2017-02-14 @みなとみらいホール
千住真理子:バイオリン*
マルティン・コス:バイオリン
スーク室内オーケストラ
グリーグ:「ホルベアの時代から」(第1〜第5曲・全曲)
カッチーニ:アヴェ・マリア*
モーツァルト:アダージョ ホ長調 K.261*
モーツァルト:ハレルヤ ~モテット「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」から*
J.S.バッハ:2つのバイオリンのための協奏曲 ニ短調*#
ビバルディ:和声と創意への試み第1集(所謂バイオリン協奏曲集「四季」)全曲*
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アンコール
クライスラー:愛の喜び*
まずはスーク室内オーケストラ(弦5部のみ12人)によるグリーグの「ホルベアの時代から」。前奏曲と4つの舞曲から成る。いずれも短く、民謡風で分かり易い音楽だった。
弦楽四重奏を3倍したような編成(コントラバスが1本入っているが)が生み出す透明感のある響が厚みも備えて心地良い。
この豪華な前座に続いて千住真理子の登場だ。
彼女の独奏(正しくは協奏か)にオケが伴奏に回り、ここからはハープシコードも加わった。
最初の2曲は楽器慣らしみたいなものか、特にアヴェ・マリアでは弓が上滑りした個所があったような気がした。
銘器「デュランティ」(ストラディバリウス)をしっかり鳴らすには力技も必要なのかも。
その「デュランティ」はこれまで何度か生で聴いているが、音色は鋭く、硬く、輝かしく、音量も大きくて、その魅力は、バッハの二重協奏曲ではちょっとアンバランスを感じさせた。
オケのコンマスでもありソリストでもあるマルティン・コスの柔らかい音色とは好対照で、男女役割交代しているような印象だった。
休憩を挟んで後半の「四季」は演奏前に千住真理子がマイクを握り、全4曲、全12楽章を通して演奏するので拍手はその後にお願いします。全曲終演がはっきり分かるように合図しますから、途中、楽章の数を数えないでも安心して聴いていてくださいとのアナウンス。
確かに良い心配りだ。いくら聴き慣れているとしても全12楽章もあれば、今どこ?となるのは必定だ。
さて、そうして始まった「四季」は彼女の「デュランティ」が大いに輝いた。
ホンに良く鳴る、良く響くバイオリンだ。
特に今回は前から3列目というかぶりつきだったので余計に強力な音圧を享受できたので、なるほど、銘器の実力を納得できた。
また最初に書いたように、この楽器は扱いが難しそうに感じた。その楽器と長年(14年?)格闘して、飼い馴らし、自分のものにした(しつつある?)のは並のバイオリニストではないからだろう。
ただ、バイオリン<協奏曲>としてはすごくまっとうで、もちろんこれで良いのだけど、個人的には昨年5月に聴いたアンナ・マリア・スタシキェヴィチが独奏バイオリンと弾き振りで演奏したポーランド室内管弦楽団による「四季」は、全曲、独奏とオケとの恰も戦闘モード。あの刺激に満ちた演奏が忘れられない。
*は千住真理子がソロを担当。
#はマルティン・コスが第1ソロ、千住真理子が第2ソロを担当。
無印はスーク室内オーケストラのみ。
マルティン・コスは、#以外はコンサートマスターとして参加
♪2017-023/♪みなとみらいホール-07