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2025年3月21日金曜日

奥村愛&山宮るりこ デュオ・リサイタル

 2025-03-21 @リリスホール




奥村愛:バイオリン*

山宮るりこ:ハープ+


エルガー:愛の挨拶
マスネ:タイスの瞑想曲
イザイ:無伴奏バイオリンソナタ Op.27から第4番ホ短調(*独奏)
 ⅠAllemande
 ⅡSarabande
 Ⅲ Finale
シュポア:ソナタ・コンチェルタンテ Op.113
サン=サーンス:幻想曲 Op.124
スメタナ(トゥルネチェク編):モルダウ(+独奏)
バルトーク:ルーマニア民俗舞曲 Sz.56
 Ⅰ棒踊り
 Ⅱ帯踊り
 Ⅲ踏み踊り
 Ⅳ角笛の踊り
 Ⅴルーマニア風ポルカ
 Ⅵ速い踊り
 Ⅶ速い踊り
加藤昌則:ケルト・スピリッツ
-------------------
メンデルスゾーン:「春の歌」




◀️感想省略▶️


♪2025-038/♪リリスホール-03

2024年3月27日水曜日

中野りな&ルゥォ・ジャチン ヴァイオリン&ピアノ デュオ・リサイタル 2022年仙台国際音楽コンクール覇者の共演

2024-03-16 @フィリアホール



中野りな:バイオリン*
ルゥォ・ジャチン:ピアノ**

シマノフスキ:バイオリンとピアノのための3つの詩曲「神話」Op.30から第3番
シューマン:バイオリンソナタ第1番イ短調 Op.105
パガニーニ:ロッシーニの「タンクレディ」のアリア「こんなに胸騒ぎが」による序奏と変奏曲
イザイ:無伴奏バイオリン・ソナタ第3番ニ短調「バラード」*
ショパン:バラード 第1番ト短調 op.23**
サン=サーンス:バイオリンソナタ第1番ニ短調 Op.75
--------------------
クライスラー:ウィーン奇想曲
*/**はソロ




昨秋、東フィルとの共演を聴いたお嬢さん。
今回は、2022年の仙台国際コンクールで共に優勝したピアノのL.ジャチンとのデュオリサイタル。

協奏曲もとても良かったが、やはり小ホールでかぶりついて聴くのは次元が違う面白さがある。

休憩の前後に、見ばえ聴きばえする超絶技巧を置いて、軽〜く圧倒して、サン=サーンスのソナタ第1番が白眉。

表情がよく見えたので、音楽を丁寧に形作ってゆく様を一体感を以て味わった気が。

まだ、19歳かな。
「清楚」がぴったり。慣れないステージングも好ましや。



♪2024-040/♪フィリアホール-04

2023年9月17日日曜日

周防亮介/無伴奏バイオリン・リサイタル

2023-09-17 @東京文化会館


周防亮介:バイオリン

J.S.バッハ:無伴奏バイオリン・ソナタ第1番ト短調 BWV1001
イザイ:無伴奏バイオリン・ソナタ第4番ホ短調 作品27-4
エルンスト:庭の千草変奏曲
J.S.バッハ:無伴奏パルティータ第2番ニ短調 BWV1004
--------------------------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン・ソナタ第1番ト短調から「アダージョ」



周防亮介はオケとの共演や室内楽の一員としての演奏は聴いていたが、今回初めてリサイタル〜それも全曲無伴奏を聴いた。期待どおりだった。いや、期待値を超えていたのか。何やら神秘的な音楽の深淵を垣間見たような気がした。
これは無伴奏だったせいもあるだろうな。

バッハが2曲(ソナタ1番、組曲2番)にイザイ4番とエルンスト(庭の千草)。
技術的なことは分からないが、イザイやエルンストは超絶技巧の塊だ。それを(も?)披露する作品であることは間違いない。

この2曲に比べると、バッハも高い技巧が必要とされるのかもしれないが、耳に馴染んでいるせいもあって、技巧が目立つことはない。あるいは、もう感じなくなっている。技巧は音楽に奉仕していると感じさせる。
そしてシャコンヌを含む組曲2番こそ今日の白眉だ。
入念に練習を積んで、今、聴かせることのできる最高の演奏を披露できたのではないか。蚊の滑空の如し最弱音からヤニを飛ばす力強い重音まで、細心の気配りが行き届いて美しい。
もとより、彼のバイオリンの音は、オケとの協奏でも明瞭に際立つので、完全沈黙の客席に存分に響き渡った。

Encは必要なかった。
シャコンヌを聴いた後に、なお何かを聴きたかった人はいただろうか?個人的には蛇足感があった。彼も本当は弾きたくなかったのではないか?

♪2023-159/♪東京文化会館-10

2023年4月23日日曜日

読売日本交響楽団第125回横浜マチネー名曲シリーズ

2023-04-23 @みなとみらいホール



小林研一郎:指揮
読売日本交響楽団
青木尚佳:バイオリン*

メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲ホ短調 作品64*
マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」
----ENC----------------
イザイ:無伴奏ソナタ第4番第3楽章*





「メンコン」も「巨人」も頻繁に聴いているので、1公演にこの両者が組み合わされる事も過去に読響を含め3回。今回が4回目。
かくも数多く聴いていると余程の”出来”じゃなければ”感心”もできない。
結論を言えば、今日の2本立て。いずれも”残念賞”だった。

どうしてか、を考えるのも面倒なので直感的に言えば、「メンコン」についてはさらりと綺麗なだけで、ワクワクさせるものがなかった。
最近ではレイ・チェン+スラットキン+N響や、少し遡るが、辻彩奈+大友直人+都響では翻弄される快感を味わった。

「巨人」も惹き込まれなかった。
マーラーの作品中、巨人はダントツに聴く機会が多いので十分に馴染んでいるし、名演に遭遇した時の快感を何度も経験している。
Pヤルヴィ+N響、エストラーダ+hr響、コバケン+日フィルなど。

にもかかわらず今日のコバケンのテンポ感は面白くない。
もたつきあり。

とは言っても、遅すぎるという訳ではない。実測で55分。平均的だ。

最初に素材のかけらを「小出し」にして、徐々に回収して歌に繋げるという作品では、この「小出し」の不安感や緊張感がやがてカタルシスを生むのだが、反面「小出し」故の散逸感が緊張感に勝ると音楽に入ってゆけなくなる。
今日はそんな感じだった。

ラスト。
ホルン7本の立奏は作者の指示だそうだが、コバケンは日フィルで演った時もホルンの他にトランペットとトロンボーンも立たせた。今回も予期したとおりの展開で驚かない。
17人の立奏は見栄えだけだ。音に関係ない。音楽外の外連だ。マーラーの変な趣味だ。

第2ティンパニーは神奈川フィルの篠崎くん。
第1バイオリンの次席(コンマスの隣)は葵トリオの小川響子だった。トロンボーンにも客演がいたような…。




終演後はみなとみらいを徒歩で帰宅。
読響のトラックが楽屋口に居るのはいつもの光景だが、2両連結のバスが走っていた。これは珍しい。これまで昼間に見たことがなかったから。

♪2023-069/♪みなとみらいホール-16

2023年2月17日金曜日

東京シティフィル第357回定期演奏会

2023-02-17 @東京オペラシティコンサートホール



川瀬賢太郎:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
バイオリン:郷古廉*

マクミラン:バイオリン協奏曲*
ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14
---------------------------------
イザイ:無伴奏バイオリンソナタ第2番第2楽章憂鬱*





ジェームズ・マクミラン:バイオリン協奏曲は初聴き。2009年初演だそうな。

弦編成は(幻想も)12型だが、多種多様な打楽器が繰り出され、人間の声も。
終楽章でビオラの最後列女史が楽器を持って離脱したので弦が切れたのかと思っていたが、そうではなくて、これも袖から何やら声を発する為だった…。

こういう、つまるところ、効果音の連続で、聴き手の意表を突くことを本意としているような音楽はキライである。劇伴音楽としては意味あるが演奏会には適さない。やめてケレ。

幻想交響曲は賢太郎氏得意のパターン。ハープ2台を指揮台の周りに配置するが、2楽章が終わったらもう出番のない奏者は退席し、残された楽器が管楽器奏者を見えにくくして大いに邪魔だよ。

客席前方列にはハープが異常によく聴こえるだろうけど、中程から後方の席には定位置に据えた場合と有意差はないと思うが。

タケミツメモリアルは時に鳴り過ぎるくらいのホールだが、季節のせいか、今日は、ここでも少し音が硬かった。

とはいえ、手堅くまとめて12型とは思えないくらいの迫力。

♪2023-034/♪東京オペラシティコンサートホール-02

2022年6月26日日曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第378回定期演奏会

2022-06-26 @県民ホール



三ツ橋敬子:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
マルク・ブシュコフ:バイオリン*

ムソルグスキー:交響詩「はげ山の一夜」(原典版)
チャイコフスキー:バイオリン協奏曲ニ長調Op.35*
ボロディン:交響曲第2番ロ短調
------------------
イザイ:無伴奏バイオリンソナタ第5番から*


要約すれば、非常に面白く充実した演奏会だった。
先ず「はげ山の一夜」に吃驚。
え!これはなんだ。僕は何を聴いているのだ?
…と事態がなかなか飲み込めなかったが、プログラムに小さく《原典版》と書いてあって得心した。
馴染みのR.コルサコフ版とは全然違う!

その謎解きに心奪われて音楽に集中できなかったが、オケの尽力にもかかわらず、バラバラ感が付き纏ったのは、やはりオーケストレーションに問題があるのではないか。R.コルサコフも手を入れざるを得なかったのだろう。

チャイコフスキー:バイオリン協奏曲一段と素晴らしかった。独奏バイオリンのマルク・ブシュコフは初聴きだが、独自色をチラチラ見せながら雄弁だった。音色も美しく音圧も高い。
2013年モントリオール優勝、19年チャイフスキー・コンクール2位(同年、金川真弓4位。ピアノ部門で藤田真央2位)という実績を感じさせた。

これは要注目の期待株だ。

鳴り止まぬ絶賛拍手で長いカーテンコールだったが、1楽章の後かなり確信的な拍手が方々から起こったのも宜なるかな。

メインディッシュがボロディン交響曲第2番。だいたい2年に1回の割で聴いているが、神奈川フィルでは初めて。

なので、馴染みはそこそこあったけど、聴く度に驚かされる。
ワインガルトナーはこの曲をチャイコフシキー「悲愴」と並んでロシア人の国民性が如実に反映された作品、と言ったそうだが、西欧化と民族性の両極端において説得力がある。
厚みのある弦が、今日は特段美しく響いた。3楽章ホルンソロも良し!

♪2022-093/♪県民ホール-08

2022年6月22日水曜日

第1961回 NHK交響楽団 定期公演 B-1

2022-06-22 @サントリーホール



鈴木優人:指揮
NHK交響楽団
郷古廉:バイオリン*

J.S.バッハ(鈴木優人編):パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582
ブリテン:バイオリン協奏曲 作品15*
モーツァルト:交響曲第41番ハ長調 K. 551「ジュピター」
------------------------
イザイ:無伴奏バイオリン・ソナタ第4番ホ短調 作品27-4 から第2楽章「サラバンド」*



「5日前のC定期ですばらしいアンサンブルを聴かせた同じメンバーとは到底思えなかった」〜と前回N響B定期の感想に書いたが、同文引用。

なぜか?分からないけど、サントリーホールの響きがイマイチ良くないことが原因の一つだろう。

そして、第1曲の出だしが美しくなかった。
それでその日の印象が決まってしまうのかも。

鈴木優人が編曲した「パッサカリアとフーガ ハ短調」がざわざわしている。
オルガン曲を管弦楽に直したが成功しているとは思えない。いっそ鈴木がオルガン独奏すれば良かったのに。

ブリテンの「バイオリン協奏曲」はなんと9年前に聴いたきり。どんな音楽だったかもすっかり忘れていた。

管-弦の使い方が打楽器的で美しく盛り上がる…ことはない。
独奏の郷古廉は高等技術を駆使して豊かな音圧でリードしたが…。

最後は「ジュピター」。ここに来てようやくN響らしい弦が響いた。
そもそも、編成も弦主体なので音のまとまりがいい。
プログラムには演奏時間31分と書いてあったが、実演もそんなものだったと思う。小気味良いテンポで、楽章間休止も極めて短く、好感した。

3曲とも弦10型(バイオリン1-2同数対抗配置。)で通したのは珍しい。なのにコントラバスはチェロと同じく6本というのも珍しい。

♪2022-092/♪サントリーホール-09

2021年4月3日土曜日

東京・春・音楽祭2021 大宮臨太郎&白井圭

 2021-04-03 @旧奏楽堂


バイオリン:大宮臨太郎
バイオリン:白井圭

プニャーニ:2つのバイオリンのための6つのソナタ op.5 から第3番ト長調
ヴィオッティ:2つのバイオリンのための3つの協奏的大二重奏曲 op.21 から第2番ニ長調
C.A.ベリオ:3つの協奏的二重奏曲 op.57 から第1番ト短調
イザイ:2つのバイオリンのソナタ イ短調
----ENC-------------------
ヴィエニャフスキ:エチュード・カプリース op.18


白井は先日ピアノ三重奏で聴いたばかり。
彼はN響ゲストコンマスでもある。

大宮はN響の第2バイオリンの首席。オケ以外で彼の演奏を聴くのは、かなっくホールでのリサイタルから6.5年ぶり!

彼は第1バイオリンのフォアシュピラーからアシスタント・コンマスになって、最近では第2バイオリンの首席で落ち着いているけど、これって順当なのかな?

今回はピアノなど無し。バイオリンだけの二重奏だった。

演奏された作品中、前半の作曲家、プーニャ、ヴィオッティ、ベリオなんて名前さえ初聴き。

生年からハイドン〜ベルリオーズ時代だけど、音楽は完全に古典派っぽい。

休憩を挟んで、メインがイザイの二重奏ソナタでこれも初聴き。

全部分かり易い音楽で、サロンのような雰囲気の旧奏楽堂で聴くにふさわしかった。但し響は悪良くない。もう、無響室で聴いているような感じで、バイオリンも素のままの響だった。

♪2021-032/♪旧東京音楽学校奏楽堂-01

2021年2月13日土曜日

NHK交響楽団 02月公演

 2021-02-13 @東京芸術劇場大ホール

熊倉優:指揮
NHK交響楽団

バイオリン:イザベル・ファウスト*

スメタナ:歌劇「売られた花嫁」-3つの舞曲
シマノフスキ:バイオリン協奏曲第1番 作品35*
ドボルザーク:交響曲第6番ニ長調 作品60
-----Enc---------------
イザイ:無伴奏バイオリン・ソナタ第2番イ短調-第2楽章「憂鬱」*




イザベル・ファウストは海外の著名バイオリニストでは一番多く聴いているかも。室内楽がいい、けど今日もアンコールの繊細なイザイの無伴奏に感心した。

しかし、N響の出来はどうだったか?
ホールの音響も良くないけど、内輪の学芸会みたいな緊張感の不足を感ずる。

ドボルザーク交響曲第6番は珍しいのを聴けたという点で収穫だったが。


それにしても、そろそろ、登場しただけでオーラを感じさせる大物指揮者のタクトでピリッとした演奏を聴きたいよ。

代役、若手続きで(時に大成功もあるが)、コンサートの晴れがましさ、ラグジュアリー感が近頃薄れて聴く側(自分です😥)も緊張感を失っているのは反省かも。


♪2021-011/♪東京芸術劇場大ホール-01

2019年8月4日日曜日

フェスタサマーミューザ2019 仙台フィルハーモニー管弦楽団 ≪東北の雄が川崎にやってくる!≫

2019-08-04 @ミューザ川崎シンフォニーホール


高関健:指揮
仙台フィルハーモニー管弦楽団
郷古廉:バイオリン*

ストラヴィンスキー:サーカス・ポルカ
チャイコフスキー:バイオリン協奏曲ニ長調 作品35*
チャイコフスキー:交響曲第4番へ短調 作品36
-----------------
イザイ:無伴奏バイオリン・ソナタ第5番から第1楽章*
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」第3楽章から

ホール内に入った途端、空気が澄んでいる気がした。
ホールの響きが良いという予感。
演奏が始まると案の定、音がクリアに響く。
第1曲めは賑やかで短い曲だったからしかとは分からなかったが、2曲めのチャイコフスキー:バイオリン協奏曲では、まず郷古廉のバイオリンが明瞭で綺麗だ。ここまでクリアだと遠くの席にも十分届いたろう。

楽器配置が独特だった。
バイオリンの対向配置(第一バイオリンと第二バイオリンが指揮者を挟んで向かい合う)は珍しくはないが、コントラバスは舞台最後列に横一列で並んだ。これが演奏効果を発揮したか否かは分からないが見た目には妙に落ち着く。

弦楽器の編成は変則12型(12-10-8-8-6)。気持ち低域増強で、これで3曲とも通したが、これこそ効果的だった。
不思議な程、音楽の輪郭がハッキリ聴こえる。

オケも高関師の丹精が行き届いたか纏まりがいい。
メインのチャイコフスキー交響曲第4番ではホルンが特筆の仕事ぶり。

ホールの響きの良さもあるがこんなクッキリ・スッキリの演奏は珍しい。

初めて聴いた仙台フィルだが、予想外の巧さにちょっとびっくり。勿論完璧ではないけど。でも聴衆への訴求力は昨日のN響よりずっと上だった。

終演後は遠来のオケに館内大喝采。

ところで仙台フィルの成功を受けて来年からは関西の雄も九州の雄も招いて欲しい。それでこそミューザ音楽夏祭りだ。


♪2019-116/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-11

2019年2月9日土曜日

N響第1906回 定期公演 Aプログラム

2019-02-09 @NHKホール


パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団
アリョーナ・バーエワ:バイオリン*

R.シュトラウス:バイオリン協奏曲ニ短調 作品8
ハンス・ロット:交響曲第1番ホ長調*
-----アンコール-----
イザイ:無伴奏バイオリン・ソナ第5番ト長調 作品27-5から第1楽章「曙光」*

神奈川フィルでハンス・ロットを聴いた同じ日に、N響で同じ曲を聴くと、N響の次元の違う巧さに感心する。

ハンス・ロットのゴテゴテした音の厚塗りも透明感を得て管弦楽の妙となる。同日さほど時を置かずに2回目を聴いたせいもあるが、全体の骨格も見通しが良くなった。

とはいえほぼ全曲にわたって全奏・強奏が鳴り響く音楽は、スペクタクル巨編の映画音楽かゲーム音楽のようで、訴え方がモロに原始脳を刺激するので品が無く、聴いてい大いに疲れる。

多くの人は、コンテンツではなくこの音楽が纏う悲劇性というコンテキストに気持ちを奪われた結果心を寄せるのではないか、と思っているが、かくいう僕もブラームスが「美しい部分もあるが、残りは平凡で無意味」と手厳しく看破したというエピソードに囚われているのかもしれない。

R.シュトラウスのバイオリン協奏曲はCDで多少馴染んでいるけど、ナマは初聴きだった。適度にロマンチック。適度な叙情性。これがなんと17歳の作品とはとても思えない。
ハンス・ロットの交響曲が22歳の作品だが、これに比べてもとても老成した感がある。栴檀は双葉より芳しか。

バイオリン独奏は、こちらも初聴きアリョーナ・バーエワ嬢。アンネ・ゾフィー・ムターの若い頃に感じがよく似ている。妖艶で見た目も楽しませる。ステージから袖に引っ込む時に深く割れたドレスの襞が開いて長い美脚がチラと見えたぞ。

♪2019-014/♪NHKホール-01

2017年6月10日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第328回横浜定期演奏会

2017-05-20 @みなとみらいホール


アレクサンドル・ラザレフ:指揮[桂冠指揮者兼芸術顧問]
日本フィルハーモニー交響楽団

山根一仁:バイオリン*

チャイコフスキー:バイオリン協奏曲ニ長調 作品35*
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調 作品47
-------------
アンコール
イザイ:無伴奏バイオリン・ソナタ第2番から「メランコニア」*
ショスタコーヴィチ:組曲「馬あぶ」から第3曲「祝日」

先月のN響が指揮も独奏もロシア人によるオールロシア・プロだったが、今月の日フィルもロシア人ラザレフの指揮でチャイコフスキーのバイオリン協奏曲とショスタコーヴィチの交響曲第5番というロシアものの鉄壁プログラム。
バイオリンソロは俊英21歳の山根一仁くん。彼は…ロシア人ではないな。

指揮者にとってもオケ(+ソリスト)にとっても、演奏し慣れた作品ばかりというせいもあるのだろうが、軽やかなものだ。

バイオリン1本の微細な響からショスタコーヴィチ終楽章の爆裂音まで。このダイナミックレンジの大きさに浸るシアワセ。

いつものように、終演後のラザレフ・パフォーマンスが音楽会の興奮を一層高めてくれる。
大きな身体を揺すって拍手しながら舞台を歩き回り、客席にも拍手を促し、素晴らしい演奏だった!とアピールしてくれるので、みんな笑顔で満足して万歳。


♪2017-088/♪みなとみらいホール-20

2017年1月29日日曜日

N響第1855回 定期公演 Aプログラム

2017-01-29 @NHKホール


下野竜也:指揮
クリストフ・バラーティ:バイオリン*
NHK交響楽団

マルティヌー:リディツェへの追悼(1943)
フサ:プラハ1968年のための音楽(管弦楽版╱1969)
ブラームス:バイオリン協奏曲 ニ長調 作品77*
------------
アンコール
イザイ:無伴奏バイオリン・ソナタ第2番第4楽章*

2017-01-29 @NHKホール

マルティヌー(1890-1959)なんて作曲家は記憶から抜けていたが、つい先月、都響で交響曲第5番を聴いたばかりだったよ。もう、忘れるのが速い。
フサ(1921-2016)こそ初聴き。
2人は生まれが半世紀ほど異なるけどいずれも現代の作曲家と言っていいのだろう。フサは昨年亡くなっているのだ。

現代の音楽は、ほとんどつまらない。
それにメインがブラームスの(交響曲ではなくて)協奏曲とは妙な組合せだな、と思った。

しかし、この2人はいずれもチェコの人で、マルティヌーの音楽はナチスによって焼き尽くされ、住人は強制収容された「リディツェ」という村の鎮魂の音楽であり、フサの作品もいわゆる「プラハの春」を崩壊させたソ連によるチェコ侵攻に怒りを覚えて作られた作品で、両者とも厳粛な気分が漲る音楽だった。
とくに後者は12音技法や微分音をも用いているそうだが、その全曲を覆う暗い情感が、実験趣味的な現代音楽とは一線を画しているように思えた。

それにしてもブラームスとのつながりはよく分からない。

その点は、ま、あまり重要だとも思えないけど。


ブラームスは良かった。
クリストフ・バラーティは2015年5月に同じN響の定期でバルトーク:バイオリン協奏曲第2番を聴いている。その時も相当高度なテクニシャンだと思ったが、ブラームスでも本領発揮。実に堂々として安定している。音圧も高く、館内に独奏バイオリンが響き渡った。

つい3週間ほど前に、飯森範親+日フィル+神尾真由子で聴いたが、そのときにも感じた第3楽章のテンポの遅さを今回も感じた。帰宅後手持ちのCDを3種類第3楽章の冒頭だけ聴き比べたが、ニコラス・アーノンクールとオイゲン・ヨッフムのテンポは結構速いが、チョン・ミョンフンのものは今日のN響、先日の日フィルと大差なかった。まあ、拘らなくともいいのだけど、やはり、このハンガリー舞曲風な音楽はちょっと疾走する感じがほしいな。

2017-014/♪NHKホール-01

2016年12月14日水曜日

東京都交響楽団 第821回 定期演奏会Bシリーズ

2016-12-14 @サントリーホール


ヤクブ・フルシャ:指揮
東京都交響楽団
ヨゼフ・シュパチェク:バイオリン*

ドボルザーク:バイオリン協奏曲 イ短調 op.53 B.108*
マーラー:交響曲第1番 ニ長調 《巨人》
--------------
アンコール
イザイ:無伴奏バイオリン・ソナタ第2番から第4楽章*

指揮のヤクブ・フルシャは都響の首席客演指揮者だが、これまで聴いたことがなかった(?)。まだ35歳だが、5年前(2011年)の『グラモフォン』誌で、「大指揮者になりそうな10人の若手指揮者」のうちの1人に選ばれたそうだ。

バイオリン独奏のヨゼフ・シュパチェクも初めて。こちらは30歳。

ドボルザークはまずまず。
むしろ、アンコールに弾いたイザイの無伴奏が超絶技巧で素晴らしかった。

大いなる楽しみは「巨人」だったのだけど、冒頭からテンポが遅いと感じて、最後までもうちょっと早めに頼むと思いながら聴いていた。そう思って聴いているとなかなか音楽に没入できないし、終楽章の盛り上がりも今ひとつカタルシスに欠けた。
終わるや否や時計を見たら、演奏時間は約55分で、決して長くはない。帰宅後手持ちCDの4種類の「巨人」を調べたらいずれも54分から58分で、こうなるとヤクブ・フルシャのテンポ設定は当を得たものだったのかもしれない。

都響のアンサンブルにはたいてい満足しているのに、この日の響はしっくり来なかったのはどうしてだろう。金管に珍しくミスがあった。でもそれは大勢に影響しない。
何か、わが心のうちに心配事でもあったのかなあ、と自分で自分の心配事を心配してみたがこれといったものも見当たらず。そういう日もあるか、ということにしておこう。

♪2016-176/♪サントリーホール-13

2016年6月25日土曜日

東京交響楽団 川崎定期演奏会 第56回

2016-06-25 @ミューザ川崎シンフォニーホール


ダニエーレ・ルスティオーニ:指揮
東京交響楽団
フランチェスカ・デゴ:バイオリン*

グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
ショスタコーヴィチ:バイオリン協奏曲 第1番 イ短調 作品77*
チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 作品74 「悲愴」
-------------------
アンコール
イザイ:無伴奏バイオリン・ソナタ第3番「バラード」作品27
パガニーニ:「24のカプリース」から第16番ト短調


プログラムから
オール・ロシアプログラムだが、指揮者も独奏バイオリニストもイタリア人。ルスティオーニが33歳(誕生日が来て)、デゴは27歳という若さ。そのせいか、ショスタコにしてもチャイコにしても元気溢れ、陽気な感じすら受けたが、いやはや熱のこもった演奏であった。

最初の「ルスラン~」は、そもそも元気のいい爆発的な音楽だが、テンポもよく、東響の響は(日によって出来不出来があるが今日は)強力な音圧でほとんど乱れず(一部瞬間的に乱れたがお愛嬌。)グイグイと惹きこまれてしまった。

前座がこうも素晴らしいと、二ツ目にも期待がかかるが、これが予想外の拾いもの。
ショスタコの協奏曲ではチェロの第1番に(自分でもチェロをかじっていたことがあるので)特段の思い入れがあるが、バイオリン協奏曲はたまに聴くもののやはりチェロ協奏曲(第1番)には魅力の点で及ばない。しかし、そういう印象をデゴ夫人の強烈な演奏がかなりの部分払拭した。
技術的にも相当難しそうだ。

プログラムから
特に第3楽章の最後の長いカデンツァは名人芸の聴かせどころだ。
ゆっくりしたテンポから徐々にヒートアップして終楽章に雪崩れ込むあたりはチェロ協奏曲(第1番)と同じ作りで(まあ、当然そうなるのだろうけど)ここにショスタコ節が炸裂する。

初めて、バイオリン協奏曲(第1番)も結構楽しめると嬉しい発見であった。

ソロバイオリンを支えるオケも「ルスラン~」同様に良く鳴って実に快感だ。

もう、以上2曲だけでコンサートが終わってもいい、と思うくらいに満足したが、デゴさんは、観客の大歓声と拍手に気分良くしてくれたか、今日が日本デビューということもあってか、イザイの無伴奏ソナタを1曲まるごと(といっても全1楽章なのだけど)弾いた上にパガニーニも大サービス。いずれも難曲だと思うが、とにかくエネルギッシュだ。

そして、もうお腹いっぱいなのに、真打ち登場でチャイコの「悲愴」。今日の東響はホンに良く鳴った。鳴り響いた。

東響のfacebookから
冒頭書いたように、あまり「悲愴」ぽくなかった。「悲愴」は終楽章で深い悲しみの淵に誘ってくれなくては「悲愴」ではないけど、まあ、イタリアンな「悲愴」もこれはこれでよし。ナマの管弦楽の醍醐味を十分に堪能できた。


♪2016-088/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-14