2023年9月17日日曜日

周防亮介/無伴奏バイオリン・リサイタル

2023-09-17 @東京文化会館


周防亮介:バイオリン

J.S.バッハ:無伴奏バイオリン・ソナタ第1番ト短調 BWV1001
イザイ:無伴奏バイオリン・ソナタ第4番ホ短調 作品27-4
エルンスト:庭の千草変奏曲
J.S.バッハ:無伴奏パルティータ第2番ニ短調 BWV1004
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J.S.バッハ:無伴奏バイオリン・ソナタ第1番ト短調から「アダージョ」



周防亮介はオケとの共演や室内楽の一員としての演奏は聴いていたが、今回初めてリサイタル〜それも全曲無伴奏を聴いた。期待どおりだった。いや、期待値を超えていたのか。何やら神秘的な音楽の深淵を垣間見たような気がした。
これは無伴奏だったせいもあるだろうな。

バッハが2曲(ソナタ1番、組曲2番)にイザイ4番とエルンスト(庭の千草)。
技術的なことは分からないが、イザイやエルンストは超絶技巧の塊だ。それを(も?)披露する作品であることは間違いない。

この2曲に比べると、バッハも高い技巧が必要とされるのかもしれないが、耳に馴染んでいるせいもあって、技巧が目立つことはない。あるいは、もう感じなくなっている。技巧は音楽に奉仕していると感じさせる。
そしてシャコンヌを含む組曲2番こそ今日の白眉だ。
入念に練習を積んで、今、聴かせることのできる最高の演奏を披露できたのではないか。蚊の滑空の如し最弱音からヤニを飛ばす力強い重音まで、細心の気配りが行き届いて美しい。
もとより、彼のバイオリンの音は、オケとの協奏でも明瞭に際立つので、完全沈黙の客席に存分に響き渡った。

Encは必要なかった。
シャコンヌを聴いた後に、なお何かを聴きたかった人はいただろうか?個人的には蛇足感があった。彼も本当は弾きたくなかったのではないか?

♪2023-159/♪東京文化会館-10