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2025年1月17日金曜日

令和7年国立劇場初春歌舞伎公演

2025-01-17 @新国立劇場



毛谷村六助⇒尾上菊之助
京極内匠⇒坂東彦三郎
一味斎姉娘お園⇒中村時蔵
若党友平/立浪家家臣十時伝五⇒中村萬太郎
立浪家家臣向山三平⇒市村竹松
立浪家家臣 捨川団八⇒市村光
真柴方の若武者⇒坂東亀三郎
真柴方の若武者⇒尾上丑之助
真柴方の若武者⇒尾上眞秀
真柴方の若武者⇒中村梅枝
真柴方の若武者⇒中村種太郎
一味斎孫弥三松⇒中村秀乃介
一味斎妹娘お菊/立浪家家臣 井村六郎⇒上村吉太朗
若党佐五平⇒市村橘太郎
一味斎妻お幸⇒上村吉弥
早川一学/杣斧右衛門⇒片岡亀蔵
衣川弥三左衛門⇒河原崎権十郎
老女福栄⇒市村萬次郎
吉岡一味斎/明智光秀の亡霊⇒中村又五郎
立浪主膳正⇒坂東楽善
真柴大領久吉⇒尾上菊五郎
 ほか


梅野下風・近松保蔵=作
国立劇場文芸研究会=補綴
通し狂言「彦山権現誓助剣」  四幕七場
    (ひこさんごんげんちかいのすけだち)
           国立劇場美術係=美術

発 端 豊前国彦山権現山中の場
序 幕 周防国太守郡家城外の場
    長門国吉岡一味斎屋敷の場
二幕目 山城国小栗栖瓢箪棚の場
三幕目 豊前国彦山杉坂墓所の場
    同  毛谷村六助住家の場
大 詰 豊前国小倉真柴大領久吉本陣の場


23年秋から漂流する国立劇場。
毎年正月公演は菊五郎劇団と決まったおり、派手なスペクタクル歌舞伎が真骨頂だったが、今年は昨年に続き新国立中劇場から。
せめて、新国の中劇場くらいでやってくれないと気分が盛り上がらないが、それでもキャパは少ないし、派手な舞台転換もなく、第一花道が短すぎるしスッポンもない。

昨年は歌舞伎公演を何回やったろう。
僕は、昨年は結局正月公演のみで、全然観にゆかなかった。東京の辺鄙な小屋での公演なんて、観にゆく気が起こらなかったよ。

全く、国立劇場はどうなるのか。

20年近く、あぜくら会員を続けて、余程のことがない限り歌舞伎と文楽の全公演を楽しんできたのに、もうすっかり、気力を失っているよ。

さて、1年ぶりの菊五郎劇団。
「彦山権現誓助剣」は何度も観ているが、いつも大抵は、「杉坂墓所の場」、「六助住家の場」が演じられることが多いが、今回は、通し狂言と銘打ったからには、発端・序幕から大詰めの敵討まで演じられて、なるほど、こういう話だったのか、と得心できたのは収穫だった。

1年ぶりで驚いたことも。なんと時蔵が代替わりしていたよ。4代目梅枝が6代目時蔵を名乗っていたが、先代の時蔵は萬寿になったんだ。この先代時蔵と共に菊五郎劇団の看板だった尾上松緑も今回出演していない。代わりにゾロゾロとちびっ子たちは勢揃い。

菊之助の子供丑之助、寺島しのぶの子供眞秀、4代目種太郎(現4代目歌昇)の子供の5代目種太郎、先代梅枝の子供の5代目梅枝、歌昇の子秀之助、彦三郎の子亀三郎など。

いずれも同年代のちびっ子たちが最終幕で勢揃いをして、まあ、みんな桃太郎みたいで可愛いこと。
正月だし、まあ、こんなふうに華やかでいいのだとは思うけど、幼稚園のお芝居に付き合わされている感も拭えないね。

♪2025-007/♪新国立劇場-02

2024年1月19日金曜日

令和6年国立劇場初春歌舞伎公演

2024-01-19 @新国立劇場



文耕堂・長谷川千四=作
●梶原平三誉石切  13:00-14:20
(かじわらへいぞうほまれのいしきり)
一幕 「鶴ヶ岡八幡社頭の場」

竹田出雲=作
●芦屋道満大内鑑  14:45-15:50
(あしやどうまんおおうちかがみ)
一幕三場 「-葛の葉-」

●勢獅子門出初台  16:15-16:50
(きおいじしかどでのはつだい)
 常磐津連中

『梶原平三誉石切』
梶原平三景時⇒尾上菊之助
大庭三郎景親⇒坂東彦三郎
六郎太夫娘梢⇒中村梅枝
俣野五郎景久⇒中村萬太郎
梶原方大名⇒市村竹松
梶原方大名⇒市村光
青貝師六郎太夫⇒嵐橘三郎
囚人剣菱吞助⇒片岡亀蔵
ほか

『芦屋道満大内鑑―葛の葉―』
女房葛の葉/葛の葉姫⇒中村梅枝
信田庄司⇒河原崎権十郎
庄司妻柵⇒市村萬次郎
安倍保名⇒中村時蔵
ほか

『勢獅子門出初台』
鳶頭音羽の菊五郎⇒尾上菊五郎
鳶頭鶴吉⇒尾上菊之助
鳶頭亀吉⇒坂東彦三郎
芸者お梅⇒中村梅枝
鳶頭萬吉⇒中村萬太郎
手古舞おゆう/若い者勇吉⇒坂東亀三郎
手古舞おふみ/若い者文吉⇒尾上丑之助
手古舞おひで/若い者新吉⇒尾上眞秀
手古舞おせい/若い者清吉⇒小川大晴
世話人松島屋亀蔵⇒片岡亀蔵
世話人山崎屋権十郎⇒河原崎権十郎
芸者お橘⇒市村萬次郎
芸者お時⇒中村時蔵
ほか



昨秋から漂流する国立劇場。
毎年正月公演は菊五郎劇団。派手なスペクタクル歌舞伎が真骨頂だったが、今年は新国立中劇場から。

間口も奥行きも狭く花道はないも同然。が、そのハンデを感じさせない豪華な舞台。
尤も、従来の通し上演は諦めたか、1公演3本立て。歌舞伎座風になってきた。

これが今後6年も続くと歌舞伎が変質してしまうのではないかと心配。

出し物はいずれも1時間前後。休憩込み約4時間。
出ずっぱりの梅枝に感心。
一方、座頭の菊五郎は最後の演目にちょこっと顔を見せただけ。
世代交代を印象付けた。


「梶原平三誉石切」では、菊之助が景時を初役で、岳父吉右衛門の型で演じたが、後半の滑稽味が出てからの芝居はもう吉右衛門そっくり!
だが、板に付いている風ではなく何だか違和感も残った。

菊五郎、その子菊之助、その子丑之助くん、菊之助の姉の子の眞秀くんと音羽屋親子3代4人が華々しくも賑やかでヨシ!

富司純子、寺島しのぶも幕間の客席まで入って贔屓筋に大サービス。

晴れやかな初春歌舞伎ではあった。

♪2024-009/♪新国立劇場-02

2023年10月25日水曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら特別公演 通し狂言「妹背山婦女庭訓」その2

2023-10-25 @国立劇場



蘇我入鹿⇒中村歌六
漁師鱶七実ハ金輪五郎今国⇒中村芝翫
宮越玄蕃⇒坂東彦三郎
烏帽子折求女実ハ藤原淡海⇒中村梅枝
荒巻弥藤次⇒中村萬太郎
入鹿妹橘姫⇒中村米吉
大判事清澄⇒河原崎権十郎
杉酒屋娘お三輪/采女の局⇒尾上菊之助
豆腐買おむら/藤原鎌足⇒中村時蔵
 ほか

近松半二=作
通し狂言「妹背山婦女庭訓」<第2部>三幕四場
(いもせやまおんなていきん)

  戸部銀作=脚本
  高根宏浩=美術

序 幕  布留の社頭の場
          「道行恋苧環」竹本連中
二幕目  三笠山御殿の場
大 詰  三笠山奥殿の場
     同  入鹿誅伐の場





先週観たばかりだけど、どうも、面白みが分からず、このまま、初代国立劇場での歌舞伎鑑賞を終えるのもすっきりしないので、ちょうど夜にN響Bが入っているので、この日のチケットを買った。

今月の歌舞伎公演はこれで初代国立劇場の見納めということもあって、いつになくお客さんが大勢で、良席は全然残っていなかった。

今月の公演は9月「妹背山婦女庭訓」第1部の続き(第2部)だが、その前半と部分と今月の後半部分は、どうも木に竹を継いだような展開で、釈然としない。

文楽でも通しで観ているけど、文楽版の方が、見どころが多かったように思う。

かくして、2ヶ月にわたる大作を気合を入れて観た割には消化不良で終わったのが誠に残念。

明日で、初代国立劇場は事実上閉館になって、再開場は2029年だ。もちろんその間も、あちこちの劇場を借りて歌舞伎公演は継続されるが、舞台機構(歌舞伎専用劇場ではないから花道、回り舞台、すっぽん、セリもない)の制約から演目も限られてくるね。

♪2023-183/♪国立劇場-13

2023年10月19日木曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら特別公演 通し狂言「妹背山婦女庭訓」その2

2023-10-19 @国立劇場


近松半二=作
通し狂言「妹背山婦女庭訓」<第2部>三幕四場
(いもせやまおんなていきん)

  戸部銀作=脚本
  高根宏浩=美術

序 幕  布留の社頭の場
          「道行恋苧環」竹本連中
二幕目  三笠山御殿の場
大 詰  三笠山奥殿の場
     同  入鹿誅伐の場


蘇我入鹿⇒中村歌六
漁師鱶七実ハ金輪五郎今国⇒中村芝翫
宮越玄蕃⇒坂東彦三郎
烏帽子折求女実ハ藤原淡海⇒中村梅枝
荒巻弥藤次⇒中村萬太郎
入鹿妹橘姫⇒中村米吉
大判事清澄⇒河原崎権十郎
杉酒屋娘お三輪/采女の局⇒尾上菊之助
豆腐買おむら/藤原鎌足⇒中村時蔵
 ほか





先月に続いて、通し狂言「妹背山婦女庭訓」の後半だ。
この公演が、初代(つまり、現在の)国立劇場の掉尾を飾る。この後、2029年の第二代国立劇場の完成まではあちこちの劇場を渡り歩くことになる。寂しいことだ。それに6年後なんて、足腰は大丈夫だろうかと心配。

「妹背山婦女庭訓」は文楽では19年に、こちらも2公演にわたる通し狂言として観ている。
歌舞伎公演の先月の前半は、見処たっぷりなので先に観た文楽の内容も結構覚えており楽しめたが、今回の後半は、文楽でもややこしい話で、4年以上経過していることもありなかなか思い出せなかった。

しかし、役者陣は歌六、芝翫、時蔵、菊之助を中心に、病気による菊五郎の休演をはね飛ばさんと気合の入った様子。芝翫はますます貫禄が付いた。彦三郎は相変わらずよく通る声。梅枝が珍しく立役。菊五郎の代役も務めた時蔵は最後は藤原鎌足役で髭を生やしていたのも初めて観たよ。
米吉は今も可愛らしい娘役が似合うが、6年後はどうなっているだろう。菊之助も美しい娘役(二役)だったが、少し太っていたな。

初代国立で最後に観る舞台としては消化不良だったのが残念だった。時間を作って再度挑戦するべ。

♪2023-177/♪国立劇場-12

2023年9月8日金曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら特別公演 通し狂言「妹背山婦女庭訓」

2023-09-08 @国立劇場大劇場


近松半二=作
通し狂言「妹背山婦女庭訓」<第1部>三幕
(いもせやまおんなていきん)

  戸部銀作=脚本
  高根宏浩=美術

序 幕  春日野小松原の場
二幕目  太宰館花渡しの場
三幕目  吉野川の場

太宰後室定高⇒中村時蔵
蘇我入鹿坂東⇒坂東亀蔵
久我之助清舟⇒中村萬太郎
腰元小菊⇒市村橘太郎
采女の局⇒坂東新悟
太宰息女雛鳥⇒中村梅枝
大判事清澄⇒尾上松緑
       ほか



「妹背山婦女庭訓」は文楽発祥の大作で、文楽では19年に《国立文楽劇場開場35年》の記念興行で、2公演にわたって(10:30〜21:00という長丁場!)通し狂言として演じられたのを初めて観て大いに感心した。もう一度観たいと思っていたが、今回は歌舞伎で観ることができた。

歌舞伎版は初めてだったが、やはり大作なので、何かの記念公演で演じられることが多いようだ。今回は、《初代国立劇場さよなら特別公演》ということで、今月と来月に2公演に分けて通し狂言として演じられる。

核となる場面は「妹山背山の段」で歌舞伎では「吉野川の場」とタイトルが変わっているが、舞台装置は文楽と全く同様で、桜満開の吉野に敵味方に分かれた両家の別荘が、吉野川を挟んで対峙している。その舞台の美しいこと。

文楽でいう、太夫が三味線に合わせて語る「床」は、文楽の「妹山背山の段」と同様上手・下手の両方に設えてある。

文楽では人形の寸法に合わせて舞台も小ぶりだが、歌舞伎では言うまでもなく人間サイズだから、特に豪華に見える。
そして、極めて珍しい両花道を使って舞台全体が立体的に構成してあって、製作陣の意気込みを感ずる。


物語は、説明不可だ。大勢登場し、我が子の首を切ったり、首が嫁入りしたりと荒唐無稽だ。
寛大な気持ちで臨まなければこの話を楽しむことはできない。

♪2023-151/♪国立劇場-09

2023年7月19日水曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 令和5年7月歌舞伎鑑賞教室(第107回歌舞伎鑑賞教室) 『双蝶々曲輪日記-引窓-』

2023-06-10 @国立劇場



●解説「歌舞伎のみかた」
 澤村宗之助
 坂東やゑ亮
 中村橋三郎
 中村翫延

●『双蝶々曲輪日記-引窓-』
南与兵衛後ニ南方十次兵衛⇒中村芝翫
女房お早⇒市川高麗蔵
平岡丹平⇒中村松江
三原伝造⇒坂東彦三郎
母お幸⇒中村梅花
濡髪長五郎⇒中村錦之助
        ほか


本来は長い話で、その通し狂言も随分前に観たが筋はさっぱり覚えていない。しかし、「引窓」の1幕だけは独立して上演される機会が多いので、何度か観ている。よくできた話だ。

訳あって人を殺めた関取・濡髪が追手に捕まる前に、密かに再婚した母お幸に会いに来るが、お幸の再婚相手の義理の息子十次兵衛は皮肉にも十手持ちだった。

十次兵衛は父の亡き後代官の跡目を告げずに悶々としていたところ、今日は、ようやくにして代官に就任の命が下って親子夫婦ともども大喜び。
そんな時に、既に人相書きが出回り追い詰められた濡髪が登場するのだ。

もはやこれまでと覚悟を決めた濡髪を母親お幸が引窓の縄で縛る。

早速の大手柄を挙げることになった十次兵衛だが、濡髪が義母の実子と知って、縄を切り逃してやるのだった。

その日は、折しも生き物を放つ「放生会」の夜だった。

…見事にまとまった人情話である。

引窓なんて見たこともないが、引窓を開けて中秋の満月でも見たいものだ。

♪2023-125/♪国立劇場-08

2023年3月15日水曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 歌舞伎名作入門「源氏の旗揚げ」 「鬼一法眼三略巻 一條大蔵譚」「五條橋」

2023-03-15 @国立劇場大劇場



●入門「源氏の旗揚げ」
ご案内 片岡亀蔵

●文耕堂・長谷川千四=作《鬼一法眼三略巻》
「一條大蔵譚」二幕
一條大蔵卿長成 中村又五郎
吉岡鬼次郎   中村歌昇
鬼次郎女房お京 中村種之助
勘解由妻鳴瀬  中村梅花
播磨大掾広盛  嵐橘三郎
八剣勘解由   片岡亀蔵
常盤御前    中村魁春 ほか

●「五條橋」一幕
武蔵坊弁慶   中村歌昇
牛若丸     中村種之助 ほか



「鬼一法眼三略巻」は度々観ているが、一度として同じ構成はない。とてもややこしい。今回は、元の文楽の四、五段目だが、四段目中「檜垣茶屋」は省略し、上演が極めて珍しい「曲舞」と、こちらもなかなか上演されない五段目の「五條橋」が加わった。
これ迄縺れていた知識を解きほぐしてようやく全体の構成が分かるようになった。

その上演されることの少ない両方の幕(場)とも初見だったが、面白い。

見どころは、鑑賞教室ではここ数年主役を演ずることがあったが、本舞台での主役=大蔵卿を初役で演じた中村又五郎。
吉右衛門が当たり役のようにしていたし、その舞台も観ているので、阿呆の場面ではしっくりこなかったが、正気を表す場面では”又五郎”が出てきて興味深かった。

新発見は種之助の牛若丸。随分前から観ているのに莟玉、米吉ほどの優しげな顔立ちではないので、女方ではあまり印象的な芝居が思い出せない人だが、今日の彼の牛若丸はなんと美しい。
「大蔵譚」でも女役だったが、全く別人のようだ。今後要注目。

余談:3月13日からのマスク着用のルールが緩和されたのに伴って、入場に当たってマスクはお客各人の判断に委ねられた。大いに結構。
ただし、歌舞伎の完全復活はまだ遠いな。何しろ、「大向こう」が封じられている。前回の公演から、決められたエリアから(一般客は立ち入れない)大向こうの”専門家”による模範的掛け声が始まったが、人数も少なく、雰囲気が盛り上がらない。
歌舞伎は双方向芸術だ。客席とのやりとりがあって、初めて見得も決まる。

♪2023-044/♪国立劇場-04

2023年1月12日木曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 通し狂言「遠山桜天保日記」

2023-01-12 @国立劇場大劇場



竹柴其水=作
尾上菊五郎=監修
国立劇場文芸研究会=補綴
通し狂言「遠山桜天保日記」六幕十一場
    -歌舞伎の恩人・遠山の金さん-
      (とおやまざくらてんぽうにっき)
        国立劇場美術係=美術

序  幕 第一場  河原崎座楽屋の場
   第二場  花川戸須之崎政五郎内稽古所の場
   第三場  隅田川三囲堤の場
二幕目 安房国山中の場
三幕目 第一場  花川戸須之崎政五郎内の場
    第二場  山の宿尾花屋の場
    第三場  大川橋六地蔵河岸の場
四幕目 第一場  新潟行形亭座敷の場
    第二場  同    庭先の場
五幕目 北町奉行所白洲の場
大 詰 河原崎座初芝居の場

羅漢尊者⇒市川左團次
笛方六郷新三郎/旅の一座の座頭⇒市村橘太郎
捕手頭 佐藤清介⇒市村竹松
楽屋番紋助⇒市村光
行形亭女将お滋⇒市村萬次郎
待乳山のおえん⇒尾上右近*
尾花屋丁稚辰吉⇒尾上丑之助*
遠山金四郎⇒尾上菊五郎
尾花屋小三郎後ニ羅漢小僧小吉⇒尾上菊之助*
八州廻り宮森源八⇒尾上左近*
生田角太夫⇒尾上松緑*
尾花屋番頭 清六⇒片岡亀蔵
座元河原崎権之助/須之崎の政五郎⇒河原崎権十郎
角太夫女房おもと⇒中村時蔵*
政五郎養女おわか⇒中村梅枝*
若太夫河原崎権三郎/八州廻り咲島千介⇒中村萬太郎*
遠山家用人河原崎権三郎/与力大里忠平⇒坂東亀蔵*
佐島天学/⇒坂東彦三郎*
遠山家家老簑浦甚兵衛⇒坂東楽善
        ほか
小川大晴**
寺嶋眞秀**
坂東亀三郎**
*は大詰めの河原崎座役者を兼務*又はそれのみの出演**










毎年、国立の正月公演は菊五郎劇団と決まっている。
いつもは見た目重視の派手な出し物が多いが、今年は初代国立の最後の正月公演なのに地味な世話物?

しかし正月らしい目配りが効いた芝居で大いに満足。

所謂遠山の金さんの話だが、裁きより人情噺に重点。

菊之助の長男、丑之助君を前回見たのは昨年10月だったが、今回は芝居も長く科白も多く、それを見事にこなしている。才能あるものが打ち込んでいるとこんなに早く成長するんだと、近年退化の一途を辿る身としては、驚くとともに反省頻り。
菊五郎も菊之助も同じ舞台に立って喜びこの上なしだろ。

遠山の金さんという人は、天保の改革で取り潰されそうになっている芝居三座を浅草猿若町への所替えで救ったそうで、謂わば歌舞伎の恩人でもある。
そこで今日の芝居では、一件落着後の終幕に主要な役者が、<歌舞伎役者>として登場し、桜尽くしの中、総出で踊って華やかに幕を閉じた。

ここで、本編には登場しなかった、
小川大晴(ひろはる=中村梅枝の長男 7歳)
寺嶋眞秀(まほろ=寺島しのぶの長男 10歳)
坂東亀三郎(かめさぶろう=坂東彦三郎の長男 9歳)が
尾上丑之助(うしのすけ=菊之助の長男 9歳)と共に揃いの衣装で登場した。まあ、可愛らしいこと。
揃って、セリフを先走ったので舞台上も客席も大笑い。
めでたし。

♪2023-004/♪国立劇場-01

2022年10月11日火曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 通し狂言「義経千本桜」【Bプロ】三段目

2022-10-11 @国立劇場大劇場


竹田出雲・三好松洛・並木千柳=作
通し狂言  義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
 国立劇場美術係=美術

三段目
下市村椎の木の場
下市村竹藪小金吾討死の場
下市村釣瓶鮓屋(すし屋)の場


いがみの権太⇒菊之助
主馬小金吾武里⇒萬太郎
猪熊大之進⇒菊市郎
若葉の内侍⇒吉太朗
庄屋作兵衛⇒宇十郎
権太女房小せん⇒吉弥
鮓屋弥左衛門⇒権十郎
弥助実ハ三位中将維盛⇒梅枝
弥左衛門娘お里⇒米吉
弥左衛門女房おくら⇒橘太郎
梶原平三景時⇒又五郎 ほか


「義経千本桜」はそもそも義経は小さな脇役に過ぎないし、三段目に至っては義経のヨノの字も出ない。
ここでの主人公はちょいワルの”いがみの権太”という遊び人だ。

全体は所謂時代物だと思うが、この段だけは世話物風味で完全に浮いている。

が、多分一番面白い。

勿論、権太を演ずるのは菊之助。

一幕物として上演されることが多いのは「鮓屋(すし屋・鮨屋とも)」の場。

今回は”通し”と銘打っているので、前段も上演されたが、「椎の木の場」や「小金吾討死の場」は初めて観た。これが置かれることで「すし屋の場」が立体的になる。

物語は、相も変わらず、首実験や忠義の妻子犠牲だが、ドラマの布石が心憎い。
店先にたくさん並んだすし桶に、
権太は掠め取った金を隠す。
彼を勘当している父は小金吾の首を隠す。

その取り違え?がドラマを急転直下の感動に盛り上げる。

尤も、半世紀もすれば、このような時代錯誤の美意識は世間の批判に屈して観られなくなるかも(オペラも同様)。

菊之助は美形すぎてワルは似合わないように思うが、最近では髪結新三も良かったし、案外コワイ役も面白いかも。

♪2022-148/♪国立劇場-10

2022年10月7日金曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 通し狂言「義経千本桜」【Aプロ】二段目

2022-10-07 @国立劇場大劇場



竹田出雲・三好松洛・並木千柳=作
通し狂言  義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
 国立劇場美術係=美術

二段目
伏見稲荷鳥居前の場
渡海屋の場
大物浦の場

佐藤忠信実ハ源九郎狐/渡海屋銀平実ハ新中納言知盛
⇒尾上菊之助
武蔵坊弁慶⇒坂東彦三郎
銀平女房お柳実ハ典侍の局⇒中村梅枝
片岡八郎⇒市村竹松
静御前⇒中村米吉
銀平娘お安実ハ安徳帝⇒尾上丑之助
相模五郎⇒市村橘太郎
源義経⇒中村錦之助
 ほか



初代国立劇場さよなら公演。文楽は先月の公演が「〜さよなら公演」だったが、歌舞伎の1番手は今月の「義経千本桜」。二〜三〜四段目を3公演に分けて”通す”。

菊之助が3役を演ずるが、今日の出番は2役。
尤もいずれも”A実はB”なので、事実上4役。
もう今月の国立は菊之助一色だ。

客席は大入りだった。

馴染みの芝居だが、”通し”では初めて。

今日は、舞台が引き締まっていた。
菊之助の初の三役に挑む緊張感が全員に伝わっているのだろう。

彦三郎の大音量と滑舌の良さが心地よい。弁慶がぴったりだった。
静御前の米吉はホンに女性のよう。
丑之助くんも長丁場を立派にお勤め。

♪2022-144/♪国立劇場-09

2022年7月8日金曜日

7月歌舞伎鑑賞教室(第102回 歌舞伎鑑賞教室)

2022-07-08 @国立劇場


解説 歌舞伎のみかた

河竹黙阿弥=作
新歌舞伎十八番の内
『紅葉狩』(もみじがり)
常磐津連中/竹本連中/長唄連中
国立劇場美術係=美術

●「解説 歌舞伎のみかた」
 解説 中村萬太郎/尾上緑

●『紅葉狩』
余吾将軍平維茂⇒尾上松緑
更科姫実ハ戸隠山の鬼女⇒中村梅枝
侍女野菊⇒中村玉太郎
従者左源太⇒尾上左近
従者右源太⇒坂東亀蔵/中村萬太郎
山神⇒中村萬太郎/坂東亀蔵
局田毎⇒市川高麗蔵
        ほか


今日は社会人の為の鑑賞教室で19時の開演。昼間の高校生相手の鑑賞教室に付き物のピチピチギャルなどは全然いない。寧ろ和服のお姐さんが多かった。

2階最前列に好みの席が取れなかったので、珍しく1階席のそれも花道のすぐ右側に座った。ミーハーのおばちゃんたちの大好きな席だ。手を伸ばせば、役者に触れそう。
尤も、結果的には(本来なら一番高価な席だけど)前の席に戸隠の鬼みたいにデカいのが鎮座ましまして視界すこぶる悪い。やはり歌舞伎は2階最前列がいい。

社会人の為、という触れ込みだし、開演時刻が遅いという事もあってか、ほぼ満席状態だった。

「紅葉狩」は亜流も含めると3回目なのだけど、恥ずかしながら、全く何にも記憶にございません…でした。

簡単な歌舞伎解説があって、愈々開演すると舞台は見事な紅葉の満開だ。これほど派手な舞台は珍しい。
そして普通は御簾の中で演奏する竹本(義太夫節)などの音曲が表舞台にズラリと並んだ。常磐津連中、竹本連中、長唄連中と賑やかなこと(三方掛合というらしい。)。

ということは、芝居の方も舞踊主体だ。

しかし、終盤は、梅枝扮するの更科姫が誠に恐ろしい面構えの戸隠山の鬼女に変化し、松緑の平維茂と激しく切り結ぶという見どころもあり、勝負が付かないまま双方睨み合って見得を切って終わる。

いつもお姫様の梅枝の不気味な隈取りをした鬼の姿と舞台ではまず聞けない本来の男の地声が怖かったな。

♪2022-099/♪国立劇場-06