2022-10-15 @NHKホール
NHK交響楽団
マーラー:交響曲第9番ニ長調
普段は情緒に流されまいと戒めているのだけど、演奏前の会場の盛上りもあって、我ながら情緒過多で聴いたかも。
1年ぶりのブロムシュテット翁、一段と足元おぼつかなく、マロ氏に伴われ、指揮台にも中間段が用意され、椅子も置かれて、結局座ったままの指揮だった。
翁だけとは言わないが、少なくとも翁が指揮をする時はN響の気合が普段とは違う。翁への敬愛と信頼の念が見てとれ、音を出す前から良い緊張感が漲っていた。
個人的にはマーラーは好物ではない。馬の💧みたく無闇に長く、特に9番は断片の変容に終始して構成感に欠け、楽しめるとは言い難い。
それゆえ、空中分解しそうな不安が付き纏う。
なので、オケには個人芸とともに強力な合奏力が要求されるのだろう。
それを、今日のN響はやったみたいだ。何しろ長時間を固唾を飲んで聴き、一瞬も別世界にゆくことがなかった。
とりわけ、終楽章が(そもそも、音楽的に上出来なのだろうが)惹きつけた。
祈りのようなブロム翁の長い沈黙。
会場にいる、この音楽を経験したすべての人が、静かに燃え盛った内なる熱を覚ますのにも必要な時間だった。
暫くして大きな拍手が湧き上がったが、個人的には、もう少し時間をかけてほとぼりを覚ましたかったところだが、人さまざまかもしれない。
♪2022-151/♪NHKホール-02