2023-09-24 @みなとみらいホール
ギエドレ・シュレキーテ:指揮
読売日本交響楽団
エマニュエル・パユ:フルート*
チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
サン=サーンス:オデレット
サン=サーンス:ロマンス
シャミナード:フルートと管弦楽のためのコンチェルティーノ
バルトーク:管弦楽のための協奏曲
結論を手短に言えば、年に数回遭遇できるかという幸福な体験をした。
コンマスはVn界の百済観音、日下紗矢子だ。もうそれだけでワクワクする。この人の姿勢の良いこと。椅子に掛けていても背筋がピンと伸びている。ボウイングも綺麗でそれだけでも鑑賞に値する。
指揮は初顔のGシュレキーテ。演奏中の表情は見えないが、客席に向かった時は終始明るい笑顔で愛想が良い。いや、指揮も的確だったのだろう。確実に読響メンツの人心を総攬していたようで、1曲終わる度、奏者各人の表情が緩む。
そういう指揮者とコンマスを得て、第1曲がチャイコの「ロメジュリ」の見事なアンサンブルにびっくり。弦16型の大編成だが、60人の弦が一糸乱れず透明感を維持し、読響ブラスは面目躍如。特に、躓きやすいHrが弱音の重奏を美しくハモる。もちろん、木管も打楽器も、全員ノーミスのみならず、管・弦の絶妙な交わりから生まれる甘い響きを久しぶりに聴いた。これは、みなとみらいホールならではの妙なる響だ。
ラストのバルトークは、「ロメジュリ」以上に各部門が活躍し(ま、そういう音楽だ)、息を潜めて緊張の渦に心地良く巻かれた。久しぶりの至福の時だ。
全体の構成は、ちょっと風変わりなプログラムで上述のように最初と最後に弦16型の大編成。そこに挟まれた14分-6分-8分の小品3曲。
この小品3曲はいずれもFlと管弦楽のための作品で10型の小規模編成。
うち最初の2曲はサン=サーンスの作品だが初聴き。シャミナード作も初聴きかと思っていたが、始まると思い出した。全国学生音楽コンクールのFl部門で何度か聴いた曲だ。あの気になる主旋律は、ぞうさんの歌と部分的にそっくりだ。
3曲とも穏やかな音楽で、Fl独奏のパユが見事に明るく、柔らかくて煌めいていた。
兎にも角にも、読響の実力をしかと受け止めた。今月のN響ABCのいずれをも上回る合奏力、個人芸だった。
また、指揮のギエドレ・シュレキーテ。なかなか覚えられそうにもない名前だが、注目してゆこう。
♪2023-161/♪みなとみらいホール-32