2022年10月10日月曜日

オペラ:ヘンデル「ジュリオ・チェーザレ」新制作

2022-10-10 @新国立劇場


リナルド・アレッサンドリーニ:指揮
【演出・衣裳】ロラン・ペリー
【美 術】シャンタル・トマ
【照 明】ジョエル・アダム
【ドラマトゥルク】アガテ・メリナン
【演出補】ローリー・フェルドマン
【舞台監督】髙橋尚史

【合唱指揮】冨平恭平
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【ジュリオ・チェーザレ】Msマリアンネ・ベアーテ・キーランド⇒女性・女声だが男役
【クーリオ】Br駒田敏章
【コルネーリア】Ms加納悦子
【セスト】Ms金子美香⇒女性・女声だが男役
【クレオパトラ】Sp森谷真理
【トロメーオ】Ct藤木大地⇒女声だが男役
【アキッラ】Brヴィタリ・ユシュマノフ
【ニレーノ】Ct村松稔之⇒男性・女声だが女役

ヘンデル「ジュリオ・チェーザレ」<新制作>
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約4時間25分
 第Ⅰ幕 90分
  休憩   25分
 第Ⅱ幕   60分
  休憩   30分
   第Ⅲ幕   60分

2022-10-10 この日がちょうど新国立劇場開場25周年の記念日だった。



ヘンデルの音楽は耳馴染みがよく、心地良い。
が、物語への共感は低く止まる。
話が複雑な印象を受けるのは、歌手の役割に問題があるかも。

女性(マリアンネ・ベアーテ・キーランド)が女声(メゾソプラノ)で男役(ジュリオ・チェーザレ)。
男性(藤木大地)が女声(カウンター・テナー)で男役(トロメーオ)。
男性(村松稔之)が女声(カウンター・テナー)で女役(ニレーノ)というのが混じっているのは、オペラ作曲当時のカストラートの存在を現代に持ち込んでいるからだろう。その結果、大勢登場する割にソプラノは一人だけ。こう言っちゃ悪いが、そのソプラノも高音に輝かしさが不足して、舞台全体がどんよりとしている。

今回の演出は既にパリ・オペラ座で初演済み。どういう評判を得たのか知らないが、成功しているとは思えない。

時は現代。場所は多分エジプトの、演出家曰く「博物館」《「美術館」の方がふさわしいぞ。17-8世紀の作と思われる絵画もあり、一定の役割を担っているから。》の収蔵庫。そこに収蔵品を運んだり修理したりする作業員が大勢登場。

その収蔵庫の中で古代の衣装を纏った歌手が演唱するのだが彼らからは現代に存在している作業員の存在は無。
作業員は自分達の仕事をしているので古代人の存在は無。
この構造が貫徹されたら並行世界の中で二重構造ドラマが進行することになり興味深かったが、残念!貫徹しない。
作業員は歌わない、踊らないが、古代人の物語に関わり合いを持つのだ。

最後は、古代の歌手たちがさも収蔵品のように収まったのだから、正に、これが狙いのはずだったのに、途中で両者が絡み合うことで互いに無の存在ではなくなったのがつまらない。なんで、こんな中途半端な演出をしたのだろう?
ロラン・ペリーは、かなり名の売れた演出家なのにどうして?
腑に落ちない。

♪2022-147/♪新国立劇場-11