2020-10-05 @みなとみらいホール
渡辺祐介:指揮
オルケストル・アヴァン=ギャルド
クール・ド・オルケストル・アヴァン=ギャルド
川口成彦Fp*
藤谷佳奈枝Sp
山下牧子Al
中嶋克彦Tn
黒田祐貴Br
ベートーベン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲
ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番ト長調*
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付」/他
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ベートーベン:6つのメヌエット WoO.10から第2番*
キワモノめいた惹句だが、中身は至って真面目。
ベートーベン生存時代の演奏を聴かせようというものだ。
「ピリオド楽器」も「古楽」も曖昧な表現だが、可能な限りその時代(period/ピリオド)に迫ろうというものだ。
今日は、「第九」の演奏に先立って「プロメテウスの創造物」序曲とピアノ協奏曲第4番(いずれもベートーベン)を、先頃第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクールで2位になった川口くんが”ピアノ”ではなくその時代のピアノというべき”フォルテピアノ”で参加するという豪華版。
金管はバルブがない。
木管はリアルウッド。
弦はガット。
バイオリン・ビオラに顎あて・肩あてなし。
チェロはピンなし。
奏法はノンビブラート。
フォルテピアノは初めて聴いた訳ではないがオケと協奏曲というのは初めて。
さすがに音が小さいが耳を済ませて聴いているうちに、ああ、これがベートーベンの時代の音楽なんだと、何やら不思議な懐かしさを感じた。
古楽アプローチによる宗教曲などはたまに聴くがコンサートプログラムは初めて。
ガット弦・ノンビブラートならではのシャキシャキした響きが実に心地よい。スチールは音楽をダメにしたんじゃないか、と途中思ったりもした。
「オルケストル・アヴァン=ギャルド」なるオケの実態は解説を読んでもよく分からないが、今回の為のニワカ仕立てではなさそうだ。BCJ(バッハ・コレギウム・ジャパン)のメンバーを中心にN響などの若手名手で構成されている。
これが実にうまい。
尤も福川名人にもナチュラルホルンは難しそうだったが、あの楽器ではモダン楽器のような撥音の明瞭さを期待すべきではないのだろう。
初めての指揮者・渡辺祐介もよく統率して、嫌味がない。
一方、2楽章の終わり方などフワッと消えるようで、これが洒落ていた。
4楽章はレシタティーヴォに個性が出るところだが、とても自然で好感。
今年2回目の「第九」だった。
声楽入りの本格的「第九」は最初だったが、いきなり真打登場の感あり。
前・みなとみらいホール館長の池辺晋一郎が駄洒落混じりの解説。どうでもいいような中身だったが、この企画・監修はいい仕事をしてくれた。
♪2020-059/♪みなとみらいホール-19