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2019年5月7日火曜日

團菊祭五月大歌舞伎 昼の部

2019-05-07 @歌舞伎座


一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)
工藤祐経⇒松緑
曽我十郎⇒梅枝
曽我五郎⇒萬太郎
大磯の虎⇒尾上右近
化粧坂少将⇒米吉
八幡三郎⇒鷹之資
秦野四郎⇒玉太郎
梶原平次景高⇒菊市郎
梶原平三景時⇒吉之丞
小林朝比奈⇒歌昇
鬼王新左衛門⇒坂東亀蔵
近江小藤太⇒松江
 
二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
武蔵坊弁慶⇒海老蔵
源義経⇒菊之助
亀井六郎⇒右團次
片岡八郎⇒九團次
駿河次郎⇒廣松
太刀持音若⇒玉太郎
常陸坊海尊⇒市蔵
富樫左衛門⇒松緑
後見⇒齊入
   
竹柴其水 作
三、神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)め組の喧嘩/品川島崎楼より神明末社裏まで
め組辰五郎⇒菊五郎
女房お仲⇒時蔵
尾花屋女房おくら⇒雀右衛門
柴井町藤松⇒菊之助
おもちゃの文次⇒彦三郎
宇田川町長次郎⇒坂東亀蔵
背高の竹⇒松也
三ツ星半次⇒歌昇
芝浦の銀蔵⇒萬太郎
伊皿子の安三⇒竹松
御成門の鶴吉⇒尾上右近
新銭座の吉蔵⇒廣松  
二本榎の若太郎⇒市村光
亀の子三太⇒男寅
狸穴の重吉⇒玉太郎
山門の仙太⇒左近
辰五郎倅又八⇒亀三郎
田毎川浪蔵⇒吉之丞
左利の芳松⇒橘太郎
大竜山文五郎⇒九團次
三池八右衛門⇒松江
神路山花五郎⇒由次郎
御輿岳芳五郎⇒片岡亀蔵
露月町亀右衛門⇒権十郎
葉山九郎次⇒家橘
島崎楼女将おなみ⇒萬次郎
九竜山浪右衛門⇒又五郎
焚出し喜三郎⇒歌六
江戸座喜太郎⇒楽善
四ツ車大八⇒左團次

●曽我対面⇒梅枝が化粧坂少将の役から今回曽我十郎に昇格したのか、と思ったが萬太郎との実兄弟コンビで十郎・五郎を演ずるのは既に一度経験済みらしい。それにしては萬太郎の五郎はあまり嵌っていなかったが。
化粧坂の少将は米吉が演じて、この人はホンに女性かと見紛うほどに娘役が似合う。
3月の国立歌舞伎で、僕の目には初めて大きな役を見事にこなした歌昇が、今回も朝比奈を初役で務めた。若手の台頭が好ましや。


●勧進帳⇒当代・海老蔵最後の勧進帳。菊之助の義経。松緑の富樫と人気役者を揃えた好配役。海老蔵は姿・形、所作、発声いずれも絵に描いたようで素晴らしい。
こういう伝統の出し物の場合は、決まった形を踏襲しなければならないのだろうが、欲を言えば、弁慶が義経を打擲する場面ではもう少し本気になってほしい。富樫の心根を揺り動かすに足る芝居ができないものか。
海老蔵の弁慶は2度目。高麗屋三代襲名の際の染五郎の勧進帳も(脇役が超豪華で)素晴らしかったが、演出は、いつ・誰の勧進帳を観ても全く一緒だ。そこに意味があるとも言えるけど、も少しリアルに…ならないものだろうか。

●め組の喧嘩⇒初めて観た。鳶衆と相撲取りの喧嘩話。意地の張り合いだけでドラマ性希薄。只管喧嘩の端緒から衝突までを描くがこれが長い。
大詰(全4幕中の最終幕で全四場)の冒頭に大勢の鳶衆が勢揃いして威勢を張るところは見応えがあるが、ここから決着までが3回も場面を変えるので、幕が降りたり、回り舞台が回ったりで、テンションが途切れてしまう。ここを全一幕に仕立ててテンポ良く見たい。あ、これも無理ね。
先月の菊五郎は、これは役どころなのだろうけど、イマイチな活躍ぶりだったが、今回の役(め組の辰五郎)では元気そうでなにより。菊五郎、菊之助が同じ舞台で揃うと海老蔵とは別趣の華がある。


♪2019-058/♪歌舞伎座-03

2018年5月22日火曜日

團菊祭五月大歌舞伎 昼の部

2018-05-22 @歌舞伎座


成田山開基1080年
二世市川團十郎生誕330年
安田蛙文・中田万助 作
奈河彰輔 演出
藤間勘十郎 演出・振付
通し狂言
一、雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)
市川海老蔵五役相勤め申し候
鳴神上人⇒海老蔵
粂寺弾正⇒海老蔵
早雲王子⇒海老蔵
安倍清行⇒海老蔵
不動明王⇒海老蔵


雲の絶間姫⇒菊之助
秦民部⇒彦三郎
文屋豊秀⇒松也
秦秀太郎⇒児太郎
小野春風/矜羯羅童子⇒廣松
錦の前⇒梅丸
八剣数馬/制多迦童子⇒九團次
小原万兵衛実は石原瀬平/黒雲坊⇒市蔵
白雲坊⇒齊入
小松原中納言⇒家橘
関白基経⇒錦之助
八剣玄蕃⇒團蔵
小野春道⇒友右衛門
腰元巻絹⇒雀右衛門

二、女伊達(おんなだて)
女伊達木崎のお光⇒時蔵
男伊達中之島鳴平⇒種之助
同  淀川の千蔵⇒橋之助

「雷神不動北山櫻」は僕にとって初めての演目だった。
全4幕の通し狂言で、そのうちに歌舞伎十八番(市川宗家のお家芸として選定された荒事の演目。)に選ばれている「毛抜・鳴神・不動」の3作を含むというのだから、1作で3度おいしい作品という言える。
尤も、歌舞伎十八番も現代も実際に演じられているのは8作品程度で、残りは今ではほとんど演じられることはないそうだ。内容が伝承されていないので、演るとすれば新作を作り上げるに等しいらしい。
「毛抜・鳴神・不動」も実際に舞台にかかるのはほぼ「毛抜」だけと言ってもよい状態のようだ。

僕も、「毛抜」は数回観たが、「鳴神」も「不動」も観たことはないし、今回の鑑賞で初めてそういう作品があることを知った次第だ。

1人口上から4幕大詰まで海老蔵が5役出ずっぱりで八面六臂の大活躍。外連味たっぷりの見得がこれ程似合うのは海老蔵だけか。
菊之助との絡みも見所。

筋の運びが必ずしも滑らかではないし、長過ぎるような気もするが、歌舞伎の面白さ、楽しさ、美しさをたっぷり詰め込んだ力作だ。

余談だが、「毛抜」が単独で演じられる時は、何故か劇中劇の形をとる。今回も2幕目がそれに当たるが、やはり、この幕だけは、舞台上手と下手に芝居小屋の看板が掲げられ、粂寺弾正が若衆や腰元にちょっかい出しては失敗する度に客席に向かって頭を下げ、「面目次第もござりませぬ」と言い訳するところも今回の「通し」上演でも同じだった。

♪2018-058/♪歌舞伎座-03





2018年2月1日木曜日

二月大歌舞伎 昼の部

2018-02-01 @歌舞伎座


一、春駒祝高麗(はるこまいわいのこうらい)
工藤祐経⇒梅玉
曽我五郎⇒芝翫
大磯の虎⇒梅枝
喜瀬川亀鶴⇒梅丸
化粧坂少将⇒米吉
曽我十郎⇒錦之助
小林朝比奈⇒又五郎
     
二、一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)
檜垣/奥殿
一條大蔵長成⇒染五郎改め幸四郎
常盤御前⇒時蔵
お京⇒孝太郎
吉岡鬼次郎⇒松緑
茶亭与市⇒橘三郎
女小姓⇒宗之助
八剣勘解由⇒歌六
鳴瀬⇒秀太郎
     
三、歌舞伎十八番の内 暫(しばらく)
鎌倉権五郎⇒海老蔵
鹿島入道震斎⇒鴈治郎
那須九郎妹照葉⇒孝太郎
成田五郎⇒右團次
小金丸行綱⇒彦三郎
加茂三郎⇒坂東亀蔵
桂の前⇒尾上右近
大江正広⇒廣松
埴生五郎⇒弘太郎
荏原八郎⇒九團次
足柄左衛門⇒男女蔵
東金太郎⇒市蔵
局常盤木⇒齊入
宝木蔵人⇒家橘
加茂次郎⇒友右衛門
清原武衡⇒左團次
     
北條秀司作・演出
四、井伊大老(いいたいろう)
井伊大老⇒吉右衛門
お静の方⇒雀右衛門
昌子の方⇒高麗蔵
宇津木六之丞⇒吉之丞
老女雲の井⇒歌女之丞
仙英禅師⇒歌六
長野主膳⇒梅玉

高麗屋3代同時襲名披露公演の第2弾、と言っても3人が揃うのは夜の部で、これは3等席以下の切符が取れない。2等席といっても1万5千円だ。これなら日生劇場のS席に回したい。
昼は新・幸四郎が一条大蔵卿に出ただけで新・白鸚も新・染五郎も夜の部だけだ。それに夜の部には高麗屋の3人以外に菊五郎、仁左衛門、玉三郎、猿之助、藤十郎などのスターが登場するので、昼のぶとは比べ物にならない豪華さだ。
昼夜の配役の偏りは大いに不満。
それで料金は同じなんだものなあ。
結局、昼の部だけではなく夜の部も観せようという商魂か。
いや、それだけではなく「仮名手本〜七段目」ではお軽勘平を偶数日と奇数日で、玉三郎+仁左衛門と菊之助+海老蔵というダブルキャストにして、よければ二度とも観てくださいという魂胆であるのが腹立たしい。


その高麗屋の貴重な出番「一條大蔵譚」では新・幸四郎の阿呆ぶりはもっとハジけたかった。この芝居は何回か観ているが、誰が演っても無理があって、面白いと感じたことはない。大義のために阿呆なふりをしているが、ここ一番では正気に戻ってかっこよく見せ問題が片付くとまた阿呆に戻るのだが(もう、戻る必要はないのではないか、という気がしてならないのだけど。)、こういう変化はなんかお客を喜ばせるにはとても安易でどうも気分が乗れない。
ま、ここぞというところで、一條大蔵卿が孔雀の羽を広げるように豪華な衣裳を見せて見得を切るというところが、歌舞伎の華々しいところで、これはこれでいいのだろうけど。

「暫」は前に七之助の「女暫」を観たが、本家?は今日が始めて。海老蔵がさすがの貫禄。長い刀を振り回して大勢の首を跳ねるところは「女暫」で経験していたが、面白い。
「井伊大老」はえらく地味な科白劇だが、2幕途中から登場する吉右衞門と雀右衛門のシットリ芸がいい。

♪2018-013/♪歌舞伎座-01

2017年5月11日木曜日

團菊祭五月大歌舞伎 七世尾上梅幸二十三回忌 十七世市村羽左衛門十七回忌追善

2017-05-11 @歌舞伎座


初 代坂東楽善
九代目坂東彦三郎 襲名披露狂言
三代目坂東亀蔵
六代目坂東亀三郎 初舞台

一 壽曽我対面(ことぶきそがのたいめん )
  〜劇中にて襲名口上申し上げ候
工藤祐経⇒菊五郎
曽我五郎⇒亀三郎改め彦三郎
近江小藤太⇒亀寿改め坂東亀蔵
八幡三郎⇒松也
化粧坂少将⇒梅枝
秦野四郎⇒竹松
鬼王家臣亀丸⇒初舞台亀三郎
梶原平次景高⇒橘太郎
鬼王新左衛門⇒権十郎
梶原平三景時⇒家橘
大磯の虎⇒萬次郎
曽我十郎⇒時蔵
小林朝比奈⇒彦三郎改め楽善
     
二 伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)
〈御殿〉
乳人政岡⇒菊之助
八汐⇒歌六
沖の井⇒梅枝
松島⇒尾上右近
栄御前⇒魁春

〈床下〉
仁木弾正⇒海老蔵
荒獅子男之助⇒松緑

〈対決・刃傷〉
細川勝元⇒梅玉
山名宗全⇒友右衛門
大江鬼貫⇒右之助
黒沢官蔵⇒九團次
山中鹿之助⇒廣松
渡辺外記左衛門⇒市蔵
渡辺民部⇒右團次
仁木弾正⇒海老蔵
     
戸崎四郎 補綴
三 四変化 弥生の花浅草祭(やよいのはなあさくさまつり )

〈神功皇后と武内宿禰〉
〈三社祭〉
〈通人・野暮大尽〉
〈石橋〉

武内宿禰/悪玉/国侍/獅子の精⇒松緑
神功皇后/善玉/通人/獅子の精⇒亀寿改め坂東亀蔵

坂東家の襲名披露(楽善←彦三郎←亀三郎/亀蔵←亀寿/新・亀三郎初舞台)も兼ねていたせいか、どの演目も熱気があった。
特に「寿曽我対面」は初めてこの芝居の面白さが分かった気がする。血気にはやる五郎役の彦三郎の気合がいい。

十郎・五郎を彦三郎・亀蔵の実兄弟で演ずるのかと思い込んでいたが、十郎役は時蔵だった。菊五郎の祐経に対峙するには時蔵の貫禄が必要なのかも。

終盤に彦三郎(前亀三郎)の長男、新・亀三郎が登場し館内どよめく。まるで福助人形の如く可愛い。
基本的に、芸以前のちびっこには興味ないのだけど、この子に限っては、昼の部に強力ライバルの初お目見えもあって、ちょいと影が薄いが、ご本人はなかなか立派なお勤めぶり。その健気さに心打たれた。こういう子供達を応援するのも歌舞伎観客の勤めだものなあ。

「伽羅先代萩」。今回は「御殿〜刃傷」で見応えあり。
前半は政岡の菊之助、後半は勝元の梅玉と仁木弾正の海老蔵が見せる!
菊之助は、さあ、どうだったか。あまり情感が伝わってこなかったな。海老蔵は見る度に痩せてゆくような気がするが、目力は怖いほどだ。
最後、松緑と亀蔵で「石橋」の2人獅子が見事な美しさ。
<舞台写真は松竹のホームページから>


♪2017-81/♪歌舞伎座-03

2016年5月13日金曜日

團菊祭五月大歌舞伎 昼の部

2016-05-13 @歌舞伎座


福地桜痴 作
今井豊茂 補綴
一 鵺退治(ぬえたいじ)
源頼政⇒梅玉
猪の早太⇒又五郎
巫女梓⇒歌女之丞
九条関白⇒錦之助
菖蒲の前⇒魁春

菅原伝授手習鑑
二 寺子屋(てらこや)
松王丸⇒海老蔵
千代⇒菊之助
戸浪⇒梅枝
涎くり与太郎⇒廣松
春藤玄蕃⇒市蔵
百姓吾作⇒家橘
園生の前⇒右之助
武部源蔵⇒松緑

河竹黙阿弥 作
花街模様薊色縫
三 十六夜清心(いざよいせいしん)
浄瑠璃「梅柳中宵月」
清心⇒菊之助
十六夜⇒時蔵
恋塚求女⇒松也
船頭三次⇒亀三郎
俳諧師白蓮実は大寺正兵衛⇒左團次

四 楼門五三桐(さんもんごさんのきり)
石川五右衛門⇒吉右衛門
右忠太⇒又五郎
左忠太⇒錦之助
真柴久吉⇒菊五郎


体調がイマイチだった。
「鵺退治」も「寺子屋」もぼんやりと過ごしてしまった。

「十六夜清心」(いざよいせいしん)でようやくシャキッとした。
この芝居を観るのは初めて。
菊之助が初役で清心を演じたそうだ。

本来は「花街模様薊色縫」(さともようあざみのいろぬい)という題名で、「十六夜清心」は通称。
今回上演されたのは「稲瀬川百本杭の場」から「百本杭川下の場」までだけ。本来はこの先に思わぬドラマが展開するようだが、この2場だけでも十分楽しめる話になっている。

ヤサ男の清心(せいしん)と遊女十六夜(いざよい=中村時蔵)が道ならぬ恋をした挙句心中したものの2人とも生き残ってしまうが、2人は互いに相手は死んだと思っている。そういう設定がまず面白い。
水練が達者な清心はその気はなかったけど自力で生き返ってしまった。ここまでは清心はどこにでもいそうな気弱な善人。
しかり、通りがかりに癪を起こして苦しんでいる寺小姓求女(もとめ。女性のような名前だけど男。尾上松也)を助けた際に、彼が預かりの50両を持っていることを知ってしまう。
そこから運命の歯車が狂いだす。
これが清心にとっての逢魔時(おおまがとき)。

金を奪うために求女を殺してしまった清心が自分の行いを後悔し、再び自分も死のうと試みるが、折から雲が晴れて月が見える。ここで、清心の迷いが吹っ切れて「一人殺すも千人殺すも、取られる首はたった一つ」と呟き、求女の死体を川に捨ててしまう。
すると再び月は雲間に隠れてしまう。
別人に助けられた十六夜も実は、同じ時に同じ場所を舟に乗って行き過ぎるど、お互いは気がつかない。
そういう心憎い幕切れ。

ホンに、魔がさすというか、誰の心にも宿っていそうな「悪心」を目の当たりにしてとても怖い、しかし面白い芝居だ。

最後の「桜門五三桐」は、吉右衛門(石川五右衛門)と菊五郎(真柴久吉)が様式美と舞台の豪華さを見せるだけで、中身はないけど歌舞伎らしい華やかさだ。
尤も、桜門がせり上がって3階席からは山門の階上で見得を切る五右衛門は脚しか見えない。


♪2016-065/♪歌舞伎座-04

2015年5月22日金曜日

松竹創業120周年 團菊祭五月大歌舞伎

2014-05-22 @歌舞伎座


一 摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)
玉手御前       菊之助
俊徳丸        梅枝
浅香姫        右近
奴入平        巳之助
合邦道心       歌六
母おとく       東蔵

二 天一坊大岡政談(てんいちぼうおおおかせいだん)
大岡越前守     菊五郎
池田大助      松緑
山内伊賀亮     海老蔵
お三        萬次郎
赤川大膳        秀調
平石治右衛門 権十郎
下男久助   亀三郎
嫡子忠右衛門 萬太郎
お霜                米吉
伊賀亮女房おさみ
                         宗之助
吉田三五郎    市蔵
藤井左京     右之助
名主甚右衛門   家橘
僧天忠         團蔵
天一坊         菊之助
大岡妻小沢       時蔵


一 摂州合邦辻
    合邦庵室の場

  通し狂言
二 天一坊大岡政談
序 幕  紀州平野村お三住居の場
     紀州加太の浦の場
二幕目 美濃国長洞常楽院本堂の場
三幕目 奉行屋敷内広書院の場
四幕目 大岡邸奥の間の場
大 詰 大岡役宅奥殿の場


「團菊祭」昼の部は「摂州合邦辻」一幕と通し狂言「天一坊大岡政談」だった。

メインイベントが「天一坊~」という訳だろうが、個人的には「摂州合邦辻」が面白かった。

「天一坊~」はよく知られた、徳川吉宗の御落胤を騙った天一坊(菊之助)が大岡裁きでバレてしまうと言う話だが、これが歌舞伎の芸としてはまたいろいろな見方もあるとは思うけど、物語としては案外面白くない。
天一坊の人間の大きさ・怖さがいまいち伝わらない。
いずれ偽物だとバレるのは分かっているけど、そのスリルは殆ど無いし、バレる経緯も当たり前過ぎてワクワクするものはない。

大げさなアクションもないので、ここぞという決めの場面が少なく、大向うも静まりがちだ。

三幕目が越前守(菊五郎)と伊賀亮(海老蔵)がお白州で対決する場面で、ここが一番面白かった。この幕だけでも見せる芝居としては成り立つのではないかと思ったが。
海老蔵のセリフ回しが貫禄で大変結構。

大詰め前の四幕に松緑のちょっといい出番があるのだけど、この人の出番はもっとほしい、といってもそういう芝居だからしょうがないね。夜の部では大活躍だったようだけど。

さて、昼の部はそんな訳で菊之助劇場みたいな感じだった。
こんな調子で、夜の部にも出て、昼夜通して一月近く公演するのではまことに疲れるだろうと思う。


ドラマとして面白かったのは、先述のとおり「摂州合邦辻」だ。
元は人形浄瑠璃の長編だったが、歌舞伎としては、今では「合邦庵室の場」だけが上演されるらしいが、この一幕だけで、十分な見応えがあった。

お家騒動を軸にしながら、義理の関係とはいえ母(玉手御前=菊之助)が息子(俊徳丸=梅枝)に恋をするというとんでもない設定だ。それも、ほのかに寄せる思いというのではない。思い余って義理の息子に毒を飲ませ、面体を醜く崩し、彼の許嫁に結婚を思いとどまらせようとするが、この女難を避けて出奔した俊徳丸を玉手御前はさらに追いかけて私と一緒になろうと詰め寄る。

話は関係者が他にも登場して簡単ではないけど、なぜ、玉手御前がそこまで狂ってしまったのか、いや、本当に狂っているのか、が興味深い。

芝居の筋書きとしての結末はきちんと付けられるが、真実はそんなことではあるまい、と思った。

それに関して、玉手御前を演じた菊之助が、「筋書き」(歌舞伎座篇プログラム)の中で、「建前はあるにせよ、俊徳丸への思いは真実の恋だったのだと思います。」と述べている。

そのとおりだと思う。そう解釈しなければ、この物語は人間ドラマにならない。底の浅い筋書きになってしまう。

さりとて、そのように全篇を解釈するにはやや、筋が通っていないと言う不満もあるのだけど。

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おさらい。

菊之助が大奮闘。
実にご苦労様で、こんなふうに頑張っていては芸を磨くより消耗してしまうのではないだろうかという心配をした。

昼の部での松緑の出番は少なかったが、いい味を出していた。
この人の芝居を見るのは楽しみだ。

海老蔵は、どういうわけか、国立では観たことがないし、歌舞伎座でも團菊祭でしか観たことがない(去年は「勧進帳」でこれはなかなか良かった。)。しかし、朗々たるセリフ回しが貫禄をみせて頼もしかった。


♪2015-50/♪歌舞伎座-03

2014年5月7日水曜日

團菊祭五月大歌舞伎 十二世市川團十郎一年祭

2014-05-07 @歌舞伎座



◎歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき)   
粂寺弾正 左團次
小原万兵衛 権十郎
小野春風 松 江
腰元巻絹 梅 枝
秦秀太郎 巳之助
腰元若菜 廣 松
錦の前    男 寅
秦民部    秀 調
八剣玄蕃 團 蔵
小野春道 友右衛門

◎歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)  
武蔵坊弁慶 海老蔵
富樫左衛門 菊之助
亀井六郎    亀三郎
片岡八郎    亀 寿
駿河次郎    萬太郎
常陸坊海尊 市 蔵
源義経       芝 雀

新皿屋舗月雨暈
◎魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)  
魚屋宗五郎     菊五郎
女房おはま     時 蔵
磯部主計之助  錦之助
召使おなぎ     梅 枝
茶屋娘おしげ  尾上右近
小奴三吉        橘太郎
菊茶屋女房おみつ 萬次郎
父太兵衛        團 蔵
浦戸十左衛門  左團次


「團菊祭」というのは、明治時代の名優とされる九代目團十郎、五代目菊五郎の功績を顕彰するために昭和11年に始まった興行で、昭和60(1985)年の十二代目團十郎襲名からは五月興行恒例の祭典として行われているそうだ。

そういえば、歌舞伎座正面から入ったところに二人の役者の銅像があることは知っていたけど、それらが九代目團十郎と五代目菊五郎だということを、本日知った。


「毛抜」というのは、歌舞伎らしからぬ外題だし、その内容も奇妙な話だ。
某殿様の婚約者の娘が最近奇病を患い輿入れが延期になったので、部下の粂寺弾正に命じて真相を探らせようとする。
奇病というのは、娘の髪が逆立つというもので、その謎が、弾正の暇つぶしにひげを抜こうと取り出した毛抜が独りでに動き出すことから判明するという話を中心にした、お家騒動の陰謀話で、なかなか付いて行けない話だが、これが歌舞伎十八番の一つだというのは、その様式美に見どころがあるらしいが、僕はよく分からなかった。


その点、同じく歌舞伎十八番の「勧進帳」は歌舞伎以外にもいろんな形で取り上げられているから話もよく知っていたし、これこそ歌舞伎ならではの様式美の極めつけかも知れない。
芝居というより、長唄伴奏の舞踊劇のようでもある。踊りにしては、ずいぶんの力技だが。

弁慶を演ずるのは、あの!海老蔵だが、最初は海老蔵とは思えない。顔が痩せている。でも、8倍の単眼鏡でしっかりと顔つき・所作を観たが、間違いなく本物だった(そりゃそうだろう!)。

声も大きく、所作も大きく、堂々としている、とはいえ、つい、昨年なくなった実父十二代團十郎と比べてしまうとまだ若いかなあ、と思ったが。

義経は菊之助がやるのかと思ったが、芝雀が演じ、菊之助は富樫の方だった。詳しいことは知らないけど、弁慶を市川宗家が代々引き継ぐのと同じように、義経なども家の芸になっているのかも。
「勧進帳」は十分に満足できた。


「魚屋宗五郎」は、歌舞伎らしさには欠けるけど芝居としては面白い。人情喜劇(世話物)で、おかしくて思わず声を出して笑った。

お屋敷に奉公に上がっていた妹の非業の死が原因で、魚屋の宗五郎はやめていたお酒を飲み始めた。父親も女房もむしろ彼に酒を勧め、酔の力で不幸を忘れよということだったが、元々酒乱の宗五郎、飲みだすと止まらない。
だんだん酒癖の悪さが出てきて、周りはもうその辺で、と酒を取り上げようとするが、なかなか言うことを聞かない。そのやりとりの滑稽なこと。
ついには、酔った勢いで、妹の奉公先に乗り込んでさんざん悪態をつき、取り押さえられるが…。

と、悲劇と喜劇が混在した無茶な話だけども、おかしい。

宗五郎を菊五郎が演ずるが、この2枚目がこんなおかしな役をやるとは思ってもいなかったが、うまい。
その女房は時蔵で、なんどかこの人の女形を見ているけど、今回ほどうまいと思ったことはなかった。いや、いつも上手なのだろうけど、今回は物語がおかしくて、女房役の出番も多いからその巧さがようやく分かったのだろう。



♪2014-49/♪歌舞伎座-03