2021年2月27日土曜日

神奈川フィル フレッシュ・コンサート Vol.15 未来を奏でる神奈川の新星たち

2021-02-27 @県立音楽堂

岩村力:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

バイオリン:小島孝恵♡
ピアノ:尾城杏奈♢


モーツァルト:歌劇「劇場支配人」k486 序曲
モーツァルト:バイオリン協奏曲第3番ト長調 K216♡
ラヴェル:組曲「クープランの墓」
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調♢

神フィルが主催して神奈川県縁の若手にオケ共演の機会を与えている。
このシリーズで小林美樹も大江馨も阪田知樹も初めて聴いた。

今日の新星たちは小島孝恵(バイオリン:藝大高2年)と尾城杏奈(ピアノ:藝大修士1年)だった。

2人ともあれやこれやのコンクールに入賞して実力は十分。
安心して聴いておられた。

小島はモーツァルト:バイオリン協奏曲第3番を弾いたが、5か所のカデンツァは自作というから驚き。全然違和感なかった。

緊張からかなかなか笑顔が出なかったが笑うとアイドルみたいに可愛い。

尾城はラヴェルの協奏曲。鞭で始まり、ゴジラの音形で馴染みが深い。相当難しいのだろうが既に東響などとも共演歴があり、落ち着いたもの。

いずれ、小林美樹、大江馨や阪田知樹などと並んで神奈川出身の演奏家たちが日本の…いや、世界の楽壇を華やかに賑わせて欲しいものだ。

今日の神奈川フィルの演奏が実に素晴らしい。

弦10型の小規模編成だと音楽堂のサイズにもよく調和するのか、硬めの響きだがシャキシャキとして小気味よく、生オケを聴く喜びに浸った。

♪2021-19/♪県立音楽堂-03

2021年2月26日金曜日

ランチタイムコンサート オペラの聴かせどころをお贈りします!

 2021-02-26 @ミューザ川崎シンフォニーホール


テノール:宮里直樹♠︎
ソプラノ:種谷典子♡
ピアノ:水野彰子

ヴェルディ:歌劇「椿姫」から「乾杯の歌」♠︎♡
プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」から「私のお父さん」♡
ヴェルディ:歌劇「リゴレット」から「女心の歌」♠︎
マスネ:歌劇「マノン」から
「私が女王様のように歩くと」♡
「やっと一人になった〜ああ!消え去れ、優しい面影よ」♠︎
「あなたが握る手は、昔のあたしの手じゃないの?」♡

------------------

マスカーニ:アヴェ・マリア
カタリ・カタリ
プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」から Lauretta mia, staremo sempre qui


テノールの宮里直樹はオペラでもオケとの共演でもさんざん聴いているが、ソプラノ種谷典子は初聴き。

この2人で4曲ずつ計6曲(2重唱含む)+アンコール3曲だったが、これではさすがにさびしい。

それに「聴かせどころをお贈りします」というコピーの割には、「星は光りぬ」や「誰も寝てはならぬ」等テノールの「聴かせどころ」がなかった。


とはいえ、宮里はうまいし声量がある。

一方、比較においてソプラノ嬢はやや声量不足。

♪2020-018/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-01

2021年2月22日月曜日

東京都交響楽団 都響スペシャル2021

2021-02-22 @東京文化会館


大野和士:指揮

東京都交響楽団
男声合唱:新国立劇場合唱団*

ソプラノ:中村恵理**
メゾソプラノ:藤村実穂子*


武満徹:夢の時(1981)
ブラームス:アルト・ラプソディ( ゲーテ「冬のハルツの旅」による)op.53*
マーラー:交響曲第4番ト長調**


僕にとっては1年ぶりの文化会館。
やはり都響は文化会館が似合う。

指揮は大野和士。中村恵理と藤村美穂子を迎えてブラームス「アルト・ラプソディ」、マーラー4番ほか。
なんて贅沢な!

腕鳴らし?の武満もきれいなアンサンブルで、始め良ければ終わり…の予感。


メゾSp(アルト)・ラプソディの出来が良かったかどうか、やや疑問が残ったのは、期待が大きすぎたせいだろう。


1番の楽しみはマーラー4番。

マーラーを聴くのも弦16型を聴くのも多分ほぼ1年ぶり。
マーラーファンでは無いとはいえ、この大袈裟な管弦の狂宴に対する渇望は高まっていたよ。

隠れた実力を隠したままで終わることもままある😛都響が、
ホームで、
音楽監督の下、
大編成で臨んだマーラーに期待は高まる。

そして、その期待に違わず、都響が本気を出した!重厚な響きをのめり込んで楽しんだ。

中村恵理もとても良かった。


♪2021-017/♪東京文化会館-01

2021年2月20日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団音楽堂シリーズ第19回定期演奏会

 2021-02-20 @県立音楽堂


阪哲朗:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
﨑谷直人、直江知沙子:バイオリン*

ベリオ:Divertimento per Mozart
モーツァルト:ディヴェルティメントニ長調K.136
シュニトケ:Moz Art a la Haydn*
モーツァルト:交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ」



神奈川フィルの音楽堂定期は、先月も極上だったが、今月も上出来。
いや、今月の方がさらに上出来。

4曲ともモーツァルト又はモーツァルト由来の作品。

ベリオ:Divertimento per Mozart は現代曲で初聴き。

弦楽合奏23人にクラリネットが2人という変わった編成。

面白い。

シュニトケ:Moz Art a la Haydnも初聴き。

13人の弦楽合奏。

これも現代曲で、機嫌が悪い時に聴けば腹を立てるような趣向の作品だが、今回は、素直に楽しめた。まあ、余興のような音楽だが。

モーツァルト:嬉遊曲ニ長調は弦のみで21人。
モーツァルト:交響曲「リンツ」も小規模編成。

全体として弦楽合奏を楽しむような演奏会だったが、音楽堂の乾いた響きがピッタリと合って実に軽快で、シャキシャキとしていた。

管・打とのアンサンブルも程よい混ざり具合で心地よく、阪氏の指揮の下で団員が楽しんでいたのが良い。

♪2021-016/♪県立音楽堂-02

2021年2月19日金曜日

鶴澤清治文化功労者顕彰記念 人形浄瑠璃文楽 令和3年2月公演第Ⅲ部

 2021-02-19@国立劇場


●冥途の飛脚

 淡路町の段
 封印切の段
 道行相合かご


小住太夫/清𠀋/織太夫/宗助/

千歳太夫/富助/

三輪太夫/芳穂太夫/亘太夫/碩太夫/團七/團吾/友之助/清允

紋臣/亀次/勘市/勘十郎/玉佳/文司/蓑一郎/勘彌/玉翔/玉誉〜


近松の心中もの。ちょうど4年前の2月公演でも上演されて観に行った。

遊女梅川に入れ込んだ飛脚問屋の跡継忠兵衛が、預り金に手を付けてまで身請けしたものの、それまでに築き上げてきた財産も信用もなくした上に法を犯して追われる身となり果てる。

かくなる上は二人して「生きられるだけ生きよう」と必死の道行。

霙の舞う中、一枚の羽織を「お前が」、「忠兵衛さんが」と互いに着せ合うのが美しくも哀しい。

自分で自分を冥土に運ぶ飛脚になってしまった忠兵衛は二十四歳。
梅川も二十歳前後だろう。

分別無くし、運命の糸に絡みとられて死出の旅。



♪2021-015/♪国立劇場-02

新日本フィル:#37ルビー<アフタヌーン コンサート・シリーズ>

 2021-02-19 @すみだトリフォニーホール


大友直人:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

ピアノ:牛田智大*

ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 op. 11*
チャイコフスキー:交響曲5番 ホ短調 op. 64
-------------------
ショパン:マズルカ第33番 ロ長調 op.56-1*


いやはや残念なり。
1月定期は出色の出来だったのに、同じホール・席で聴く同じオケとは思えない。

2曲とも管がガヤガヤ。
弦がガヤガヤ。
両方で4倍ガヤガヤ。

牛田くんが悪い訳ではないが、ピアノの音も一昨日のN響@サントリーホールとえらい違いで重く沈みがち。

僕の体調もイマイチだったが、そのせいでこれほど音が変わるとも思えない。お客の入りとか、空調とか、響きに影響する外的な要因はあるだろうけど、こんなにはっきりと音の違いが出るとは思えない。

まあ、こんな日もあるか…。


♪2021-014/♪すみだトリフォニーホール-02

2021年2月17日水曜日

NHK交響楽団 02月公演

 2021-02-13 @サントリーホール


下野竜也:指揮
NHK交響楽団

ピアノ:清水和音*

シューマン:序曲「メッシーナの花嫁」作品100
ベートーベン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 作品73「皇帝」*
シューマン:交響曲第3番変ホ長調 作品97「ライン」



指揮はPヤルヴィの代役で下野竜也。

3曲はいずれも♭3つの調性で繋がっていると解説あるも、聴き分ける耳を持たぬ身には後付けの説明のように思える。

むしろ、ベト「皇帝」ではなくシューマンのピアノ協奏曲でシューマン漬けにしてほしかった。


しかし、「皇帝」が始まってみると、今日のサントリーホールのスタインウェイの良く鳴ること!
こんなにコロコロ明るい音が響くのは珍しい。

で、初めの不満は影を潜め、「皇帝」も十分楽しめた。

綺麗な音を聴くともう音階だけでも聴いていたいようにさえ思う。


ところで、どうしても協奏曲は独奏部分がオケに埋もれる部分がある。
放送ではしっかり聴こえるだろうが生ではやむを得ない。

そんな事情もあって、これは弦12型の小編成。


「皇帝」を挟む形の序曲と「ライン」は弦14型。


ナマ「ライン」は久しぶりで前回が16年11月のN響A。
この時はマンフレッド序曲、ピアノ協奏曲、と全作シューマンだった。

4年強の久しぶりだった。

もちろん好きな曲なので、CDなどでは時々聴いているが、冒頭の3/4拍子の取りにくいこと。ヘミオラって技法だろうか?今回も頭の中でタクトを振ってみたが長くは続かず。

しかし、このリズムの躍動感がとてもキャッチーでいい。


2楽章の牧歌的な親しみやすい旋律。

箸休めみたいな3楽章。

落ち着いた4楽章。

「いきいきと」で始まった音楽が最後に5楽章「いきいきと」に回帰して、シューマンにこんな幸福な時期があったのだと思うと感動してしまうよ。

N響の合奏力も良し!


♪2021-013/♪サントリーホール-03

鶴澤清治文化功労者顕彰記念 人形浄瑠璃文楽 令和3年3月公演第Ⅱ部

 2021-02-17@国立劇場



曲輪文章 (くるわぶんしょう)*

 吉田屋の段

菅原伝授手習鑑 (すがわらでんじゅてならいかがみ)
 寺入りの段
 寺子屋の段

*「文章」は「文」+「章」の1文字

睦太夫/勝平/錦吾/咲太夫/織太夫/藤太夫/南都太夫/咲寿太夫/燕三/燕二郎
勘次郎/玉彦/勘助/勘壽/紋秀/紋吉/玉男/簑助/清十郎〜
-----------------------------------------------------
希太夫/清馗/呂太夫/清介/藤太夫/清友
清之助/玉翔/清五郎/簑二郎/蓑之/簑太郎/玉也/玉輝/玉助/玉誉〜


2本立て。

最初は「曲輪文章(くるわぶんしょう)」。

正確には「文」と「章」はへんとつくりで1文字で表されるが、そんなフォントはない。

因みに同じ話を歌舞伎では「廓文章」と書く。


なんで無理やり作った文字を使うのか?
調べたら、どうやら験担ぎらしい。
3文字(奇数)にする為のようだ。

そういえば、他の演目は全て字数が奇数だ。

そして、題名にはほとんど仮名を使わないにもかかわらず「冥途の飛脚」などは「冥土飛脚」で良さそうなものだが、それでは偶数なので敢えて「の」を入れて5文字にしている。

偶数は2で割れるので席を割るに繋がり、これを嫌うのだそうだ。



遊女夕霧に入れ込んだ大家の若旦那・伊左衛門は法外な借金を拵えた挙句勘当される。
落ちぶれてなお未練な夕霧に会いに恥を忍んで吉田屋へ。

1年ぶりの再会に夕霧は喜ぶも、伊左衛門は不貞腐れ、拗ねて、甘えて、え〜いあほらしや!

1時間ほどの短い話だが太夫が6人で登場人物を語り分ける様は豪華なこと。



2本目はお馴染み「菅原伝授手習鑑」から「寺入り」、「寺子屋」の段。

本心を偽って敵方に仕えた松王丸とその妻の、これほど残酷なことが他にあろうかという極大悲劇。

息子の亡骸をいろは歌に擬えた名文句で野辺の送り(いろは送り)は何度観ても聴いても、突き刺さる。


♪2021-012/♪国立劇場-01

2021年2月13日土曜日

NHK交響楽団 02月公演

 2021-02-13 @東京芸術劇場大ホール

熊倉優:指揮
NHK交響楽団

バイオリン:イザベル・ファウスト*

スメタナ:歌劇「売られた花嫁」-3つの舞曲
シマノフスキ:バイオリン協奏曲第1番 作品35*
ドボルザーク:交響曲第6番ニ長調 作品60
-----Enc---------------
イザイ:無伴奏バイオリン・ソナタ第2番イ短調-第2楽章「憂鬱」*




イザベル・ファウストは海外の著名バイオリニストでは一番多く聴いているかも。室内楽がいい、けど今日もアンコールの繊細なイザイの無伴奏に感心した。

しかし、N響の出来はどうだったか?
ホールの音響も良くないけど、内輪の学芸会みたいな緊張感の不足を感ずる。

ドボルザーク交響曲第6番は珍しいのを聴けたという点で収穫だったが。


それにしても、そろそろ、登場しただけでオーラを感じさせる大物指揮者のタクトでピリッとした演奏を聴きたいよ。

代役、若手続きで(時に大成功もあるが)、コンサートの晴れがましさ、ラグジュアリー感が近頃薄れて聴く側(自分です😥)も緊張感を失っているのは反省かも。


♪2021-011/♪東京芸術劇場大ホール-01

2021年2月11日木曜日

東京都交響楽団 都響スペシャル2020 02月公演

 2021-02-11 @サントリーホール


川瀬賢太郎:指揮
東京都交響楽団

バイオリン:金川真弓*

ベートーベン:《ウェリントンの勝利》(戦争交響曲)op.91
ベートーベン:バイオリン協奏曲ニ長調 op.61*
ベートーベン:交響曲第8番ヘ長調 op.93



オール・ベートーベン・プログラム。

「ウェリントンの勝利」は初聴き。

英仏両軍を象徴するトランペット、太鼓、大砲、小砲の計7人からなるバンダ(別働隊)が2組。2Fバルコニーに登場して喧しいの何の。どうせなら朝霞駐屯地から大砲借りてきて空砲をぶっ放して欲しかったよ。スピーカーから出る轟音て白けてしまう。

本日の聴きモノはバイオリン協奏曲。
初お目見えの金川真弓の独奏。

出番を待つオケ前奏での佇まいからして惹きつけるものがあった。

巧い、のはチャイコ4位の実力からして当然だろうが、それだけではない新鮮な魅力に溢れていた。

ケンタロー指揮の都響も纏まり、良く金川をサポートして渾然一体。カデンツァはベートーベンがこの曲をピアノ協奏曲版に編曲した際に自作したティンパニ入りのカデンツァのピアノパートをシュナイダーハンがバイオリン用に編曲したもの**を演奏した。

これも珍しくて面白かった。


バイオリン協奏曲の出来が良かったので、最後の交響曲8番は聴く方の集中力が途切れてしまった。

弦は14型に拡大し、処々都響らしい分厚い(特に中・低弦)アンサンブルが良かったが、纏まりという点では少し雑な感じだった。

ま、本日のスター、金川真弓に注目してゆこう。

**パーヴォ・ヤルヴィ指揮:N響+クリスティアン・テツラフの時は、ピアノパートからバイオリンパートへの編曲はテツラフ自身のものだった。他にもいくつか異なる版があるようだ。


♪2021-010/♪サントリーホール-02

2021年2月6日土曜日

NHK交響楽団 02月公演

 2021-02-06 @NHKホール


尾高忠明:指揮
NHK交響楽団

チェロ:横坂源*

武満徹:3つの映画音楽
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番変ホ長調 作品107*
シベリウス:交響曲第1番ホ短調 作品39
-----Enc---------------
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第2番二短調 BWV1008 - サラバンド*


1曲目⇒武満徹:3つの映画音楽

久しぶりのN響弦楽合奏に期待したが、冒頭の音に違和感。自分の耳が詰まっているのか、ほじってみたが変わらず。他のオケで過去2回聴いたがもっと良かったぞ。

2曲目⇒ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番

これが本日1番の楽しみだったが、オケも横坂くんも綺麗な音を出しているけどちんまり纏まって迫力不足。


ホールの空間の割に編成が小さい(弦12型)せいもある。

金管は、なんとホルンが1本だけ。しかし、それを福川名人が朗々と奏でてこれには痺れた。


3曲目⇒シベリウス:交響曲第1番。これはなかなかの名演。

それまでの編成と比べ、管楽器・打楽器がドッと増えて、弦も14型になり、「だんだんよく鳴る法華の太鼓」。

弦の響きも厚いし、管・弦の交わりが煌びやかでこれぞ「交響楽」の楽しさ。


ま、終わりよければ全て良し。

今日7日も公演があるが、僕にとっては6日公演がNHKホールの当面の最後の機会となった。

来月から22年6月まで改修工事で休館だ。

耐震工事や設備更新が中心らしいが、1階席はもう少し傾斜をつけて、座席も広めに変えて欲しいよ。

♪2021-009/♪NHKホール-02