2015-12-26 @ミューザ川崎シンフォニーホール
1stバイオリン:大谷康子(ソロ・コンサートマスター)*
2ndバイオリン:田尻順(アシスタント・コンサートマスター)*
チェロ:西谷牧人(首席奏者)*
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ソプラノ:小川里美
メゾ・ソプラノ:谷口睦美
テノール:西村悟
バス:森雅史
合唱:東響コーラス
コレッリ:合奏協奏曲 ト短調 作品6-8 「クリスマス協奏曲」*
ベートーべン:交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱付き」
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アンコール
蛍の光
コレッリの作品をオーケストラで聴く機会は殆ど無い。ここ数年の記録にあるのは、2年前の夏にやはり合奏協奏曲の8番を聴いている。つまり、「クリスマス協奏曲」だ。
どうやら、12曲ある合奏協奏曲の中でも第8番がダントツに有名らしい。
以前聴いたことがあったことさえ忘れていたので、冒頭からえらく重々しい曲調で、どこがクリスマスなのか、と思ったが、終(第6)楽章の「パストラーレ」から「クリスマス」が導かれるらしい。
協奏曲なので、独奏対管弦楽の協奏の形だが、この時代(1680年頃)の独奏部分はバイオリンが2本とチェロ1本だ(トリオ・ソナタの形らしい。)。
一方の管弦楽は、弦5部にハープシコードで、管楽器も打楽器もなし。編成も小さく全員で16人。
独奏3人を入れても19人という小規模の合奏だ。
音楽自体は、親しみやすく分かりやすくきれいだし、ト短調という調性がちょっと憂いを帯びて共感しやすい。
しかし、がっかりした面もある。
出だしがピシっとは決まらなかったように思う。
東響の看板娘…でもないけど、幾つになってもお姫様の大谷康子が1stバイオリンを担当したが、抜きん出ていたなあ。そういう意味ではバランスも良くなかった。
しかし、彼女だけが赤と黒と緑色に金ラメというデザインの派手なドレスはやはりクリスマス協奏曲に合わせたのだろう。彼女の存在感からして納得の観客サービスかな。
やはり冒頭部分でリズムが揃わないままスタートした気がした。
冒頭はホルンは2部音符がタイでつながっているのでリズムはない。リズムを刻むのは第2バイオリンとチェロだが、これが1小節に6連符2つが10小節以上続く。ここの出だしが揃っていないように思った。2小節目の最後に32部音符で第1バイオリンが5度、4度の下降型のメロディとも言えないような不思議な音型を奏でるが、ここで、黒っぽいドレスに着替えたコンマス(正確にはコンサートミストレスだが、東響ではコンサートマスターと表記している。)大谷康子が敢然と音楽をリードし始めた。このままでは危ないと思ったのではないか。
以後、リズムが崩れることはなかったけど彼女の音が大きい。突出しているので、第1バイオリンだけで十数名いただろうけど、彼女の音が明らかに聴こえてくるのだ。
終盤に行くに連れ周りと溶け込んできたが、こんなことはかつて記憶に無い。まあ、僕は弦の音を非常に気にしながら聴いていたので、一層強く聴きとってしまったのかもしれない。
コレッリでも同じことがあったのは、指揮者大友直人のQの出し方が分かり難いからではなかったか。この人は指揮棒を持っていなかったが、それにしては手の振りが小さいのでオケが呼吸を合わせるのが難しかったのではないかと思うが、とんでもない勘違いかもしれない。
小さな失敗は更に続く。
第3楽章のホルン独奏が、わずかに、音が詰まってしまった。
楽譜だと音階練習みたいなところだけど、やはり、ホルンには難所みたいだ。
更に続く。
これは僕の耳の聞き違えかもしれないが、終楽章の合唱が一旦休止して管弦楽だけになったところで、男声1人が飛び出したような気がしたが、どうだったろう?瞬間のことで小さな声なので気づかなかった人もいたかもしれないが、僕にはフロイデ~と聴こえたなあ。
まあ、聞き違えの数々をしたのかもしれないが、何か、ピシっと全体が緊張していなかった。
リハーサル不足は否めないぞ。
まあ、それでも大谷康子のコンマスとしての力量や仕事ぶりがよく分かったコンサートではあった。
他の人もしっかり練習してね。
今日の演奏で、僕の中では東響はランク一つ下げた。
最後は、恒例の7色LEDペンライトを手に持った合唱団が管弦楽の伴奏で蛍の光を歌い、舞台照明が段々と暗くなり、最後は真っ暗な中にハミングの蛍の光とペンライトが輝いて、クリスマスぽい演出で終演した。
♪2015-133/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-26