2022-08-20 @かなっくホール
原作:シェークスピア
脚本・演出:山崎清介
演出補:小笠原響
照明:山口暁
音響:角張正雄
音楽:鷹野雅史
衣裳:三大寺志保美
舞台監督:白石英輔
イエローヘルメッツ
伊沢磨紀
戸谷昌弘
若松力
谷畑聡
チョウ・ヨンホ
鷹野梨恵子
星初音
渡邊清楓
山崎清介
シェイクスピア原作「ヴェニスの商人」
シェークスピアが気にかけず、むしろ憎悪を以て描いたユダヤ人シャイロックの悲劇性は、近代演劇ではそれなりに配慮した演出が一般的らしい。
舞台劇として観るのは初めて?だったので、どんなふうに原作をアレンジして喜劇⇒悲劇への昇華を図るかが、開幕から終幕までの唯一の関心事項だった。
幾つかの机と椅子以外は真っ黒な舞台で終始した物語は、ほとんど原作をなぞっていた。
しかし、終幕前にシャイロックを囲む黒尽くめ集団による無言場面に意味があった。
16世紀末のヴェニスに既にゲットーがあり、そこに閉じ込められ、キリスト教徒からは犬畜生のように扱われ、文字どおり”唾棄”され、果てしない差別を受けていたところ、貸した金の担保の設定の瑕疵を逆に追求された結果、全財産を奪われ、(娘にも裏切られ、)何よりもキリスト教への改宗を呑まされたユダヤ人シャイロックの無念がここに集約されていたように受け取った。そうでなくては、心が落ち着かない。