2022年1月29日土曜日

藤原歌劇団公演「イル・トロヴァトーレ」東京公演

2022-01-29 @東京文化会館






山下一史:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
藤原歌劇団合唱部
合唱指揮:安部克彦

演出:粟國淳
美術:横田あつみ
衣裳:増田恵美
照明:大島祐夫
舞台監督:齋藤美穂
副指揮:松村優吾、小松拓人
演出助手:橋詰陽子


レオノーラ⇒小林厚子
マンリーコ⇒笛田博昭
ルーナ伯爵⇒須藤慎吾
アズチェーナ⇒松原広美
フェルランド⇒田島達也
イネス⇒松浦麗

ヴェルディ作曲「イル・トロヴァトーレ」
オペラ全4幕 字幕付き原語(イタリア語)上演/新制作

予定上演時間:約2時間40分
第Ⅰ幕 30分
 暗転
第Ⅱ幕 40分
 休憩 20分
第Ⅲ幕 20分
 休憩 15分
第Ⅳ幕 45分



要約すれば、期待以上の出来だった。
元々分かり易い話だという事情もあるが、他の過去に観た作品でもまじめにベルディの意図を再現しようとしたものばかりだ。

たぶんこの暗くて重い話を演出家が、この台本で遊んでみようという気にはならないのだろう。

新制作ということだが、古典的・正統的な演出で、安心してオペラの本体を楽しむことができた。

でも、欲を言えば色々注文はつけたい。

❶舞台美術が貧相。それも額縁舞台に更に額縁を重ねているので広い空間を生かしきっていない。せめて上手の壁を奥に凹ませたら額縁感が緩和された。

❷合唱が力を発揮するオペラだが、相変わらずのマスクだ。
業界基準に即しているのかもしれないが、兵士達のみならず女官達もマスクなので、観ていても異様だ。

感染してなければマスクは不要(独唱歌手は当然NoMask)。
健康管理と検査でNoMaskでやれるはず。
いや、プロならやるべし!

❸演出面では…対案が浮かばないが…レオノーラが暗闇でルーナとマンリーコを間違えて愛の告白をしてしまうが、ここは単に暗くて間違ったとお客に受け取られない工夫が欲しい。

この2人、本当は兄弟なのだから顔も似ているはず。
そこをダメ押しできたら物語に深みが出るんだが…。

❹アズチェーナを歌った松原広美という人は初めて。
ご本人はとても健闘していたが、そもそも声質が細いので、老婆にはそぐわないように思った。
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とはいえ、主要な4人には各々に語部として長いアリアが用意され、本当は誰が主役か分からない程存在感があり、舞台を引き締めた。

♪2022-012/♪東京文化会館-02