2024年5月18日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第397回横浜定期演奏会(井上道義:日フィル最後の公演)

2024-05-18 @みなとみらいホール



井上道義:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
佐藤晴真:チェロ*

ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第2番ト短調 Op.126*
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調 Op.93
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カザルス:鳥の歌*





年末で引退するミッキー(井上道義)の日フィルとの最後の公演だった。
得意のショスタコ・プロで、いやはや掉尾を飾るに相応しい充実した内容だった。

前半のチェロ協奏曲第2番は、おそらくナマでは初聴き。
大好物の第1番に比べると暗い感じが支配的で抒情性が足りない感じもするが、これは馴染んでいないからかも知れない。

彼の作品はどの分野のものでも、必ず特徴的な音列の運びがあって、僕は”タコ印”と読んでいるが、この作品にもそこここに刻印されていた。初めて聴く曲でもショスタコのものならかならず聴き分けられる気がする…とはいえ、ジャズ組曲なんかは無理だったな…😅。

開演直前ミッキーが登場して、この協奏曲について簡単な解説をしたが、弦の編成について、ショスタコ本人は16型を指定しているが、今回は井上流でやるということだった。
始まってみれば、なんと10型(第一バイオリン10-第二バイオリン8-ビオラ6-チェロ4-コントラバス4)という珍しいコンパクトな編成だった。

思い切ったなあ、と思ったが、管打鍵の編成を見ると金管はホルン2本のみ。木管も最少。ハープ2台というのが異色といったところ。これじゃあ、弦16型を指定したって本当だろうか…と思った。ともかく、ミッキーのコンパクトな編成が奏功して、各パートクリアな響でとても良かった。

冒頭の2分くらい?とところで、佐藤(独奏チェロ)の弦が切れて演奏がストップした。もちろん、すぐ張り替えて最初からやり直し。
オケ奏者の弦が切れて楽器の順送りを見たことは何度かあるが、独奏者の弦が切れたのは初めてだ。チェロの場合は首席(門脇くん)の楽器を渡すことはしないんだな。


後半の交響曲第10番。
ひょっとして初聴き?と思ったが、とんでもない。帰宅後調べたら、ショスタコ全15曲中、ダントツの5番についで10番をよく聴いているのに驚いた。と言っても最近の10年では2年に1回の割合だから、印象に残っていないのも無理はないだろう。

その代わり、新鮮な気持ちで聴くことができた、と言ってもいいか。

今日の日フィルは、ミッキーの念力に操られたみたいに実に巧い。高域弦はややもするとキンシャリの不快音を立て勝ちだが、まったく問題なし。1時間近い長尺だけど、これは音楽の楽しさというより管弦楽の面白さを味わった。みなとみらいホールで聴くことができて良った。

ミッキーの指揮は、日フィルとは最後だったが、個人的には、少なくとも、まだ、神奈川フィル、新日フィル、都響と続く。

2024-066/♪みなとみらいホール-16