名曲の釣部撃ち。
その後にバレエ最大の見せ場かな。グラン・パ・ド・ドゥは鍛えられた身体が優雅の極致を見せて見事。

♪2023-001/♪新国立劇場-01

2021年11月14日日曜日

東京交響楽団川崎定期演奏会 第83回

2021-11-14 @ミューザ川崎シンフォニーホール


クシシュトフ・ウルバンスキ:指揮
東京交響楽団
新国立劇場合唱団
東京少年少女合唱隊

バイオリン:弓新*
ソプラノ:盛田麻央
カウンターテナー:彌勒忠史
バリトン:町英和

シマノフスキ:バイオリン協奏曲第1番 op.35*
オルフ:カルミナ・ブラーナ

「カルミナ・ブラーナ」は今年の最大の楽しみだった。

しかも、指揮は久しぶりに好感度大のウルバンスキだ。


とは言え、「カルミナ〜」は過去にも名演を聴いており、特に2018年のNHK音楽祭におけるPヤルヴィ+N響の素晴らしい演奏が頭にこびりついている。


あれに敵うものはなかろう。

まあ肉薄できたらいい。

いや、生で聴けるだけでもよしとせねば…

と、うんとハードルを下げて臨んだが、どっこい。


バリトンが入るまでは少しもたつきを感じたが、徐々にエンジンが暖まり、オケも合唱も独唱も調子を上げて、こちらも前のめりに、オルフの描く奇妙な世界にズンズン惹きこまれて行った。


重厚で荘厳な響あり、自然賛歌あり、官能的な歌、清らかな世界を描く歌など聖俗混淆のごった煮が、次から次へと繰り出され、原始脳を刺激する狂乱の60分。


NHK音楽祭に立派に肉薄する!上出来だった。


欲を言えば、合唱がかなりの熱量だったとはいえ、薄い。

児童合唱団は10人、新国立劇場合唱団は48人?


これでは弦14型多くの管打鍵盤楽器を交えたオケを圧倒するには至らない。


因みに18年N響の「カルミナ〜」では児童50人、新国80人という編成だった。


今の時期ではやむを得ないが、出来が良かっただけに、やはり大ホールを揺るがす厚みが欲しかった。


前半にシマノフスキのVn協奏曲。急遽選手交代で弓新が登場したが、かつてチャイコを聴いて好感を持ったのでちょっと楽しみだった。

たぶん、技術的は相当難しそうだ。とても歌えない旋律?が延々と続き、決して心地良い音楽ではないけど、緊張感あふれる気迫の演奏にオケも応えて存外楽しめた。


♪2021-128/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-36

2018年4月10日火曜日

東京都交響楽団 第853回 定期演奏会Bシリーズ

2018-04-10 @サントリーホール


大野和士:指揮
東京都交響楽団
東京少年少女合唱隊:児童合唱
新国立劇場合唱団:女声合唱
リリ・パーシキヴィ:Ms

マーラー:交響曲第3番ニ短調

オケの編成も大きいが、これに声楽独唱、児童合唱、女声合唱も加わって演奏陣が膨れ上がるので、ナマで聴く機会が少ない。6オケ8定期を聴いていても定期演奏会で取り上げられる機会は、8定期合わせても年に1回あるかどうかで、前回聴いたのは一昨年の10月に、定期ではなく、N響90周年&サントリーホール30周年特別公演だったからもう1年半ぶりになる。

そもそもマーラーファンではないので彼の作品に関してはつい厳しい聴き方をしてしまうが、それでも、前回のパーヴォ+N響は見事なものだった。あれ程の緊張感を維持してこそ、90分余の長尺が無駄ではないのだという気にさせてくれる。

今回の都響は、まあ、これといってミスもなく(分からなかっただけかも)、壮大な音のスペクタクルを聴かせてくれた。
しかし、管だけを取り上げても(概ね名演だと思うが)アンサンブルで乱れるところがあったし、管と弦がTuttiで炸裂するところなどで、ピッチの甘さゆえの聴きづらい音の歪みを発していた。もし、それがなければ、あくまでも透明さを維持したままの爆音を聴かせてくれたら素晴らしいのにと残念に思った。

ナマであるから、少々の問題は別にして概ね楽しめるのだけど、何かを表現するのに、どうしてこんなに大きな編成と長時間が必要なのか、とはマーラーを聴く度に思ってしまう。
今回もマーラーの自己陶酔に付き合わされてしまったか、と苦笑い。


ところで、今日の弦の配置は少し変わっていた。
都響の3月はA定期が不都合でC定期に振り替えのでBとCを聴いたがいずれも指揮はインバルだったせいもあるのかもしれないが、第1バイオリンの定位置に対抗配置されたのは2回ともチェロだった。この編成もやや少数派だと思う。一番多く見るのは第1バイオリンから時計回りに第2バイオリン、チェロ、そして上手にビオラが第1バイオリンと対抗する形での配置だ。
今日は、その一般形の第2バイオリンとビオラを入れ換えた形、つまり第1バイオリンと向かい合うのが第2バイオリンだ。この形はあまり見ない(N響では多いかも…)。
そこで、ふと思ったのは、マーラーの第3番は、これは「吹奏楽」かと思わせるほどに管楽器・打楽器が活躍し、弦楽器の扱いは粗末なものだ。粗末にされた弦楽器の中では第2バイオリンが比較的活躍するように思う。その為に客席側に配置したのではないだろうか?
他の演奏例を手持のビデオやYoutubeで探してみたが、はっきりとVn1 Vs Vn2の形は発見できなかった。

蛇足ながら、第3楽章のバンダのポストホルンは2階舞台後方の通路下手で演奏され、トランペットで代用された。

プログラムには演奏予定時間が94分と書いてあったが、実測してみたらぴったり94分だった。この中には第1部(第1楽章)終曲後のメゾソプラノ独唱者やP席中央に陣取った合唱団の入場時間も含まれるが、偶然だろうけどちょいとびっくり。

♪2018-037/♪サントリーホール-03

2015年9月13日日曜日

東京交響楽団 川崎定期演奏会 第52回

2015-09-13 @ミューザ川崎シンフォニーホール


ジョナサン・ノット:指揮
藤村実穂子:メゾ・ソプラノ
東響コーラス:女声合唱
東京少年少女合唱隊:児童合唱
東京交響楽団

マーラー:交響曲 第3番 ニ短調


第3番は、マーラーのいずれも長ったらしい交響曲全10曲の中でもとりわけ長大で、近年までギネスブックに最長時間交響曲として記録されていたという。

プログラムでは演奏予定時間100分とある(結果的には105分だったと思う。)。

そんな訳で、CDでは数回聴くともなしに聴いてはいるのだけど、真剣に聴いたことがなかった。オケの定期でもなかなか取り上げられない。何しろ、「長い」だけではなく、オケの編成が異常に大きく、さらに独唱、女声合唱団と児童合唱団が加わるのだから、容易には取り上げることができないだろう。一回演奏する毎に赤字が出るのではないだろうか。

とにかく、CDでさえ(だから?)、真剣に聴いたことがない長大曲を今回初めてナマで聴くことになったが、休憩なしに演奏するというのだから、聴き手も一種の修行である。
事前に十分な予習と体調管理をして臨まねばとてもこの曲を鑑賞することはできない。

それが、体調不十分だった。
昨日の早朝の地震以来リズムが狂ってしまった。
こりゃあ、爆睡必至だなあ、と危惧しながら出かけた。

しかし、始まってみると、最初の10分位かな。しんどかったのは。
後は、ノリノリで、不思議なものだ。マラソンランナーのランナーズ・ハイのようなものか。

長くとも、それなりに(楽しめるとまではゆかないが)聴いておれるのは、マーラーの他の曲でも同じだけど、多彩な楽器を投入し、多彩な演奏技法を繰り広げ、刺激的でダイナミズムに富んだリズムとメロディが次々に押し寄せるからだろう。


因みに、オケが大編成だと書いたが、管・打楽器の編成は一応楽譜に書いてある(とはいっても、本番では補強しているように思う。)が、弦楽器については単に弦5部としか書いてない。
弦楽パートをどういう規模にするかは、指揮者の判断なのだろう。今回はコントラバスが9本並んだ。9本も並んだのを確認したのは初めてだ(千人の交響曲の時はどうだったのか記憶も記録もない。)。他のパートも推して知るべし。実に分厚い弦楽が時にはパート内でさらに2パートに分かれたりして重厚かつ繊細な響きを聴かせてくれた。

この重厚で華麗なサウンドがなければ、この長大曲を聴くのは苦行に等しいが、そこはうまく工夫して飽きさせない仕掛けが織り込んである。オーケストラの狂奔ぶりはもちろん聴き手の感性を大いにかき回すのである。

長きが故に尊からず。これは音楽表現を借りたアクロバチック・イリュージョンにすぎないのではないか、という不信感が根底にあるのだけど、抵抗したい気持ちも長くは続かなくなるのも現実だ。

音楽ってなんだろう、ていう疑問は永遠のものかもしれないが、マーラーを聴くとき特に強く感じてしまう。




演奏について。
メゾ・ソプラノの藤村実穂子の声が、天上の高いミューザの空間によく響き渡ってきれいだった。
女声合唱はP席に配置されていたが、児童合唱は客席第3層上手の一角から降り注いできたのも効果的な演出だった。
ミューザではホール客席内に合唱やバンダ(オケの別働隊)を配置するためのスペースが用意されているからこそこういう演出ができるのだが。
指揮のジョナサン・ノットの音楽的特徴は分からない。それほど聴いていないから。しかし、誠実そうな印象にいつも好感する。
今日の長大曲を完全暗譜で振ったというのはすごいなあと大いに感心した。そういえば以前にジョナサン・ノットが東響の音楽監督就任記念コンサートでマーラー(第9番)を振った時も暗譜だったなあ。

そして、東京交響楽団はいつもの様にうまい。
僕の独善では、N響、読響、都響と並んで在京オケ四天王だと思うよ。



この日の終演後のカーテンコールの凄まじさと言ったら、これまでのミューザ経験では最高の興奮ぶりだった。上に触れた一昨年のジョナサン・ノットの音楽監督就任記念コンサートでも大きな拍手と歓声に包まれていたが、今回はもっと一桁dbが大きかったように思う。

マーラーの音楽に対する僕の屈折した思いとは別に、大曲を演奏し終えた指揮者やオケや声楽の諸君たちと2千人近い観客が幸福な気持ちを一つにできる瞬間だ。

♪2015-85/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-18