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2025年7月7日月曜日

オペラ「蝶々夫人」〜高校生のためのオペラ鑑賞教室

2025-07-07 @新国立劇場



指揮:城谷正博
演出:栗山民也
美術:島次郎
衣裳:前田文子
照明:勝柴次朗

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【蝶々夫人】 伊藤晴
【ピンカートン】村上公太
【シャープレス】近藤圭
【スズキ】 花房英里子
【ゴロー】 糸賀修平*
【ボンゾ】 三戸大久
【ヤマドリ】 吉川健一*
【ケート】 佐藤路子*
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*は5月本公演でも同役で出演

新国立劇場 高校生のためのオペラ鑑賞教室 2025
ジャコモ・プッチーニ「蝶々夫人」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間35分
 第1幕                50分
  休憩            25分
 第2幕1場/2場 80分






「蝶々夫人」は一番鑑賞回数の多いオペラだ。何度観ても面白いけど、何度観ても納得いかない…ということはさて置いて、残念なこと3点。

①蝶々さんの自決場面に子供を出す栗山演出の意図が分からん(いつものことだが)。

②鑑賞教室のチケットはいつも取るのが超困難で、席を選ぶなんてことはほぼ不可能。今回は1階では21列しかなかった。この辺りは謂わば音響の死角だ。同じ1階でも中央列とはまるで別世界だ。響いてこない。音が遠い。
1階18列以降の5列は単に舞台から遠いだけではなく、2階席の床下に潜り込む形なので間接音が遮断される。普段は買わない席だが本公演の1/4の料金なので…それに本来高校生のための公演なのだし文句は言えないか。

③実年齢18歳くらいの歌手の蝶々夫人を観たい!

♪2025-091/♪新国立劇場-11

2025年5月21日水曜日

新国立劇場オペラ「蝶々夫人」

2025-05-21 @新国立劇場



指揮:エンリケ・マッツォーラ
演出:栗山民也
美術:島次郎
衣裳:前田文子
照明:勝柴次朗
再演演出:澤田康子
舞台監督:佐々木まゆり

【合唱指揮】冨平恭平
【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【蝶々夫人】 小林厚子
【ピンカートン】ホセ・シメリーリャ・ロメロ
【シャープレス】ブルーノ・タッディア
【スズキ】 山下牧子
【ゴロー】 糸賀修平
【ボンゾ】 妻屋秀和
【ヤマドリ】 吉川健一
【ケート】 佐藤路子
ほか



ジャコモ・プッチーニ「蝶々夫人」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間40分
 第1幕        50分
  休憩    25分
 第2幕1場/2場         85分





同一演目を繰り返し観た中では「蝶々夫人」が一番多いはず。音楽も筋書きもとても良くできているからで、宮本亜門版(19年二期会)を除き、がっかりしたことはない。

今日も、楽しんだ、というか、2幕からは、もう張り裂けんばかりの心持ち。感情移入が激しいが、一方で自分ならこう演出したいとクールに考えてみたり、ホンに心休まる暇がないよ。

出来栄え。
終わってみれば、みんなヨカッタのだけど、敢えて苦言を呈すれば、冒頭の前奏曲自体にオケの勢いがなかった。これが東フィル?と思わせる寂しさだった。続く歌唱も意気が上がらない。
ピンカートン、シャープレス。いずれもイマイチ。朗々と聴かせる役ではないけど、役柄に魅力を感じさせない。

小林厚子の蝶々夫人は21年日生劇場劇場版の方が良い出来だったが、2幕以降は熱演。
一番光ったのは、山下牧子のスズキ(を聴くのは4度目!)。誰が演ってもお得な役柄のせいもあるけど。




今日、思いついたこと。
ケイトは出番が少なくて人物像を際立たせることもできないのだけど、観ながら、彼女の心中は如何なものかと考えた。
彼女の演唱の中に、本作の悲劇性を象徴する要素が詰まっているのに、プッチーにはどうしてもう1曲書かなかったのか。あるいは、彼女の苦悩をもっとはっきり見せる演出はできないものか、などと思ったが…難しいな。

それにしても、名誉に生きられない者は名誉に死ぬ。
こんな、如何にも和風の美学を、プッチーにはよくぞ、音楽劇に仕上げたものだなあ。

♪2025-064/♪新国立劇場-07

2023年5月28日日曜日

日生劇場開場60周年記念公演 NISSAY OPERA 2023 オペラ『メデア』

2023-05-28 @日生劇場



指揮:園田隆一郎
新日本フィルハーモニー交響楽団
演出:栗山民也
美術:二村周作
照明:勝柴次朗
衣裳:前田文子
合唱指揮:キハラ良尚

メデア⇒中村真紀Sp
ジャゾーネ⇒城宏憲Tn
グラウチェ⇒横前奈緒Sp
ネリス⇒山下牧子Ms
クレオンテ⇒デニス・ビシュニャBs
第一の侍女⇒相原里美
第二の侍女⇒金澤桃子
衛兵隊長⇒山田大智

オペラ『メデア』
全3幕(イタリア語上演・日本語字幕付) 日本初演・新制作

作曲:ルイージ・ケルビーニ
台本:フランソワ = ブノワ・オフマン
イタリア語訳詞:カルロ・ザンガリーニ
原作:エウリピデス ピエール・コルネイユ

予定上演時間:2時間35分
第Ⅰ幕 60分
 休憩 20分
第Ⅱ-Ⅲ幕 75分





NISSAY OPERA 2023は今年60周年記念というので、日本初演やら53年ぶりやらと力が入っている。
「メディア」はその第1弾で、なんと日本初演だという。

歌手のうち多くは何らかの形で聴いているがタイトルロールの中村真紀だけは聴いたことがないとは。

果たして…。

幕が開いて、城内らしき広場に大勢の女官たちが屯しているシーンですーっと惹き込まれた。いつもながら、日生劇場の舞台は、簡素ではあるがよく考えて作られている。そして色彩感覚がいい。グレイやベージュといった淡い寒色で統一され、上手に障子窓を大きくしたような明かり取りがアクセントになっている。

2幕終わりの結婚の場。といっても、舞台上手奥に新婚夫妻と王が立っているだけだが、全体が暗い調子の舞台に、ここだけ金色の背景に3人が浮かび上がる。まるでクリムトの絵を見ているようで心憎い。

最終場面では、同じ場所に子供を殺した血だらけのメディアが立つ。今度の背景は真っ赤だ。それが徐々に開いて背景の全体を覆う。これはメディアが城に火をつけたことを表している。
これらの舞台美術や衣装がよく考えられていて見事だ。


音楽は、ずっと昔から聴いていたような馴染みやすい音楽。
もちろん、歌も良い。
1幕を飾るグラウチェ(横前奈緒)の輝くSp、2-3幕を歌いっぱなしのメディア(中村真紀Sp)の歌唱力に驚嘆。
彼女を支えるネリス(山下牧子Ms)もとても良かった。
ま、物足りないのはジャゾーネ(城宏憲Tn)。もう少し張りがあると良かったが。

オケも良し。欲を言えばあと少し弦が欲しかったが、狭いピットでやむを得なかったのだろう。

ところでこの悲劇、メディアがもたらす悲劇なのか、メディアを襲う悲劇なのか。いろんな受取り方ができる筋立てになっているが、愛情が深すぎて堕ちてゆくメディアの悲劇と見たがどうかな。

2023-094/♪日生劇場-01

2022年7月12日火曜日

プッチーニ「蝶々夫人」 高校生のためのオペラ鑑賞教室 2022

2022-07-12 @新国立劇場



阪哲朗:指揮
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【合 唱】新国立劇場合唱団
【演 出】栗山民也
【美 術】島次郎
【衣 裳】前田文子
【照 明】勝柴次朗

【蝶々夫人】木下美穂子
【ピンカートン】村上公太
【シャープレス】成田博之
【スズキ】小林由佳
【ゴロー】糸賀修平
【ボンゾ】伊藤貴之
【神官】上野裕之
【ヤマドリ】高橋正尚
【ケート】佐藤路子

プッチーニ:オペラ「蝶々夫人」
〜高校生のためのオペラ鑑賞教室
全2幕〈イタリア語上演/日本語&英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間35分
第Ⅰ幕50分
 --休憩25分--
第Ⅱ幕80分


国立劇場の歌舞伎観賞教室も同様だが、新国のオペラも本格的で手抜きなし。
歌手陣も今回は木下美穂子(蝶々夫人)、成田博之(ピンカートン)、小林由佳(スズキ)など一流が登場するのは嬉しい。

しかし、高校生の団体鑑賞が目的なので、一般客は余りの席があれば買えるという次第で、良席は得難い。
特に今回は、1階席は全滅で、正面席となると4階しか空いてなかった。

かくして、初めて新国の4階の最後列という文字どおり天井桟敷に座った。
4階席全部ではないと思うが正面席は急斜面なので座ると足が床に届かない!その為、足置きバーがあるのには驚いた。


しかし、もっと重要なことで驚いたのはオケも歌声も実にクリアで音圧に殆ど不足を感じない。

予てから音響効果の点で首都圏最高のホールだと思っていたが、4階席でも実感できた。

とはいえ、舞台は遥か遠い。劇に没入には至らず。
それでも音楽を聴いているだけでも楽しい。

舞台下手上部に翻っている筈の星条旗が4階席からは見えなかった。キーアイテムなのに。演出面で要工夫だ。

♪2022-102/♪新国立劇場-09

2021年12月7日火曜日

プッチーニ「蝶々夫人」

2021-12-07 @新国立劇場



【指 揮】下野竜也
【演 出】栗山民也
【美 術】島次郎
【衣 裳】前田文子
【照 明】勝柴次朗
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】斉藤美穂

【合唱指揮】冨平恭平
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

蝶々夫人⇒中村恵理
ピンカートン⇒村上公太
シャープレス⇒アンドレア・ボルギーニ
スズキ⇒但馬由香
ゴロー⇒糸賀修平
ボンゾ⇒島村武男
神官⇒上野裕之
ヤマドリ⇒吉川健一
ケート⇒佐藤路子

ジャコモ・プッチーニ「蝶々夫人」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間40分
第Ⅰ幕 50分
 休憩 25分
第Ⅱ幕 85分

栗山演出も今回で3回目なので、観賞に緊張感をなくしている一方で、これまで気づかなかったものも見えてきた。


全体として、軽快さもあるし、手際良さも感ずるのだけど、軽い印象だ。

1番のトピックは中村理恵の役デビューだろう。全篇出ずっぱりの歌いっぱなし。


なので、この役を破綻なくこなすだけでもう”立派”なものだ。


でも欲を言えば、誰が演じても15歳や18歳には見えないのだけど、娘のときめき、恥じらい、可愛らしさ、それでいて意地を通す胆力のようなものが欲しい。

演技が一面的だったのは、村上も但馬もAボルギーにも然りで、軽い。


それで愛の二重唱も花の二重唱も、感情移入ができなかった。

独唱アリア「お聞き…」はとても良かったけど。


過去2回は意識していなかったが、今回は、ほぼ四六時中舞台の高所に翻っている星条旗が目障りだった。

これは演出家の意図なのだけど、その高邁な意図するところが見えてこない。


また、蝶々さんにすれば自決の瞬間を子供が見ているとは気づかないのだろうけど、このような残忍演出は他に知らない。


子供の名前は、今は「悲しみ」、これからは「喜び」になるはずだったが、彼の名前には「恨み」が深く刻まれた。


オペラは「演劇」なり。

演出・演技に不満が残った。


♪2021-148/♪新国立劇場-12

2019年7月10日水曜日

新国立劇場オペラ「蝶々夫人」〜高校生のためのオペラ鑑賞教室

2019-07-10 @新国立劇場


プッチーニ:オペラ「蝶々夫人」
〜高校生のためのオペラ鑑賞教室
全2幕〈イタリア語上演/日本語字幕付〉

予定上演時間:約2時間35分
第Ⅰ幕50分
 --休憩25分--
第Ⅱ幕80分

飯森範親:指揮
栗山民也:演出
島次郎:美術
前田文子:衣裳
勝柴次朗:照明

蝶々夫人⇒木下美穂子
ピンカートン⇒樋口達哉
シャープレス⇒成田博之
スズキ⇒小林由佳
ゴロー⇒晴雅彦
ボンゾ⇒峰茂樹
ヤマドリ⇒吉川健一
神官⇒山下友輔
ケート⇒山下千夏

高校生のためのオペラ鑑賞教室だった。あいにくと僕は高校生ではないので!前売り指定券は買えない。
公演日の前日の16時に翌日売り出される「当日券」の発売予定枚数がNET上に発表され、当日の10時以降に新国立劇場ボックスオフィス(B.O.)で電話で予約し窓口で引き換える(直接窓口に行って購入することもできる。)という仕組みだ。

今回は6日から12日までの7日間で6公演あり、ダブルキャストで交代に出演する。

そして、僕は蝶々夫人役で言えば木下美穂子(別の組は小林厚子)の組の公演を是非とも聴きたかった。

それで、毎日、木下組公演の前日の、翌日前売り券発表状況を見ていたが、初日(8日)がわずか10枚で、これではたとえ買えてもろくな席はあるまいと断念。
次の出番(10日)の当日券は20枚と倍増したが、ここが思案のしどころ。チャンスはもう一回あるのだけど、その日が5枚とかになったらもっと厳しいことになる。
で、その20枚に賭けた。

当日、10時から新国立劇場のB.O.に電話(固定と携帯電話2台)をかけるのだけど、もう、ハナから話し中で繋がらない。
20分以上かけ続けて、ようやく繋がってた。
チケットはまだ残っていた。
残りものに福あり。
信じられないことに1階のセンターブロックが残っていた。
あいにく最後列の1列前だった。
もし自分で選んで買うなら、避けるような席だけど、舞台から遠いといっても21列目。普通に買えば安価な公演であれS席だから2万円はする。これがなんと4,320円とは信じられない価格。ありがたや。

購入の手続きを済ませて、あまり時間もなく家を出た。

「高校生のためのオペラ鑑賞教室」である。オペラパレスは高校生ばかり。それもどういう訳か圧倒的に女学生が多い。なんと賑やかで晴れやかなこと。


「鑑賞教室」と言い条スタッフ・キャストは6月の通常の公演とほとんど変わらない。演出も同じだから、舞台装置も美術も衣装も同じ。指揮者は変わったが、一流の指揮者であることには変わりはない。
主要な歌手は変わったが、一部は6月公演と同じだ。
肝心要の蝶々夫人は木下美穂子。彼女は、文句なしの一流で、2006年の(随分古いが)東京文化会館の二期会公演で彼女の蝶々夫人を聴いている。最近では読響との「第九」や文化会館での「ローエングリーン」など。

2001年に日本三大声楽コンクールを1年で制覇したという伝説のツワモノで、今回は是非、木下美穂子でなくちゃという思いだった。いやはや、うまい。

ほかのキャストもみんな上手で、こんな本格的な手抜きなしのオペラをおそらくタダみたいなチケット代で鑑賞できるなんて、現代の高校生はラッキーだよ(ま、都市部に限られるが。他に京都でも鑑賞教室は行われるらしい。)。

ことしは、蝶々夫人の当たり年で、4月、6月、7月と観たが、もう一度10月にも、今度は大村博美の蝶々夫人を観ることにしている。

筋書きとしてはいろいろ議論ができる内容だが、何度観ても飽きないし、観るたびにプッチーニの音楽の巧さに気づかされる。また、日本を舞台にして日本の音楽を沢山取り入れた美しいオペラを残してくれたことに感謝する。

高校生たち、とりわけ、女学生たちはどのようにこの話を受け止めたろう。やっぱり2幕後半では泣いたろうか。それとも時代錯誤を笑ったろうか。

♪2019-097/♪新国立劇場-07

2019年6月7日金曜日

新国立劇場オペラ「蝶々夫人」

2019-06-07 @新国立劇場


ドナート・レンツェッティ:指揮
栗山民也:演出
島次郎:美術
前田文子:衣裳
勝柴次朗:照明

東京フィルハーモニー交響楽団

新国立劇場合唱団

蝶々夫人⇒佐藤康子
ピンカートン⇒スティーヴン・コステロ
シャープレス⇒須藤慎吾
スズキ⇒山下牧子
ゴロー⇒晴雅彦
ボンゾ⇒島村武男
ヤマドリ⇒星野淳
ケート⇒佐藤路子
ほか

プッチーニ:オペラ「蝶々夫人」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間35分
第Ⅰ幕50分
 --休憩25分--
第Ⅱ幕80分

新国立劇場今季10公演中、7月の「トゥーランドット」と共に最大の楽しみが「蝶々夫人」で、本日鑑賞。

若い頃はこういう旧弊な物語が好きになれなかったけど今は割と素直に感情移入できる。
これまで観たオペラの中で一番泣ける作品だ。
今回も「号泣する準備はできていた」。
しかし、残念ながら、ウルーッときた程度で止まった。

日本人歌手たちはいずれも良かった。
蝶々夫人・佐藤康子、領事・須藤慎吾、そしてとりわけスズキ・山下牧子は役柄の良さも手伝って舞台を攫った感がある。
一方、海外から招聘したピンカートン役を初めて歌うというS.コステロ君が歌はともかく、演技力が欠如している。この拙さが感情移入を妨げた。

新国立劇場では本公演とは別に来月にも別キャストで「蝶々夫人」を上演するので、当日券に期待して出かけようと思っている。
10月の二期会の「蝶々夫人」は既にチケット入手済み。

4月にも藤原歌劇団の「蝶々夫人」を楽しんだし、今季は蝶々を追いかけ回している。

♪2019-075/♪新国立劇場-06

2018年6月9日土曜日

新国立劇場開場20周年記念公演 「夢の裂け目」

2018-06-09 @新国立劇場


作:井上ひさし
演出:栗山民也
音楽:クルト・ヴァイル/宇野誠一郎
音楽監督:久米大作
美術:石井強司
照明:服部基
音響:黒野尚
衣裳:前田文子
ヘアメイク:佐藤裕子
振付:井手茂太
演出助手:北則昭
舞台監督:加藤 高

段田安則⇒天声こと田中留吉
唯月ふうか⇒田中道子
保坂知寿⇒川口ミドリ
木場勝己⇒清風先生こと加藤末太郎
高田聖子⇒紺野妙子
吉沢梨絵⇒田中君子
上山竜治⇒成田耕吉
玉置玲央⇒関谷三郎
佐藤誓⇒川本孝

井上ひさし:「夢の裂け目」全2幕
ー井上ひさし流 重喜劇 東京裁判、戦争の真実を問うー

予定上演時間:3時間
第1幕90分
 --休憩15分--
第2幕75分

これを観たのが9日。そして今日は20日。忙しかったり怠けたりで感想を書くのが遅れるということはママあるが、この作品に関しては、あまり難しくて書けない、というのが率直な感想だ。
このブログはほとんど自分の記録として書いているものだから、時として、こういう感想で終わってしまうことがあるが、それでもよかろう。無理にわかった風なことを書いてみても後で読み返す自分のためにならない。

要するに、僕は軽く考えていた。
それまでに井上ひさし作の小説、戯曲、そのドラマ化・映画化されたものは、そこそこ読んだり観たりしていたので、単なる喜劇作家ではなく、その思想傾向は左翼がかっていることも承知していたが、本作も、例えば「父と暮せば」のような反戦思想(思想というのもおかしいが。)をベースに親子の情を描く、といった感じの物語だろうと思いこんでいたが、そういう想像を遥かに超えた深刻な物語だった。

東京裁判三部作の、これが第一部に当たるのだそうだ。
東京裁判に関与することになった、紙芝居屋とその家族たちを描いている。たしかにおかしくて笑える部分もあるが、要するに、これは天皇の戦争責任を巡る物語だ。
あの天皇が責任を免れた以上、一体ほかの誰に責任があるというのか…とまあ、核心部分はそういう話だ。

こういう話は既に70年前に整理された話で、今更、さあ、君はどう考えるのだ、と突き出されても、余計なお世話だ…というのが僕の本音だ。確かに「東京裁判」は問題だらけだと思うが、もうそこに切り込んでみても仕方がないのではないか。裁判結果を受け入れ、講和条約に署名し、国際社会に復帰したことを今更なかったことにはできまい。

こういう安直な姿勢が将来の次世代のためにも良くないのかもしれん。井上ひさしの問題提起は意味がないこととも思えないが、僕は大いに混乱した。
「重喜劇」なんてジャンルが正式に存在する訳でもなかろうが、つまりは「軽喜劇」へのアンチテーゼなのだ。
でも、僕は軽〜いのでいいや。


♪2018-066/♪新国立劇場-07