2016年6月25日土曜日

東京交響楽団 川崎定期演奏会 第56回

2016-06-25 @ミューザ川崎シンフォニーホール


ダニエーレ・ルスティオーニ:指揮
東京交響楽団
フランチェスカ・デゴ:バイオリン*

グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
ショスタコーヴィチ:バイオリン協奏曲 第1番 イ短調 作品77*
チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 作品74 「悲愴」
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アンコール
イザイ:無伴奏バイオリン・ソナタ第3番「バラード」作品27
パガニーニ:「24のカプリース」から第16番ト短調


プログラムから
オール・ロシアプログラムだが、指揮者も独奏バイオリニストもイタリア人。ルスティオーニが33歳(誕生日が来て)、デゴは27歳という若さ。そのせいか、ショスタコにしてもチャイコにしても元気溢れ、陽気な感じすら受けたが、いやはや熱のこもった演奏であった。

最初の「ルスラン~」は、そもそも元気のいい爆発的な音楽だが、テンポもよく、東響の響は(日によって出来不出来があるが今日は)強力な音圧でほとんど乱れず(一部瞬間的に乱れたがお愛嬌。)グイグイと惹きこまれてしまった。

前座がこうも素晴らしいと、二ツ目にも期待がかかるが、これが予想外の拾いもの。
ショスタコの協奏曲ではチェロの第1番に(自分でもチェロをかじっていたことがあるので)特段の思い入れがあるが、バイオリン協奏曲はたまに聴くもののやはりチェロ協奏曲(第1番)には魅力の点で及ばない。しかし、そういう印象をデゴ夫人の強烈な演奏がかなりの部分払拭した。
技術的にも相当難しそうだ。

プログラムから
特に第3楽章の最後の長いカデンツァは名人芸の聴かせどころだ。
ゆっくりしたテンポから徐々にヒートアップして終楽章に雪崩れ込むあたりはチェロ協奏曲(第1番)と同じ作りで(まあ、当然そうなるのだろうけど)ここにショスタコ節が炸裂する。

初めて、バイオリン協奏曲(第1番)も結構楽しめると嬉しい発見であった。

ソロバイオリンを支えるオケも「ルスラン~」同様に良く鳴って実に快感だ。

もう、以上2曲だけでコンサートが終わってもいい、と思うくらいに満足したが、デゴさんは、観客の大歓声と拍手に気分良くしてくれたか、今日が日本デビューということもあってか、イザイの無伴奏ソナタを1曲まるごと(といっても全1楽章なのだけど)弾いた上にパガニーニも大サービス。いずれも難曲だと思うが、とにかくエネルギッシュだ。

そして、もうお腹いっぱいなのに、真打ち登場でチャイコの「悲愴」。今日の東響はホンに良く鳴った。鳴り響いた。

東響のfacebookから
冒頭書いたように、あまり「悲愴」ぽくなかった。「悲愴」は終楽章で深い悲しみの淵に誘ってくれなくては「悲愴」ではないけど、まあ、イタリアンな「悲愴」もこれはこれでよし。ナマの管弦楽の醍醐味を十分に堪能できた。


♪2016-088/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-14