2025年5月21日水曜日

新国立劇場オペラ「蝶々夫人」

2025-05-21 @新国立劇場



指揮:エンリケ・マッツォーラ
演出:栗山民也
美術:島次郎
衣裳:前田文子
照明:勝柴次朗
再演演出:澤田康子
舞台監督:佐々木まゆり

【合唱指揮】冨平恭平
【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【蝶々夫人】 小林厚子
【ピンカートン】ホセ・シメリーリャ・ロメロ
【シャープレス】ブルーノ・タッディア
【スズキ】 山下牧子
【ゴロー】 糸賀修平
【ボンゾ】 妻屋秀和
【ヤマドリ】 吉川健一
【ケート】 佐藤路子
ほか



ジャコモ・プッチーニ「蝶々夫人」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間40分
 第1幕        50分
  休憩    25分
 第2幕1場/2場         85分





同一演目を繰り返し観た中では「蝶々夫人」が一番多いはず。音楽も筋書きもとても良くできているからで、宮本亜門版(19年二期会)を除き、がっかりしたことはない。

今日も、楽しんだ、というか、2幕からは、もう張り裂けんばかりの心持ち。感情移入が激しいが、一方で自分ならこう演出したいとクールに考えてみたり、ホンに心休まる暇がないよ。

出来栄え。
終わってみれば、みんなヨカッタのだけど、敢えて苦言を呈すれば、冒頭の前奏曲自体にオケの勢いがなかった。これが東フィル?と思わせる寂しさだった。続く歌唱も意気が上がらない。
ピンカートン、シャープレス。いずれもイマイチ。朗々と聴かせる役ではないけど、役柄に魅力を感じさせない。

小林厚子の蝶々夫人は21年日生劇場劇場版の方が良い出来だったが、2幕以降は熱演。
一番光ったのは、山下牧子のスズキ(を聴くのは4度目!)。誰が演ってもお得な役柄のせいもあるけど。




今日、思いついたこと。
ケイトは出番が少なくて人物像を際立たせることもできないのだけど、観ながら、彼女の心中は如何なものかと考えた。
彼女の演唱の中に、本作の悲劇性を象徴する要素が詰まっているのに、プッチーにはどうしてもう1曲書かなかったのか。あるいは、彼女の苦悩をもっとはっきり見せる演出はできないものか、などと思ったが…難しいな。

それにしても、名誉に生きられない者は名誉に死ぬ。
こんな、如何にも和風の美学を、プッチーにはよくぞ、音楽劇に仕上げたものだなあ。

♪2025-064/♪新国立劇場-07