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2024年11月2日土曜日

全国共同制作オペラ プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」

2024-11-02 @ミューザ川崎シンフォニーホール




井上道義:指揮
森山開次:演出/振付/美術/衣裳

管弦楽:東京交響楽団
合唱:ザ・オペラ・クワイア
児童合唱:世田谷ジュニア合唱団
バンダ・ペル・ラ・ボエーム

ミミ:中川郁文
ロドルフォ:工藤和真
ムゼッタ:イローナ・レヴォルスカヤ
マルチェッロ:池内響
コッリーネ:松中哲平
ショナール:ヴィタリ・ユシュマノフ
ベノア:晴雅彦
アルチンドロ:仲田尋一
パルピニョール:谷口耕平
ダンサー:梶田留以、水島晃太郎、南帆乃佳、小川莉伯

プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」
全4幕/イタリア語上演/日本語・英語字幕付き/新制作

予定上演時間:約2時間40分
第1/2幕  70分
---休憩    25分
第3幕     30分
----休憩  20分
第4幕     30分



ミューザでの上演は、演奏会形式を超えたかなり本格的な舞台だった。コンサートホールでもこのような形でオペラが上演可能であることは、県民ホールや文化会館が休館中でも、演目の制限はあるにせよ上質の舞台を提供できることを示しており、大いに評価できる。特に2幕では、多くのキャストが舞台に
登場し、賑やかな演出は新国や日生も顔負けだ。

しかし、一部の観客にとっては鑑賞環境が問題となった。僕は1階前方列の中央席を購入したが、客席の最前列から4列がオケ・ピットとして使われ、加えて前2列の中央席が非売席だったので、実質最前列状態。
その結果、ミッキーの背中は我慢できるとしても、楽譜照明がまぶしく、特に指揮台の光が強力で鑑賞に集中できなかった。
1階席だけでなく2階以上でも指揮台の照明は邪魔になったのではないか?

このような問題は事前に確認すれば解決できたはずであり、スタッフは準備不足だ。また、チケット販売時に非売席売却済みを明示する配慮も欠けていた。

ダンスの挿入も大いに疑問。
劇の流れを妨げ、集中を削ぐ一因となった。

歌唱は、池内マルチェッロのよく通る声が素晴らしい。工藤のロドルフォは3回目で安心感。中川ミミは初聴き、まずまず。ムゼッタ、いまいち。

♪2024-147/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-12

2024年7月20日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第397回定期演奏会

2024-07-20 @みなとみらいホール



井上道義:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
女声合唱:東京混声合唱団**

松田華音:ピアノ*

シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
ドビュッシー:夜想曲**
 Ⅰ雲 / Ⅱ祭 / Ⅲシレーヌ
伊福部昭:ピアノとオーケストラのための「リトミカオスティナータ」*
伊福部昭:日本狂詩曲




ミッキー最後の神奈川フィル。


フランス近代2本と伊福部昭。
なぜこの組合せなのか分からなかったがどれも良かった。
個人的にはショスタコ聴くよりこういう派手なお祭りぽいのが好きだ。
でも、伊福部をメインに据えるなら、前半も伊福部で通すか、一昨年新日フィル聴いた新実徳英「風神・雷神」を組み合わせてくれたら、もっと”狂気”が出たのに、と思った。

第1曲のシャブリエの出来が良くて、今日の快演・怪演を約束してくれた。

このところの猛暑でみなとみらいホールでも響が乾いている。7月に入ってからの大ホールは4回目(N響・日フィル・Pfリサイタル・神フィル)だがいずれも音が硬い。しかし、今日の響は、むしろ今日の音楽にあつらえ向きだった。

伊福部2曲とも初聴き。
どれも面白い。

Pfの松田華音は熱演だったが、ほぼリズムマシン化して、あまりPfが美旋律を歌う場面がなくて、終始、オケに埋もれないように競争・強奏・協奏・狂騒していた。

日本狂詩曲は、話には聞いていた、ロシアのコンクールで優勝し、作曲家への道を歩むことになった記念碑的作品だ。
明・暗ならぬ暗・明の対比も面白いが、とりわけ、後半(第2楽章)のパーカッションの狂乱がハラハラするような面白さ。

ミッキーは、神奈川フィルとも有終の美を飾った。


余談:ドビュッシーの3曲目(シレーヌ)は女声ヴォカリーズが入ったが、2LAの上の普段使われない場所に陣取って歌った。この場所は正式にな何というのか知らないが、3L0と3R0に当たる場所がごく稀に合唱スペースとして使われる。
みなとみらいホールには足繁く通っているが、この場所が前回使われたのを聴いたのは2013年秋の神奈川フィル「惑星」以来だからそろそろ11年ぶりだ。
歌詞のある声楽には向かないかもしれないけど、ヴォカリーズにはとても効果的で、天上からの音楽という効果がある。

金管バンダにももっと使えば面白いのに。

♪2024-103/♪みなとみらいホール-29

2024年5月30日木曜日

東京都交響楽団 第999回 定期演奏会Aシリーズ(井上道義:都響最後の演奏会)

2024-05-30 @東京文化会館



井上道義:指揮
東京都交響楽団

ベートーべン:交響曲第6番ヘ長調 op.68「田園」
ショスタコーヴィチ:交響曲第6番ロ短調 op.54




ミッキーが都響を振る最後のコンサートだった。
ベト・タコ6番で有終の美を飾ったのは何故か分からない。

田園についてはミッキーらしい仕掛けもあって大いに楽しめた。
開演前に、田園については演出上客電を暗くするという注意があった。すると4楽章では客席と舞台にレーザー光線で雷鳴を光らせるのか、と思ったが、何にもなくて、何で暗くしたのか分からない。むしろ暗い客席との因果関係は分からないが楽章間の咳払いの賑やかなのには驚いた。

驚いたと言えば、第3楽章に入る時、上手の袖から管打の6人が入場し、何か変わったことでもやるのかと思ったら、普通に演奏をした。何だよ、この演出。
要するに、3楽章からしか出番のない6人が、途中入場しただけだよ。どういう意味があったのか分からない。
でも、Tp2、Tb2、Pic、Tympは3楽章まで出番がない。
Tbについては4楽章まで出番がない、ということがよく分かった。それは、まあ、勉強になったかな。

意表を突き、かつ、効果的だったのは、弦の編成を極小にしたことだ。「運命」でも16型でやる都響が、ミッキー版「田園」では8型なのだ(8-6-4-4-2)。まるで室内アンサンブルのような弦の響は、透明感があり、シャキシャキと明瞭で、あゝこういう「田園」を聴きたかった!と思い起こさせて、実に好感を持った。

もちろん、8型で前半6番をやったなら、当然後半の6番は16型で驚かすのだろうと思ったが、果たしてそのとおりだった。

過去数回しか聴いたことがないタコ6番(直近では18年秋の都響)。ほぼ初聴きに等しい。30分強のコンパクトな作品だし、それなりに楽しめたけど、先日のN響ニールセン2番を思い出して、ニールセンの方がずっと楽しめたと思った。第一、演奏力がだいぶ違った。
いつも思うが、16型にすればリスクも増える。前半のざわざわとまとまりの悪いアンサンブルは田園の透明感に比べたら話にならない。ただ、後半は大編成が生きてきて、終わりよければすべてよし。

カーテンコールはサービス精神旺盛なミッキーショウで大いに盛り上がった。

♪2024-076/♪東京文化会館-05

2024年5月18日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第397回横浜定期演奏会(井上道義:日フィル最後の公演)

2024-05-18 @みなとみらいホール



井上道義:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
佐藤晴真:チェロ*

ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第2番ト短調 Op.126*
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調 Op.93
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カザルス:鳥の歌*





年末で引退するミッキー(井上道義)の日フィルとの最後の公演だった。
得意のショスタコ・プロで、いやはや掉尾を飾るに相応しい充実した内容だった。

前半のチェロ協奏曲第2番は、おそらくナマでは初聴き。
大好物の第1番に比べると暗い感じが支配的で抒情性が足りない感じもするが、これは馴染んでいないからかも知れない。

彼の作品はどの分野のものでも、必ず特徴的な音列の運びがあって、僕は”タコ印”と読んでいるが、この作品にもそこここに刻印されていた。初めて聴く曲でもショスタコのものならかならず聴き分けられる気がする…とはいえ、ジャズ組曲なんかは無理だったな…😅。

開演直前ミッキーが登場して、この協奏曲について簡単な解説をしたが、弦の編成について、ショスタコ本人は16型を指定しているが、今回は井上流でやるということだった。
始まってみれば、なんと10型(第一バイオリン10-第二バイオリン8-ビオラ6-チェロ4-コントラバス4)という珍しいコンパクトな編成だった。

思い切ったなあ、と思ったが、管打鍵の編成を見ると金管はホルン2本のみ。木管も最少。ハープ2台というのが異色といったところ。これじゃあ、弦16型を指定したって本当だろうか…と思った。ともかく、ミッキーのコンパクトな編成が奏功して、各パートクリアな響でとても良かった。

冒頭の2分くらい?とところで、佐藤(独奏チェロ)の弦が切れて演奏がストップした。もちろん、すぐ張り替えて最初からやり直し。
オケ奏者の弦が切れて楽器の順送りを見たことは何度かあるが、独奏者の弦が切れたのは初めてだ。チェロの場合は首席(門脇くん)の楽器を渡すことはしないんだな。


後半の交響曲第10番。
ひょっとして初聴き?と思ったが、とんでもない。帰宅後調べたら、ショスタコ全15曲中、ダントツの5番についで10番をよく聴いているのに驚いた。と言っても最近の10年では2年に1回の割合だから、印象に残っていないのも無理はないだろう。

その代わり、新鮮な気持ちで聴くことができた、と言ってもいいか。

今日の日フィルは、ミッキーの念力に操られたみたいに実に巧い。高域弦はややもするとキンシャリの不快音を立て勝ちだが、まったく問題なし。1時間近い長尺だけど、これは音楽の楽しさというより管弦楽の面白さを味わった。みなとみらいホールで聴くことができて良った。

ミッキーの指揮は、日フィルとは最後だったが、個人的には、少なくとも、まだ、神奈川フィル、新日フィル、都響と続く。

2024-066/♪みなとみらいホール-16

2024年2月3日土曜日

NHK交響楽団2001回A定期 01月公演

 2024-02-03 @NHKホール



井上道義:指揮
NHK交響楽団

エフゲーニ・スタヴィンスキー:バス*
男声合唱:オルフェイ・ドレンガル男声合唱団*


ヨハン・シュトラウスII世:ポルカ「クラップフェンの森で」
ショスタコーヴィチ:舞台管弦楽のための組曲第1番
「行進曲」
「リリック・ワルツ」
「小さなポルカ」
「ワルツ第2番」
ショスタコーヴィチ:交響曲第13番変ロ短調「バビ・ヤール」*
(「バービイ・ヤール」表記もあり)



◀️感想省略▶️


♪2024-020/♪NHKホール-02

2023年3月26日日曜日

第12回音楽大学フェスティバル・オーケストラ

2023-03-26 @ミューザ川崎シンフォニーホール



井上道義:指揮
音楽大学フェスティバル・オーケストラ(首都圏9音楽大学選抜オーケストラ)
 上野学園大学
 国立音楽大学
 昭和音楽大学
 洗足学園音楽大学
 東京音楽大学
 東京藝術大学
 東邦音楽大学
 桐朋学園大学
 武蔵野音楽大学

ヨーゼフ・シュトラウス:「天体の音楽」作品235
伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」(1913)
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ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」から最終曲「いけにえの踊り」


音大オケ・フェスは毎年のように聴いているけど、音大フェス・オケはずいぶん久しぶりだった。
首都圏9音大選抜による弦16型総勢108名?

あまり大きな編成だとプロでも喧しいばかりという例も多々あるが、今日に限っては、この大編成が必然で効果的だった。

ミューザの包容力も相まって、音の洪水に翻弄されて心地良し。
特に、中低域の弦の美しくも力強さには聞き惚れた。

伊福部「シンフォニア・タプカーラ」は初聴きだった東響@ミューザで魅了され、昨秋のミッキー指揮N響の演奏はとりわけ見事だったが、今日の音大オケはダイナミクスや躍動感で肉薄。

さらに管打を増やした「春の祭典」も強力な音圧に塗れてもうランナーズ・ハイ状態だ。
ナマで、管弦楽を聴く喜びというのはこういうものだと実感させる。

サービス満点のミッキーは、アンコールで自ら「生贄の踊り」を舞い(指揮台からではなく)舞台から転げ落ちたかに見えたけど、歳を考えてくだされ。

ミューザ最上層の一部は入場させなかったようだが、視界の及ぶ範囲で客席はてんこ盛り。終演時の拍手・喝采も音大関係者が多かったのだろう、普段の高齢者中心の客席とは違い、元気な若者の迫力で、我がApple Watchは健康上有害なレベルのノイズを検知した。

♪2023-052/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-08

2022年12月27日火曜日

「第九」2022-⓫ かんぽ⽣命 presents N響「第九」Special Concert

2022-12-27 @サントリーホール



井上道義:指揮
NHK交響楽団
新国立劇場合唱団/東京オペラシンガーズ

オルガン : 勝山雅世*

ソプラノ:クリスティーナ・ランツハマー
メゾ・ソプラノ:藤村実穂子
テノール:ベンヤミン・ブルンス
バス:ゴデルジ・ジャネリーゼ

ダカン:ノエル集 作品2-第10曲「グランジュとデュオ」ト長調*
ラインケン:フーガ ト短調*
J.S.バッハ:前奏曲とフーガ ハ長調 BWV545*

ベートーべン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125



井上道義最後になるかもの「第九」だったが、昨日の都響と似たような展開。

弦は16型。合唱・独唱はP席。独唱はP席最前列で。

●声楽の問題
この結果、昨日同様、独唱が弱い。本来は、4人の絡みも楽しみなのだけど。
中で1人バリトンだけがよく通る声を張り上げていた。
先月の新国オペラ「ボリスゴドノフ」のピーメン役だった。今日の方が断然いいが。

この4人が、何故か楽譜を持って立った。
中で世界のメゾだけが1人、楽譜を広げず歌った。それも変だが。

●第1楽章はとても遅く、3楽章もやや長めだった。
が、テンポ設定に違和感なし。
ただ、3楽章Hrソロは独自過ぎて違和感。

3楽章から4楽章の入りはホンの半呼吸。2秒と待たず。

●4楽章に入ってからは問題続出
低弦のレシタティーヴォがピシッとしない。都響も同様だったが、18人もが同じ音符を弾くのだ。それも歌うように!
ところが呼吸が合っていなかった。だから揃わない。

前楽章の否定が終わって歓喜の歌だが、歌うのは専らコントラバスで、チェロはそっとなぞるだけ。音は出てた?
その延長上に、僕が全曲中一番美しいと思っているビオラとチェロ、コントラバスが歌いファゴットが装飾する絡みの妙もビオラの音色が引き立たず。イマイチ。

マーチに入ると、なぜかピッコロが打楽器の隣、下手最後列客席側に立って吹いたので、これがウルサイのなんのって、まるでピッコロ協奏曲の如し。こんな「第九」は聴いた事がない。トルコの行進曲風にというアイデアだったらしいが、独自すぎる!

全曲は71分10秒で秋山「第九」を僅かに超えて最長だった。
ま、長さは構成感が良ければどうでもいい。
その点に関しては、好みには合っていたのだけどな。

今回は、16型で演るにはミッキー流の独自色が強過ぎて一部に消化不良が。
ざわつきが目立つのはホールの消化不良もあるのかもしれないが。

演奏好感度★80点

♪2022-206/♪サントリーホール-24

2022年11月12日土曜日

NHK交響楽団1968回A定期 11月公演

2022-11-12 @NHKホール


井上道義:指揮
NHK交響楽団

伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調 作品93



伊福部「シンフォニア・タプカーラ」は4年ぶりだった。その時が初聴きだったが、非常に面白い楽しい音楽だ。
今回は、N響の一層精緻な、かつ、ダイナミックなアンサンブルで、この傑作を聴くことができてとても良かった。
アイヌの祭りを描いているようだが、和風の旋法も混じっているような気もする。
この元気一杯の音楽を聴いていると、心身ともに健康が回復するような気さえしてくる。

メインがショスタコヴィッチ交響曲第10番。
井上道義、得意中の得意とか。

ショスタコの交響曲でよく聴くのは5番が抜きん出て多いが、記録を見たら、10番が2位に付けている。そういえば、今年も2回目だ。
そのくせ、さっぱり覚えていないというか、なんにも思い出すところがないな、と思いながら聴いていた。でも、其処此処にショスタコ印がばら撒かれているのは良く分かる。

今日のNHKホールも、ミューザほどではないにしても響が重かったが、それがむしろ、アンサンブルに重厚感を与えて、この音楽にふさわしかったのではないかと思った。

良い出来栄えに、ショスタコには正装に着替えて臨んだ井上センセも大満足の体。もちろん客席も。

いつもながらサービス精神に溢れたパフォーマンスで客席も大いに沸く。幸せな気分で帰途につく。


♪2022-170/♪NHKホール-03

2022年11月3日木曜日

横浜みなとみらいホールリニューアル記念事業 井上道義指揮 NHK交響楽団 with 藤木大地

2022-11-03 @みなとみらいホール



井上道義:指揮
NHK交響楽団
カウンターテナー:藤木大地*
オルガン:近藤岳**

J.シュトラウスⅡ:ワルツ《南国のバラ》 Op. 388
マーラー:リュッケルトの詩による5つの歌曲*
サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調 「オルガン付き」Op. 78**


今日のプログラムには祝祭感がほぼなかったな。「オルガン付き」が派手なので、まあ、それらしくもあるけど。

1曲目は「南国のバラ」。ここでやらなきゃやるとこないよ、と思いながら見ていたが、案の定。終盤、ビヤジョッキが登場して飲みながら(フリだけ)指揮した井上センセ。サービス精神健在。

でも前半はあまり聴くべきものがなかった。
悪いけど、カウンターテナーという声質が生理的に苦手だよ。

業界用語で「ガン付き」=「オルガン付き」は「アルプス交響曲」と違って聴く機会が多い。
中で、過去最高は2018年の神フィル@ミューザがベスト。
しかし、本日名誉ある位置を転落した。ミューザには金網が無いからな…。

N響の透明感ある弦に管の乗り方がキレイ。
ルーシーも改修してもらったのかと思うほど、オルガンの存在感が明瞭だ。「アルプス〜」では感じなかったが(音楽の違い)同じ近藤岳によるオルガンが、オケに埋もれることなく、オケもオルガンに埋もれることなく、絶妙のバランスを保ち、クライマックスの快感へ!
サン=サーンスはこんなふうに書いていたのか!という新発見の思い。

やはりみなとみらいホールで聴くN響はピカイチだ。
N響B定期は音の悪いサントリーホールはやめて横浜でやってくれえ。

♪2022-165/♪みなとみらいホール-03

2022年7月29日金曜日

フェスタサマーミューザ2022 読売日本交響楽団 ≪告別と絶筆。一期一会のシンフォニー≫

2022-07-29 @ミューザ川崎シンフォニーホール



井上道義:指揮
読売日本交響楽団

ハイドン:交響曲第45番「告別」
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 WAB109(ノヴァーク版)


コンマス(コンミス)はバイオリン界の百済観音・日下紗矢子(立ち姿も姿勢もボウイングも美しい。)。
チェロ首席は遠藤女史と華が揃った。
そして再度ブルックナー(前回は8番)を取り上げたのは井上道義御大。
3年前のフェスタサマーミューザ・読響とまるで同じ景色だ。
満を持して臨むという決意表明は面子にも現れているよ。

オルガン部分に大きなスクリーン。
何かやるな!今回は魚釣りではなさそう。
いつも”音楽外”パフォーマンスも楽しみな道義御大である。

前座はハイドン「告別」となれば、やることは決まっているが、今回は譜面台に蝋燭代わりのLEDランプ。
終楽章でひとりずつスイッチ切って出てゆくが、その際に、大スクリーンには団員の普段の姿が映写されて思わぬ余興を楽しんだ。そっちばかり気持ちが行って音楽どころじゃなかったけど。

「告別」の編成は弦24+管5という極小編成。尤もハイドンによる初演は12人だったそうだ。

後半のブルックナー第9番はなんと弦16型。
この極端な差も道義演出だろう。

ブル9は何度も聴いても好きにはなれないけど、派手な”管弦楽”としての楽しみはある。
特に、この季節、どこのホールも良く鳴る。ミューザは元々良く鳴る。道義御大もブルックナーやるなら最高のホールだと言っている。

今日の読響の出来がまた格別に良くて、管弦の交わりの美味なること!
至れり尽くせりの道義流サービスに大満足!

♪2022-111/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-025

2022年5月13日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#7

2022-05-13 @すみだトリフォニーホール



井上道義:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

石丸由佳:オルガン*
林英哲:和太鼓**

サン=サーンス:糸杉と月桂樹 op. 156より「月桂樹」*
新実徳英:和太鼓とオルガンとオーケストラのための「風神・雷神」* **
ファリャ:バレエ音楽『三角帽子』
ラヴェル:ボレロ
-------------------
ラヴェル:ボレロ (最終部分)**


4曲とも原始脳を強力に刺激する作品ばかり。
最初の2曲はオルガン入り。これが先ずは上出来。

オケ+オルガンでは時にオルガンがオケに埋没することもあるが、今日のオルガンは溶け込むところは新鮮な音色を合奏に齎し、存在を主張するところでは朗々とホールを揺るがした。特にその音色に惹かれたが、ストップの組み合わせが良かったのか、オルガン自体の性能なのか、このホールではもっとオルガンを聴いてみたいと思った。

2曲目「風神・雷神」でもオルガンは大活躍したが、特筆は大和太鼓(おおわだいこ)の迫力。

風神はオルガン、雷神は太鼓を意味しているそうだが、途中で舞台照明が落ち、両者のみが闇の中に浮き上がって、ジャズセッションのようなアドリブの応酬がスリリングで面白い。
ここに管弦打楽器が重なり合って狂乱のクライマックス!お見事!

後半のファリャ、ラヴェルは、弦の透明感が…等と考えるのも野暮な、リズムと色彩感に溢れた興奮の連続。

道義さんのドヤ顔が何度も見られて、こちらも思わず頬が緩んだ。

最近の新日フィルは弦のマスク着用率が約2割。
多くがNoMaskなのは見ていても気持ちいい。
Vn2首席はN響大宮君の客演。


♪2022-068/♪すみだトリフォニーホール-04

2022年3月6日日曜日

モーツァルト・マチネ第48回「疾風怒濤」

2022-03-06 @ミューザ川崎シンフォニーホール



井上道義:指揮
東京交響楽団

グラスハープ:大橋エリ*
フルート:相澤政宏*
オーボエ:荒木奏美*
ビオラ:西村眞紀*
チェロ:伊藤文嗣*

≪オール・モーツァルト・プログラム≫
◆交響曲第25番ト短調 K.183(173dB)
◆ グラスハーモニカのためのアダージョとロンド ハ短調 K.617*
◆交響曲第29番イ長調 K.201(186a)


今期最後のモーツァルト・マチネ。

副題4文字熟語は「疾風怒濤」。

これ迄で一番内容に即しているかと思ったが、弦8型対抗配置(8-8-6-4-2)+管8の25番シンフォニーは、本来がこういう編成で、こういう響きなのだろう。

てことは「疾風怒濤」には遠かったな。

29番になると弦8型に管4だからさらに室内楽化した。


もちろん、編成が小さいと各パートの輪郭明瞭で、今、誰が、どの音を出しているかさえほぼ分かる。

個が集積して音楽が立ち上げる様が面白い。


さて、今日のメインはグラスハーモニカの為のアダージョとロンドで、これは弦2+木管2に(Gハーモニカではなく)グラスハープでの五重奏。


大橋エリのGハープは先月同じミューザで聴いたばかり。

この時は独奏と途中からギター1本が加わった。


今回もPA(拡声装置)を使っていたと思うが、それでも音が小さい。

木管奏者はかなり気を使って演奏していたと思う。

文字どおり傾聴したが、この音は天使の溜息なのか。

ティンカーベルの魔法の粉か。


元来がGハーモニカの為の作品なので、それをGハープで演奏するのはなかなか難しいだろう。

早いパッセージでは遅れを取る場面もあったが、ま、それもご愛嬌。

もう2度と聴けないかもしれない得難い経験だった。

本来は昨年のモーツァルト・マチネに登場するはずだったが、コロナで公演中止になった。井上道義は、自分が指揮をする訳でもないのに再度今季のプログラムに入れて捲土重来を果たしたが、モーツァルト・ファンに是非とも聴かせたかったのだろう。

-------------

ところで、今日で、今季のモーツァルト・マチネは終了した。

来季はモツ・マチが実質的に変質し、崩壊したので買わなかった。6年間継続してきた(パスした回もあるが)ので、ここで止めるのも寂しい気がするが、メンデルスゾーン・マチネやらチャイコフスキー・マチネみたいになったんじゃ面白くないもの。


最後がオール・モーツァルト・プロで良かったよ。


♪2022-031/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-07

2022年2月25日金曜日

東京フィル第964回サントリー定期シリーズ

2022-02-25 @サントリーホール


井上道義:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

大井浩明:ピアノ*

エルガー:序曲『南国にて』作品50
クセナキス:ピアノ協奏曲第3番『ケクロプス』*(1986、日本初演)〈クセナキス生誕100年〉
ショスタコーヴィチ:交響曲第1番へ短調 作品10
------------------------
J.シュトラウスⅡ:「南国のバラ」


エルガー以外は初聴き(クセナキスは日本初演なので当然)。

ショスタコーヴィチ交響曲第1番をこれまで聴いていなかったのかと小吃驚。


エルガー「南国にて」の冒頭の第1バイオリンの金切り声を除けばすべて楽しめた。サントリーにしては響きが良かった。


クセナキスは他作品を聴いた経験もあり、前日のミュージック・カレッジでの講義で楽譜(図形?記号?暗号)︎も見ていたのでなんでも来い気分で臨んだ。


東フィル2月定期3会場のうち、ピアノの屋根を取り払ったのはサントリーだけだったらしい。


オケの不快音が大きくてピアノの音は埋もれがちになった(屋根を外したのは、2F席には好都合だったろう。舞台左右と後ろを取り囲む席があるのはサントリーだけだから、その辺の席にも届くように外したのだろう。1階正面には不都合だけど。)。

独奏部分のみ綺麗に響いた。


弦打楽器は奏法を駆使していろんな音を出せるが、それに乗るピアノは昔ながらの平均率。聴いていてこのチグハグ感がもやもやして解消できなかった。


その後に聴いたショスタコ1番は、クセナキス効果で耳に穏やかなもので、特に3楽章や4楽章の遅いテンポの(やはり歌いにくいものの)旋律が19歳の作とも思えない大人びた情感で、クライマックスは既にタコ印が押されていると感じた。


2月に入ってショスタコ3本目。明日も都響で交響曲第10番を聴く。


🇺🇦💢🇷🇺気持ちは複雑。



♪2022-025/♪サントリーホール-03