2024年2月16日金曜日

東京都交響楽団 第994回 定期演奏会Bシリーズ

2024-02-16 @サントリーホール



エリアフ・インバル:指揮
東京都交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団*
児童合唱:東京少年少女合唱隊*

ジェイ・レディモア:語り*
冨平安希子:ソプラノ*

ショスタコーヴィチ:交響曲第9番 変ホ長調 op.70
バーンスタイン:交響曲第3番「カディッシュ」*(1963)
(オリジナル版テキスト/日本語字幕付き)






ショスタコ9番は初聴き。
冒頭から肩透かし。
冗談音楽かと思わせるような軽さ。
これでもソ連共産党は難癖を付けたというから、彼らの判断基準を学びたいものだ。

「カディッシュ」はインバルの都響再演だという。どうして僕は聴いていないのか、今となっては分からないが、こちらも初聴き。
超長尺ではない(45分)が、演奏規模は特大だ。
混成合唱に児童合唱にソプラノ独唱。
それに全編を案内する”語り”も加わり、オケは当然弦16型。管打鍵楽器も多種多様。

音楽は12音、無調、変拍子、不気味な不協和音の連続、時に嵐のような音楽。これが絶対音楽作品なら願い下げしたいところだが、オペラや劇伴音楽としてなら俄然面白い。
そして、これはバーンスタインが大編成で描く彼自身の信仰の揺らぎと回復の物語である。

本来(これって変!)の語り手が参加できなかった為に、語りのテキストが改訂版ではなくバーンスタインが書いたオリジナルが使われたが、むしろスッキリしたのではないか。
どうせ信仰心のない者達が演奏し、聴いている方も無信仰なのだから(少なくともユダヤ教は皆無だろう。)、音楽劇として楽しめたら良い。

語りには字幕もついて、ま、言っていることは分かる。最終盤のセリフは理解不能だったけど(それでバーンスタインは書き換えを意図したのか?)。
楽章や3つのカディッシュの初めは字幕で示され迷子にもならなかった。

とにかく、全体の意図は掴めたし、音楽は原始脳を刺激しまくりなので、音楽を聴くというよりバーンスタインの心情に共感しつつ途方もないものを体験したという感じ。
悪くない。

インバルの指揮ぶり。普段のスタイルが記憶にないけど、こんなに下向いてばかりいたかな?再演とは言え編成は大規模だし複雑な変拍子が連続する為か、ずっと楽譜を追っていたように見えたけど、御歳88歳にしては驚異的なエネルギーだ。

♪2024-028/♪サントリーホール-05