2016年6月18日土曜日

NISSAY OPERA 2016オペラ『セビリアの理髪師』

2016-06-18 @日生劇場


園田隆一郎:指揮
粟國淳:演出
新日本フィルハーモニー交響楽団
        
アルマヴィーヴァ伯爵⇒中井亮一
ロジーナ⇒      富岡明子
バルトロ⇒      増原英也
フィガロ⇒      青山貴 
ドン・バジリオ⇒   伊藤貴之
ベルタ⇒       山口佳子
フィオレッロ⇒    清水勇磨

ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」


その昔、日生劇場には、オペラやバレエでも数回出かけたが、主に劇団四季のミュージカルやストレートプレイにせっせと通っていたところ、四季が「キャッツ」以後仮設専用劇場を建て、やがて自前の劇場を持つようになってからはそれまでホームグランドとしていた日生劇場での公演をやらなくなり、僕の足も日生劇場からは自然と遠のいてしまった。
職場の親睦会の行事で演歌歌手のコンサートなどには出かけたが、それにしても10年は経つのでずいぶん長くご無沙汰していたものだ。

ロビーやホワイエの白い大理石に赤絨毯。ホール内は海中を模した独特の意匠で、その空間に身を置いた瞬間にかつてここで観たいろんな芝居やミュージカルを思い出して非常に懐かしかった。

オペラの録画ディスクは著名なところは全て揃っていると思うが、いずれヒマができたらじっくり鑑賞しようと思いつつ、未だわずかしか目を通せていない。
ナマのオペラもリタイア後は年に数本観るようになったが、現役時代は数年に1本といったところだった。
その中でも「セビリア*の理髪師」には縁があって、一昨年のみなとみらいホール小ホールオペラを含め今回で3回めだと思う。

モーツァルトの「フィガロの結婚」の前日譚で、「フィガロ~」では悪役になるアルマヴィーヴァ伯爵はここではまだ?善人で恋する若者だ。フィガロの人格は2作で変わっていないようだ。
「セビリア~」での悪役はヒロイン・ロジーナの叔父で彼女の財産目当ての結婚を企んでいる医師バルトロだが、この名前は「フィガロ~」でも登場するが、そこでは伯爵家のお抱え医師になっている。
原作者(ピエール・ド・ボーマルシェ)は同じでも、台本を書いた人が異なるし、作曲者も違うので、人物の設定は原作とは変えてあるのかもしれない。

「セビリア~」は「フィガロ~」ほど登場人物は多くないし、物語も単純で、上演時間も短く(本篇のみ2時間半くらい)、音楽はいくつかの有名なアリアが耳に馴染んでいるし、そのほかのアリアも親しみやすい音楽だ。字幕上演とあいまって、物語は進行とともにほぼ必要な範囲で?消化できるのが嬉しい。

指揮の園田氏は記憶・記録にある限り、日フィルの定期で一度聴いたが、その時もオペラ・アリア集だった。歌劇畑の指揮者なのかな。

ほとんど馴染みのない歌手たち(バルトロを演じた増原英也氏は3回目だったが、ほかの人は初めてだろう。2012年より前の昔のコンサートは記録をしていないので分からない。)なので、楽壇における立ち位置は分からないけど、みんな上手だった。
声がよく通る。ビンビン響くのには驚きだ。音響が良すぎてクラシック・コンサートには向かないという説もあるが、1300席強というこじんまりした空間も観る・聴くにちょうどいい環境だ。

随分久しぶりに、本格的な舞台オペラ(演奏会形式ではなく、小ホール形式でもない)を、これまた随分久しぶりの日生劇場で、ゴージャスに楽しむことができた。オペラは、どうもクセになりそうだ。


♪2016-087/♪日生劇場-1




*「セヴィリア」の理髪師と表記されることもあるが、自己流の表記法で「セビリア」の理髪師に統一することにしている。
ヴァイオリン⇒バイオリン
ベートーヴェン⇒ベートーベン
ドヴォルジャーク⇒ドボルザーク
など。なるべく簡単に。